KAZASHI TREKKING CLUB

四国の山を中心に毎週楽しく歩いています。

まさかの中三日でまた岳人の森へ!

2024年08月08日 | 四国の山

先週土曜日に独りで剣山のキレンゲショウマと岳人の森のレンゲショウマを堪能したら、

奥様たちから『私たちも見たかった』と。『では、今週はどうしますか?』と尋ねたら、

『レンゲショウマは是非見てみたいけれど、キレンゲショウマも捨てがたい』と迷って

いる様子だった。ただ先週と同じように剣山から岳人の森への移動は、距離にして50

km、そしてほとんどがクネクネ道になるので、車酔いするあっちゃんは二つを見るのは

諦めて岳人の森でレンゲショウマを見ることになった。『それなら近場の雲早山でも登り

ますか?』と相成った。


この山域に出かけるときの定番になっている山川町の『美郷物産館』の駐車場に集合し、

そこから一台でまずは土須峠へと車を走らせる。前回岳人の森のヒメシャガを見に行っ

た時は、山川町から神山町に入る手前の倉羅峠で既にあっちゃんは酔死していたので、

今日は車の窓を全開にして、出来るだけカーブではスピードを落として運転していたが、

それでも後ろの座席は静まり返っていた。

先週は剣山の登山道の真ん中で見たが、今日は国道の真ん中で立ち止まっていたバンビ

ちゃん。しばらくして逃げていく後ろ姿。




雲早トンネルを抜けて左折して剣山スーパー林道に入る。昨年独りで来た時はまだ林道

の途中が崩落していて通行止めになっていた。その時あったゲートは取り払われ、今日

は登山口まで車で行けるようになっていたが、路面の状態が分からないので曲がって直

ぐの路肩が広くなった場所に車を停める。その路肩の端には見覚えのある電力の保線路

の番号杭があった。

十年近く前にシャクナゲ尾根への下り口から、さらに西に下って鉄塔に沿って周回して

最後に沢から登ってきた場所だった。その時のことを奥様たちに話をすると、二人の目

が輝いた。『今日もそのコースを歩いてみましょう!』と。







駐車した場所からスーパー林道を登山口まで歩いて行く。平日にもかかわらず何台もの

バイクとすれ違う。さすが国内でも人気の林道だ。








土砂捨て場で広場になった場所からはいつもなら高城山が見えるのだが、今日は雲がか

かって目印のレーダー雨量測候所も見えない。

林道の崩落個所はきれいに復旧されていた。崩落個所までは復旧工事で工事車両が通って

いた事もあって路面の状態は良かったが、そこから先は角ばった石がゴロゴロし始めてい

た。やはりトンネル近くで車を停めて正解だった。













道が那賀町から神山町に入ると山側に見覚えのある車のホイールキャップが置いてあった。

この場所がシャクナゲ尾根への取り付きになる。ここから少し進むと雲早山の登山口。







鳥居を潜って少しだけ急登を登ると、あとは沢沿いの道になる。眩しく光る木々の緑の

中を、流れる沢の水が涼しげな風を運んでくる。この真夏の酷暑の下界では考えられな

い快適さだ。

















作業小屋跡まで来るとその沢からも離れていく。以前は広場になっていた場所も今はほと

んどその面影がないが、カツラの大木だけは今も健在だ。

ここからは方角を変えて東に谷筋を登って行く。周りにはまだつぼみにもなっていないシ

コクブシがそこらじゅうで葉を広げていた。













谷筋についた道は正面に明るく見える稜線の手前で、また南東に振って続いて行く。九十

九折れの道をやり過ごすと道の脇が苔岩の斜面になる。














苔庭からはすぐにパラボラの道標のある高丸山との分岐に出た。『ここから熟達者は高丸

山を往復するんですよ』『また途中から北に行くと菖蒲権現から大川原高原への稜線にな

ります』と説明すると、『そしたら線を繋げていけるのね』とあっちゃん。『あんた繋げ

ることしか頭にないのね』とルリちゃん。










木々がまばらで晴れていたら日差しが照り付ける山頂までの稜線も、今日は時々ガスが

流れて予想以上に暑くはない。








山頂からは相変わらず高城山の測候所は見えなかったか、南東の高丸山までの稜線は雲

に隠されることなく見ることができた。時間は11時だったが、誰かがうるさくなる前

にお昼ご飯にすることにした。

腰掛け各々お弁当を広げると、まるで避暑地にでもいるように、心地よい涼しい風が吹

いてきた。家にいるときとは雲泥の差だ。
















お昼を食べた後はまずはシャクナゲ尾根への道を下って行く。尾根から以前はなかった

小さな道標から下って行くと、しばらくは踏み跡も分かりづらい広々とした斜面だった

が、次第に踏み跡の残る尾根へと変わって行く。











途中からは今まで見えなかった高城山の測候所や北には岳人の森が見えた。
















自然林の雰囲気のいい支尾根の道。地形図では町境の線が北に折れている場所からがシ

ャクナゲ尾根になる。
















今日はここからさらに西へと下って行く。地形図で支尾根が分かれた場所では、傾いた境

界石杭から右手に進んで行く。













するとすぐにシャクナゲの群生が現れた。シャクナゲ尾根と比べるとその規模は小さい

が、開花の時期は見ごたえのありそうな尾根だ。











シャクナゲ尾根を過ぎても色々と変わり種のある尾根だった。暑苦しくまとわりつくヒメ

シャラの木や、本宮山のクジラ岩を小さくしたようなミニクジラ岩。そして何やら怪しげ

なほっかむりをした奥様と、枚挙にいとまがなく楽しめる。











調子よく世間話をしながら下って行く奥様たち。その姿を見て一抹の不安がよぎる。さ

っそくYAMAPのルート図を見てみると、案の定北に折れる場所を通り過ぎていた。

あわてて奥様たちを呼び止めて引き返す。ルート図に乗っている分岐の場所まで戻ると、

ちゃんと赤テープが何本も巻かれていた。











ここからは急坂が続いて行く。シャクナゲ尾根も急坂だった、それでもシャクナゲの根

や木があってゆっくりと下って行くことができたが、このルートは木から木へと掴まり

ながら飛び移り、何とかスピードを落として降りていく。ただその度に踏ん張るので膝

の痛みが酷くなる。











奥様たちはリズムよくスピードに乗って降りていくのでどんどん離されていく。自然林

から杉林になっても相変わらず急な坂は続いて行く。するとルリちゃんから『鉄塔よ!』

と声があがった。











広場の鉄塔は陰平線38番鉄塔だった。ここから釜ケ谷川を越えて車を停めたスーパー

林道の上を電線は続いていた。以前に歩いた時は尾根から36番鉄塔に出たとブログに

書いてあったので、前回は今下ってきたルートとはまた別のルートを下ったようだった。

鉄塔の横でルリちゃんが『林道に停めた車が見えるわよ』と言っているが、立ち止まる

とジンジンと膝の痛みが酷くなる。とにかく下りの坂を早く終わらせたいので先に釜ケ

谷川へと続く保線路を下って行く。







杉林の中の九十九折れ道を下って行くと見覚えのある鉄橋が釜ケ谷川に架かっていた。








ただ記憶は曖昧なもので、一カ所だけだと思っていた橋は合計3カ所あった。帰ってそ

の時のブログを読み返してみると、ちゃんと3カ所渡ったと書いていた。










三つ目の古い橋を渡ると車を停めた場所までの最後の急登になる。距離は短いがその斜

度はかなりのもので、前を行く奥様たちが頭の上を歩いているように見える。

時間にしたら僅かだったが、大汗を掻きながら何とか登りきると愛車の真後ろに出た。




















この後汗を掻いた服を奥様たちも着替えるというので、私は車を停めた一つ先の場所ま

で移動して、『あっちで着替えるので、着替えが終わったら声をかけてくださいね』と

言って、次のカーブの路肩が広くなった場所で着替えをする。

上着を脱いでショーツを脱ぎ、着圧タイツを膝まで降ろして座り込もうとした瞬間に、

前方のカーブを車が曲がってきた。着圧タイツの下は下着は履いていなくてフ〇チン

状態。着圧タイツで身動きが取れずに、上半身と膝まで丸裸の状態で慌てて股間を手

で隠したが、時すでに遅し車は目の前を走り去って行った。

車の運転手の身になったら、山の中の道の脇で裸のおっさんがいたら、さぞかし驚いた

ことだろう。かと言う私もこれほど恥ずかしいことは今までなかった。

『着替え終わりました!』と声がしたので、車まで戻ってその話をすると二人は笑い転げ

ていた。



岳人の森までの車中もその話で盛り上がり、『ひょっと観月茶屋にさっきの車の人がい

たらどうしよう?』と話をすると、また一段と笑い声が車内に響いた。

観月茶屋は営業時間が終わっていたので、開いた窓から『すみません!』と声をかける。

出てきた充さんに、『入場したいので!』と言って入場料を払う。

先週の土曜日と同じように上のキャンプ場まで車で行って、同じように順路通りに歩い

て行く。以下は岳人の森の花たち

ヤマシャクヤクの実


ヒオウギ


ウバユリ


キレンゲショウマ


キツネノカミソリ



ここからがお目当てのレンゲショウマ!







