KAZASHI TREKKING CLUB

四国の山を中心に毎週楽しく歩いています。

ウララ・ウララ・ウラ寒風 ♪♪

2023年10月26日 | 四国の山
石鎚山に始まった四国の紅葉は、次第に標高を下げてあちらこちらの山々を彩っていく。

先週の天狗岳のダケカンバがそろそろ終盤だったので、今週は1,700mから下くらいかな

と行き先を考えていたら、5年前に登ってガスがかかっていて、せっかくの紅葉がイマ

イチだった裏寒風山が思いついた。先週の東稜コースに続いてこの裏寒風山もどちらか

と云えばバリエーションルート。『普通の登山道を歩かんのかいな!』とルリちゃん

たりからの声が聞こえてきそうだが、あっちゃんは既にルンルン気分、私もつい『ウラ

ラ・ウララウラ寒風!』と口ずさんでしまった。(笑)




寒風茶屋の手前の駐車場はほぼ満車。一番奥に空いていたスペースに停めて支度をする。

前回WOCで歩いた時も寒風山トンネルの中が寒かったので、三人ともに上着を一枚羽

織ってスタートした。トンネルの入り口には警備員が立っていて、トンネル内のメンテ

ナンスの作業をしているので気をつけて通ってくださいと言われた。











トンネルの中は、冷たい風が吹き抜け歩いていても寒い。15分ほど歩いただろうか、

トンネルの北側へ抜けるとそこにも警備員がひとり。我々が登山口から登ろうと取り付

きへ歩いて行くと、『先ほども男性が一人登って行きましたよ』と教えてくれた。

見上げると朝日に照らされた裏寒風の岩稜が、ひょこっと頭をだしていた。『あそこま

で登りますよ!』と奥様たちに声を掛ける。『高知77km』と書かれた道路標識と、

その手前のポールとの間が取り付きになる。








取付きからは赤テープを目印に登って行くと直ぐに炭焼き小屋跡の石積みと建物の基礎

の様なものが残っている場所に出た。その小屋跡を左に通過していくと涸れ沢。










涸れ沢を渡りテープを見失わないように更に登って行くと支尾根に出た。今までの広い

斜面に比べると、尾根を外さないように登って行けば間違いがない。













すると最初のロープがかかった岩場。3mほどの高さだろうか、前回は降雨の後で岩が少

し濡れていて滑りやすかったが、今日は乾いていて奥様たちも問題なく登ってきた。











次に岩壁が現れる。ここは足元を左に巻いて登って行く。そして二つ目のロープ場。こ

こは岩と岩の間を登って行くので、さして高度感もなくすんなりと。













こんな雰囲気の支尾根は奥様たちも何度も登ってきているので、ルートファインディン

グも問題ない。ここからあっちゃんに先頭を交代してもらう。もちろん所々にけっこう

真新しい赤テープもある。







右手には朝の光に輝く紅葉。頭の上にも黄色やオレンジ色の木々。そんな色とりどりの

パレットの中を登って行くと、左手に岩稜が見え始めた。










すると目の前にも岩壁が現れる。『え~あれ登るん?』とルリちゃん。いえいえ我々に

そんな器量はありません。岩壁の足元を右に巻いて登って行く。








岩壁の上部が第一展望台といわれている場所だった。トンネルの警備員が教えてくれた

一人で登って行ったという男性らしき人が休んでいた。岩壁の端からはいつも見る正面

からの伊予富士の稜線以上に、デコボコした伊予富士が眺められた。

桑瀬峠から見える寒風山西峰の岩峰の山肌は錦秋の絨毯。
















山頂から南西に派生する岩尾根も、頂上部はもう葉が散ってしまっているが、岩肌の下

部はまだまだ見頃に見える。正面のデベソの岩峰の左を巻いて行くとザレ場になる。

(我々はこの岩峰の右足元を登って行ってしまった)




