ここのところWOC登山部では自主トレを続けていたが、
行き先を考えるのに今まで以上にYAMAPを見るようになった。
するとフォローをしているプチファーマさんが、こつこつと歩いて
石鎚山から剣山が繋がったとモーメントにあがっていた。
『これだ~!』と一瞬電光が走った。
石鎚山から剣山は6年ほど前にエントツ山さんが『単独無支援』で、
事前に水場を調べ、食料を途中にデポし、11泊で独りで縦走した。その年の忘年会で
『とんでもない事を!』と言いながらメンバーでその偉業を称えたが、
一気に縦走するのは無理なので取りあえずカシミールのトラックを
少しづつ繋げていけば、その内に一応線が繋がると思い立った。
カシミールのトラックは以前に歩いていてもログが取れていない山もある。
それらももう一度歩いて何とか実現してみる事にした。
題して『線で繋ぐ、石鎚山から剣山!』
それでは何処を歩こうかと考えて思い浮かんだのが佐々連尾山から
東のカガマシ山。今まで平家平から東の四国中央部の
山々がほとんどが未踏の山なので、まずはその辺りから攻めてみる事にした。
そしてこのところ魅せられているブナの新緑を、前回とてもお気に入りの場所になった
大ブナの駄場にも少し寄り道をして訪ねてみようと思ったが、
これが後々の大きな誤算となってしまった。
この計画に西讃の奥様二人が興味を示してきた。ここのところ二人もYAMAPに凝っていて
自分たちも線で繋いでみたい、面白そうなので連れていけ!と催促が入った。
前回の佐々連尾山の時に通った白髪隧道を抜け、さらに周回で最後に歩いた
県道264号線を下り途中から坂瀬林道へと入って行く。
これだとほどんど中川峠の下あたりまで林道が続いているので、
カガマシ山へのアプローチが楽になる・・・・・・と思ったが、前回はその林道を歩いた時は
未舗装路でもそれほど悪い状態とは感じなかったが、車で走るのとはまた違っていて、
林道に入って直ぐに道を横断する排水溝で車の底を大きく擦ってしまった。
途中、何ヵ所かで二人に車から降りてもらって、そろ~りそろ~りと通過していくが
もうこれ以上は先は止めておこうと、計画していた中川峠の下の佐々連尾山登山口までは行かず、
途中の少し路肩の広い場所に停めてスタートすることにする。
(ここで計画より20分ほどのロス)
林道の脇にある佐々連尾山登山口の道標から山へと踏み入って行く。
WOC登山部のメンバーは前回中川峠からこの登山口へと下山してきたが
私は道を間違えて林道を大回りしてしまったので初めて歩く道。
杉林から沢沿いに道は続いていく。
足元がゴロゴロとした岩の上を歩いて行くと、中川峠の直下の林道にまた飛び出した。
そこから更に登って行くと見覚えのある峠に着いた。
峠からは西に登岐山だろうか?山頂が尖った山が見えている。
峠には前回気がつかなかった素朴な顔をしたお地蔵さんが一体。
奥様二人は直近で歩いた東赤石山の話をし始めた。
『森の貴婦人のオオヤマレンゲが見られて良かった!』と言うので
『私は今年は未だ見られてないです』
『でも今日は貴婦人が二人いるので良かったです!』とゴマをする。
峠からは尾根を辿らず、北側の緩斜面に地形図では破線が続いている。
直ぐに赤テープがあり尾根の方向へも道が続いているが、取りあえずYAMAPのトラックも
破線の方向を歩いているので、そのまま真直ぐ歩いて行く。
しばらくは道もはっきりとしていて歩きやすい道だっいたが、途中から少し笹薮ぽくなってきた。
するとあの大ブナの駄場のような雰囲気の、ブナの巨木が林立する場所になる。
大ブナの駄場と比べても引けを取らない大きなブナが、あちらこちらで空に向かってのびのびと立っている。
ただ足元は腰くらいの高さの笹原になっていて、赤テープもなく踏み跡も見当たらない。
トラックを見ながら何とか進んで行くと杉林との境界に、何とか歩きやすい場所があったが
途中からまた笹原になる。尾根道ではルートを外すことはないが、広い場所ではとにかく方向が判りづらい。
途中で北に翠波高原と翠波峰が見えた。背の高いブナにはテープを巻くことができないが
背の低い木が増え始めるとテープが巻かれているのを見つけ、何とかそこから先も
テープを探しながらプチ笹薮を進んで行く。緩斜面とはいえ足元が見えないと意外と体力を消耗する。
何とか緩斜面の笹原を抜け1452mのピークにたどり着くと、眺望が広がっていた。
遠く正面に見える山に何本か鉄塔らしきものが見えると二人が言っている。
『そしたら多分、梶ケ森でしょう!』
『ここで問題です。一番奥に見えている山はどこでしょう?』と尋ねると
二人とも答えられない。『残念!CランクからDランクに降格!』
最近、山頂から見える山の同定を問題にして、答えられれば昇格。答えられなければ降格と
二人には事前学習をするようにと宿題を与えているのだが、今回は少し難しかったようだ。
『正解は、雲辺寺です!そこから左に見えているのが観音寺だと思います!』
1452mのピークには三つ足山と書かれた山名札がかかっていた。
YAMAPの地図にも三つ足山となっているが、地形図では更に北東の1098mが三つ足山となっている。
ここであっちゃんが全く反対の方向を指して『こっちが観音寺?』と言っているので
『残念です、後ろが観音寺方面です。Eランクに降格!』
1452mのピークから何も考えずに目についたテープに沿って下って行く。
正面を見るとかなり下って登り返した先にピークが見える。
途中ロープの掛った急坂をどんどん下って行く。
ロープ場を過ぎ、少し落ち着いたのでGPSを見てみるとガ~ン!。
なんと工石山へと歩いているではないか!