ゆら~りゆらゆら











周りの花に見える白と薄紫のグラデーションはガク








ニッコウキスゲ




ひととき『森の妖精』を眺めた後、岳人の森をあとにする。沢沿いの水の流れと尾根で

はガスが流れて終始涼しかった雲早山。そんな避暑をあとにいっぺんに暑さのなかの現

実に戻され家路につく。








初めて見るレンゲショウマ。とその前に・・・。

2024年08月04日 | 四国の山
ここ最近YAMAPの活動日記で目に付いたレンゲショウマ。初めて見る『森の妖精』

と呼ばれる姿は、今にも折れそうな細い茎の先に、割と肉厚な白に薄紫のガクが透明感

があって、可愛らしすぎて一目ぼれしてしまった。

活動日記では少し前から見頃と書かれていたので、そろそろもう終わりかなと思って出

かけてきた。ただどうせならこの時期に訪問する剣山のキレンゲショウマも見てみたい

と思い、剣山から岳人の森への計画をたてた。


剣山の見ノ越から岳人の森までは約50km。移動時間にして1時間以上はかかるので

少し早めに家を出た。7時30前には見ノ越に着いたが、さすがこの時期のしかも土曜

日の剣山。観光バスが停まり、第一駐車場の日陰になる1階はすでに満車の状態だった。

身支度を済ませて劔神社への石段へと向かう途中で、お腹がグルグルなった。何か変な

ものを食べたわけでもないのに、昨日の夜中に二度ほどトイレに立った。その続きだろ

うか、建て替えできれいになったトイレを初めて利用した。


劔神社の石段には例大祭で飾られていた提灯は下ろされ、いつも見る石段になっていた。

まずは神社にお参りして登山口から取り付いて行く。







拝殿の前の花手水鉢のアジサイもこのところ続く暑さのせいか少し枯れ始めていた。た

だし暑さといっても下界と比べると快適そのもの気温だ。







普段は9時から運行しているリフトも、今月は8時から営業を開始していて、登山道の

トンネルを通る頃には、ザックを膝の上に載せて腰掛けている人たちが登って行ってい

た。後ろから来た細身の男性はあっという間に私を抜き去り、すぐに見えなくなってし

まった。










月曜の会食に始まって、火曜からの3日間の出張でほぼ呑みの夜だった今週。そのせい

か身体が重い。いつもなら焦ることもないこのコースだけれど、今日は下山後に移動し

なければならない。気がせくわけではないが歩くペースが気になる。











いつもの定点観測の場所からはガスが流れて雲海荘を隠してしまっていた。西島駅まで

来ると次々とリフトから降りてくる人の姿があった。剣山山頂と同じように、正面に見

える三嶺にも雲がかかっていた。













その右手に見える塔ノ丸の緩やかな南斜面には、雲の影が映し出されてまるでホルスタ

インの背中の模様のように見えた。丸笹山山頂近くの笹原は陽が当たって輝いている。







リフトの降り口の横を通り、まずは刀掛けの松へと登って行く。今までほとんど目に入

らなかった小さな花たちが足元に目立つようになってきた。













刀掛けの松のベンチでは親子連れが腰掛け休んでいた。その4人の前を通って行場へと足

を運ぶ。足元は登山道のよりさらに白い石灰岩が目立ち始める。







途中の鶴の舞の手前にはネットで囲んで保護したお花畑がある。














不動の岩屋の下を通り、鎖場を横目に見て進んで行くと、お目当てのキレンゲショウマ

が咲いていた。








すると下から登ってくる男女。どこかで・・・・と思ってみていたら、石鎚の山女?の

さおりんさんだった。今日は石鎚山荘のスタッフと一緒に来ているそうだ。『これから奥

槍戸へ行く予定です』というので、『私は山頂へ登ったあと岳人の森へレンゲショウマを

初めて見に行きます』と話をする。すると『リフトの下にも咲いていましたよ!』と。

絶滅危惧種と聞いていたのに、この剣山でも咲いているなんて・・・・。

さおりんには『また秋に石鎚山に行きますね』と言って別れた。













鎖場の下から両剣神社が見える辺りまで下って折り返す。キレンゲショウマの周りには

先週、皿ケ嶺で見たギンバイソウとツルギハナウドも咲いていた。











登山道の脇から不動の岩屋へと登って行くと、岩屋の奥からは冷気が漂ってきた。覗き

込むとはしごの下から勢いよく流れる水の音が聞こえてきた。














岩屋の横から山頂への道に取り付くと、ロープがかかり木の根が縦横無尽に走る階段状

の急坂になる。太い木の根のアーチを潜り登って行くと、岩屋の岸壁の上部に出る。そ

こからは笹の道。前回歩いた時よりも笹は刈りはらわれて歩きやすくなっていたが、道

の上に残された笹が、枯れて乾いて滑りやすくなっていた。
















笹の斜面も九十九折れの急登が続いて行く。それでも樹林帯の日陰のお陰で何とか少しづ

つでも登っていけた。そのうちに刀掛けの松からの道との合流点と雲海荘が見えた。あと

少しで山頂だ!








宝蔵石神社の前は大勢の人で賑わっていた。神社では輪くぐり神事が行われていたので、

鳥居の下の輪を潜ってお参りをする、『これで魔除と昇運はバッチリ!』と思っていたら、

お参りを終えた後に見た張り紙には『八の字を描きながら巡る』と書いてあった。

普段から取説をちゃんと読まずに後で後悔する性格がここでも・・・・。





平家の馬場の木道では、雲がかかって涼しい風が吹いていた。山頂から見る次郎笈への

稜線に雲の隙間から陽が当たり、周りの笹の若々しい緑を浮かびあがらせていた。

いつ見ても見飽きない素晴らしい眺望だ。
















山頂から西のテラスへ移動する。今日はキレンゲショウマとは別に、ぜひ見ておきたい

ものがあった。西のテラスの少し下にあるという鶴岩と亀岩だ。ソロモンの秘宝の伝説

と関わりの深い鶴岩と亀岩。以前から二つの岩の存在は知っていたけれどその場所がイ

マイチ分からなかったが、ネットで調べていく内にこの西のテラスの下の二つの岩がそ

うだろうということだった。

テラスに上がって直ぐに段差の少ない場所から北側の笹原に下りる。踏み跡を辿って行

くと以前は登山道だったのか、朽ちかけた小さな道標があった。その道標が示す方向と

は反対に踏み跡を降りていくと、目的の鶴岩と亀岩があった。果たしてこの二つの岩が

間違いなくそうなのかの真偽のほどは定かではないが、また色々と調べてみようと思う。

亀岩の上に登って下を見ると大剣神社の赤い屋根と御塔岩が見えた。

その高度感に股間がざわッとしたので、慌てずにゆっくりと振り返って戻って行く。













『かごめかごめ、かごの中の鳥は・・・・鶴と亀が滑った』の動揺を謡いながらテラス

に戻る。そしてテラスで腰掛けて軽く菓子パンと水筒に入れたカフェオレで食事をとる。











本来ならもっとゆっくりしたかったがこの後の予定があるので、テラスをあとにする。

時折ガスが流れて陽を隠したり青空を見せたりと変化のある空模様だ。







山頂から刀掛けの松への下りでは、まだまだ登ってくる大勢の人の姿があった。途中す

れ違った高校生の団体は背中に『松山中央高校』と書いていた。まだ今時登山部に入っ

て、これだけの人数の若者が山に登っている姿を嬉しく思った。





途中道の脇でネットで囲んだ場所にはたくさんの花が咲きお花畑になっていた。




















西島駅では今度は中学生らしい男女が登ってきた。やはり週末は、いつもの平日登山と

は違った若い人たちの姿を見ることができて楽しい。





西島駅から見ノ越に下り始めて直ぐにまたお腹の調子が悪くなってきた。そう言えばね

こバスさんがYAMAPの活動日記に『⚠️この先センシティブな内容が書かれています

ので心して読んでください』と断りを入れたうえでその様子を克明に描いていた。

その時は『よく分かるわ~』と思いながらも他人事、軽い気持ちで読んでいたが、まさ

か直ぐに自分の身に降りかかってくるとは思わなかった。

寄せては返す波の様、大きく口では息をせずに、小さく小刻みに鼻呼吸しながら整えて

いくが、予告もなく大波が押し寄せてくる。西島駅まで戻ろうかと思ったが、あのきれ

いなトイレで小こそしたことはあるが、大は経験がない。あのトイレの扉は開けるのが

怖い。そう思いながら冷や汗を搔きながらも下って行く。できるだけ他ごとを考えなが

らと思うのだが、どうしてもねこバスさんの『センシティブな内容』という言葉が浮か

んでくる。しかもこのコースは最悪の事になっても脇が急斜面になっていて逃げ場がな

い。どうしようかと思っていると目の前の道の真ん中に鹿の姿が!

いつものことでじっとこちらを見ているが、けっこう人なれしているのか一向に逃げる

気配がない。カメラを取り出し何枚も撮るが、こちらが動いて初めて登山道の脇の斜面

を登って行った。それでも時々立ち止まってはこちらを見ている可愛い子だ。

このバンビのお陰で、ピークの波がしばらく引いていき、見ノ越のトイレに駆け込んだ。











トイレで至福の時間を無事終えて車に乗り込みトンネルを抜けてコリトリへと下って行

く。剣山にはもう何十回と来ているのにこの道を走るのは初めて。地図で見てもいった

い何十回曲がっているの?と思うくらいくねくねとした道だ。

それでもコリトリまで降りてくると道幅は広がり比較的真っすぐな走りやすい道になる。

途中で県道260号線との交差点で左に大きな木の鳥居が見えた。瀧宮神社の鳥居だっ

たが、その鳥居の脇に見覚えのある花が咲いているのが見えた。『あっタキユリだ!』

そう思って車を停めて近寄って見ると高知まで出かけて見に行っていたタキユリが咲

いていた。周りを見たがこの場所にこの何株かが咲いているだけだった。それでもこれ

だけ咲き誇っているのが見られてラッキーだ!

















川井峠を越えて神山町に入ると、岳人の森への193号線へ分岐の手前にある『ふなと

』に暖簾がかかっていた。剣山で食べたのは菓子パンだけだったので、さっそく店に入

る。メニューはかかっていたが店主のおばさんが『ラーメンでいいかね』というので、

『はいラーメンで!』と答える。出てきたラーメンは小腹が空いていたのであっとい

う間にたいらげた。











岳人の森の観月茶屋では充さんが忙しそうにかき氷を作っていた。店先でそれを運んで

いるお母さんに、入場したい旨を伝えて500円を払うと店の奥に座っていた山田さん

が立ち上がって地図をもってレンゲショウマの咲く場所を説明してくれた。今年の1月

に重機の事故で命に関わる危険なケガをしたそうだが、お店に出られるくらい回復した

ようだ。『順路通りに進んだらいい』と教えてもらった通りに歩いて行く。

最初に教えてもらった場所はネットで囲われたキツネノカミソリ咲く場所。

ヒメウギ


マルミノヤマゴボウ


オオキツネノカミソリ






その次に、前回はヒメシャガの咲いていた上部はパスして『ゆきしろの池』に行くと

その先でお目当てのレンゲショウマが目に飛び込んできた。すでに大きなカメラを抱

えた人が二組いた。写真で見た通りの蝋細工のような半透明の薄紫のガクと花は、期待

通りの可愛らしさだった。





























そして最後はこれも山田さんに教えてもらったニッコウキスゲ。大きな花びらを空に向

かって開いて、とても勢いを感じる花だった。














帰り道、山川町に入り何十年ぶりかで『ふいご温泉』に立ち寄って汗を流して帰る。

今日一日、思わぬ人に会い、思わぬ場所で鹿にも会い、そして思わぬ花にも出会って

最後は念願の花を見ることができた、とても充実した一日だった。

今回は奥様たちのリクエストで、花の山の皿ケ嶺へ!