第一展望台で一息ついたら、まだまだ急登は続いて行く。何ヵ所かロープ場を越えて登

って行くとこの裏寒風一番のビューポイントの第二展望台だ。

















右斜め上には西峰の急峻な岩峰。左上には先ほども見えた岩のドーム。ドームの辺りは

もう枯れた雰囲気だが、西峰の山肌はまだまだ見応えがある。『あっちゃん、ストック

で指してもあんな所は登りませんよ!』

振り返ると伊予富士から続く東黒森への稜線が、先程よりもくっきりと見え始めた。














しばらくの間この絶景に見惚れてため息をついた。するとルリちゃんが『せっかくなん

だからここで写真を撮りましょう』と。『そりゃそうだ、こんなきれいな背景なんてな

かなか無いぞ!』







360度見渡す限りの絶景。南西岩尾根の彩りも、西峰に見劣りしない。










第二展望台から一旦下ってまた登り返していく。今しがた展望台から見た色とりどりの

色彩の中の急登を登って行く。














途中で何気にウエストポーチに手を入れるとデジカメが無い。二つ目のポケットにも入

っていない。第二展望台から途中で何枚か撮ったのでその後だろうと思って引き返すが、

登ってきた道から外れて下ってしまう。急な笹の斜面をトラバースしながら何とか登っ

てきた道に出て、第二展望台まで戻るが見当たらない、すると上の方でルリちゃんの大

きな声がする。『あったわよ~!』目の前が真っ暗だったのが一気にパッと明るくなっ

た。カメラは買えば済むが撮ってきた写真はお金を出しても買えない。




ここにきてやっと右に見える桑瀬峠と同じくらいの標高まで上がって来た感じだ。する

と正面の岩肌に『左へ』のプレートが掛かっていた。










そのプレートの案内の通りに左に折れて進んで行くとザレた涸れ沢。その涸れ沢を渡る

と今度は、下草が伸びた斜面をトラバースして行く。伸びた草で踏み跡が少し分かりづ

らいが何とか奥様たちも渡り終える。














見上げると先ほど第二展望台から見えたドームが随分と近づいて来た。いよいよこの裏

寒風山の核心部のザレ場も近づいて来た。夏に奥様たちとはそのザレ場を下ったのだが

足元が次から次と崩れて、二人ともかなり難儀をしていた。ルリちゃんはずっとその事

がトラウマになっているようだ。









ただ順調のように見えたコース取りもこの辺りから怪しくなってきた。本来なら少し登

って気持ち左に振って進んで行くのだが、そのまま岩壁の足元まで登り詰めてしまった。

左にテープが見えたが上に見える岩壁を前回トラバースした岩と勘違いしてしまい、そ

のまま登って行くと、ダウンロードしていたトラックからはけっこうずれてしまってい

た。横を見ると落石が木と木の間に挟まっている。こんな大きな石が落ちてきて当たっ

たらと思うとゾッとした。














結局この岩壁は山頂からの南尾根の岩壁になる。この岩壁を越えた反対側に寒風山への

いつもの登山道が続いている。先頭を行くあっちゃんには度々『行けそうですか?』と

声を掛け、進んで行けるかを確認していく。時々足元から左側が切れ落ちヒヤッとする

場所もあったが、右手で必ず何か掴んで進むようにとルリちゃんに声を掛ける。













登山道を登っていてもこの尾根の西側は切れ落ちている。その岩壁の足元を今歩いてい

る事になる。場所場所で慎重に進んでくるルリちゃん。岩壁の足元で小さなルンゼのよ

うになった場所では、出来るだけ上へのぼってザレ場の場所の幅ない所を選んで渡る。

掴む木もなく足元がふらつくルリちゃんがなかなか前に足を踏み出せないでいる。それ

を見たあっちゃんが『崩れる前に次の足を踏み出すのよ、忍者のように!』と。



















この辺りから更に左にトラバースして行けば正規の?裏寒風のルートになるが、右上に

空と稜線らしき影が見えたのでそのまま右上に登って行く。







斜面には苔蒸した岩が転がり、ブナの木が立ち並ぶなかなか雰囲気のいい斜面だ。左に

見えている岩壁が、どうやら下から見えたドームの様だ。足元もそれほどザレてもいな

くて先ほどまでと比べると随分と登りやすい。














登りやすくなったとはいえ、二つの展望台を除けばここまでほぼ3時間登りっぱなしで

所によっては四つん這いになって登っているので、結構疲れてきたし、お腹も減ってきた。














ドームの下部の土だまりには大きな岩が転がっている。その下方には第二展望台が見え

た。その展望台はまさに錦に取り囲まれたピークになっている。そこから左は桑瀬峠か

ら伊予富士への稜線が続いているのが見える。
















ドームに沿って登って行くがなかなか稜線にたどり着けない。すると少し上方に数本の

赤い実を付けた木が見えた。近づいて見るとどこかで見た覚えのある可愛らしい実だっ

た。瞬間『タヌキのかんざし』という言葉が浮かんだ。たしか三嶺のマユミの古木にそ

んな名前がついていた。確信を得ぬまま帰った後にFBにアップしたら、流れ星さんか

ら、マユミの木はどうでしたかとコメントが入り、やっぱりマユミの木だったと納得す

る。梅色の赤い実はなるほどかんざしに見える。










奥様たちはそのまま直登で最後まで登って行った。私は少し右に振ってショートカット

してみたら、笹尾根に飛び出した。その笹原を下っていると少し上から奥様たちの声が

した。あっちゃんの後ろに見える岩が、前回歩いて来て行止りだと思った岩の先端で、

あの岩から少し引き返して西にロープ場を下ったのだった。










笹原を適当に下って登山道に出た。その登山道を山頂へと歩いて行くと上から降りてく

る人の姿があった。前を歩く奥様たちは気が付かずにすれ違おうとしているところを立

ち止まってよ~く見てみるとWOCのメンバーの『西川さん!』だった。ひとしきり奥

様たちと話をした後分かれて山頂へと向かう。山頂では思っていたより人は少なく、裏

寒風で一緒になった男性とここでも話し込む。











西を見ると双耳峰の様な手前のピーク。この左のピークの更に左側を登って来たことに

なる。その奥には伊予富士。さらに右奥には筒上山と手箱山が並んでいる。東を見ると

冠山の肩に平家平がちょこんと顔を覗かせている。そしてちち山、笹ケ峰へと稜線が続

いている。








お昼ご飯を食べ終える頃には山頂は我々だけになっていた。写真を撮ったらさっそく下

山を開始する。少し雲が多くなって光の量が落ちてきたが、それでも瞬間瞬間陽の光が

当たるとハッとするくらいきれいな寒風山の南尾根。




















いつもは脇目もふらずに特急電車で下って行く奥様たちも、さすがにこの景色。度々立

ち止まってはため息をついている。桑瀬峠までの稜線の東面も、稜線上の登山道も秋色

一色。いえいえ一色ではなく数十色!














途中から今度は稜線の西面の山肌が見え始める。もちろんこちら側も申し分のない錦秋。











登山道には新しくロープが以前より多くの場所で張られていた。登山道より水分高い位

置に張られたロープも有り、恐らく積雪時用のロープだろうと推測する。たしか今まで

整備してくれていたHさんは引退したと聞くが、また別の人たちの手によるものだろう

か?







西峰の岩峰にも陽が当たり山肌の錦を照らしている。その右横には裏寒風からやっとの

事で辿り着いた尾根の笹原とデベソ岩。こうしてみると西峰の岩壁とてつもなく急峻な

のがよく分る。その岩壁ではなく樹林帯の中とはいえよく登ったもんだと自画自賛。










先ほどまでのロープと同じように、随分上の方まで笹も刈り払われていた。草刈り機を

登山口から持ってきて、担ぎ上げてくるその労力たるものや頭が下がる思いだ。

桑瀬峠まで降りてくると裏寒風と山頂で一緒になった男性もひと息入れていた。ここか

らは寒風山の山頂はもう見えない。東の冠山からの稜線の西面に雲が流れて影を落とし

ている。


















桑瀬峠から樹林帯の中へ入ると周りに見る景色もなく、奥様たちのスピードがどんどん

上がっていった。峠から30分強で寒風茶屋に着いた。茶屋の前には観光客だろうか、

沢山の車が停まっていた。寒風山直下から中腹が今はピーク。これからさらに紅葉の標

高は下がって行くだろう。帰りの車中、奥様たちに次に歩きたい山の説明をしながら高

速を車を走らせる。














東稜コースから念願の墓場尾根

2023年10月20日 | 四国の山


先週、奥様たちはツアーで焼岳に登ってきて天気も良く満足して帰ってきたのに‥‥。

石鎚山の紅葉が見たい!』と宣う。『なんて欲張りなんだ・・・』と思いつつも、素

振りも見せずに『わかりました』と答えた。あっちゃんの『紅葉が見たい』というのは

弥山からの天狗の紅葉もだが、東稜コースから見上げる南尖峰の紅葉を見てみたいのだ

ろうと直ぐに勘ぐった。そして南尖峰からは絶対墓場尾根まで行くと言うだろうと、

これも直ぐに予想が付いた。

ただ私自身がまだ墓場尾根まで降りた事が無く、前回は大砲岩に行く途中で引き返した。

奥様を案内するには不安があったので、ここは石鎚山のスペシャリストのエントツ山さ

に助力を仰いだ。電話もせずに自宅に押し掛けて、『イアマイチ墓場尾根までのルー

トが分からないから教えてください』と玄関先で話をすると、わざわざ部屋にあげてく

れて、カレンダーの裏紙に手書きで絵を描きながら詳しく説明してくれた。2枚ほど絵

を書いてもらったらほぼそのルートが頭に入ったので、お礼を言ってお家を後にした。

すると丁寧に後から書き直してくれた絵をもう一枚送ってくれた。これで完璧!




