KAZASHI TREKKING CLUB

四国の山を中心に毎週楽しく歩いています。

線を繋ぐ山歩き 中川峠~カガマシ山

2021年06月24日 | 四国の山


ここのところWOC登山部では自主トレを続けていたが、

行き先を考えるのに今まで以上にYAMAPを見るようになった。

するとフォローをしているプチファーマさんが、こつこつと歩いて

石鎚山から剣山が繋がったとモーメントにあがっていた。

『これだ~!』と一瞬電光が走った。

石鎚山から剣山は6年ほど前にエントツ山さんが『単独無支援』で、

事前に水場を調べ、食料を途中にデポし、11泊で独りで縦走した。その年の忘年会で

『とんでもない事を!』と言いながらメンバーでその偉業を称えたが、

一気に縦走するのは無理なので取りあえずカシミールのトラックを

少しづつ繋げていけば、その内に一応線が繋がると思い立った。

カシミールのトラックは以前に歩いていてもログが取れていない山もある。

それらももう一度歩いて何とか実現してみる事にした。

題して『線で繋ぐ、石鎚山から剣山!』




それでは何処を歩こうかと考えて思い浮かんだのが佐々連尾山から

東のカガマシ山。今まで平家平から東の四国中央部の

山々がほとんどが未踏の山なので、まずはその辺りから攻めてみる事にした。

そしてこのところ魅せられているブナの新緑を、前回とてもお気に入りの場所になった

大ブナの駄場にも少し寄り道をして訪ねてみようと思ったが、

これが後々の大きな誤算となってしまった。




この計画に西讃の奥様二人が興味を示してきた。ここのところ二人もYAMAPに凝っていて

自分たちも線で繋いでみたい、面白そうなので連れていけ!と催促が入った。

前回の佐々連尾山の時に通った白髪隧道を抜け、さらに周回で最後に歩いた

県道264号線を下り途中から坂瀬林道へと入って行く。





これだとほどんど中川峠の下あたりまで林道が続いているので、

カガマシ山へのアプローチが楽になる・・・・・・と思ったが、前回はその林道を歩いた時は

未舗装路でもそれほど悪い状態とは感じなかったが、車で走るのとはまた違っていて、

林道に入って直ぐに道を横断する排水溝で車の底を大きく擦ってしまった。

途中、何ヵ所かで二人に車から降りてもらって、そろ~りそろ~りと通過していくが

もうこれ以上は先は止めておこうと、計画していた中川峠の下の佐々連尾山登山口までは行かず、

途中の少し路肩の広い場所に停めてスタートすることにする。

(ここで計画より20分ほどのロス)