2024年07月28日 | 四国の山


ネット上では夏の花の写真が目に付くようになってきた。昨年のこの時期は寒風山や大

のユートピア避難小屋へ花を目当てに出かけていた。そこで燕岳の遠征から帰ってき

た奥様たちに『どこのお花がいいですか?』とメッセージを送ったら、『皿ケ嶺に行きた

い』と予想外の返事が返ってきた。

そういえば昨年の9月に歩いた時に、ハガクレツリフネが咲き誇る斜面一面に、もう開花

を終えたギンバイソウの群生が目に付いた。その時に熱心に写真を撮っている女性にあっ

ちゃんが
話しかけると、『ギンバイソウ』だと教えてくれたそうだ。『可愛らしい白い花が

好きなんです』とも話してくれたらしい。その時のことを覚えていたあっちゃんからの

リクエストで『是非一見てみたい!』との事だった。


お昼過ぎからの天気の崩れが少し心配だったが、ゆっくり目に家を出て9時半前に上林

森林公園の駐車場に着いた。駐車場には4~5台の車がすでに停まっていた。トイレと

身支度を済ませてまずは風穴へと登って行く。




カラスウリ



前回は一面小さながハガクレツリフネが咲いていたが、気の早いのが所々で咲いている程

度でさっそく白い花が咲いているのが目に飛び込んできた。

多くの花が下を向いて咲いていたがたまに正面を向いている花を見ると、まさしく白い梅

の花の様で、名前の由来が納得できる可愛らしい花だった。

ハガクレツリフネ



ギンバイソウの群生







前回もそうだったが奥様たちが写真撮影に忙しくてなかなか登って来ない。

ダイコンソウ


キツリフネ


フシグロセンノウ



それにしてもこのギンバイソウ、雄しべの数がとにかく多い。ひとつの雌しべを囲むよ

うにして雄しべが群がっている。風穴のアオケシは二茎ほど花をつけていた。











風穴から上の道沿いもギンバイソウの群生が続いていた。







ウバユリ









十字峠への分岐辺りもまだまだ群生は続いていた。森の中では白い花にどうしても目が

いってしまいがちだが、他にもたくさんの花が咲いている。そんな中でも葉の下に隠れ

てちょこんと遠慮がちに顔をだしている、ハガクレツリフネがとても可愛らしく感じる。






オオバヨメナ


ハガクレツリフネ







標高が上がるにつれてギンバイソウの開花の状況が変わるのかなと思ったが、登山口近

くも尾根近くもさほど変わらず、蕾のままのもいれば花を開いているのもいた。











途中で一カ所大雨の影響で崩れた場所があったが歩くのには不都合なく通過できる程度

に復旧されていた。そしてその先の湿った岩肌には今年初のイワタバコが小さな花を咲

かせていた。岩肌を伝って落ちる水に濡れた葉が瑞々しい。














途中で4・5人のグループが何やら道の横の斜面で何かの花を探していた。その横を通っ

て挨拶をすると『早く行け!』と言わんばかりに訝しそうな目で見られた。どうやら珍し

い花を探していたようで、あまり他の人には見られたくない様子だった。たしか昨年竜神

平らで集まっていた常連さんのようだ。そのうちの一人の男性にはアケボノシュスランの

咲いている場所を案内してくれたのだが、今日はあっちゃんが『何が咲いているのですか

?』と尋ねても、答えてもくれなかったようだ。

それにしてもギンバイソウはほぼ尾根近くまでずっと咲いていた。










竜神平の手前で上林峠と竜神平への分岐となる。予定では上林峠の方へ少し歩いて、竜

神平を東から回り込むつもりだったのに、あっちゃんがいまは待てないように『お昼に

しましょうよ』と仰ったので、そのまま竜神平へと歩いて行く。

媛大小屋の前では女性が二人休んでいた。その奥のベンチに腰掛けお昼ご飯にする。

空は雲が太陽を隠してくれて竜神平の湿原を通り抜けてくる風が心地よかった。














そのうちに先ほどのグループがやってきて休憩もせずに湿原の中へ入って行った。私た

ちもお昼ご飯の後、踏み跡を通って湿原の中へ入って行くとベンチからも咲いているの

が目に付いたのギボウシと大きな花をつけたハンカイソウだった。



コバギボウシ





ハンカイソウ



そしてルリちゃんがあちらこちらで『ここにも咲いている!』と言って、次々と花を見

つけてくれる。

スマトラノオ





ミズチドリ





タチカモメズル


アキノタムラソウとトンボ






湿原の中をあまりうろつくと踏み荒らすことになるので、踏み跡のある所だけにして引

き返して、皿ケ嶺山頂へと歩いて行く。頭の上では天気予報通りゴロゴロといい始めて

少しパラパラとし始めていた。

足元にはミヤコザサ、周りは落葉樹林の緩斜面の道を歩いて行く。











ブナの葉の緑が、雲をすり抜けてくるやわらかい日差しに当たって生き生きしている。







皿ケ嶺山頂からは南に少し景色が広がっているが、怪しげな雲が流れてきているので、

写真を撮った後、早々に引き上げる。






オカトラノオ






帰りは十字峠の先から風穴へと下って行く。途中にある 二等三角点 行長 1270.5m

伐採地の奥の雲の狭間にかろうじて見える松山の市街地。そして南にほぼ平らに見える

稜線は天狗高原辺りだろうか?














十字峠は名前の通り竜神平・引地山・六部堂への十字路になっている。そのまま引地山

に向かって歩いて行く。1165mの標高点の先から風穴に向かって降りるのだが、こ

の辺りまでは竜神平から続く緩やかな道だが、ここから先は割と急な下り坂になる。











登山道の周りはガスがたちこみ始めた。そのおかげが標高わずか1200mでもほとん

ど暑さを感じない。奥様たちも調子よくトントンと下って行っている。








風穴には山頂から40分強で着いた。石積みの中からは目で見ても涼しげな冷気が立ち

上っている。脇のベンチでは二組の方がその冷気に当たって涼んでいた。








この時期1000mほどの山では暑さを覚悟して出かけてきたが、雲のお陰か太陽の日差

しを遮ってくれて、思っていたよりも楽に歩け、奥様たちお目当てのギンバイソウも、こ

れでもかというくらい見ることもできた皿ケ嶺。四季折々に彩を変え楽しませてくれ、松

山市内から近郊にあって毎日のように大勢の人が訪れる貴重な山だ。


剣山本宮山頂大祭で山頂は人・人・人の波

2024年07月18日 | 四国の山


今週は奥様たちは旅行会社の2泊3日のツアーで燕岳へ出かけて行った。『足の遅いへ

っぽこリーダーは、置いてきぼりにされたの?』とある人に揶揄されたが、ツアーバス

での長時間の移動は性に合わないし、この時期3日間休みを取りづらい。まぁ奥様たち

がお帰りになったら土産話でも聞くことにしよう。

と言うことで今週は独りでどこに出かけようかと考えていたら、WOC登山部のFBに

剣山本宮山頂大祭に行きましょう!』と案内が出ていたのを思い出した。そう言えば

剣山にはもう何十回も登っているけれど、この大祭を見た事が一度もない。剣山なら勝

手知ったる山なので独り歩きも心配ないし、当日は結構な人手になるだろうから不測の

事態が起こっても心配ない。心配なのは人出が多すぎて車を停める場所があるだろうか

だった。


見ノ越には8時に着いたが、すでに第一駐車場の方から停められずに引き返してくる車

が数台。それを見てすぐにハンドルを切って第二駐車場に向かうと、屋上は満車だった

のに、1階部分はまだほとんど車が停まっていなかった。すぐにWOC登山部のメンバ

ーに『今なら第二駐車場に停められますよ!』と電話したが、メンバーが30分以上遅

く来た時にはもうすでに遅しで、第二駐車場も満車になってたそうだ。

あまりにも空いていたので不安になって、後ろで身支度をしている女性に『すみません、

この駐車場は無料ですよね』と尋ねると『よく知らないけれどたぶん』と答えてくれた。

よく見ると女性の車は姫路ナンバーだった。


支度をして劔神社の石段を登って行くと脇にはカラフルな提灯が飾られてあって、祭り

の雰囲気を盛り上げていた。







神社の拝殿の横の神輿倉では、神主さんが何やら神輿の横で準備をしていたので『すみ

ません、写真を撮ってもいいですか?』と尋ねると『いいけど、顔は撮らないでね』と

言ったあと、『冗談、冗談』と仰った。







拝殿でお祈りをした後、御幣を潜って登山道を歩いて行く。登山道は昨日までの雨でまだ

足元が濡れている箇所がある。すぐに汗がでてくるがまだ気温が上がっていないせいか、

さほど暑さは感じない。











いつもなら登っていると下ってくる人と何人かはすれ違うのだが、さすがに今日は大祭、

山頂から降りてくる人の姿はなく、いつも以上に静かな道だ。しばらく歩くとリフトと

交差するトンネルが見えた。今日は8時から運転しているらしいが、登って行くリフト

はには大勢の人が乗っていた。







西島神社まで来ると神社の方から祝詞をあげる声が聞こえてきた。その神社の後ろの大

岩の横を通っていつもの定点観測、雲海荘を見上げる。







西島駅に着くと次々とリフトを降りてきた人たちで賑わっていた。三嶺に塔ノ丸、リフ

ト乗り場の横まで来ると丸笹山もきれいに見えた。










視線を下げると、さきほどの西島神社の大岩の上に人影が見える。涼しい風に乗ってそ

の大岩から笛の音色が聞こえてきた。











リフト乗り場の横では家族連れがどのコースを歩こうかと話し合っていた。その横を通

って刀掛けの松へと歩いて行く。刀掛けの松でも大勢の人たちが休憩していた。中には

大きなカメラを抱えた徳島新聞のクルー、そしてツアーの団体客がいた。その横の女性

のグループが『トンボに虫が止った』と騒いでいる。どれどれと見てみると確かにトン

ボに何かの虫が止っている。最近はやりの虫よけのオニヤンマのつもりだろうけど、ど

うも色が違う。『黄色が入っていないと・・・色が悪いね!』と言うと『そうなんですか

、安物はダメですね』と言いながらみんなでケラケラ笑っていた。




刀掛けの松からは行列ができていた。これじゃ~まるでどこかの山の様だと思いながら

登って行くと山頂ヒュッテの前に人垣が見えた。本宮宝蔵石神社の鳥居の前では登って

きた女性に『すみません、写真を撮ってもらえませんか』と声をかけられる。山頂なら

時々ある事だが、鳥居の下で頼まれるのは初めてだ。その下からは大きなお腹を抱えた

男性が何人か息切れしながら登ってきている。最近お腹の出っ張りが気になっている私

の3倍以上はありそうなお腹の大きさ。体重もみなさんそこそこありそうなので、そり

ゃしんどいだろうなと、自身の事は棚に置いているへっぽこリーダーだった。








宝蔵石神社の前は白装束の人たち、登山着の人そして普段着の人たちで賑わっていた。

ヒュッテの前に置かれていた神輿が、神事の為に移動していく。














すると宝蔵石神社の前は身動きが取れないほどの混雑となる。少しの隙間を狙ってヒュ

ッテの横の階段を上って東のテラスへと向かって行く。階段にも人・人・人。

東のテラスでもすでに位置取りをしている人たちがいた。と言うのも宝蔵石神社でご神

体を移した神輿が、このテラスへ向かって笹の斜面を登ってくるのだ。私は例大祭とい

うよりも、どちらかと言うとこの笹原を練り歩く『神輿渡御祭』が見たくて今日は来て

いたので、テラスの端で空いているスペースを陣取る。














宝蔵石神社での神事が始まってもまだ時間は1時間近くあった。ご神体を移した神輿が

戻ってきて、神輿に繋がれたロープを持って笹の斜面を登ってくる人の姿があっが、そ

れでもまだ時間は十分にある。すると後ろのテラスで何やら踊りが始まった。

そのうちに今度は阿波踊りを踊り始めた。笛に太鼓に三味線とどんどん賑やかになって

くる。それにつられてか、神事を見ようとやってくる人たちとも相まって、東のテラス

はますます人混みが増えてきた。
















最後は踊り手と一緒になって見物客も踊り始めて、『これは例大祭の行事なの?』と思う。

まあ徳島県だし、いいか!