そして『今週は石鎚山の墓場尾根に行ってきます!』と同級生のLINEグループのト

ークに書き込んだら、『一緒に行きたいと』神戸の同級生から連絡が入った。先週末に

大峰山系の小屋泊まり縦走から帰って来たばかりなのに、奥様たちといいみんな何かに

憑りつかれた様に山に出かけている。一番しょぼいのはヘッポコリーダーだった。


天気予報は今日まで晴れマーク。唯一の不安材料はこの季節によくあるガスがかかる事。

そう思いながら車を走らせると、高速を降りて西条市の途中から、朝陽に当たって霊峰

石鎚山がくっきりと見えた。『ヤッター!』

UFOラインは現在時間通行制限がかかっているので、工事が始まる前に通過。南に見

える高知の山々、自念子の頭瓶ケ森も申し分のない空の下で輝いていた。














前回にこのシーズンに来た時は平日にもかかわらず駐車場には停められず、石鎚スカイ

ラインを少し下った路肩に車を停めたが、今日はそれほどでもなくすんなりと停められ

た。先週がピークだった情報が色々と上がっていたので、すでにピークアウトしたと思

われているのかもしれない。駐車場からの南尖峰に向かって『待ってろよ!』と。







『やっぱり寒いね』と言いながら、上着を一枚羽織って歩き始める。そう言えばこの石

鎚山に初めて来たあっちゃんが、途中で木々の間から度々見える瓶ケ森を指さして『あ

の山は何て言う山?』と何度も聞いてきたのを思い出す。あれから数年、奥様たちとは

色々な山を歩いて来て、二人も数段レベルアップしてある程度の山座同定が出来る様に

なってきたので、瓶ケ森が見えても質問してこなくなった。











土小屋からの登山道は鶴ノ子ノ頭を過ぎるあたりまではなかなか陽が当たらず薄暗いが、

それがかえって優美な雰囲気を醸し出している。













鶴ノ子ノ頭を過ぎると登山道は稜線の南側になり、先ほどまでとは打って変わって明る

い日差しが降り注ぐ。第一ベンチで最初の休憩。水分補給と暑くなってきたので上着を

脱ぐ。ここから今日二回目の南尖峰。その南尖峰の左手に見えるニノ森を指して、奥様

たちに『さて問題です。あの山は?』と聞くとルリちゃんは『岩黒山』、あっちゃんは

『瓶ケ森』ととんでもない答えが返ってきた。先ほどの『格段に進歩しては』即撤回!











第一ベンチからは笹原の中に階段状の道が続いて行く。そして南尖峰がどんどん近づい

てくる。そして振り返るとピラミダルな形をした岩黒山。その奥に墨絵の様に峰々が続

き、雲海も見えている。南尖峰の岩稜からは錦秋の帯が斜面が走り、さらにその下の明

るい緑の笹と濃い緑のモミの木の斜面とのコントラストが素晴らしい!



















第二ベンチも過ぎ、いよいよ東稜基部の第三ベンチに。ここでルリちゃんに南尖峰の紅

葉の素晴らしさと今日の天気とのマッチングを説明して、何とか一緒に登ろうと説得す

るも、やはり南尖峰の直下の最後の岩が不安だということで、ここで別れてルリちゃん

一人で登山道を歩いて行くことになった。





それではと、南尖峰アタック隊?は通行禁止の道を進んで行く。以前に比べると踏み跡

がはっきり付いて迷わず進んで行けるようになったこの東稜コース。危険な箇所も殆ど

なく、もはやバリエーションルートでもなくなった。果たしてこの形骸化した通行禁止

の看板の意味があるのだろうか?出処はわからないがただの責任逃れの看板にも見える。

樹林帯の中をしばらく登って行くと目の前に仰向けになって寝ている老人が現れビック

リ!少し話を聞くと『ここまで登って来たが、バテたのでここから引き返す』と言う。

更に『前に歩いている三人組の人たちが、一緒に登ろうと言ってくれたが、待ってくれ

ていたらいけないので引き返すと伝えて』くれと伝言を頼まれた。







『わかりましたお伝えしますね』と言ってその老人の脇を抜け歩いて行く。樹林帯を抜

けると背丈ほどの笹が現れた。足元の踏み跡を確認しながら、平泳ぎの北島康介ばりに

両手を動かし、笹を掻き分け掻き分け進んで行く。

















途中でメタボ測定の2本の木がある。この木の間を真っすぐに通り抜けれれば異常なし。

身体を斜めにしなければ通り抜けられなければメタボと判定される。?

もちろん痩せのあっちゃんは問題なしと思いきや、『あれ、斜めにしている!』。

笹は益々濃くなっていく。踏み出し掻き分ける度に埃が舞い上がる。この辺りまで来る

笹滝矢筈岩が迫ってくる。











笹滝に入る手前で少し岩を登るヶ所があった。以前はなんでもなかった場所で、足がか

りが分からずに躊躇する。そして新たに分かった事は以前に比べると身体が固くなって

いる。大した高さでもないのに足が持ち上がらない。無理やり持ち上げようとすると攣

りそうになる。情けない・・・・。

笹滝の中央部には道とわかる踏み跡がくっきりと見える。その道を三人のグループが登

っているのが見えた。『さっきの老人に伝言を頼まれた人たちだ』。笹滝の左手は面河

に続く支尾根。この尾根も錦秋で彩られている。











笹滝の道は深く掘れていて何ヵ所か高い段差がある。両手で笹を握って太った重たい

身体を『ヨイショ!』と持ち上げる。笹滝を登りきると少し左に振って登って行くと、

左手に小さなコブのある鞍部に出た。ここで先ほど笹滝を登っているのが見えた三人が

一息入れていた。老人からの伝言を伝えると、その老人は60歳から山登りを始めて4

00名山を全て登って、今日の石鎚山を最後に今後は里山をのんびり歩くと言っていた

そうだ。小柄で太った老人が・・・・・人はほんと見かけによらないな~。

三人組の写真を撮ってあげて、反対にこちらも写真を撮ってもらう。














写真を撮ってもらった場所から後ろに見える岩尾根を右から巻いて登って行くと南沢

上部に出る。写真では緩やかに見える笹滝も反対側の支尾根を見ると結構な斜度だとい

うのが分る。











その南沢最上部から岩尾根を乗り越えると今度は西沢(中沢)の笹滝。もうここまで来る

と南尖峰がすぐ目の前だ。南尖峰のからの支尾根の途中には大砲岩墓場尾根が見える。

そしてよくよく見ると墓場尾根に登っている人の姿がある。














ここから笹滝に沿って登って行くとカニの横這い。もちろん三人ともに難なく通過!