林道の脇にある佐々連尾山登山口の道標から山へと踏み入って行く。

WOC登山部のメンバーは前回中川峠からこの登山口へと下山してきたが

私は道を間違えて林道を大回りしてしまったので初めて歩く道。

杉林から沢沿いに道は続いていく。













足元がゴロゴロとした岩の上を歩いて行くと、中川峠の直下の林道にまた飛び出した。

そこから更に登って行くと見覚えのある峠に着いた。

峠からは西に登岐山だろうか?山頂が尖った山が見えている。







峠には前回気がつかなかった素朴な顔をしたお地蔵さんが一体。

奥様二人は直近で歩いた東赤石山の話をし始めた。

『森の貴婦人のオオヤマレンゲが見られて良かった!』と言うので

『私は今年は未だ見られてないです』

『でも今日は貴婦人が二人いるので良かったです!』とゴマをする。







峠からは尾根を辿らず、北側の緩斜面に地形図では破線が続いている。

直ぐに赤テープがあり尾根の方向へも道が続いているが、取りあえずYAMAPのトラックも

破線の方向を歩いているので、そのまま真直ぐ歩いて行く。







しばらくは道もはっきりとしていて歩きやすい道だっいたが、途中から少し笹薮ぽくなってきた。

するとあの大ブナの駄場のような雰囲気の、ブナの巨木が林立する場所になる。

大ブナの駄場と比べても引けを取らない大きなブナが、あちらこちらで空に向かってのびのびと立っている。

ただ足元は腰くらいの高さの笹原になっていて、赤テープもなく踏み跡も見当たらない。














トラックを見ながら何とか進んで行くと杉林との境界に、何とか歩きやすい場所があったが

途中からまた笹原になる。尾根道ではルートを外すことはないが、広い場所ではとにかく方向が判りづらい。



















途中で北に翠波高原と翠波峰が見えた。背の高いブナにはテープを巻くことができないが

背の低い木が増え始めるとテープが巻かれているのを見つけ、何とかそこから先も

テープを探しながらプチ笹薮を進んで行く。緩斜面とはいえ足元が見えないと意外と体力を消耗する。














何とか緩斜面の笹原を抜け1452mのピークにたどり着くと、眺望が広がっていた。

遠く正面に見える山に何本か鉄塔らしきものが見えると二人が言っている。

『そしたら多分、梶ケ森でしょう!』







『ここで問題です。一番奥に見えている山はどこでしょう?』と尋ねると

二人とも答えられない。『残念!CランクからDランクに降格!』

最近、山頂から見える山の同定を問題にして、答えられれば昇格。答えられなければ降格と

二人には事前学習をするようにと宿題を与えているのだが、今回は少し難しかったようだ。

『正解は、雲辺寺です!そこから左に見えているのが観音寺だと思います!』




1452mのピークには三つ足山と書かれた山名札がかかっていた。

YAMAPの地図にも三つ足山となっているが、地形図では更に北東の1098mが三つ足山となっている。

ここであっちゃんが全く反対の方向を指して『こっちが観音寺?』と言っているので

『残念です、後ろが観音寺方面です。Eランクに降格!』







1452mのピークから何も考えずに目についたテープに沿って下って行く。

正面を見るとかなり下って登り返した先にピークが見える。

途中ロープの掛った急坂をどんどん下って行く。













ロープ場を過ぎ、少し落ち着いたのでGPSを見てみるとガ~ン!

なんと工石山へと歩いているではないか!

先ほどの1452mのピークから見えた少し左に続く稜線がカガマシ山への尾根だった。

ここで『すみません!リーダーも降格です!』と言いながら引き返していく。

(往復で50分ほどのロス)




ピークまで戻らずにカガマシ山への尾根に向かってトラバースをしていくが、

今日のコースは楽勝と思って、登山靴を古い登山靴に履き替えていて、

靴の中で足が遊んでしまって横に全く踏ん張れない。無理やり踏ん張ろうとすると

脚が攣りそうになる。それでも何とか我慢しながらトラバースしていくと尾根へとたどり着いた。

カガマシ山への尾根は県境杭が続く道。踏み跡もありここからは道を外すことはない。










この辺りで休憩した人がいたのだろうか、大きなボトルの落とし物ひとつ。










大森山から佐々連尾山への稜線と同じような雰囲気を想像していたが、

尾根道も笹で覆われていて予想が外れてしまった。

それでも植生豊かな尾根が小刻みにアップダウンしながら続いていく。













途中で笹に隠れた枝に両足を引っかけてルリちゃんがそのまま前に転倒。

しばらく蹲っていたが、足が攣りそうだ言いながら何とか歩き始める。








カガマシ山が近づいてくると道も緩やかなり、境界杭を目印に歩いて行く。

あっちゃんは途中何回かおにぎりを頬張っていたのにお腹が空いたと騒いでいる。






工石山から尾根道に出て約1時間30分ほどでカガマシ山に着いた。

以前は背の高い笹に覆われた山頂だったようだが、今はその笹は刈り払われ、

広場になった場所に大きな山名標が立ち、その足元に三角点があった。







今日は帰りに大ブナの駄場でゆっくりとコーヒーでも飲みたいねと言っていたので

あっちゃんが朝から豆を挽いて持ってきてくれていたが、どうやらそんな余裕はなさそうだ。

低木の日陰で談笑しながらお昼ご飯を食べる。

ただ時間もそうだが空模様も少し怪しくなってきたので、エネルギーを充填した後は早めに引き返すことにする。

雨に降られるのはそうでもないが、やはり雷が一番怖い。




バイケソウはトリカブトと同じで毒草として知られているが、途中で目についたバイケソウは

どうやら鹿に食べられた後に枯れてしまったものばかりだったが、唯一花を咲かせそうな一本。







県境杭と赤テープの尾根を辿って歩いて行く。尾根から北はまだ青空が広がっているが、

南からどんどん薄黒い雨雲が近づいてくる。













尾根にもガスがかかり始め次第に雨がパラパラし始めた。

雨具を着こみ本降りにならない事を願いながら歩いて行く。







1452mのピークには立ち寄らずにトラバースをして、大ブナのある緩斜面へと下って行く。

やはり靴の中で横に遊びが大きすぎて踏ん張れない。脛の横がまた攣りそうになる。

その内に笹の根に足を引っかけて大転倒!幸いその笹がクッションになって助かったが

うつ伏せになった顔の目の前に小さな岩があった。危ない危ない!