総踊りが終わる頃に笹原の下から『六根清浄』の掛け声が聞こえてくると、神輿が先導

する人のロープに引っ張られながら笹の斜面を登ってきている。













神輿の後ろを『箱笈』も一緒に登ってきている。神輿と箱笈はテラスには登らず、その

まま笹原を山頂へと進んで行く。その写真を撮りながらiphoneで動画を撮ろうとカメラ

バックから取り出そうとしたら、その拍子に片手に持っていた一眼レフをテラスの下に

落としてしまった。幸いバッテリー部分の蓋が取れてしまっただけで、大事には至らな

かったが、大山の三ノ沢をエントツ山さんに『今年中には一眼レフを落としてして修理に

出すだろう』とイヤな予言をされていただけに、ショックが大きい。








笹原を先導する天狗と幡持そしてロープを引っ張る人、神輿と箱笈を担ぐ人たちの行列

ができる。2年前地元の祭りで神輿を担いだが、街中を練り歩くだけでも大変だったの

に、足元の見えないしかも足元の悪い笹原をよく担いで歩けるもんだと感心をする。




















山頂では神事が始まったが木道のベンチで『腹減った~』と言いながら弁当を広げている

WOC登山部のメンバーの横に座って、私も弁当を食べることにした。

そのうちに他のメンバーを一緒にベンチに腰掛けお弁当を広げ始めた。それにしても山頂

では厳かに神事が執り行われているというのに、私も含めて皆さん信仰心はなく、『神様よ

り団子』の人ばかりのようだ。








いつもは奥様たちと3人での記念写真だが、今日は久しぶりに大勢での写真となった。

『線で繋ぐシリーズ』を始めてからWOC登山部の団体での活動が縁薄くなったせいで、

知らない人も何人かいる中で、既知の人とは直ぐに世間話を始められる関係なのが嬉し

い。そして同じように暫くぶりでも変わらない秀麗な姿を見せてくれる次郎笈だった。














山頂から宝蔵石神社に向かう人と、そのまま下山する人に分かれて歩く。私は木道の途中

から、二度見の展望台へとメンバー4人と降りていく。丸笹山にはガスがかかり始めた。








刀掛けの松への道は恐らく下って行く人が大勢いるだろうを思っての事だったが、こちら

の道が予想通りすれ違う人もなく、二度見で休憩する人に会っただけだった。











山頂の喧騒とは違い、静かな静かな道。時々メンバーに話しかけるが思った以上にスピー

ドが上がって行く。そろそろ左膝が愚図ついてきた。

西島駅からは神社上の分岐から遊歩道への道を歩いて行く。ここの所下りではいつもこち

らの道を歩いて行く。行きの道とはまた違った雰囲気の周りの木々がお気に入りだ。前回

はシカも見かけたが、さすがに今日の人出ではシカも姿を現さない。











西島神社から遊歩道を遠回りしたが35分ほどで劔神社に着いた。神社の拝殿ではまた神

事が行われ、祝詞があげられていた。拝殿の前では山頂の神輿とは別の朝見かけたな神輿

が出番を待っていた。








平地の猛暑を他所に山ではまだ涼しい風が吹いていた。この後晴天が続けばそろそろ梅雨

明けしそうな雰囲気だ。夏本番、山も夏山モードへの切り替えで比較的標高の高い山へと

計画をたてないとな~と思いながらエアコン全開で車を走らせる。

女王様に謁見のあと大黒様の待つ国見山へ!

2024年07月04日 | 四国の山
今週の水曜日は梅雨の晴れ間の予想。さてさてどこのお山に登ろうかと考えたが、昨年

は黒滝山の岩場をあっちゃんと楽しんだ後、県道16号線沿いのタキユリが咲いていな

いか探しに車を走らせた。その時にギッチャンさんに教えてもらったのが、七ツ淵神社

の参道のウスキキヌガサダケだった。『是非見に行ってみて!』と言われて寄り道して見

ると、少し時間が遅かったのか、黄色いドレスは窄みかけていた。 キヌガサダケはレー

スのドレスをまとったような姿から『キノコの女王』と呼ばれてい るらしい。胞子の分

散は風によらず、昆虫や陸棲貝類などの小動物によるところが大き いとされ、その可憐

な姿とは正反対の異臭を放ち、その異臭で昆虫や小動物を引き寄せ ているそうだ。

何はともあれ本来のドレスを広げた女王様に謁見を願い出て、奥様たちと出かけてきた。

高知ICを降り県道44号線を東に走る。するとあっちゃんが『この道前回鷲尾山に行

った時に通った道ね』と言うので、目の前に見えるイオンモールを指さして、『いえいえ

違う道ですよ、前回、イオンがありましたか?』と答える。すると今度は県道44号線

から県道16号線を北に向かって走って行くとルリちゃんが『どっちの方角に向かっ

て走っているのか全然分からんわ』と。

山の中でもそうだが、奥様たちには『太陽の昇っているほうが基本的に南』といつも言

うのだが、お二人の辞書には方向感覚という言葉がどうもないらしい。

そうこうしているうちに七ツ淵神社の一の鳥居に着いた。すでに女王様への謁見は始ま

っているようで車が数台停まっていた。




鳥居から参道を少し下った場所に一眼レフを構えた女性達が陣取っていた。一番最初に

参道脇の一本が目に付いたが、地面に膝をついて這いつくばるようにして必死で写して

いる年配の女性がいた。順番待ちだと思い、その後ろでじっと待っていても何分経って

も終わらない。仕方がないので周りを探してみると反対側の斜面にも一本生えているの

が目に入った。










何枚か写した後斜面から降りると先ほどの女性がまだ陣取って写している。その後ろに

何人かの人が待っているのにけっして譲ろうとはしない・・・・。仕方がないので参道

を神社の方に少し下って行く。昨年歩いた時に立ち止まっている女性から『コクラン

咲いています!』と教えてもらったので、今日も咲いていないか探して歩いたが、見つ

けることはできなかった。







引き返してもとに場所に戻ると先ほどよりドレスが広がっている。このキヌガサダケの

伸長速度は毎分2~4mmといわれていて、30分で6~12㎝伸びる驚きの成長速度だそう

だ。他にも違う場所に生えているのを見つけて何枚かカメラに収める。

ただ一番きれいなドレスをまとった女王様は斜面の上の方にいらっしゃって、きれいに

撮ることができなかったのが残念だ。 鳥居まで戻ると次々と車がやってきていた。










女王様に謁見した後はここから西にある国見山に向かって行く。別名雪光山と呼ばれる

国見山。高知市内からは冬に真っ先に白く輝くことからそう呼ばれるようになったそう

だが、その国見山の手水登山口へと県道33号線を西に走って行くと、道路の法面に大

きな葉が垂れ下がりその先に何個ものつぼみが付いているたくさんのタキユリが目に付

いた。『すごい数ね!』『これが全部咲いたところを見てみたいね』と奥様たち。昨年車

を走らせた県道16号線よりもその数は多いかもしれない。

すると一カ所だけ法面保護の金網から飛び出し咲いている花が目に飛び込んできた。慌

てて車を停めて撮影タイム!花弁が球形に反り返えり、鹿子絞りのような濃紅色の斑点

が美しいタキユリ。昨年あっちゃんとは見ることができたが、ルリちゃんも初めて見る

ことができて良かった。

この間途中の法面はきれいに草刈りがされていたが、このタキユリを避けて刈っていて、

絶滅危惧種になっているだけ、大切にされている様子がうかがえた。











七ツ淵からはおおよそ1時間弱かかって手水の登山口に着いた。県道から登山口までの

道は結構狭く、雨降りの後だったこともあって走りにくい道だった。

登山口には手書きのコース図が設置されている。その図には『しんどい坂』とイヤな言

葉が書かれてあった。










最初の竹林を抜けると道はすぐに急登になった。昨日の雨のせいで道には水があふれて

流れている。ゴロゴロした石の足元に注意しながら登って行く。











いつもならまずは膝の痛みが出始めるのだが、今日は着圧タイツのお陰か調子が良さそ

うだ。その代わりなのかどうか?息切れがいつも以上に激しい。










30分ほど登っただろうか、標高600mを過ぎた辺りまで石積がまだあった。石積み

の上の平らになった場所には太い木材が何本か残っていて、畑地というよりは何か建物

があったような気がする。道が杉林の中の道になっても相変わらず急登は続いて行く。










すると道の脇に『しんどい坂』と書かれた案内板があった。『イヤイヤここまでもずっ

としんどい坂なんですけど!』

相変わらずとにかく息切れがひどい。立ち止まって大きく深呼吸をしながら休んでも治

まらない。奥様たちに『今日はどうも調子が悪いので待たなくていいですから!』と声

をかける。十数歩歩いては立ち止まり深呼吸して、そのたびコマめに水分補給をしてい

くけれど、状況は変わらず奥様たちはすぐに見えなくなった。











何とか柿ノ口の登山口への分岐に着いたが当然奥様たちの姿はない。しばらくすると今

度は吐き気がしてきた。立ち止まる頻度も数十歩から十歩になってきた。これはいよい

よヤバいかなと思いながらも牛歩で進んで行く。




すると最後の登りの手前、案内板の建つ場所で奥様たちが待っていてくれた。『大丈夫?

』と声をかけられ、『吐き気が収まらないんです』と話をすると、『熱中症だわ』と言って

ルリちゃんがザックから経口補水の粉末を取り出し手渡してくれ、一緒にあっちゃんがペ

ットボトル水を差しだしてくれた。

その粉末を口に入れ、ペットボトルの水を含んで口の中でグジュグジュと混ぜ合わせて飲

み込む。それを何回か繰り返してみると少し落ち着いてきた。

しばらく置いて残り僅かな山頂目指して歩き出す。山頂直下の岩が崩れた場所を登って行

くと、その先に大黒様が見えた。そして奥様たちの『着いたわよ!』の声がした。











山頂にはYAMAPの活動日記の写真で見た大黒様が南に向かって鎮座していた。今年に

入って最悪の状態でやっと登ってきたのに、山頂からの南に広がっているはずの景色は白

いガスの中だった。














とにもかくにも疲れた身体を大黒様の前の石積に座らせてもらった。もちろん食欲もな

く雲の隙間から時折差す日差しが恨めしかった。

あっちゃんは先週からインスタントのソース焼きそばに凝っている。お湯を入れて時間を

置いて湯切りした後におふたを開けてソースを混ぜると、こちらまでそのソースの臭いが

漂ってきた。『少し食べますと?』わざとらしく聞いてきたが、もちろん丁寧にお断りを

した。










昼食の後山頂の北側にあるという展望岩に寄ってみる。晴れていれば国見山の北側に並ぶ

石鎚山系から東の峰々が眺められるはずだが、当然こちらもガスの中。

ただ一瞬だけ雲が流れて薄く二つのピークが見えたが、続いている稜線が見えないので、

山座の同定はできなかった。










展望岩から戻って山頂をあとにする。経口補水が効いたのか、休憩したせいなのかは分か

らないが、登りの時が嘘のように楽になった。

時期的なものなのか手水からのルートが元々なのかは分からないが、今日は全く花を見る

ことがなく、唯一この白いキノコが目に入った。











すると時々何カ所かで匂いが漂ってきた。登りの時にも気づいていたが『ひょっとして

サンショウかな?』と前を歩くあっちゃんに言うと、『私も登りの時から気になっていた

の』と。途中でその葉を見つけて匂ってみるとやはりサンショウの木だった。

今日は花がないので目に入った虫を写してみる。歩く花と昆虫図鑑のアカリプタさん

らすぐに名前を教えてくれるだろうな。







登りが急登だったということは下りは急坂。登りの時はあまりの苦しさで気にならなか

った膝の痛みを感じ始めた。人間不思議なもので一度に何カ所もの痛みを感じることが

なく、一番痛い個所だけを感じるようにできていると思う。

山頂でルリちゃんは『それじゃゆっくり降りるわね!』と言ったはずなのに、急坂をト

ントンとスピードを落とさず二人は下りていく。

そのうちにあっちゃんが『しんどい坂はまだかな?』と言うので『もう通り過ぎてるわ

よ』とルリちゃん。『あんな大きな案内板が目に入らなかったの?』と私。この頃には

ツッコミを入れられるくらい余裕が出てきた。







登りではまったく気づかなかったがこのルートには石段らしき跡が何カ所も残っていた。

登山道の整備での石段ではないだろうから、山頂で春と秋に行われている祭事に行き交

う為の昔からの石段なのか?