南沢、西沢そして墓場尾根の下部から続く北沢と、南尖峰から東稜コースにかけて、

三つのバリエーションルートがあるらしい。そしてエントツ山さんは三つとも面河から

登り詰めているのには、ほとほと感心する。













カニの横這いを過ぎ更に登り詰めて行くと、少し高さのある岩場。ここでスリングを使

っている人を見かけるが、三人ともノーマルでスイスイ登れた。この岩場を登りきると

また絶景が広がっている。足元では支尾根の岩稜の紅葉の中、カニの横這いの手前で先

ほどの三人の姿が見える。瓶ケ森の奥には石鎚山系・赤石山系の山々。














そしていよいよ南尖峰直下の最後の岩場。エントツ山さんには目印の白骨樹の右斜め下

から取り付くと登りやすいと教えてもらったのだが、みて見るとどうも足がかりが見当

たらない。そこで白骨樹の真下から取り付いて見るが、神戸の山の会で最近ロッククラ

イミングの練習もしているという同級生のムラちゃんもうまく登れない。交代して私も

チャレンジするが右上に手掛かりがなくて足を上へと運べない。前回はスイスイと登っ

て上からロープを垂らしたのに・・・・・。(汗)

何度か交代しながら取り付き位置を変えながらチャレンジしたら、最後にムラちゃんが

登って行けた。早速ロープをダブルで木から垂らしてもらって、あっちゃんが続く。

最後に私が登って行きロープを回収する。それにしても歳はとりたくないもんだ。禁煙

してから体重が5kg増え、身体は益々固くなり筋力も衰えホント情けない限りだ。




















南尖峰からはエントツ山さんに書いてもらったルート図をイメージしながら降りて行く。

この間の下りは急ではあるけれど足がかりや掴む木や笹もあって比較的容易に下ってい

ける。左手に岩肌が現れ大砲岩が見え始めると左斜め下に今日の目的地の墓場尾根が見

える。柱状節理で角型の柱状になった岩が何本も空に向かって飛び出している。その手

前のドウダンツツジの赤がその岩をなお一層引き立てる。視線を墓場尾根から右にパー

ンすると、西ノ冠岳から二ノ森への稜線。樹種が違うのかこの辺りは色づきがさほでは

なかった。




















岩肌斜面の最下部まで下り、エントツ山さん教えてもらった通りに今度は岩肌の反対側を

折返して斜め右上に向かって登って行く。右手に大砲岩が迫ってくるが、さらにその上ま

で登ると大砲岩に向かって2・3枚のステップになる岩がある。その岩を渡ると大砲岩。

上を見ると南尖峰の先端。左を見ると西沢の左岸?の支尾根。













さらに左に樹林帯の中へと入って下って行くと三段ほどになった展望岩に出る。ここか

らは大砲岩と二ノ森への稜線が見渡せる。展望岩からは先に二人に墓場尾根へ降りても

らって写真を撮る。










あっちゃん念願の墓場尾根登頂成功!!あっちゃんと若干腰が引けているように見える

ムラちゃんも、神戸から来た甲斐があったというもの。














きれいに写真は撮れたがこの展望岩からだと墓場尾根の高さがイマイチだ。写真を撮る

なら大砲岩からがベストかもしれない。あっちゃんと交代して私のデジカメのボタンの

説明と操作の説明をして渡す。墓場尾根に立って展望岩のあっちゃんに声を掛けるが、

操作が分からないという。今さっき実際に操作しながら説明したのに。しまいには『削

除しますか?』と画面に表示されていると言う。いやいや今まで移してきた写真を全部

削除されたらたまったもんではない(冷や汗)。慌てて『もういいです!』と言った後

に自身のスマホで撮ってくれた写真がコレ!











三人ともに?写真が撮れれば、先に弥山の山荘にいるはずのルリちゃんが、時間を持て

し余して待っているはずなので、急いで引き返す。展望台から登って行くと下りでは気

づかなかった岩屋の中に銀マットが敷いてあった。誰が?何の為に?

大砲岩から岩肌斜面も快調に下って行く。この辺りの地層は溶結凝灰岩らしいが斜度が

ない場所では意外とフリクションがあって四つん這いだが歩いて行ける。














岩肌から南尖峰に向かって登り返す。結構下ってきたので当然結構な斜度を登って行く。

この辺りから私は完全にシャリバテになり、足がなかなか動かない。後ろから来ていた

二人に先に登って行ってもらう。登りきった南尖峰には天狗岳から次々と人が来ていた

ので、先へと急ぐ。







天狗岳の右手からガスが上がり始め、山頂では記念撮影をしている人の姿も見える。










南尖峰の岩肌のダケカンバももう終盤。ただ申し分ない天気に岩黒山を背にした土小屋

の建物まではっきりと見える。そして夜明かし峠から成就社への道の山肌の色付きは今

がピークかもしれない。赤にオレンジ、黄色の色が緑の中に浮かんでいる。














天狗岳では東稜コースで会った三人組さんが写真を撮っていた。ここでもお互いに交代

して写真を撮り合った。天狗岳から弥山へは天狗岳へと向かう人と離合するのに何度か

立ち止まる。それでもいつもと比べれば随分とマシな方だった。













それでも弥山では多くの登山者で賑わっていた。まずは石鎚神社にお参りをしていると

ルリちゃんがやってきた。山荘で何時間も待つのも何なので、西ノ冠山まで歩いてきた

そうだ。参拝の後は速攻でさおりんのいる山荘に駆け込む。カレーライス!











カレーライスを待つ間に三人はビールで乾杯。運転手の私はお預けでふくれっ面!

山荘で30分ほど過ごした後さおりんと記念撮影をした後下山開始。するとあっちゃん

がどうしても三ノ鎖を下りたいと言う。『どうぞどうぞ!』と言って三人は登山道へ。

直下のスチール階段を下りきり、三ノ鎖の足元まで来るとまだ下ってきている途中だっ

たので、しばらくの間鎖を下ってきているあっちゃんのお尻を眺めながら待つ事に。そ

して鎖を下りきった後あっちゃんに話を聞くと『もうあまり楽しくなかった』そうだ。

なんじゃそれ!




