ブナの緩斜面は相変わらず踏み跡は全く見つからない。それでも往路では見えなかった

赤テープが所々で目につくようになった。今日はここの大ブナで満足する事に。

二人には『ここを今日の大ブナの婆とします!』と言うと

二人から鋭い視線が返って来た。(怖い、怖い!笑)



















懸念していた雨も大ブナの婆の途中で止み、中川峠まで戻ってくると一息ついた。

そこから更に登山口まで着くとどっと疲れが押し寄せてきた。







林道を次週は何処を歩こうかと相談しながら車を停めた場所へ。

計画では今日は大ブナの駄場でのんびりとコーヒータイムができると

高をくくっていたが、その都度ルート図や地形図を確認せずに安易にテープだけを見て

歩いてしまったのを大いに反省。13km、行動時間7時間50分。

法皇トンネルを抜けた具定の展望台では、すでに陽は沈んでしまっていた。






初めてのコリトリからの剣山(旧表参道)

2021年06月18日 | 四国の山


木屋平は霊峰剣山へ修験者が木屋平~垢離取~富士ノ池を結ぶ

剣山への表参道だったとされている。

そして垢離取川で身を清めた修験者は山へと立ち入った場所だが、

1976年の山腹崩壊の大災害でその垢離取の場所は今はなく、

見ノ越への道が開通してからはほとんど利用されることがなくなったルート。

剣山へは何十回も登っているがこの垢離取からは一度も歩いた事が無い。

以前から興味があったのだが見ノ越からと比べると標高差もあり、

厳しそうなイメージで二の足を踏んでいた。今回YAMAPを見ていると、

ねこバスさんがそのコースを少しアレンジして歩いている様子が

あがってきた。そこには『道なき道』『ブナの巨木多数』と書かれていた。

先々週の佐々連尾山の大ブナの駄場、先週の八反奈路のブナから、ここのところ

新緑のブナの美しさに癒されていて、断然そのルートに興味が湧いてきた。

本格的に梅雨の雰囲気になってきたが、どうやら木曜日が一番マシなようなので

水曜日は仕事をして今日出かけてきた。


穴吹川沿いの国道438号線は中尾山高原への分岐までは走ったことはあったが

そこから垢離取までは初めての道だったが片側2車線で思っていた以上に快適に走れた。

地図でコリトリとなっている場所からコリトリ橋を渡り富士ノ池登山口へと走る。

龍光寺の門の前に車を停めた。穴吹からここまで約1時間。

見ノ越への道と比べると意外と車の運転は楽だった。




門の横には登山道の道標があり、さらに奥にはもう一つ鉄の門。







そこから龍光寺への参道を登って行くと途中に藤の池とその向かいには禊場があった。

垢離取川の禊場が災害でなくなったのでこの境内に設けられたようだが、

水の流れが無く濁っていて、禊場といった雰囲気は全くない。







石段を登り本堂で安全登山をお参りして、本堂の左脇から更に上に登って行く。













龍光寺の上には劔山本宮神社。その社殿の脇の注連縄が掛けられた場所から

いよいよ聖域へと踏み入って行く。













九十九折れの道を新緑の中登って行くと一旦林道に出た。ねこバスさんはここから林道を歩いて

登山道ではない道を登って行ったようだが、昨日からけっこうな雨が降っていたので、

今回は安全をとって取りあえず登山道を登ることにする。とは言え一ノ森までは2.5kmほどの距離で

車を停めた場所からすると750m近くは登ることになる。

空はガスの間から青空が少しだが顔を覗かせ始めた。










林道からも急登が続いていくが道の脇には巨木が立ち並んでいる。

途中で龍光寺の小さな看板があり、その上には平らになった場所があった。

元々はこの辺りに龍光寺があったのだろうか?













駐車場から約50分で行場のお花畑に続く分岐となる追分に着いた。

右に折れると行場への道になるが今は通行止めになっている。




追分から一ノ森へは残り2/3。まだまだ先は長い。先週の八反奈路の反省で

昨夜は深酒はせずに軽く晩酌で終わらせたのに、とにかく今日も足が重たい。

この一週間ほとんど外にも出ずにディスクワークでこもっていたせいだろうか。

途中で右手に少し開けた場所に出た。ガスがかかっているが中尾山から赤帽子山への稜線が見える。




ここで少しだけ道は緩やかになったがまた直ぐに急登が続いていく。

ただここからもブナの巨木が点在し、その大きさに感心しながら登って行くと気がまぎれる。




急登がやっと終わると周りの植生の雰囲気が変わって来た。











森林限界を越え笹原になってくると一ノ森まではあと少し。

所々でガスが流れて木屋平の川上地区辺りまで見渡せた。今日の天気からすると

恐らく山頂はガスの中。この景色が今日唯一の眺望になりそうだ。













道がほとんどフラットになると、見覚えのある青い屋根が見えてきた。

右手には木屋平から見ノ越へと続いている国道も見えている。










駐車場から約2時間でヒュッテに到着。ふくらはぎと右の太ももがガチガチに固まっていて

ヒュッテの前のベンチに腰を降ろすのに一苦労。陽も差していないのに湿度のせいか

今日は半端なく汗を掻いている。行動食と十分に水分を補給する。




一ノ森は三角点と山頂が別々にある。先ずは三角点でピカチュウ・ゲットだぜ!