しばらくすると水の音が大きくなってきた。足元に昨日の雨後の水が流れる場所まで来

ると、濡れた岩で転ばないようにスピードが落ちる。







その足元の悪い場所を過ぎると、登りの半分もかからない時間で登山口まで戻ってきた。

車まで戻りさっそくクーラーを全開にして座席に着くが、上も下も汗でびしょ濡れで、

逆に汗冷えしてきた。











ここのところ夏場に一度は熱中症になりしんどい思いをしているのに、学習能力がない

のか同じことを繰り返している。その原因のひとつに着圧のタイツで下半身から暑気が

しているような気がしている。それで昨年からタイツを薄手にしてショーツを履き始め

たのだが、前回にその恰好で歩いていたら奥様たちに『細い足!』と小ばかにされた。

それで今日はショーツではなくズボンを履いたら、下半身がとにかく暑かった。

そんなこともあるので次回からは不安要素を一つずつ消して、さらにはルリちゃんにも

らった経口補水もちゃんと準備して来ようと反省しきりの国見山だった。

涼風求めて塩塚高原へ⁉

2024年06月20日 | 四国の山


昨年もそうだったが梅雨入り宣言があった後、しばらく天気のいい日が続いている。た

だその青空も今日が最後の様で、このあとは本格的に雨降りの日が続いていくみたいだ。

その梅雨の季節のように左膝もジクジクとしてあまり調子が良くはない。例年なら張り

切ってどこに出かけようかと考えるのだけれど、イマイチ気持ちが乗ってこないので、

奥様たちに『どこか歩きたい場所はありますか?』と尋ねたら、あっちゃんが『塩塚峰

に興味があります!』と返事かえってきた。

それじゃ~そのご希望に沿わせていただきますということで、霧の森の道の駅に集合と

なった。ここから栄谷から山に分け入り塩塚峰へと登った後、新瀬川へと下る周回コー

ス。もう18年も前になるが山の会の山行で、塩塚峰から栄谷へ下ったことはあるが、

新瀬川の道は初めてのルートになる。




道の駅の駐車場を8時36分にスタート。県道を南に少し歩いてすぐに分岐を左に入っ

て行くと、2kmに渡って12基の石碑が並んだ『志の道』になる。それぞれの石碑に

は各偉人の言葉が刻まれていて、その言葉を読み意味を感じながら歩いて行く。







またこの道沿いは『ミニ四国霊場』にもなっていて、道の脇には石仏が並んでいる。道

が四差路になる場所から左に栄谷へと登って行く。











しばらくの間は民家が点在する中の舗装路を歩いて行く。山間部とはいえ道路部分は日差

しを遮る木々もなく、もうすでに汗が噴き出ている。










舗装路はまだ続いていたが、道の脇に『少年自然の家』のNO.2の標識の立つ場所から左

に折れて山の中に入って行くが、YAMAPではここが登山口となっている。ここまで

駐車場から約45分。道の脇の沢からの冷気のせいかこの暑さの中、吐く息が白かった。

道は地元の方の手によるのかきれいに草刈りがされていたが、最終民家に人の姿はなか

った。














最終民家を過ぎると杉林の中の道になる。しばらく登って行くと石積みと石畳の道。そ

の石積みも一つや二つではなくかなりの数になる。以前に集落があったのだろうか?










道は少し荒れ始めたが、そのガレ道を登ると炭焼き小屋跡があり、ちょうど3合目の札

がかかっていた。








この栄谷のかなり上部にまで石積みは続いていた。『こんな山奥まで果たして?』という

疑念が沸いてきたが、畑作とかの石積みにしてはやはり立派過ぎる。














道は北東から南に折れて急登になった。谷あいで薄暗かった周りも少しづつ明るさを増

していき、いったん平道になると5合目の札がかかっていた。











植栽地の杉林の中を縫うように登って行くと右手は伐採地。一気に明るさが増した。







伐採地横から杉林の中、ひと登りすると林道に飛び出した。ここから946mの三角点

へと階段が続いている。登ってきた道への取り付きには少年自然の家の道標が建ってい

る。この道と下山路となる新瀬川の道は、少年自然の家からの小学生たちの学校登山の

コースとなっているらしい。途中草刈りをしてあったのはその為だったのかもしれない。

ここからは三角点には登らずに林道を北に歩いて行く。

『さぁ、ここから朝ドラの話が始まるんですかね~』と冗談で言うと、奥様たちは本当

に朝ドラの話をし始めた。











林道から三差路に出て今度は東に向かって舗装路を歩いて行く。三差路からすぐに以前

からあった霧の森の高原の施設が眼下に見えた。以前からあった建物とは別に、新たに

オートキャンプ場が整備され、道の上手にはグランピングの真新しい施設もできていた。











しばらくの間、東に舗装路を歩いて行くと次第に高原らしき草地が広がってきた。パラグ

ライダー場の道標に従い南に右折し道なりに歩いて行く。











すると振り返っての景色も一気に広がってきた。正面には法皇山系から東に続く稜線が

見える。稜線上に等間隔に鉄塔が続き、以前に縦走した時に歩いて横を通った廃棄物の

リサイクル場の施設が確認できる。








車道から山道へと入って行くと塩塚峰山頂へと続く階段が見えた。遮るものもなく、日差

しが照り付ける中の最後の踏ん張りどころだ。











たしか六甲全山縦走の時に『天国への階段』と名付けられた場所があったが、明るい空

へと続いているこの道もまさしく『天国への階段』だ。大きく息を吐きながら一段一段

登って行く。谷あいの水で濡らした冷感タオルももう既に乾いてしまっていて、流れる

汗を拭いても快適とは程遠い。











大汗をかきながらも何とか登りきると360度の絶景が待っていた。今まで登ってきた

峰々、そして歩いてきた稜線が見渡せる。そしてその先に汗を掻いてきた思い出が蘇っ

いてくる。山頂では爽やかな風に乗ってか、大きな虫が飛び交っている。『ここではお

昼ご飯は食べられないわね』とあっちゃん。『この東に東屋があるのでそこでご飯にし

ましょう』














東屋のある展望所までは3回ほどアップダウンを繰り返す。山頂から下った鞍部は新瀬

への分岐になっている。そこからまた緩やかな坂を登って行くと聞き慣れない音が聞

こえてきた。眩しい空を見上げるとグライダーが飛んでいた。そして二つ先のピークに

は人影が見える。あそこからラジコンのグライダーを飛ばしているのだろう。

















ラジコンを操作している人の所で話しかけると、『今日は少し風が弱い』とのこと。空を

飛んでいる姿はさほどではないが、近くで見ると結構な大きさだ。『エンジンで飛ばすの

ですか?』と尋ねると『モーターで飛ばしてあとは風で!』と笑顔で答えてくれた。








展望所の東屋の日陰に入るとさっきまでの暑さが嘘のように、乾いた風が心地よい。

汗を拭き椅子に腰かけあっちゃんがザックから取り出してきたのはインスタントの

焼きそばだった。『ほら夏の暑い時でもBBQでは焼きそばをたべるでしょ!』と自

慢げに話をする。『でもBBQの時はビールがあるでしょう』と言うと、少し不満げ

な顔をしながら『でも絶対美味しいはずよ!』と。『少し食べてみる』とルリちゃん

に勧めてみるが『私はいいわ!』とあっさり断られた。




せっかくなので少し分けてくれた焼きそばを一口。甘いソースが何とも言えずにいた

ら、『どう、美味しいでしょ!』と無理やり言わそうとする。『この夏は焼きそばで攻

めてみる!』と呆れ顔の二人を尻目にニコニコ顔のあっちゃん







東屋には表示板に四方の山並みの山名が書かれている。

カガマシ山の左奥に工石山、そのさらに左に白髪山


中津山の左に特徴的な山容の烏帽子山


牛の背の笹原の上に天狗塚の頭が覗いている



お昼ご飯を食べたら一旦塩塚峰への鞍部まで戻り分岐から下って行く。グライダーを飛

ばしている初老の男性二人はお昼ご飯も食べずにいる。まるで遊びに夢中になって時間

を忘れている少年の様だ。











分岐からは新瀬川登山口へと下って行く。ストックの長さを変えて一歩一歩注意しなが

ら足を踏み出さないと転げ落ちそうなくらいの急な坂だ。この坂を下りきった所の道標

『がまん坂』と書かれていたが、まさに新瀬川から登りぱなしの最後の急登。がまん

の為所だと思うが、私にとっては膝に堪えるガマンの下り坂。










がまん坂を何とか滑らずに下り終えると一旦車道に出た。そこからまた車道を横断して

山道に入って行くが、まだまだ急坂は続いて行く。危なそうな箇所にはロープが張られ

ているが、この坂を下から小学生がよく登って来られると感心する。







大岩の横を過ぎると丸太のベンチのある休憩所に着いた。左ひざを庇ってなのか右の股

関節や腰に張りが出てきた。先ほど東屋でずり落ちて半ケツになった着圧タイツを持ち

上げたら、持ち上げすぎて股間が窮屈になっているせいかもしれない。奥様たちには先

に行ってもらって、ショーツを下げてタイツの装着位置を直してみる。







休憩所から少し下ると沢沿いの道になる。昨日の雨で増水した沢の濡れた岩で足を滑ら

せ右足をドボンしてしまう。途中の合目を書いた札には励ましの言葉も書かれている。







九十九折の道は小刻みに右に左に曲がって、その斜度も急なので油断ができない。何

とか急坂をやり過ごすと先ほどよりは少し幅の広がった沢にまた出た。今度は左岸か

ら右岸に渡渉してまた下って行くとトドロの滝に着いた。














この間の沢沿いでは何カ所もの小滝があったが、このルートでは一番大きな滝となる。

昨日の降雨の後で水量も多いが、他県の轟の滝と比べると随分と小ぶりの滝になる。








トドロの滝から下って行くとこちらの沢沿いにも、栄谷と同じように石積みが点在して

いた。このあと右岸から左岸への木の橋を渡ると、最終民家の横に出た。











最終民家にはやはり人影はなかったが、さらに下の民家の横には洗濯物が干されていて

まだ住んでいる人がいる様子だった。それにしてもこの奥まった場所に不似合いな立派

な建物だ。その民家の横を通って下って行くと新瀬川の登山口に降り立った。

登山口にはコミュニティバスの停留所にもなっていて、一日何回かバスが来るらしい。

家に帰って色々と調べてみると、むらくもさんは以前にここまでバスに乗ってきて、

時計と反対回りに周回して栄谷へと下っていた。ここからの下道歩きを考えるとなるほ

どと感心してしまった。











登山口から秋田の集落の中を通り舗装路を歩いて行く。幸い緩やかな下り坂だがそこは

やはり舗装路、足の裏や足腰に堪えてくる。











道路脇の民家の横の畑には反りのある立派な石積み。これを見ると先ほどの石積みや

の石積みはやはり畑地だったのかもしれない?と思ってしまう。

その先では二人の男性が道の脇の草刈りの作業をしていた。さらに歩いて行くと木陰で

休憩をしている男性の姿があった。傍まで近づいて挨拶をすると、『塩塚峰に登ってたん

かな?』と聞かれた。『はい、栄谷から周回してきました』と言うと、『それはそれは疲れ

ただろう、一服していき!』とリポビタンDを3本差しだしてくれた。

『この辺りも若い人がいなくなってな~、私でも若い方から二番目なんや』と過疎化の現

状を嘆いていた。











道路上には日陰も少なく、舗装路の上で足の裏が熱くなり張りも随分出てきた頃、新瀬川

の登山口から約1時間で道の駅の駐車場に着いた。

駐車場で靴を履き替えているあっちゃんに『抹茶のソフトクリーム食べに行きます?』と

聞かれたが『今日はこれ以上歩きたくないので止めときます』と言って駐車場で別れた。

これから梅雨が明けて夏の暑さが本格的になって果たして、膝や腰や体力がもつのだろう

か?と不安な気持ちを抱えながら高速道路を東に車を走らせた。








『お菓子売りのてくてく』さんに会いに南嶺へ!