三ノ鎖からの途中で前を歩く10人以上の列がゆっくりと下っていてこちらが詰まって

しまう。グループなのかバラバラなのか分からず後ろを付いていたが、このままでは土

小屋が何時になるか分からない。奥様たちもおしゃべりしながら後ろを付いて行ってい

る。時間が気になり始めたので少し広くなった場所で一気に追い抜くと、先頭のリーダ

ーらしき人が声を掛けている。グループならもっと早く後ろが詰まっているのに気づく

べきだと思いながら、UFOラインの時間制限の時間に間に合うように先を急ぐ。

ただ途中の北壁の下あたりの色付きも素晴らしく、度々立ち止まっては写真を撮ってい

るうちに、三人の姿は見えなくなってしまった。(何十枚もとったけれども北壁の影で

暗く写って綺麗に撮れていない)



















第三ベンチで待ってくれていた三人に何とか追いつくが腰の痛みが酷くなってきた。先

ほどまで両ひざが痛かったのが、腰が痛み始めると膝の痛みが不思議と無くなった。人

は二ヵ所も三ヵ所も同時に痛みを感じることは無いようだ!『神は二物を与えず』とい

うが、『神は二痛を与えず』なのだ。(本当かな)














登山靴の中に小石が入ったので道の脇で腰を降ろして登山靴を脱ごうと膝を曲げると、

太腿の内側が攣った。筋肉が大きいだけにその痛みは半端なく思わず悲鳴をあげた。

何も知らない三人はサッサと先を歩いて行く。結局痛みで足を曲げられず登山靴を脱ぐ

事も出来ずにそのまま足が攣ったまま小石が入ったまま歩き始める。道の脇のあちらこ

ちらで咲くリンドウだけが『がんばって!』と励ましてくれる。














第一ベンチから見る南尖峰にはすでにガスがかかっていた。ここまで来ればあと少し。

八方ブナを少し小ぶりにしたようなブナの黄葉ももう最後の様だ。










明日は天気予報では雨模様。その後はまた冷え込むようなので、石鎚の紅葉の見ごろも

今日が最後かもしれない。シコクシラベの林を抜け、モンベルの建屋が見えた時はいつ

になくホッとした。車まで戻り登山靴を脱ごうとベンチに腰掛けるとまたいっそう痛み

が酷くなった。幸い左足なので運転に支障はないだろう。







帰りの道のUFOラインの彩りもやはりピーク。この紅葉を見に来ているのだろうか、

登山者ではない普通のいで立ちをした人たちの車と何度もすれ違う。

暑い暑い夏がやっと終わったと思っていたら一気に冷え込みもうすぐ冬の気配がしてくる。

ただ四国の山の紅葉は石鎚山がスタート。まだまだこれから楽しみだ。













『線で繋ぐ剣山~紀伊水道』柴小屋休憩所から雲早山東尾根

2023年10月13日 | 四国の山


今週は奥様たちは〇〇ツアーで『焼岳』に出かけて行った。一日目は上高地の散策、二

日目に中の湯温泉から登るという行程のようだが、登山はともかくバスの移動だと8時

間近く(それ以上?)かかるのが今の私の腰では無理。先日の大阪への出張の新幹線で

の移動でもけっこう堪えた。ただ自家用車だとこれが不思議と長時間乗っていても苦に

ならない。今の車のシートの相性がよっぽどいいのだろうと思う。

そんな事で毎年恒例の10月入っての石鎚詣でもと思っていたら、奥様たちが『来週に

行きたい!』宣う。今年は少し色づきが遅れているとはいえ、来週18日となると紅葉

もピークアウトしてる?と思いながらも、仕方がないのでどこか別の山をと考えた。

とは言え『線で繋ぐシリーズ』はやはり三人で歩かないと何を言われるか分からない。

腰の調子もそんなに良くないし、それならまあ無難な線で雲早山ででもお茶を濁そう

かとYAMAPを見ていたら、柴小屋から雲早山まで歩いている活動日記が目に留まっ

た。実はこの区間、雲早山から菖蒲権現、柴小屋から菖蒲権現の2回に分けて歩く事に

なると考えていたので、『線で繋ぐシリーズは三人で』の前言は即撤回。奥様たちには

『下見に行ってきます!』と言い訳をしてホクホク顔で出かけてきた。

自宅から高速で板野ICまで走り藍住町、石井町を経由して神山町へ。ここからはスマ

ホのGoogleMapのナビに従って走ると、これがとんでもない事になる。最初は県道20

号線と国道439号線が交差する場所から『大久保の乳イチョウ』方向へ誘導されたが、

途中でどうも道が怪しくなり引き返す。次に町役場の西側の野間谷川に沿って南に走っ

て行くが、これも道が鋭角に曲がってコースを誘導され、ハンドルを何度も切り返し、

行止りだったり、切り返しで左前が見えずにドスンと大きな音をたてて落ち込んだりと

冷や汗を繰り返して、何とか柴小屋への道に飛び出した。(本来なら役場からまだ西の

国道沿いに雨乞いの滝と剣山スーパー林道の標識から南に曲がるのが正解)

柴小屋休憩所へはアケボノツツジの咲くころの薬研谷に出かけるのに何度か走っている

のに、全く忘れてしまっていた。途中の道はとにかく『落石注意』の標識が目立ち、落

石防止のネットに溢れんばかりの落石のある危なそうな場所も通過する。




柴小屋休憩所はこの時期さすがに一台の車もなく、車のメーターの外気温は12度を表

示していた。車から降りると気温もさることながら風が強く吹いていたのが寒気さを誘

った。着てきたシャッを脱ぎ、着替え用に持ってきた少し厚手のシャツに着替えてスタ

ートする。東の稜線上に見える風力発電の羽の風切音がここまで聞こえてきた。










いつもは柴小屋山や大道丸の取付きとなる登山口を今日は横目に見ながら通過してその

まま舗装路を歩いて行く。10分ほど歩くと左手に真新しい法面保護のコンクリート枠

が見えてきた。










その法面保護の斜面を通り過ぎるとその尾根が下がりきった場所になる。そこからその

尾根に向かって折り返すようにして登って行く。尾根に沿って登って行くと法面保護の上

端に出る。そこからは北に向かっての眺望が広がっていた。そこを過ぎると何故か石の蹴

込の階段が続いていた。(四国のみちかな?)