その後少し先にある山頂まで歩く。やはり周りはガスの中。ここから剣山までの稜線歩きが

晴れていれば最高の景色なのに残念だ。







ヒュッテを下に見ながら行場への分岐の鞍部まで下って行く。笹に覆われた下り坂で

ズボンはすでにびっしょり濡れた。







分岐まで来るとあとは笹は刈り払われて足元は濡れる事が無くなったが、

次第に雨が降り始めた。分岐からシコクシラベの林の中で雨具を着こむ。













シコクシラベの林を抜け二ノ森を過ぎ稜線の笹原になると、遮るものがなくなり

雨具を叩く雨の音がさらに大きくなってきた。晴れていれば次郎笈が見えるはずだが

ガスがかかって拝顔する事はできない。







最後のピークを登り詰めえると向かいには剣山。でもやっぱり白いガスの中。

刻々とガスが流れて景色が変わっていく。







6月も半ばだがやはり高山。吐く息が白い。取りあえず今日は山頂ヒュッテで

食事をとることにする。雨具を脱いでヒュッテに入ると落ち着いた。

こんな天候の日は建物の中で食事を摂れるのはありがたい。

奥から出てきた新居さんが『今日は雨でいかんね~』と慰めてくれる。

今日は初めてカレーライスを食べてみる。温かいカレーライスが冷えた体を暖めてくれる。










雨雲レーダーを見てみると、この辺りだけ雨雲がかかっている。

予報からするとまだ1時間ぐらいしないと雨雲は抜けない様子なので、

食事を終えてまた雨具を着こんで、取りあえず山頂まで歩いて行く。

笹に当たる雨の音がまるで水の流れの様な音に聞こえてくる。

山頂からはやはり次郎さんはまったく見えない。













ガスは流れそうもないので写真を撮ったあと直ぐに山頂を後にする。

帰り道今まで気にしなかったが宝蔵岩の祠が真新しくなっていた。




二ノ森を過ぎたあたりから雨が止み始めたので雨具を脱いで歩くことにする。

相変わらずガスの中だがこんな日の山歩きもおつなものと納得させながら歩いて行く。











一ノ森ヒュッテの笹原を過ぎると、急な下り坂が続いていく。

途中で小さな機械が木に括り付けているのが目に留まった。

環境省四国事務所野生生物課と書いたシールが貼られたセンサーカメラだった。

カメラに向かって不謹慎だがポーズをとってみる。(笑)







急登に比べれば息が上がらず楽にはなるが、急な下り坂は大腿四頭筋が強張ってくる。

ストックを使って滑らないように下りるが濡れた足元に尻もちをついた。

ねこバスさんのアレンジコースでなくても、この表参道も本当に巨木があちこちに林立している。

何度も立ち止まって太い幹に手をやると、たっぷりと水を吸った樹皮はペチャと音がした。










顔を添えてみるとひんやりとして気持ちがいい。

登山者にとっては生憎の雨だが、この山の中で生きる木々にとっては恵みの雨。




ガスが流れて少しだけ日が差してきた。瑞々しい新緑が目に眩しい。










一ノ森ヒュッテから1時間ほどで劔山本宮神社に着いた。

丸笹山や赤帽子山から見ると、この富士ノ池谷の砂防ダムの数の多さに

驚かされる。地形図を見てもその数は相当な数が載っているが、一つの村が消失するほどの

大災害があったのを知るとそれも肯ける。







初めて歩いた今回の垢離取から剣山への旧表参道は、手軽に登れる見ノ越からの道と比べると

やはりけっこう厳しく、またいつもと違った雰囲気のある剣山までの道だった。

今度はぜひねこバスさんのアレンジコースを肉渕峠辺りまで歩けたらなと思った。


今日のトラック

やっと行けた八反奈路!