2024年05月30日 | 四国の山

日頃から山歩きの行先を考えるのに、YAMAPを利用している方はかなりの数になる

のではないだろうか。フォローしている人の活動日記は次々とアップされていくし、そ

れでもまだ行く先が定まらなければ、地域や季節を絞って検索もできて、とにかく便利

だ。そんな中で5月の連休が終わっての週末にアップされた活動日記の写真に目が留ま

った。それは山頂からの雄大な景色でもなく、貴重な花の写真でもなく、一人の女性が

背負子を背負った写真だった。ヤーメンさんとソーヤさんがアップした写真の女性は、

実店舗は持たずに手作りお菓子を行商で売り歩いている『お菓子売りのてくてく』さん。

背負子に付けたケースの中には動物や山の形をした色々なお菓子がぶら下がっていた。

さっそく奥様たちにその写真を送ったら、『まぁなんて素敵な笑顔の女性なの!』と

っちゃん
から返信があった。『是非会ってみたいわね!』とも。

ただ『てくてく』さん、普段は街中で週末に山に行商に出かけているようなので、週

末はなかなか休みが取れない私は、会いに行く機会がないかと思っていたら、なんと

今週は水曜日に鷲尾山に出かけますとYAMAPにアップされていた。

これを見逃す手はないと奥様たちにメッセージを送ると、もちろん即OK。ルリちゃ

はWOC登山部で一緒に歩いたことのある南嶺だけれど、あっちゃんは初めて。筆山

から歩けば、4座ゲットできるので、それも楽しみだと返事が来た。


集合場所の豊浜から筆山の駐車場まではGoogleMapでは1時間となっていたが、てく

てくさん
のスタート時間が8時30分となっていたので、市内は通勤ラッシュの時間帯。

少し早めに待ち合わせをして高知市内へ向かうと、予想通り高速を降りると車は渋滞

していて、果たして間に合うかな?と思いながら筆山へと向かって行く。

筆山第二駐車場にギリギリに到着したが、てくてくさんはまだの様子。近くの東屋の下

には、登山着姿の男女がいた。『あの方たちも多分てくてくさん待ちかな?』と言いな

がら身支度をしていると一台の車が着いて、車からはてくてくさんが降りてきた。

さっそくてくてくさんを前に事情聴取をする奥様たち。







すると先ほどの東屋の男女も含めて、次々とお菓子を買い求める人が現れた。SNSを

見た人は、山には登らずわざわざお菓子を買うためだけに来ていたりする。私たちもさ

っそく美味しそうなクッキーを買い求めた。







駐車場から色づき始めたアジサイを眺めながら、登山口へと向かう。皿ケ峰・鷲尾山

登山口は墓地の中への道。道の両脇に建つ墓石の中を歩いて行く。












しばらくすると南側の景色が開けてきた。浦戸湾と宇津野山から続く稜線。少し違った

場所からは、東に五台山が見えた。













墓地の中の道は昨日かなり強く降った雨の影響か、場所によっては水が道の上を流れて

いる。墓地を抜けると皿ケ峰山頂への道とトラバース道との分岐。右側の道を進むと

ケ峰
山頂に続く道だったが、気づかずにトラバース道を進んで行く。

皿ケ峰山頂を回り込んだあたりから景色が良くなり、このコースで有名なライオン岩

見えた。するとそのライオン岩の周りで何やら撮影をしている人たちの姿があった。

通り過ぎる際に『何の撮影ですか?』と聞くと、『テレビのCM様です!』との事。おそ

らく地元の会社のCM用の撮影なんだろうな?と思いながら横を通って下って行く。

前回も思ったけれどこのライオン岩。どう見たらライオンに見えるのだろう?













ライオン岩を過ぎるとまた道の両側に墓石が現れる。真っ赤に錆びついた道標を過ぎる

と今度は半分炭になった道標。この辺り一帯は山火事あった場所で前回秋に来た時はそ

の雰囲気を見ることができたけれど、今日は草木が伸び放題で周りの景色は様変わりし

ていた。













山火事のあと高木がまだ育っていない鞍部辺りは日差しが届いていたが、そこから先は

森の中の道。気温は上がってきているが湿度が低いせいか日陰になった途端涼しくなっ

てきた。朝一番で鷲尾山に登っていた人たちだろうか、何組かの人たちとすれ違う。














道は緩やかな登り坂から短い距離だが急登になると目の前に見覚えのある建物が見えた。

中・高一貫校の土佐塾の『大志寮』だ。この建物は高知市内からも山中にあってけっこ

う目に付く建物だ。いったんその土佐塾への舗装路を横断して大志寮に向かって階段を

登って行く。寮の脇を通りさらに歩いて行くと貯水池のようなコンクリート壁に苔が生

えて、色々と落書きがしてあった。その中で『助けて!』と書いてある落書きを見なが

ら、奥様たちと『寮生が逃げ出せずにいるのかしら?』と。













落書きのコンクリート壁の先からは一旦下り坂になる。鞍部まで降りると四差路になっ

ていて深谷・吉野と書かれた東西の道は街中に続いているようだ。この南嶺は高松市で

云えばさしずめ峰山みたいで、市内から色々な道があってアプローチできるようになっ

ている『市民の憩いの里山』だ。













四差路を過ぎると鷲尾山への最後の登りになる。坂の途中で二股になった場所では丁寧

な案内板。当然楽そうな右の道を登って行く。しかしそう思って選んだ右の登坂もけっ

こう急な坂。九十九折れの道が続いていく。










尾根を右に左に巻きながら続いている道。要所要所にはしっかりとした道標が建ってい

る。すると高木の下の木陰にベンチとテーブルが並んだ場所があり、その横を通って一

段登るといっぺんに眺望が広がり鷲尾山に着いた。












山頂ではすでに到着していたてくてくさんが、何人かの人たちと談笑していた。その様

子を見ながら声をかけると、『けっこう売れたんですよ!』と満面の笑み!

私はと云えば今日はその笑顔を撮りにわざわざ香川からきたので、ストーカーもどきで

写真を撮りまくり。














奥様たちとのやり取りを眺めながら写真を撮っていると、サングラスを掛けた男性から

『KAZASHIさん?』と声をかけられた。『ハイ!』と答えると『ヤーメンです』と。

今回てくてくさんに会いに来た大元の情報源のヤーメンさんだった。『今日は平日だから

ヤーメンさんとソーヤさんは来られないだろうと思っていました』と言うと、『実は転職

して6月からの勤務になって、5月いっぱいは有休消化で仕事をしていないんです』と仰

った。ヤーメンさんの活動日記には山だけでなく、沢に入ってアメゴを釣り、その釣った

アメゴを山頂で食べている写真が時々アップされている。なかなか高尚な趣味をもってい

て普段からうらやましく思っていた。リタイヤしたら習おうかな?

そのヤーメンさんに顔ハメパネル持ってもらって、てくてくさんと一緒に写真を撮る。

この顔出しパネルとわしお山とくりぬかれたパネルは、筆山から一緒になった三人組

の内の男性が作ったそうだ。





今日は昨日の雨のお陰でかなり遠くまで見渡せる。案内板の近くにいた白髭の男性が

『今日は室戸岬も足摺岬も珍しく見えている』と教えてくれる。

やはり昨日の高知でもけっこう雨が降ったので、鏡川や国分川から流れ出た泥水が、

湾をでて太平洋の沖の方まで海の色を変えている。



浦戸湾の奥に室戸岬


宇佐湾の先に足摺岬




てくてくさんと別れた後、一段下のベンチのある木陰でお昼ご飯。同じようにベンチに

腰掛け食事をしている女性が二人。一人は40代の方、もう一人は70歳を過ぎた方。

奥様たちはその女性たちといろいろ井戸端会議。今日お昼ごはんにあっちゃんが持って

きた素麺の話で盛り上がったかと思えば、年配の女性が阿讃縦走の話を始めたりと賑や

かだ。その横で私は独り黙々とぶっかけうどんを口に入れる。

するとその先輩女性が『今まで登った山で一番良かった山はどこですか?』と聞いてき

た。『自分にとって一番の山はどこだろう?』と思い頭の中を巡らせていると、直ぐに

その女性が『私はトムラウシ山よ!』言ったので、思考を中断。『山一面お花畑が凄か

ったの・・・・』と。是非ぜひ行ってみてと。トムラウシ山と云えば、ツアーガイドが

いたにもかかわらず8名が低体温症で亡くなった遭難事故のイメージしかなく、お花畑

と繋がらない。まあでも一度は雄大な大雪山系の山を歩いてみたい。

お話はまだまだ続きそうなので、ベンチから腰を上げて挨拶をして宇津野山へとまずは

登ってきた道を引き返す。

支尾根の途中から有刺鉄線に囲われ、入り口だけが取り除かれている場所から宇津野山

へと向かって行く。多少のアップダウンはあるが基本下り気味の道。











途中からは鉄塔巡視路となり、宇津野山の手前で鉄塔広場に出た。














鉄塔広場を過ぎればまもなく宇津野山山頂に着いた、周りは木々に囲われて見晴らしはな

い。三等三角点 西孕 256.33m

山頂からは来た道を折り返し途中の分岐から支尾根を外れて下って行く。山頂もそうだ

がこの間ほとんど眺望はないが、一カ所だけ道の北側が開けた場所があり、木々の間か

ら土佐塾の校舎が見えた。

















支尾根から外れた道はしばらくして往路に歩いた道に出た。鞍部まで下り登り返すと土

佐塾の大志寮。寮の脇を抜け舗装路に出ると下から土佐塾の真っ赤なバスが何台も上が

ってきた。













舗装路から森の中を下って行くと皿ケ峰との鞍部になる。ここからは高木もなく容赦な

くお日様が照り付ける。ライオン岩まで登り、その先の分岐から皿ケ峰山頂への急登が

始まる。登坂も下り坂も着地した左足に重心がかかるとやはり左膝が痛む。出来るだけ

体重が載らないように登って行く。























皿ケ峰山頂は電波塔と平らになった中心にはシンボルツリー。開けた北側を見ると工石

からの稜線が東西に続いている。ここで今日三つ目の山頂ポイントゲット。残るは

だ。












皿ケ峰山頂から急坂を下り墓地公園の中の道。車を停めた駐車場の上側から筆山へ取り付

く。そして最後の登りそして階段が始まる。何とかその階段を登り切り今日最後の山頂、

そして二つ目の三角点 三等三角点 真如寺山 118.28m

山頂にある展望台からは木々に遮られて、高知城の城壁が何とか見える程度だった。

プラタナスの大木の木陰に入ると爽やかな風が吹き抜ける。新緑の葉の間から、遠慮気

味に木漏れ日がさしている。














SNSに上がったてくてくさんの写真を送って直ぐに、ぜひ会ってみたいとあっちゃん

から返事があったが、こんなにも早くお会いできるとは思わなかった。

『山歩きも好きなんです』と言った彼女の笑顔は、まだ爽やかな風の吹く山にあって、

それ以上の爽やかな笑顔も見せてくれて、大満足の一日だった。

てくてくさんは香川の里山にも出かけたいといったので、飯野山を勧めておいた。興味

のある方は、インスタと、YAMAPをチェックしてお菓子を買いに笑顔に会いに行っ

て見てはどうだろうか。

instagram
【お菓子売りのてくてく 四国店】

【alku】

YAMAP
【お菓子売りのてくてく 四国店】




奈路ってなん奈路(だろう)?・八反奈路!