荒れた階段を登って行くと程なく山頂に着いた。三等三角点 高根山 1231.98m。三

角点の脇の岩の上にはヤッホー地蔵が書かれた石があった。周りを見てみるが山名標識

はなかった。南側の岩の上に登ると雲早山からの稜線と高丸山が見えた。







まずは今日の一つ目のピーク


左端が高丸山




一つ目のピークをゲットしたら、蕾のままのリンドウを眺めながら階段を降りて行く。

林道に出て南にススキ原を眺めながらしばらく歩くと、道の両側に石碑が並ぶ旭丸峠

氷小屋跡入り口の標識から右に林道から山道へと入って行く。



白樺植林30周年の碑


氷小屋跡への道の石碑と入口の標識






氷小屋跡は当時蜂須賀の殿様に氷を届けるための氷室があったそうだが、道はさかて山

を巻くようにして続いていたので、途中からピークに向かって適当に登って行く。

さかて山山頂は山名標も三角点もなく、YAMAPの活動日記からトラックをダウンロ

ードしていなかったら通り過ぎてしまいそうな場所だった。






二つ目のピーク



さかて山から広尾根を下ると三差路になった林道に出る。左の舗装路は勝浦川の源流部

から川に沿って上勝町に続く道、右手は未舗装のあけぼの峠を通って土須峠へと続く、

剣山スーパー林道だ。但しこの道は雲早山の登山口の先で通行止めになっている。






土須峠に続く剣山スーパー林道






三差路の奥の看板のある場所からまた尾根へと取り付いて行く。ピークを回り込むよう

にして比較的明瞭な道が続いて行くが、大岩を過ぎ尾根の道になるとゴロゴロ岩の道に

なる。














苔むした岩の転がる場所から道は分かりにくくなる。とにかく尾根を外さないようにと

登って行くと正面にさらに大きな岩。この岩は左に巻いて尾根に戻ると間もなく旭ノ丸

山頂に着いた。1312mのピークだがここも三角点はない。山名札があるお陰で山頂

だと何となく判る程度の眺望もないピークだった。






今日の三つ目!


シコクママコナ



先程は左側が植林地だったが、山頂からは右手が植林地になる。自然林との境を下って

行くと突き当りの様になり、赤テープを目印に左に回り込み少し分かりづらい尾根を下

って行くと南に眺望の広がる展望岩があった。ここからも高丸山が見えた。ただ灰色の

重苦しい雲が高丸山のピークを隠している。今日は天気予報ではまずまずのはずだった

のに、相変わらず陽の光も薄く風も強い。











展望岩を過ぎると植林地の中の道になる。すると青色のテープで四角く囲われた場所に

『森林整備・施工管理標準地』と書かれた張り紙があった。後で調べて見ると保安林の

整備の為らしかったが詳しくは分からなかった。この後も何ヵ所も同じようにこの張り

紙と四角く囲まれた場所に出くわす。




















1270mの標高点から尾根は二手に分かれていて一瞬間違えそうになるが、ここは右

の広尾根を進んで行く。すると左側に作業道が続く場所になる。もちろん地形図にも載

っていなく、そのまま尾根を歩いて行く。

1270mのここは右に行く







1270mから樹脂の黄色と赤色の杭に沿って歩いて小ピークを一つ越えるとまた林道

に出る。『みんなの広場』と呼ばれる場所は北側が広々としていて、神山町を見降ろせ

その奥には焼山寺山が見えた。













ひと時その眺望を眺めた後さらに先へと。上勝町の標識からまた尾根へと取り付く。小

さなピークの手前にブナの古木。そのブナの木を眺めながら一旦暗部に。ここから参考

にさせてもらったザントブリッツさんは次の1300mのピークまで登って、への字に

曲がって菖蒲権現への尾根へと歩いていたが、鞍部から左に尾根に向かって適当に登っ

て行く。踏み跡も無くアセビの低木を掻き分けスマホを見ながら稜線を目指す。











途中で苔岩の庭を過ぎるとプールの様な大きなヌタ場。1300mほどの標高だけれど

けっこうな数のイノシシがいるんだな。ヌタ場を過ぎると菖蒲権現への尾根が見えた。













尾根道は快適な道、ほどなく菖蒲権現に着いた。三等三角点 菖蒲権現 1292.4m。今

日最後のそして四つ目のピーク。三角点の横には鳴門岳友会の山名を書いた杭がある。













菖蒲権現から境界の石柱に沿って下るとまた林道に。ここから先程のザントブリッツさん

は直ぐに尾根に取り付いていたが、三角点も標高点もない尾根。そして登ってもすぐまた

林道に出るので今回はパスして林道を歩く。














途中で開けた場所からは先ほどの旭丸峠から勝浦町へ抜ける林道と、勝浦川の源流部が

見えた。谷あいの奥に見えるピークのどれかは山犬嶽のようだが、正確に同定は出来な

い。







林道をしばらく歩くと法面をコンクリートで覆った切通のあけぼの峠だ。その法面の

脇には神山町の標識。そしてここからが雲早山から高丸山への稜線への登りとなる。











直ぐにコンクリート保護の脇を登って行くがこれがなかなかの急登(後で分かったがこ

の先からも取付きがあった)切通の上部にまで来ると北に三角の焼山寺山が見える。







立ち枯れた木々とシダの下草の中の踏み跡を辿って登って行く。その急登を登りきると

高度が上がった分さらに北西の景色が広がっていた。正面に見えるのは砥石権現だろう

か?そのピークから少し右下に視線を移すと建物が見える。恐らく岳人の森の観月茶屋














その斜面から吹き上げてくる冷たい風に、背の低いシコクママコナも震えていた。

展望所からしばらくは緩やかだった道もまた急登になる。1317mの標高点辺りでは

尾根の両側にシャクナゲの木が目立ち始める。開花の時期ならさぞ見応えがあるだろう。

















その1317mの標高点から一旦下り坂になる。いつもの事だがピークへの登りの途中

で下りになると『せっかく登って来たのに何も下らなくても』と思うのだが、そんなに

都合よく自然の地形はできていない。











鞍部では細い幹のヒメシャラが目立つ。このルートの途中からは赤テープが目印になっ

て役だったが、あけぼの峠からの道は色褪せた古いテープも目についた。最後の急登を

登り詰め、大岩とシャクナゲが現れると高丸山への稜線に着いた。予定していた通り、

あけぼの峠からは1時間弱かかった。













稜線上はまだ冷たい風が吹いている。木の陰に身を寄せてお昼ご飯にする。コップで飲

む温かい味噌汁が美味しいこと美味しい事。







木々の間から見える雲早山はまさしく雲の中。余裕があれば雲早山までと思っていたが

今日はここで線が繋がったので引き返すことにした。







シャクナゲの群生を過ぎ今度は逆に急坂を下って行く。所々で踏み跡を見失いながらも

赤テープと足元の踏み跡を探しながら下って行く。













あけぼの峠手前の展望所まで戻ってくると、今日初めて青空が見えた。焼山寺山の右奥

は高越山まで見えた。登りではコンクリート保護の横から登ったが、その奥の林道の脇

のホイールカバーが取り付きの目印だった。(このホイールカバー、雲早山のシャクナ

ゲ尾根への取付きにもあったような?)













あけぼの峠からは林道歩き。正面に菖蒲権現が見える。この辺り砥石権現、菖蒲権現そ

して杖立権現と権現と名の付く山が多い。その所以は何かあるのかな?