2021年06月10日 | 四国の山



以前からずっと行きたいと思って温めていた場所がある。

それは山ではではなく白髪山の山頂近くに広がる

八反奈路と言う場所。八反は2,400坪、奈路とは山間部の緩傾斜地の事を云うという。

中国、四国地方に多いナラ、ナル、ナロも、高知県では「奈路」となる。

その八反奈路には樹齢数百年の檜(ヒノキ)が林立し、名前のある主要な木だけでも

30本以上という、異世界が広がっている。

八反奈路は山中にありながら平坦な地形をしていて、木材の搬出に適さないため、

白髪山の檜を販売することで、莫大な利益を上げていた土佐藩も

八反奈路の檜を伐採することができず、現在に至っているという。

根下がりヒノキは白髪山の北面でも見ることができるが、その数は圧倒的で

是非一度は尋ねてみたいと思っていた。


WOC登山部は自粛中なので自主トレで今回は出かけてきたが、一応現地集合という形で

女性陣が集まってきた。昔、小学生の頃、女の子と遊んでいたら「女の中に男がひとり~」と

よくからかわれたが、今日は4人の熟女?の中におっさんが一人となった。


モンベルアウトドアビレッジ本山の横を通り、県道262号線を吉野川に沿って走る。

狭い道が片側二車線になって最初に民家のある場所で北に曲がって、また狭い道を

どんどんと登って行き、最上部で左手に未舗装の道をしばらく走ると登山口となる。

車を降りるとまず目の前に滝山大樽の滝が目に飛び込んできた。

何段にも分れて流れ落ちる滝から涼しい風が吹いてくる。





前日に早めに飲み終わったが少し量が過ぎたのか体調が思わしくない。

しかも今日の女性陣はルリちゃん・キョウちゃん・あきちゃん・さゆり~なの強力なメンバー。

果たして付いて行けるだろうかとスタート前から不安になる。







駐車場の横にある鳥居の脇から登山道に取り付く。滝山への道標に沿って登って行くが、

最初からいきなりの急登。直ぐに昨日のお酒の嫌~な汗が噴き出してくる。










道は先ほど見た滝山大樽の滝の上部へと続く道。かなりの落差のあった滝の上部まで

短い距離で登って行くのだから、やはりキツイ!それにしてもやはり女性陣は元気だ。







ひいコラひいコラと登っている私を尻目に、四人で『山スカートや山ガールは何歳まで?』という

話で盛り上がっている。登山部のコアラさんがよく『山ガールは20歳台まで』と言っていたので

今日のメンバーは当然NG(笑)なので、『後ろ姿、山ガールにしときましょう!』と私。







やっとのことで滝の中段に来た。『えっ!まだ中段』と思ったが、前を行く四人は

トントンと快調に登って行くので付いて行くのが精いっぱい!

滝へと流れ込む小さな沢を渡ったり、丸太の橋を渡ったりして変化のある道。

その内に大きな岩が現れた。













随分と時間が経ったように感じたが、GPSを見てみるとほとんど距離を稼げていない。

駐車場から200mほど標高が上がった場所に展望台があった。

本山町へと続く谷あいの奥に見えるのは杖ケ森や国見山(本山町)辺りだろうか?













展望台からは先ほどまでの急登がウソのような緩やかな道が続いていく。

沢沿いの道は涼しい風を運んでくれて心地よい。













何度か渡渉を繰り返しながら歩いて行き、時々その沢の水に手を浸かせて顔を洗うと、

冷たい水に怠かった身体が引き締まる。右岸から左岸に渡った場所には

『墓』と書かれた場所に、小さな祠と石仏があった。




水の流れが小さくなると薄暗い場所から明るい作業道に飛び出した。

ここから二回程作業道を横断して登って行くと、白髪山から続く支尾根に出た。










支尾根からはしばらく杉林の中の道が続いていくが、次第に道の左側は自然林が広がり始めた。

一旦登って少し下って行くと、道は支尾根の東側を巻いて行く。
















支尾根に戻ると道は自然林の中の道になり、途中で行川登山口への分岐を過ぎ

更に進んで行くと八反奈路と白髪山山頂への分岐に着いた。







ここで作戦会議。アタック隊の三人はそのまま山頂へアタック!

二週間ぶりの山に足が攣りそうになっているというルリちゃんと、

ヘロヘロ隊員はこのまま八反奈路へと歩いて行くことに。

今日の三人の顔ぶれだと、コースタイム以上の速さで往復できるだろうから、

留守番隊は八反奈路でのんびり時間を過ごす事にして別れた。

分岐からは緩やかに下って行くと裾野が広がっていき、その緩斜面にブナの新緑が広がっていた。







更に下って行くと今度は両側には苔岩の庭。梅雨時の苔は生き生きとしていてまさにベストシーズン。
































広々とした場所に踏み跡とテープに沿って散策していくと、

次々と目当てのヒノキの巨木が現れた。それぞれのヒノキには番号と名前を付けた札が立っている。

倒木の上に芽吹いた樹が倒木を覆うように根を張り、やがて倒木が風化してなくなることで、

根下がりヒノキになり独特な姿を造りだしている。樹齢500~800年にもなるヒノキ巨木。

その大きさは根の部分だけでも人がゆうに通れる高さがある。






















その根の部分も、すくっと立ち上がったものもあれば、

複雑に絡み合った、どうなったらこんな形にあるの?といったものもある。










札に書かれた名前も、なんで?といった名前がついているものが結構ある。












この木は子供をおんぶしようとして前のめりになった母親を

お父さんが踏ん張って支えているように見える。




幹の途中までは手入れをされていたのだろうか?

