ここの最近の寒波で南国高知でも過去最高の積雪が見られ、阿讃山脈の山肌も
白一色になった。本来なら前回の続きを歩きたかったのだが、山間部はしばらく
避けて平野部の里山で線を繋いでいく事になった。すると奥様たちから、
あっちゃんが歩いていない善通寺五岳はとの連絡が入った。
ルリちゃんと私は何度か歩いているコースだけれど、善通寺から鳥坂峠へ降りて
そのまま弥谷寺から弥谷山へと登れば、天霧山から黒戸山の区間と繋げることが
できる。そう考えて集合場所を弥谷寺の駐車場にして、二台をデポ。そして一台に
乗り込んで、善通寺の駐車場へと向かった。
まだ時間も早く駐車場には車がほとんど停まっていなくて、これから登る香色山と
その奥に筆ノ山が朝陽に輝いていた。
香色山へは登山道というよりは遊歩道のような道が続いている。二週間ぶりの山歩きで、
その間のお互いの話をしながらゆっくりと登っていると、地元の人がけっこうな
スピードで追い抜いて行った。途中からは善通寺の市内と東の景色が、まだ明け
きらない空の下で少し霞んで見えた。
山頂ではさらに西側の筆ノ山と我拝師山がオレンジ色に染まっていた。
風がないのか番の州のエントツの煙はほぼ真上にあがり、その横に瀬戸大橋も見える。
香色山からは空海ウォークの標識が所々に掛けられている。筆ノ山との鞍部手前の
香色山大師堂の横を通るとお参りに来ている男性とすれ違う。『おはようございます』
と挨拶をすると、明るく『おはよう!』と声が返ってきた。ミニ88か所の石仏も
その横で『おはよう、気を付けてね』と言ってくれてるようだった。
鞍部から以前はなかった?『立ち入り禁止』の看板の前を、一旦右に折れて筆ノ山の
裾野を回り込む。スズタケのトンネルを抜けると道標に従って左へと登っていく。
コンクリート道を登って行くと石鎚本教善通寺教会がある。社殿への石段には石鎚神社
土小屋遥拝殿と同じように、石鎚山の鎖が掛けられていた。
教会の横を抜け筆ノ山西山登山口へと入っていく。道には五つの山の形をした五岳山の
標識が続いている。途中には子安弘法大師の石仏。もともと弘法大師は四国を回った時、
難産で苦しむ妊婦を助けた伝説が数多く残っていて、子安大師として祀られるようになった。
途中で朝比奈登山口との分岐さらに九十九折れの道を登っていくと石鎚教会奥行場の
道標。この道標の奥行場に進むと、岩壁に鎖がかかりその頂部には石鎚大神の石仏が
祀られている行場があるそうだ。山頂に近づくにつれ道の傾斜は急になっていく。
ちょっとした拍子にストックを道の下に落とし、そのストックを取りに道から下に
降りると、あまりにも急で転げ落ちそうになった。何とか木の枝を掴めて難を逃れる
事が出来たが、これを道もなく直登するとなればかなり大変そうだ。
その間すでに山頂に着いた奥様たちが待っていた。その手前には石積で丸く囲った
井戸のようなものがあり、中に降りられるように石段が組まれていた。その山頂付近には、
安山岩の板状節理が見られ。四等三角点 筆之山 295.73mになっている。
山名標識の横には宝生如来の石仏があった。
北には天霧山・弥谷山・黒戸山、東には善通寺市街から丸亀、そして飯野山・城山から
横山・大原、そして猫山・大高見峰が一望できる素晴らしい眺望だ。
今日はWOC登山部は飯野山で納会登山をしている。その飯野山には中腹辺りに
水平に雲がかかっていた。この二週間の間机に向かって根を詰めていてほぼ一日中
座りぱなっしで、全く歩いてもいなかったので、ここまでですでにお尻の筋肉が
パンパンになっていたので屈伸運動。けっして人前で〇〇〇しているわけではありません。
ましてや立ち〇〇〇しているわけでもありません。
筆ノ山からは南に向かって下っていく。向かいの我拝師山は独特な山容をしている。
そしてこの筆ノ山よりさらに急な角度でそびえ立っていた。
急な場所にはお助けロープが張られている。南に向かっていた道が南西に振ると
道の傾斜は緩やかになり、雑木の中に続いていく。
そのうちに我拝師山との鞍部の大坂峠に降りた。するとあっちゃんがこの場所には
見覚えがあるという。以前にWOC登山部で来たことがあるのかもしれないと。
さぁここからの登りが今日のメインイベント、我拝師山への登りです。相変わらず
奥様たちは余裕でどんどん登って行きます。後ろからひいコラひいコラと息を切らせて
登って行くへっぽこリーダー。
筆ノ山の山頂が上に見えたのが、次第に下に見える標高に。その筆ノ山の後ろに
讃岐らしい可愛いらしいポコポコとおむすび山が浮かんでいるのが見える。
山頂近くになると道は緩やかになり、山頂特有のi小岩が点在する道になる。
何とか奥様たちに遅れはとったが我拝師山山頂に着いた。
山頂は広々していて三等三角点 禅定山 480.94m。
山頂から西にほぼ平らな尾根を歩いて行く。あっちゃんに『ここからお楽しみですよ!』と。
まぁあっちゃんには甲斐ないと思うけど岩場と鎖が・・・・・。
広尾根の西端からは捨身ケ嶽のプチ岩場になる。『え~これが岩場なの・・・?』と
文句を言いながら降りていくあっちゃん。
するとその岩場に見晴らしのいい展望所の突端があった。下を見ると出釈迦寺の
奥の院が見える。満足しきれないあっちゃんはその端まで歩いて行く。
高いところが苦手なルリちゃんはそのまま降りて、下から見上げて『早よいらん事
考えんと道を降りてきいまい!』と言っている。そう、あっちゃんは道ではなくその岩を
下って行こうと考えていたのを見透かされたのだ。
さらに下っていくと捨身ケ嶽と呼ばれる稚児大師像が祀られている場所がある。
この場所には、空海が7歳の時に7日間修行をしたが、なお仏に出会えず身を岩下に投げた時、
お釈迦様が現れて彼を救ったという伝承が残っている。
その稚児大師像の下が鎖場になっている。太く真新しい鎖が岩に沿って垂れている。
この鎖場くらいなら奥様たちにとってはへでもない。逆に大したことがなかったと
文句を言われそうだ。それにしてもルリちゃんはどこに降りようとしているのだろう?