単調な林道歩きも、道の脇に咲く小さな花たちが気持ちを和ませてくれる。寒さのせい

か日当たりのせいか、まだ花を開かせないリンドウだったが珍しくピンク色に近いリン

ドウもあった。











菖蒲権現を南に回り込むとみんなの広場に着いた。ここで並んでいる丸太に腰掛けて、

味噌汁を作った残り湯でコーヒーを淹れて一息入れる。天気が良ければ阿讃山脈を飛び

越えて香川や小豆島も見えそうな雰囲気だ。




















途中の道の脇で往路で見た森林整備の張り紙。この張り紙を見ると入札での工事現場で

よく見る内容だ。木々に書かれた番号がとても気になる。














旭丸峠まで戻ってきた。往路では気にも留めなかったが、植林の碑の通り道の脇には白

樺が並んでいて少しだけ北の山の雰囲気(笑)










高根山の手前のススキがやっと差した日差しに輝いていた。高丸山までがまたひとつ遠

くなった。







柴小屋山休憩所まで戻ってきた。東に朝方よりもはっきりと稜線上に続く風力発電が見

える。東屋の手前からは徳島市街地までも見渡せた。













車まで戻ってくると一台の軽自動車がやってきた。東屋の横で靴を履き替えている間に、

ザックを担いでさっそうと歩いて行った。時間は14時を過ぎている。今からは柴小屋

山か大道丸辺りまでかな。でもこの時期にこの時間帯にと疑問が残る。





帰りの道、青空がどんどん広がってきた。山を下りたら晴れになったの山歩きのあるある。

予想した通り今日は一人も会う事はなかった。逆に何度も鹿を目にする。風の吹く音と鹿

の甲高い鳴く声だけが聞こえる静かな静かな一日だった。








次に柴小屋休憩所から梅ノ木峠まで歩けば、土須峠から杖立権現越えまでの線が繋がる

ことになる。実際は雲早山から砥石権現、高城山までは歩いているけれど、如何せんデ

ーターが残っていない。とにかくこんな線を繋ぐ山歩きをしようなんて以前は思っても

みなかった。これも奥様たちと一緒に歩き始めてからの事。まだしばらくは繋がる稜線

を見つけての山歩きになりそうだ。

















『線で繋ぐ西赤石山~阿讃縦走路』翠波高原~堀切峠

2023年10月05日 | 四国の山


今週は先週歩いた翠波高原の北峰展望台から、東に続く稜線を堀切峠を目指して歩いて

きた。ただこの稜線は法皇スカイラインの名前の通り、稜線を舗装路が堀切峠まで続い

ているので、そのまま歩くと10kmほどのただの散歩となってしまうので、出来るだけ

舗装路を歩かずに道の脇の樹林帯の中を歩く事にした。




いつもの様に豊浜SAに集合して今日は2台で高松自動車道を走り、川之江ICで降り、

国道11号線・192号線そして県道5号線・さらには国道319号線を通って、堀切

峠を目指した。堀切峠は新宮から川之江へ抜ける土佐北街道の峠。三差路になった峠に

ルリちゃんの車をデポして、奥様たちを私の車に乗せて北峰展望台へと車を走らせた。

北峰展望台からは西に鋸山・豊受山、眼下には土居町の街並みが、先週よりもさらに

青い空の下に広がっていた。













展望台からまずは舗装路を歩いて行くと。先週と同じ場所で伐採した丸太をトラックに

積み込む先週見かけた若者の姿があった。その積み込み作業の横を先週と同じおじさん

とおばさんが同じ格好で歩いているのを見て、その若者はどう思っただろう。

道の脇にはまた同じような花が咲いていた。

シロヨメナ








アキノキリンソウ



右手の水波権現へのコンクリートの登坂を過ぎると、スカイラインはくねくねと曲がっ

た下り坂になっていたので、ここはガードレールの間を通ってそのまま直進をして下っ

て行くと杉林の中に道があった。







枝打ちされ枯れた杉の枝が積もった道を下って行くと、二つの石柱。水波大権現と彫ら

れた石柱。今下ってきた道がスカイラインの出来る前の水波大権現への道だったのか?