全く枝が無く、数十メートル上に大きく枝を広げた木。




足元の悪い場所には木道が作らていたり、切株で飛飛び石のようにして道は続いている。

それまでは根下がりヒノキの周りはロープが張られていて立入れないようになっていたが。

奥に進んで行く内に、その根の下を通れる場所もあった。



















地形図では1074mの標高点まで来ると、道は更に下に向かって続いている。

ここから先にまだ1番のヒノキまで何本かがあるようだが、下って行くのもなんだし、

ルリちゃんとテープの見える脇へと進んで行く。




踏み跡はなくテープとGPSを頼りに枝を掻き分けたり、岩を登ったりしながら

元来た道へと周回をしていく。







テープの通り歩いて行くが少し元来た道から外れ始めた。

GPSで確認して軌道修正して、ヒメシャラが二本立っていた広場まで戻って来た。

ここで腰を降ろして初めての休憩。おにぎりを出して軽めの昼食にする。

自然林の森の中、新緑の葉がそよぐ風に揺れている。

聞こえてくるのは鳥の鳴く声。揺れる新緑を見上げながらのんびりとした時間を過ごす。




分岐で後ろ姿山ガールの三人娘と別れて1時間以上になる。

そろそろあの三人なら山頂から降りてくるころだろうと腰を上げて歩き始める。

ブナの木に落ちそうになった枯れ木が何とか掴まり堪えている。

命名・イナバウアーの木

山頂への分岐に登る手前で声がした。案の定アタック隊の三人が、無事登頂を果たして降りてきた。

簡単に八反奈路の様子を説明して、アタック隊の三人は八反奈路へと歩いて行く。













支尾根の道からはあとは下るだけ。ここにきてやっと体が軽くなって来た。

ヘロヘロ往路では目に入らなかったものが目についてくる。度々立ち止まって写真や動画を撮るので

前を歩いて行くルリちゃんを何度も待たせてしまう。














途中で中段の滝にも立ち寄って落ちてくる水の涼風で涼む。


















『こんな急なところを登って来たんやな~』と言いながら、山頂分岐から1時間30分ほどで

やっと駐車場に着いた。登山口に降りる前に道の脇に進んで滝壺から滝を見上げてみる。

新緑のモミジに囲まれた大樽の滝は、秋の紅葉の頃はいい感じになるだろう。

















駐車場でしばらく腰を降ろして一服していると、予想以上に早くアタック隊の三人は降りてきた。

山頂分岐から30分で登り、山頂からは道を間違えて工石山への縦走路を下ってしまって

引き返したというのに、この速さは何だろう!恐るべし後ろ姿山ガール!