2024年05月23日 | 四国の山


先週、船窪のオンツツジ公園の駐車場で、下山後に車に乗り込んだ途端に太腿の表と裏

が攣って悶絶した話を、通いの接骨院で『太腿が攣った』と話をしたら、『太腿の表・裏

どっち?』と聞かれたので『両方!』と答えたら、『それはそれは痛かったやろ』と仰っ

た。両方がいっぺんに攣るのは珍しいそうで、しかも太腿は普通でも痛いらしい。

原因は分からないが膝の影響も少なからずあるかもしれない。もうあの痛みは経験した

くないな~と思いながら、『さて今週はどこを歩こうか?』と考え、YAMAPを探索。

周りの活動日記を見ているとどうやらどこも今年は花付きがあまり良くない様子。そろ

そろシロヤシオでも、と思っていたが、シロヤシオは特に不作のようだった。

それならお花は諦めてブナの新緑でもと思い、久しぶりに八反奈路に出かけることにし

た。八反奈路はもちろんヒノキで有名な場所だが、途中のブナの林も見ごたえがある。

前回は二日酔いでヘロヘロだったが、今回は膝。なんだか毎回不安要素を抱えての登山

となる八反奈路だった。


大豊ICを降り本山町に入り、モンベルアウトドアヴィレッジの横を通って、県道から

北に栗ノ木川に沿って車を走らせる。途中には『本山一揆殉難之碑』が建っていたが、

このあと登山口から続く『滝山』と書かれた道標が山なのか場所なのか意味が分からな

かったが、本山一揆は滝山一揆とも呼ばれていて、その一揆の舞台となったのがどうや

ら滝山という山ではなく場所のことのようだった。

殉難之碑を過ぎ三差路を左に折れてさらに登って行くと、最終民家の上に路肩が広くな

った場所がある。前回は四輪駆動の車だったのでさらに登山口まで、未舗装の道を走っ

て行ったが、今日は無難に路肩に停めさせてもらった。

毎週金曜日にはなんとここまでコミュティーバスが来るようだ。








舗装路から斜め上に続く未舗装の道を登って行くと草刈り機の音が鳴り響いてきた。歩

いて行くと何人かの人が道の脇の草刈り作業をしていたので、軽く挨拶をして通り過ぎ

る。







未舗装の道は突き当りになりその先に高い位置から流れ落ちる滝を見渡せる。案内板に

『幣木ケ滝』と書かれているが、GoogleMapには『滝山大樽の滝』となっている?








広場の脇の取り付きには『滝山一揆(岩屋)』『高石吉之助の墓』と書かれた立派な道標。

その次は『滝山』と書かれた道標が続いていく。この時点で滝山はこの場所の南側にあ

るピークだと思っていたが、そのピークは『きびす山』で、滝山ではない事があとから

分かった。







道は滝の上部へと回り込みながら急登が続いていく。いつものことだが奥様たちのお尻

を見ながら『なんだ坂、こんな坂』と口ずさんでみても、機関車が登坂を力強く登って

行くイメージからは程遠く、煙突から勢いよく出る煙の代わりに、『ハア~ハア~』と上が

った息が出ていく。











先週の太腿が攣った要因を少しでもなくそうと、コンディショニングタイツを新調した。

着圧効果で疲労の軽減につながるというタイツだが、半月板損傷でガタついていた膝も、

締め付けられてガタつきがなくなりいい感じだ。ただしウエスト部分がポッコリ下腹の

下で折れてしまって、お尻が半ケツ状態。腰への効果は期待できそうにない。(笑)








20分ほど急登を登り続けただろうか『中段の滝』の案内板を見て、『ふ~う』とため

息一つ。道はまだまだ楽をさせてくれない。










すると『楽々コース』の道標。しめしめと思いながら楽々コースへと歩いて行くルリち

ゃん
の後ろをついて行く。あっちゃんといえばロープがかかっている反対の斜面を見逃

すはずがなくひとり登って行く。すると楽々コースはほんの一瞬でローブ場の上に出た。

『なんじゃ~』・・・・・。







正面に大岩壁が現れる。この岩を下から斜めに上り詰めると、やっと道は緩やかになっ

てきた。











滝へと流れる沢沿いの道になり、さっきまでの急登でたっぷりと搔いた汗が、その沢の

水の冷気で幾分が冷やされ涼しく感じる。沢の手前で『墓』と書かれた案内板の先で

沢を渡ると『左馬之助の妻の墓』と書かれた真新しい墓標が立っていた。

ここまでずっとそうだが、『一揆(岩屋)』『墓』と書かれた案内板が立っていたけれど、

せめて登山口に説明版でもあれば別だが何のことかさっぱり分からない。

左馬之助とは高石 左馬之助の事で、滝山一揆の中心人物。その人物像はは土佐藩側と

馬之助側では全く異なるが、史実としては「鳥でないと登れない」「木こりさえも通わな

い」といわれた「滝山」の山上に砦を築き、地の利を知り尽くした戦いとなったとある。

土佐藩側は予想以上の犠牲者をだした戦いだったが、45日間の戦いのあと左馬之助

最終的に滝山を去ることを決断した。その際に怪我をしていた妻『ぬい』は、足手まと

いになるからと、敵方に殺されるよりは夫の手で殺してほしいと懇願し、この地で

馬之助
が泣く泣く首をはねたとされている。その後左馬之助は子供たちを連れ、現在の

四国中央市に逃げ延びたという。

そんな歴史が全く分からずただただ『???』と佇む奥様たち。











その妻の小さな石祠の前には朽ち果てた建物の跡と横には五右衛門風呂が転がっていて、

生活していたような痕跡があるが『木こりさえ通わぬ』というこんな場所で、だれが?




墓からもしばらく沢沿いの道が続いていく。スズタケの色が濃くなってくると、沢を流れ

る水は極端に少なくなり、登って行くと作業道に出た。











その後二度ほど作業道を横断すると目線の先の杉林の中に尾根が見えた。あの尾根まで

登れば、あとは比較的緩やかな尾根道となる。そう言い聞かせながら登って行く。











白髪山から南に延びる尾根に出た。ここで行動食を口に入れ水分を補給する。次のピーク

へ一度だけ急登になるが、あとはピークを巻いて行く道で少しづつ緩やかになって行く。














すると少し前であっちゃんが屈みこんで何やら写真を撮っている。『何かいるんですか?』

と尋ねると、黙って指さしている。指さす場所には杉の枯れ葉の上に落ち葉が何枚か落ち

ているように見えた。『???』。ただよ~~く見ると落ち葉と同色のカエルがいた。

見つかっていないと思っているのか、それとも『早くあっちに行け』と思っているのか、

じっとして全く動かない。











背より高いスズタケの道を抜けると、八反奈路と白髪山への分岐。ここから八反奈路へと

下って行くと、すぐにブナの森の中になる。目の前が一瞬緑の霧がかかったような一面

の新緑が目に飛び込んでくる。広々とした緩やかな斜面に立つブナの木。

ブナは「森のダム」とも言われ、ため込んだ雨水を徐々に放出をして森に潤いを与えると

云われているが、まさにその通りこの森はとても生き生きとしている。






















そしてブナの森の先には今度はコケの日本庭園だ。徳島の山犬嶽は割と狭い場所にコケ

岩が密集しているが、この場所はやはり緩やかな斜面一面にコケ岩が広がっている。

そのコケ岩の数だけで云うと、山犬嶽の比ではないかもしれない。コケ岩の上に落ちて

いる枝をきれいに掃除すれば、足立美術館にも負けない庭園美術館になれる?



















タコの足のような太い根を覆いつくしているコケ。この木が枯れ木なのでここまでコケが

付くのだろうか?地表を這うように広がっているコケの根は迫力がある。

道は少し不明瞭になっいていくが、テープを見つけながら更に奥へと歩いて行く。














すると見覚えのある大きな根下りヒノキが見えた。倒木の上に芽吹いた樹が倒木を覆うよう

に根を張り、やがて倒木が風化してなくなることで、根下がりヒノキになる。

近づいて行くと根の立ち上がりは人が立って入れるくらいの高さだ。

ロープが張られた中には『四天王』と書かれた銘板があり、四本のそれぞれ違う形のヒ

ノキが立っていた。














四天王からも西に向かって踏み跡が続いている。足元が悪い場所は木道になっているよ

うだが、ずいぶんと手を入れられていないのだろう、木道自体も朽ちかけている。







銘板にはキャッチコピーが書かれているが、その内容が??『どういう事』って思うも

のばかり。











ただどれもが個性的で、なかには首を傾げたくなるほど複雑な形状をした根下がりヒノキ

がある。このヒノキは男女が社交ダンスを踊っているようにも見える。










『なぜ曲がったか?』と書いてあるが、その答えがどこにも書いていない。おそらく工

石山の『根曲がり杉』と同じように、幼木の時に強風で曲がってしまいそのまま成長し

てしまったのかな?それよりもこの曲がった状態で、これだけの巨木が倒れないのかが

不思議で仕方ない。

















『竜のおっちゃん』と書かれたこれも傾いたヒノキ。『なぜ竜なの?』『なぜおっちゃん

なの?』と巨木の前で頭をひねるが答えが見つからない。唯一幹の途中の膨らみと折れ

た枝の場所が竜に見えないことはないかと、三人で取りあえず納得をする。










『竜のおっちゃん』の前に枯木を横にしたベンチ?が並んでいた。そのベンチに腰かけ

おっちゃんを見ながらお昼ご飯にする。奥様たち二人の話声以上に大きく鳥の鳴く声が

鳴り響いている。











お昼ご飯を食べ終えた後、奥様たちは白髪山へと登って行った。私はやはり膝の具合を

考えて、奥様たちはアタック隊。私はその後方支援といえば聞こえはいいが、前回の

人の森
と同じように、この八反奈路でもしばらくまたカメラの練習をすることにした。














八反奈路は山中にありながら平坦な地形をしていて、木材の搬出に適さないため、白髪山

の檜を販売することで、莫大な利益を上げていた土佐藩も八反奈路のヒノキを伐採するこ

ことができず現在に至り、そのため、八反奈路に自生するヒノキの巨木の樹齢は500〜

600程になる。高知では平坦で緩やかなことを『なろい』といい、そこからここの八反奈

の名がついたようだ。

独りだけになった森は鳥の鳴く声だけが聞こえてくる。カメラをタイマーにセットして、

根下がりヒノキの反対側まで走る。10秒間のタイマーではなかなか間に合わず、何度も

繰り返す。














今度は違う場所でシャッタースピードの設定を変えて撮ってみる。これもタイミングが

合わず、またスピードの設定が難しく何度も繰り返す。

住宅の室内の写真ではよくある写真の手法だが、初めてにしてはこんなもんかな?

樹齢500年から600年の木々の足元で、60年そこそこの若造が、何をウロチョロ

してるんだろうと思われているかな?











結局ウロウロしているうちにコケ床を踏み抜いたり、転びそうになったりで膝の調子が

悪くなってきた。帰りの道でも急坂の下りが待ち受けている。ひどくならない内に森の

撮影会は終了することにした。











八反奈路から白髪山からの尾根に一旦登りそのまま尾根を南に下る。杉林のトラバス―ス

道を過ぎ、尾根から外れ下って行くと沢沿いの道になる。














途中には左馬之助の弟の墓がある。弟の高石吉之助は兄とその子供たちと一緒に滝山から

離れる途中で、もともと負傷をしていてこの場所で息絶えたそうだ。逃げ延びた左馬之助

の墓だけは、この山中にはない。







それにしてもここの滝の案内板はそれぞれで名前が違っていてよくわからない。『中段の

滝』
が近くまで行くと『二段の滝』になっていたり、下では『幣ケ木滝』と書かれてい

るのが『康積保真天の滝』となっていたりと、四段に分かれるそれぞれでも名前が違っ

ていて紛らわしい。














左馬之助や農民たちが立てこもったという『岩屋』にこそ寄らなかったが(史実を事前に

知っていれば立ち寄っただろう)、滝のそれぞれの滝壺まで寄り道しながら、下の滝の見

える広場までもどった。










広場から林道を道の脇の草花を眺めながら車を停めた場所まで戻る。靴を履き替え、窮

屈なタイツを脱いで着替えているうちに、思っていたより早く奥様たちが降りてきた。

白髪山までの登りのコースタイムが45分のところを1時間かかったそうだ。八反奈路

の分岐までも今日はコースタイム以上かかっていた。











車に乗り込み汗をたっぷり掻いた身体のクールダウンに、モンベルに立ち寄ってアイス

クリームを食べる。

再訪した八反奈路は前回同様、四国なかでもその特異で豊かなな自然と、木々が過ごし

てきた時間軸の長さを改めて感じることができた楽しい一日となった。


短い距離だけれど以外とタフだった五条山

2024年05月16日 | 四国の山

今週はお花見シリーズで『船窪のオンツツジ』高越山を計画。奥様たちにも連絡して、

あとは天気次第と思っていたら、あっちゃんから『予定が入っていたのを忘れてました

!』と連絡が入った。

しばらくするとWOC登山部のFBにセニョさんが、『船窪のオンツツジと奥野々山から

五条山まで歩きます!』と計画が上がった。高越山は以前にも登ったことがあるので、

どうせならセニョさんの計画の山は初めて知った山で、当然YAMAPの山頂ポイント

数も増えると思って、ルリちゃんに『高越山ではなく南側の山になるけどいいですか?