先ほどの1452mのピークから見えた少し左に続く稜線がカガマシ山への尾根だった。
ここで『すみません!リーダーも降格です!』と言いながら引き返していく。
(往復で50分ほどのロス)
ピークまで戻らずにカガマシ山への尾根に向かってトラバースをしていくが、
今日のコースは楽勝と思って、登山靴を古い登山靴に履き替えていて、
靴の中で足が遊んでしまって横に全く踏ん張れない。無理やり踏ん張ろうとすると
脚が攣りそうになる。それでも何とか我慢しながらトラバースしていくと尾根へとたどり着いた。
カガマシ山への尾根は県境杭が続く道。踏み跡もありここからは道を外すことはない。
この辺りで休憩した人がいたのだろうか、大きなボトルの落とし物ひとつ。
大森山から佐々連尾山への稜線と同じような雰囲気を想像していたが、
尾根道も笹で覆われていて予想が外れてしまった。
それでも植生豊かな尾根が小刻みにアップダウンしながら続いていく。
途中で笹に隠れた枝に両足を引っかけてルリちゃんがそのまま前に転倒。
しばらく蹲っていたが、足が攣りそうだ言いながら何とか歩き始める。
カガマシ山が近づいてくると道も緩やかなり、境界杭を目印に歩いて行く。
あっちゃんは途中何回かおにぎりを頬張っていたのにお腹が空いたと騒いでいる。
工石山から尾根道に出て約1時間30分ほどでカガマシ山に着いた。
以前は背の高い笹に覆われた山頂だったようだが、今はその笹は刈り払われ、
広場になった場所に大きな山名標が立ち、その足元に三角点があった。
今日は帰りに大ブナの駄場でゆっくりとコーヒーでも飲みたいねと言っていたので
あっちゃんが朝から豆を挽いて持ってきてくれていたが、どうやらそんな余裕はなさそうだ。
低木の日陰で談笑しながらお昼ご飯を食べる。
ただ時間もそうだが空模様も少し怪しくなってきたので、エネルギーを充填した後は早めに引き返すことにする。
雨に降られるのはそうでもないが、やはり雷が一番怖い。
バイケソウはトリカブトと同じで毒草として知られているが、途中で目についたバイケソウは
どうやら鹿に食べられた後に枯れてしまったものばかりだったが、唯一花を咲かせそうな一本。
県境杭と赤テープの尾根を辿って歩いて行く。尾根から北はまだ青空が広がっているが、
南からどんどん薄黒い雨雲が近づいてくる。
尾根にもガスがかかり始め次第に雨がパラパラし始めた。
雨具を着こみ本降りにならない事を願いながら歩いて行く。
1452mのピークには立ち寄らずにトラバースをして、大ブナのある緩斜面へと下って行く。
やはり靴の中で横に遊びが大きすぎて踏ん張れない。脛の横がまた攣りそうになる。
その内に笹の根に足を引っかけて大転倒!幸いその笹がクッションになって助かったが
うつ伏せになった顔の目の前に小さな岩があった。危ない危ない!
ブナの緩斜面は相変わらず踏み跡は全く見つからない。それでも往路では見えなかった
赤テープが所々で目につくようになった。今日はここの大ブナで満足する事に。
二人には『ここを今日の大ブナの婆とします!』と言うと
二人から鋭い視線が返って来た。(怖い、怖い!笑)
懸念していた雨も大ブナの婆の途中で止み、中川峠まで戻ってくると一息ついた。
そこから更に登山口まで着くとどっと疲れが押し寄せてきた。
林道を次週は何処を歩こうかと相談しながら車を停めた場所へ。
計画では今日は大ブナの駄場でのんびりとコーヒータイムができると
高をくくっていたが、その都度ルート図や地形図を確認せずに安易にテープだけを見て
歩いてしまったのを大いに反省。13km、行動時間7時間50分。
法皇トンネルを抜けた具定の展望台では、すでに陽は沈んでしまっていた。