帰り道、モンベルに寄ってアイスクリームを食べながら雑談。

カップのアイスガ硬すぎてスプーンが使えないので、アスファルトの熱で溶かすルリちゃん。




山に出かける前には万全の体調でと反省した今回。

梅雨の晴れ間を狙って出かけてきた念願の八反奈路は、長い年月をかけて

逞しく生き延びる生命の力強さを感じ変化のある道に、往路はヘロヘロで

山頂は踏めなかったものの大満足の一日だった。


今日のトラック


大森山~佐々連尾山~中川峠

2021年06月03日 | 四国の山


今週の水曜日は私用でWOC登山部を欠席。

そして仕事も半期が終わったので、今年初めて連休をとった。

水曜日の私用は半日もあれば済ませるので、奥かずら橋から

丸石避難小屋まで登って三嶺の小屋で泊まり、名頃へ下山してお昼までに

帰宅したらいいかな?と思いついたが、奥様との打ち合わせがうまくいかず

結局、一日だけの日帰り登山となってしまった。

それなら、どこにでかけようかと考えていたら、WOC登山部のメンバーから

大森山と佐々連尾山に登るのだが、登山口までの道路状況は?とか

岩場があるのは大丈夫だろうか?などと、色々と問い合わせが入ってきた。

私も登ったことのない山だし、ましてや参加もしないのに・・・・。

と思ったが、それならという事で、先発隊で下見に出かけてみることにした。


四国中央市から法皇トンネルを抜け金砂湖沿いの道を走り、県道126号線を南に

登山口となる白髪隧道へ向かう。途中の道は狭くなったり広くなったりするが

概ね路面状態は良好。白髪隧道が近づいてくると5か所ほど未舗装部分があったが

距離も短く問題なく、家から約2時間で登山口に着いた。










隧道の脇が登山口となる。最初は林道だったような幅のある道が

続いていくが結構荒れて途中で崩れたような場所もあった。








林道の脇に佐々連尾山への道標があり、そこから杉林の中の道が始まる。

足元には平らな石が散々しているのは、かつての猿田峠への峠道だったのだろうか。













道が緩やかになってくると前方が明るくなってきた。しばらく歩くと猿田峠に着いた。

右に進むと佐々連尾山、左に折れると玉取山への道になる。













峠には鉄塔があり、北側の眺望が開けていた。鋸山・豊受山からの

法皇山系の山並みが続いている。反対側に目をやると玉取山と大森山の間に

奥白髪山だろうか?その奥にも山並みが続いている。










水分補給をして道標に従って東に大森山に向かって行く。

1194mの標高点までは樹林帯の中の比較的広い尾根道。







最初にロープの垂れた場所にでたが、ここはロープに頼らず登って行ける。

次に小さな岩にお助けロープがかかっていたが、ここも難なくクリアー。










次第に痩せ尾根になってくると三ヵ所目のお助けロープ。

ここは少し段差があるのでロープを使って登って行く。このルートに掛けられたロープには

輪っかを作ってくれていて、とてもありがたい。足元は岩や根っこで足がかりも良く、

最初の一段目が少し段差があるが問題ない。WOC登山部のメンバーにも、そう報告する事にしよう。










お助けロープは続いていくが、あとはロープを使わずほとんど登れて行ける。

高度感も全くなくて、高所が苦手な山さんや杉さんも明日は問題ないだろう。










痩せ尾根から大森山の稜線に出ると展望岩がある場所に着いた。

先ほどの猿田峠や車を停めた場所、そして南から北西の景色が広がっていた。










ここまで登ってくると山頂から続く緩やかな道が続いていく。駐車場からや猿田峠から見ると

大森山は尖った形に見えたが、尾根から愛媛側は緩やかな斜面。ブナの小道を進んで行くと

周りの木々は疎らになり、バイケソウの群生地が続く道になる。













広い尾根一面に広がるバイケソウの緑が青空に映える。これだけの数を見るのは初めて。

開花の時期には見ごたえのあるお花畑になるのだろう。










小さなピークを登ると大森山に着いた。今までの道が緩やか過ぎて

山頂と言った雰囲気や達成感が全くない。山頂のすぐ下に一本だけシャクナゲの木。







大森山から佐々連尾山への道もしばらくは自然林の中の快適な道。

その木漏れ日の道を抜けると、笹原の道が続いている。

一つ目のピークの向こうに、笹の斜面が山頂近くにある佐々連尾山が見え始めた。














一つ目のピークとの鞍部への下りでは道の脇にシャクナゲの木が続いている。

ここも開花の時期には山肌の新緑とシャクナゲの花のコントラストが絵にだろうな~。











手前のピークへも2ヶ所ほどロープが掛った場所があるが、高さもなくどんどん進んで行くと、

大森山の先から見えた佐々連尾山の笹原が近づいてくる。













ピークから佐々連尾山へも広い尾根になり、笹原が広がっている。

県別ガイドや古い山行記録を見ると、この佐々連尾山は緑の笹原に身体が埋もれた写真を

よく見ていたので、今まで二の足を踏んでいたが、今はその笹はきれいに刈り取られて

とても歩きやすい縦走路になっていた。こんな素敵な道ならば、もっと早く来たら良かったな~!














佐々連尾山山頂には三等三角点:大平:1404.2m

山頂は先ほどの大森山と同じような雰囲気だが、西に目をやると

ピラミダルな玉取山の左奥に見えるのは登岐山だろうか?