鎖場でなかなか見ることのできないポーズだ!
鎖場を降りて根本御堂の下を潜り御堂にお参りをする。本来はここが札所だったのが
大正時代に麓に移されたそうだ。たしかに奥の院にしては境内にある御堂は立派すぎる。
南側には西讃の里山が見渡せる。羅漢像の横を通り山門の前に出るとお正月の飾りを
終え準備万端だった。
中山へは取り付きから少し岩場を登って行く。その岩場を少し上ると後ろに我拝師山を
背にした出釈迦寺奥の院。そして我拝師山の右には大麻山、左には善通寺から多度津に
かけての平野部が広がっていた。捨身ケ嶽では少し拍子抜けしていたあっちゃんも、
『今日ここまで来れてよかった』と、目の前のこの景色に感動している。
山門から15分ほど急登を登ると中山。この山は地形図には山名は載っていない。
立派な山名標から西は比較的平らな山頂になっている。
その山頂から緩やかな坂を下っていくと最後の火上山との鞍部になる。鞍部からの
登りは少し今までの植生と少し変わってきた。道の脇には獅子の横顔の岩。
途中にあった鉄塔には、絶対に登れないように他の鉄塔にある柵ととは別にアンテナの
様な柵を左右につけていた。さすがのあっちゃんもこれでは登れまい。
山頂手前の今日最後の登り。ここまでで腰と背中の張りは半端ない。やはり普段から
少しは運動しないとと思いながらも・・・・・。
火上山山頂も比較的平らな山頂。これで五岳山を完歩。あとは鳥坂峠に下るだけだ。
西にほぼ水平に歩いたあと南西へと下って行くと、道は北に折れて続いている。
その場所の奥に展望所がある。ここからは高瀬から観音寺にかけての絶景が
広がっている。元々こっちに自宅のある奥様たちの豪邸が見えないかと探したが
どうやらここからは見えないらしい。唯一、WOC登山部の他の奥様の自宅が
確認できた。
展望所であ~でもないこ~でもないと地元の話で盛り上がった後、北に続く道を
下って行く。しばらくは等高線に沿ったトラバースのような道だったが、
途中からはロープが張られた急坂になる。
ロープ場をやり過ごすと一旦支尾根の道になり、その尾根道から次に右に折れて
谷筋へと下る。小さな沢を渡りさらに進んでいくとミカン畑に出た。目の前には
弥谷山。そして鳥坂峠へと下って行く。
鳥坂峠から国道を横断してため池の堤を歩いて行く。すると池の端で野良犬が吠え出した。
それも一頭ではなく次々と何頭も現れた。少し焦ったが先頭をルリちゃんと交代して
恐る恐る歩いて行くと、吠えながら山の中へ消えていった。(汗)
池の堤から野犬と反対側の山の中へ登って行くと高速の側道に出た。側道を少し
歩いて、高速の上の高架橋を渡って反対側の側道に。その側道をしばらく歩くと
遍路道の石柱が立っていた。
地形図には讃岐遍路道(曼荼羅寺道)と載っている遍路道を歩いて行く。火上山の
登りで今日最後の登りと思っていたら、この遍路道もなかなかの登坂だ。ワックスの
効いたクヌギの落ち葉が足を滑らせる。
鳥坂峠から約40分で車をデポした弥谷寺の駐車場に着いた。本来ならここから
弥谷寺を参拝して天霧山から弥谷山への尾根まで登ると、また線が繋がる予定だったが、
我拝師山で話し合って、今日はここまでにしてお昼ご飯をまたうどん屋で済ませることに
していた。行動食だけでここまで歩いてきたので遍路道の登りではシャリバテで足が
動かなかった。さっそく車に乗り込んで宮川製麺所に直行。お昼をとうに過ぎていたので
店は混んでいなく、ツルツルとあっという間に2玉を頂いた。前回は三嶋製麺所、そして
今回は宮川製麺所と讃岐ならではの里山と讃岐うどんのコラボ。また次回からも山歩きの
コースとは別にうどん店を探索しなければならなくなった。
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