その石柱の先はススキ原。薄い踏み跡を辿りススキを掻き分け進んで行くと、足元にコ

ンクリートの橋の様なものがあった。更に進んで行くと仮設のトイレも。ここはいった

い何だろう?と思いながら歩いて行くと、舗装路に飛び出した。














その舗装路の際にはアヤメ池と書かれた石の案内板と朽ちかけた木の案内板があった。

元々ここには小さな池がありアヤメ池と呼ばれていて、その池はノハナショウブの自生

地で市指定天然記念物にもなっているらしいが、今は鬱蒼としたススキ原で見る影もない。







翠波峰から下ったこのアヤメ池がこの辺りの底地になっていて、ここからは中曾根の三

角点に向かって緩やかに高度を上げて行く。一旦車道を歩き、道が曲がり始めるとショ

ートカットして道の脇の樹林帯の中を歩いて行く。







そのショートカットもすぐ終わり再び舗装路に。その舗装路から道の脇をひと登りする

四等三角点 中曾根 793.63m ここには比較的キレイなキティーちゃんがあった。










中曾根の三角点からは直線の舗装路歩き。道の両側の樹林帯は密度が高くて飛込む気に

ならない。



マツカゼソウ



時々道の南北に脇道があるが、地形図にも載っていない道。南側の道は稜線の南に東西に

続いている鉄塔への道かもしれない。



シモバシラ


カタバミ


ツリガネニンジン



すると今度は大きな三差路に出た。左に馬瀬林道と書かれた大きな標識と、その脇には

お地蔵さんが二体。ここが馬瀬林道の終点で虫仏山林道の起点になる。










二つ目の三角点はこの林道説明板の東側にある。斜面の様子を見ながらルリちゃんが登

って行く。あっちゃんと私はもう少しマシな取付きはないかと舗装路を歩いて探すが、

斜面と道との段差は高くなる一方。仕方がないので三角点を回り込み、左に続く林道か

ら登って行く。先に着いたルリちゃんは『取付きだけが荒れていたけど、あとはきれい

な尾根だった』と。




四等三角点 池ノ尾 778.31m にもキティーちゃんのプレートがあったが、きれいに

二つに割れて木の幹にぶら下がっていた。年月の経ったキティーちゃんのプレートが割

れているのを至るところで見かけるが、WOC登山部のメンバーのセニョさんは、その

補修にCDを裏当てして接着剤で丁寧に修理している。ただ今日はそんな準備もしてい

なくて、ルリちゃんが持ってきたテーピングで貼り合わせ、針金を巻きなおして修理完

了とした。少々不細工だが応急手当、良しとしよう。



















池ノ尾三角点からも舗装路歩きが続いて行く。四国中央東幹線はこの尾根の南側を東西

に続いているが、銅山川第一発電所、三島変電所へ送電線が何本か稜線を跨いでいる。
















今日唯一の山頂の平石山へ適当に取り付いて見ると直ぐに車道に出てしまった。






コウヤボウキ


ミゾソバ




南へ続くチェーンの張られた林道を横断して、向かい側の斜面を登ってみる。ただこの

斜面、落石防止のネットで覆われていて地面に靴が食い込まず、そのネットが合成繊維

なのでツルツルと滑り、目の前にあっちゃんが滑ってズリ落ちてきた。











何とかその斜面を登りきり、平石山への尾根へと歩いて行くと南側に伐採地が広がって

いた。目の前に四国中央東幹線の大きな鉄塔。その奥には大森山からカガマシ山へと続

く、比較的高度差のない稜線が見える。













南東の遠くに笹原のように見えるのは塩塚高原だろうか?南西に目を移すと、玉取山

奥には大座礼山東光森山そして右端には平家平まで見える。それにしても今目の前に

広がる峰々を繋いで良く歩いたものだと我ながら関心をする。伐採地に沿って尾根を歩

いて行くとフェンスで囲まれたDOCOMOの電波塔があった。その電波塔様に舗装路

からは階段が造られていた。










フェンスの周りは木々が密集していて先には進めそうもないので、階段を少し下って、

歩けそうな場所から手摺を跨いで次のピークへと歩いて行くと、平石山に着いた。

二等三角点 西平石 825.56m 翠派峰から東でこの山頂が最高地点になる。

ルリちゃんの車の中に帽子を忘れたあっちゃんが今日はタオルをほっかむりして歩いて

いる。『ここは山の中だからいいものの、橋の袂にでもその格好でいたらまるで〇鷹で

すね』と言うと、『そんな事はない、リンゴ娘と言って!』と訳の分からない事を仰る。







平石山からは東にそのまま下って行く。少し荒れてはいたが立ち止まる事無く右に左に

と枝葉を避けながら歩いて行く。






ゲンノショウコ



そして一旦ヒノキの植林地になる。植林地になると先ほどの自然林の中よりも随分と歩

きやすくなるが、そのあとすぐにまた舗装路に出た。







そこからは749mの標高点に向かってまた舗装路を歩いて行く。途中右手の斜面から

覆いかぶさるようにして生えた葉の先に、可愛らしくウェーブした花が一面に咲いてい

た。タカネハンショウズルの小さな花だった。
















右手にタカネハンショウズルの花を見ながら歩いて行くと、左手に一ヵ所眺望が広がっ

た場所があった。四国中央市の市街地の奥に観音寺市や仁尾町、そして荘内半島までも

見渡せた。






ミズヒキ






標高点を過ぎカーブを曲がると右にチェーンの張られた進入路があった。そのチェーン

には『施設休止のため立入禁止』と書かれた張り紙がぶら下がっていた。車をデポした

堀切峠に『自然の森』と書かれた大きな施設内の案内看板があったが、恐らくその施設

への進入路だろう。施設案内図にはキャンプ場やトイレ、展望台の画が載っていたが、

ここもアヤメ池同様に敷地内はもう草木で埋もれてしまっているのかもしれない。

そこを過ぎるとへんろ道が舗装路を跨いで南北に続いていた。北側の山裾にある三角寺

から南の銅山川の畔にある仙龍寺までの道。仙龍寺は通称三角寺の奥の院と呼ばれ、古

くから多くのお遍路さんがこの道を通って参拝したそうだ。










舗装路からへんろ道に入りヒノキ林の中の道を登って行くと地蔵峠と書かれた道標があ

り、脇には四体の地蔵が並んでいた。右から2番目は地蔵道標、その左も仏海による地

蔵道標)で、1番左は26丁の地蔵丁石だという。ちなみに右端の地蔵には顔が無かった。










その地蔵の向かいには奥の院への石の案内道標が立っている。ここから最後堀切峠に向

かって尾根を辿って下って行く。ヒノキの中を踏み跡を探しながら下って行くと作業道

に出た。尾根に沿った作業道で快適に下れるはずだったが、途中からイバラが道を塞ぎ

始めた。











ここからは三者三様。ルリちゃんはイバラを避けて作業道から外れて進み、あっちゃん

はそのまま無理やり突入してきた。私も当然イバラを避けて歩いて行く。








ピンクのテープは基本登山者ではなく、国土調査や林業の人が付けるケースが多いの

だけれど、この辺りに付けられているピンクのテープは比較的尾根の上の目印になっ

ているようなので、『ピンクのテープを目印に!』と奥様たちに声を掛ける。











その内に境界杭も現れた。腰が引ける位の急坂を下りさらに進んで行くと今日四つめ

の三角点大岳に着いた。三等三角点 大岳 682.12m ただ名前の割にはピークでも

なく周りも木々に囲まれた変哲もない場所だった。







ここではキティーちゃんのプレート見当たらない。ここまでの三角点でプレートがあ

ったという事は、ここにも必ずあるはずと三角点の周りを探していると、一本の木の

根元に割れたプレートが落ちていた。先ほどと同じ要領で取りあえずの応急処置をす

る。しかしこのキティーちゃんのプレートは香川の里山でも『え!こんな場所まで』

と思うような山で見かけるが、見かける度にどうしてだろう何だか嬉しくなる。ただ

そんなキティーちゃんも朽ちてしまうとゴミになってしまう。勿体ないな~と思いな

がら、今度からセニョさんの様に、山によっては修理キットを用意しようかな。













<





大岳の三角点から堀切峠まではあと少し。時間は12時40分。途中で行動食を口に

したがもうお腹がペコペコ。GPSを見ながら峠へと下って行くが広がった尾根は、

方角が分かりづらい。それでも何となく峠に向かっているとまたヒノキの植林地の

作業道に出た。作業道は植林地の中を縦横無尽に続いているので、出来るだけ下へ

続く道を選んで歩いて行く。途中でカヤの道になったりしたが、それでも下へ前へ

と前進する頼もしい奥様たち。














九十九折れになった道を真っすぐショートカットしたいのだが、道の脇には枝や木

が積み上げられて取りつけない。仕方がないのでその九十九折れになった道を道な

りに歩いて行くと、車を停めた峠の少し上に飛び出した。











翠派高原からの今日の行程はほぼ舗装路歩きになると思っていたが、意外とその脇の樹

林帯やススキ原を歩く事ができて楽しめた。スタート地点に停めた車を取りに戻ると、

展望台では香川から来ているご夫婦が、先週と同じように大きなカメラとレンズを抱え

て、鷹の写真を撮っていた。山歩きもご夫婦で歩いているご夫婦を時々見かけるが、趣

味が同じなんて良いな~と、あっちゃんと二人で羨ましく思った。

帰り道四国中央市から眺めた稜線はどこも特徴がなく、どの辺りを歩いたかが分からな

かったが、唯一ドコモも電波塔が確認できた。『そうするとあの辺りが平石山か・・。』

そう思いながら川之江インターチェンジから高速道路に乗り入れた。











次回上手くいけば阿讃縦走路までが繋がる計画だ。