その奥にも法皇山系の峰々が霞んで見える。










YAMAPを見ると、ここまでで折り返す人と、更に先にある大ブナの駄場まで

歩く人とに分かれている。駐車場からここまで2時間弱。

時間もまだ早いので、せっかくなら大ブナを見てみたい。










佐々連尾山からもよく刈り取られた笹原道が続いていく。県別ガイドにはあまり人気のない山

なんて書かれていたが、どうして素敵な尾根歩きが続いていく。

途中で東側に木々の間からちょこんと頭を出した山が見えた。三ツ足山










大ブナの尾根に続く鞍部は三又に分かれていた。中央にはテント場?。この分岐を左に進んで行く。

テント場には形のいい岩が。明日はあっちゃと姐さんはこの岩登るだろうな~。











分岐を左に進んで行くと落とし物が。最近山でもちょくちょく見かける落とし物。




樹林帯を抜けると大ブナの駄場は、尾根から緩やかに広がる開けた公園の様な場所だった。

芽吹いたばかりの薄緑の葉を大きく広げたブナの巨木が散見できる。













ここに来るまで何故か大ブナの駄馬だと勘違いして、なぜそんな名前を付けたのだろうと

思っていたが、道標を見て大ブナの駄場だと気づく。(汗) なるほど、たしかに平らな場所だ。

それにしてもなんて素敵な場所だろう。これだけのブナの群生を見るのも初めての事。

誰一人いないブナの森の中、その木々の間を抜けていく爽やかな風を感じながらゆっくりと散策する。



















大ブナの駄場からほとんどの人は折り返しているが、ここまで来たら佐々連尾山へのもう一つの

登山口の中川峠への道に興味が湧いてきた。距離は長くなるが

峠まで行けば、あとは林道と県道を歩けば周回できので、駄場から緩やかに尾根に向かって登って行く。

しばらくは小ぶりなブナの木の道が続いていく。














尾根に沿って進んで行くとあすなろ峠書かれた道標のある鞍部に着いた。







あすなろ峠から少し登ると中川峠になる。中川峠までもきれいにスズタケが刈り取られている。

もしこのスズタケが刈られていなければ、藪こきのかなり厳しい道だっただろう。







中川峠には佐々連尾山への道標があるだけで、先ほどのあすなろ峠の様な道標はなかった。

道の脇には四角に囲われた石積みが残っていた。










中川峠を左に折れると中之川からの登山道になる。そこから右に折れて少し下ると広い林道に出た。

ここで地形図では破線が続いているのだが、右の道は登りになっていて、

安易に左の道を進んでしまったのが間違いだった。結局かなり遠回りになり

更に下の実線の林道に出ることになる。道は荒れていて石がゴロゴロ。気を抜くと躓いて

何度も転びそうになって疲れる。
















地形図で実線の林道は車が走れる砂利道といった感じ。少し腰を降ろして一息入れる。

ここからは等高線に沿った比較的緩やかで歩きやすい道が続いていく。

その内にまたゲートのある場所に着いた。ゲートの先の山際には佐々連尾山への道標があった。










林道を出来るだけ日陰を選んで歩いて行く。途中に起点から4kmと書かれた標識。

『まだ4kmもあるのか~』とため息ひとつ。







砂防ダムや木々の間から見える伐採地を横目に見ながら歩いて行く。

単調な林道歩きに独りだと会話もなく、ただ黙々と歩くのみ。













それにしてもなかなか県道には着かない。雨量計測の建屋を過ぎると道から左にまたゲート。

ここから先林道は、谷を回り込むようにして続いている。先ほどからGPSを見ていると、

この辺りのすぐ下に県道がある。わざわざ回り込まなくても、ショートカットで丁度いい

作業道用の道がゲートから下に続いている。『シメシメ』と思い、迷わず左に杉林の中に突入する。


















作業道は長い間使われていないのか急な道が崩れ、途中でいきなり行き止まりになってしまった。

行き止まりからは下は谷筋になっている。県道まではそんなに距離はないはずなのでそのまま谷まで降りる。

小さな沢だが、なかなかこれがどうして、行く手を阻む倒木だらけ。










迷ったら下らずに戻って登って行くのが原則だが、遠目に白い構造物が見えた。

『砂防ダム?』それならダム建設の時の作業道があるはずだ。











真新しい砂防ダムは土砂で既に満杯状態。右側は急峻な岩の崖だが、左はザレてはいるが

登れそうだ。そのまま左岸のザレた斜面を一旦登り、砂防ダムの下へと下って行く。

斜面は掴まる木もなく、とにかく一歩一歩ズリ落ちないように下りて行く。










ただ左岸はどうみても作業道らしきものはなく、反対の右岸に丸太や杭が見えた。

砂防ダムを見上げながら右岸に渡ると、案の定、作業道らしき細い道が続いていた。

荒れてはいるが先ほどまでの道と比べると明瞭!このまま県道に出るかと思ったが

作業道から飛び出した場所はまだ林道の途中だった。杉林の急斜面や谷筋の下りで

随分と時間をロスしてしまった。急がば回れとはまさにこの事。

素直に林道を歩いて来れば良かったと反省。










林道を反省しながら下って行くと中川峠から1時間45分かかってやっと県道に。

ここから駐車場まではアスファルトの登りの道。







今までの悪路からアスファルト道は疲れるが、リズミカルに歩いて行ける。

とにかく立ち止まらず、残りの距離は気になるがGPSも見ないようにしてひたすら歩く。

県道からはさらに40分かかってカーブミラーに白髪隧道が見えた時はホットした。














登山道から下道を歩いて戻るのに2時間30分以上かけたのも初めての経験だった。

本隊の下見と安請け合いをした今回だったが、大森山から中川峠までの稜線は素晴らしく、

また大ブナの駄場も圧倒されるブナの大木の連続で、想像以上のいい山歩きができた一日だった。

大ブナの駄場は秋の紅葉の時期や、霧氷の時期も素晴らしいので、また是非尋ねてみたいと思った。


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