』と案内すると、問題なしの返事が返ってきた。

その後またしばらくして今度はルリちゃんから『YAMAPで調べてみると結構岩やロ

ープがあるようなので、まだ肘の調子が悪いのでキャンセルします!』と連絡が入った。

結局セニョさんと二人での山行となった。セニョさん相手だと何時ものようにスタート

時間を気にすることはない。せっかくなのでオンツツジを眺めながらのお昼ご飯にした

いので8時に船窪の駐車場に集合で連絡をした。





船窪までの道はかなりクネクネした道。先週、岳人の森までの道で車酔いしたあっちゃ

んは、この道は100%酔ってしまうだろうな~と思いながらカーブで右に左にハンド

ルを切る。時間が割と早いのでこのまま公園まで車に乗って行って、観光客いないうち

に一眼レフで写真を撮ってみようかなと考えて、1kmほど手前にある駐車場まで来る

とやはりすでにセニョさんは到着していて身支度をしているところだった。

軽く挨拶をして奥様たちは今日は来れないと説明。YAMAPでルートの確認をして駐

車場の奥から続いている林道へと歩いて行く。

道は大丈夫かなと思うくらいどんどん下っている。途中一カ所分岐になった場所でセニ

ョさんが、『どっちだろう?』と言ったけれど、YAMAPをどう見間違ったのか、その

ままコンクリート道を下って行ってしまう。700mほど下ったところで植栽地で見晴

らしの良い場所になり、もう一度YAMAPを見てみると、ダウンロードしたトラック

から違う道を歩いているのに気が付いた。『すみませんセニョさん、さっきの分岐で間違

ったみたいです』と声をかけて引き返す。植栽地越しには吉野川と山川町の街並みが見えた。










分岐まで戻りルート復帰。道のコンクリートはすぐに途切れて石が転がる地道になる。

分岐からは10分ほどで林道が四差路になった場所に出た。三方向にに林道が続いて

いるが、尾根はちょうど切通になった真ん中になる。










切通の反対側も植林地になっていて、西側の眺望が開けている。この辺りから山々を眺

めることはなかなかないので、山座を同定するのは難しい。











切通からはいきなり杉林の中の急登が始まる。セニョさんが見慣れないストックを突い

ている。『最近になってストックがあると楽なのに気が付いた!』と。ちょっと遅くな

いですか?(笑)











急登を登りながらセニョさんが、先週小豆島で山の中と、山からの下山後も悪戦苦闘し

た話を聞かせてくれる。山でのオカルトかかった話と下山後のいかにもセニョさんらし

い話に思わず笑ってしまう。歩き始めは少し詰まった感じがしていた左膝も、身体が温

まってきたからか、あまり気にならなくなってきた。急登を登りきると歩きやすい尾

根道に変わる。










快適道が終わると露岩が現れ、そのうちに杉林から岩の痩せ尾根になってくると、ブナの

木が目立ち始める。











痩せ尾根を過ぎると岩場にロープがかかっていた。湿気を含んだ岩や木の根は登山靴の

グリップが効かずに滑りやすい。それ以上にソールのすり減り具合からか、驚異的なグ

リップ力がうたい文句のモンベルのトレールグリッパーも、もうそろそろ限界なのかも

しれない。










ロープのかかった岩場を登りきると奥野々山山頂に着いた。山頂標は高松軽登山の錆び

た鉄板の標識と白い山名杭が木の根に置かれているだけだった。

そして山頂のすぐ南側には朽ち果てた奥野々神社があった。屋根は落ち壁のトタンも剥

がれかけ鉄骨もむき出しになっている。こんな山中に鉄骨造りの社殿ということは、当

時は随分と立派な神社だったような気がする。

awa-otokoさんのブログによると、この奥野々山の南側にある母衣暮露滝は昔から修験道

場として行者の出入りが盛んであった場所で、この滝で垢取りを行いこの奥野々神社に

参拝したのではないかと書かれている。奥野々神社は奥野々大権現とも呼ばれ、高越大

権現
と表裏一体だったのではということだ。










奥野々山からはまたブナの林、そして下り坂が続いていく。緩やかな坂と急な下り坂が

繰り返し続いていく。














尾根の左側が杉の人工林、右側は新緑の自然林。鞍部まで来るとまた一段と新緑の明る

い緑が目に飛び込んでくる。














そしてまた朝見権現までの登坂が始まる。登りも下りも距離は長くはないが、なかなか

足に堪えてくる。すると尾根の右側が伐採地になりこの間で一番景色の広がる場所

になる。伐採地の頂部からは北にちょうど満開の船窪のオンツツジのオレンジ色が、

尾根を染めているのが見える。『ここからはっきりと色が分かるということは満開です

ね!』とセニョさんと話をする。














そして麓に目を移すと穴吹川が曲線を描いているのが見えた。穴吹の宮内の集落辺りだ

ろうか?





伐採地からまた急登を登り左手のアセビの木の間をかき分け進むと、朝見権現はそのア

セビの木に囲われた狭い場所にあった。三等三角点 薊権現 1138.57m











朝見権現からは一旦アセビの木の外に出て西側に回り込んで五条山へと向かう。ここか

らはセニョさんも初めての道。岩場に急坂そして痩せ尾根と朝見権現までの道に比べる

と、随分とワイルドな道になってきた。











この辺りからピンクのテープが目立ち始めるが、どこの山でもそうだがピンクのテープ

はあてにならない。それよりもやはりYAMAPのGPS。間違いがないか確認しなが

ら下って行く。『次の山頂を目指しているはずなのに下りとは?』とセニョさん。

尾根の岩を巻く場所では、足元が悪すぎるのに、掴んだ木がことごとく枯れていてこれ

もあてにならない。セニョさんは尻セード。私は久しぶりに尻もちをついた。














1050mの等高線上で展望岩に出た。地形図を見てみると少し下に見えるピークのも

うひとつ先のピークがどうやら五条山の様だ。南西には雲に隠れた剣山から続く稜線が

眺められる。ここから先は岩壁で進めない。










一旦戻ってまた西側を巻いて行く。この辺りからも穴吹川に沿った宮内の集落が見えた。











五条山は朝見山よりさらに狭い山頂らしからぬ山頂だった。時間は10時前、スタート

からおおよそ2時間。

奥野々山から朝見権現までが700mで25分、朝見権現がら五条山までが600mで

40分かかっていた。それでも折り返しで2時間と考えれば、計画通りちょうどお昼は

オンツツジを見ながらになりそうだ。








折り返しの朝見権現へはこんなに下ったかな思えるほどの急登。『あっ、そういえばここ

で尻もちついたんだ~』










それほどの高さでなければ、下るときは意識をしないのであまり記憶に残らないので、

『こんな岩下ったかな?』と二人で言いながら登って行く。











朝見権現の手前まで来ると道は山頂を左に巻いて登るように続いている。するとセニョさ

んが『右にトラバースすれば山頂へ登らずに反対側へ抜けられるように思うのですが』と

仰る。確かに地形図を見ると等高線上に歩いて行けばいけそうな気がする。『じゃ~行っ

てみましょう』と返事をして、右に進んで行くと地元の屋島の冠ケ嶽の岩壁の下と同じ

ような雰囲気になってきた。冠ケ嶽もそうだが、安山岩の冷たい色の岩壁の足元は土溜

まりがあって人が歩けるだけのスペースがある。ただ冠ケ嶽と違うのは1mほどの幅の

土溜まりから下は切れおちた斜面になっていた。














見上げると安山岩の岩壁。朝見権現は岩稜の山頂だとわかる。一カ所だけ足元の幅がな

い場所で岩壁がせり出ていて、ヒヤッとする場面があったが何とか朝見権現の山頂の先

に出られたかに思えたが、そこから先は灌木が密集した斜面で進めそうにない。仕方が

ないのでまだ密集度がマシな山頂へと登って行く。『近道やと思ったのが間違いやった

ね、そのまま山頂へ登ったらよかったね』とセニョさん。まぁこれはこれで迫力のある

朝見権現の岩壁が見られたし、藪漕ぎもまた楽しい~!

灌木を掴み、灌木の根元に足を預けながら急斜面を登って行くと見覚えのある山頂に出

た。結局『急がば回らずに登れ!』だった。

















朝見権現からの尾根道では往路でも見かけたが、何本もの杉の木の根元の皮が削がれていた。

鹿の仕業だろうか?それにしても杉の木の皮が削がれているのは初めて見た。

伐採地から見える船窪まではまだまだ遠い。五条山では行動食を口に入れたが、けっこう

お腹が空いてきた。そのせいか登りのペースも随分と遅くなる。














奥野々山が近づいてくると、またブナの新緑が目に飛び込んでくる。まわりもそうだが、

新緑の季節ももうそろそろ終わりかな。そして奥野々神社の横のブナの大木は、往路で

は反対側になるので気づかなかったが、太い幹の裏半分がない反り返ったねじれた異形

のブナがあった。














登ってきたロープ場を今度は慎重に下って行く。そしてまた少し登りとこのルートは小

刻みにアップダウンが続いていく。








そして最後は林道までの急坂の下り。ここにきて地味に膝に痛みが出始めた。それでも今

日はセニョさんが下りはゆっくりと歩いてくれるので助かる。ちょっとした拍子にポキポ

キと膝から音がする。『膝のロッキング』という嫌な言葉が頭に浮かんでくる。膝のロッ

キングとは半月板の損傷などで、膝の関節内にある骨や軟骨の欠片や半月板組織などの浮

遊物が、関節の隙間に挟まった時に生じて、しばしば激しい痛みを伴い、歩くことが困難

になる現象をいう。このところ歩きながら気になるのはこのロッキング現象。注意のしよ

うもないだけれど、それだけは絶対に避けたい。











林道から船窪への尾根ではまた急登が始まった。やれやれと思いながらあと少しなので、

行動食も採らずに登って行くと完全にシャリバテ。前を歩くセニョさんとの距離がどん

どん離れていく。なんとか追いついて船窪の南側のピークに登りつく。














ここからは下り坂。するとセニョさんが『何か建物が見えると!』と、木の間を指さす。

少し歩いて行くと、セニョさんが建物の屋根と見間違えたのはオンツツジだった。











オンツツジ公園の展望台の前のベンチに腰掛けお昼ご飯にする。セニョさんがベンチの

上にザックを置いて、中身を探りながら『無いな~』と独り言。お腹の減った私がおに

ぎり弁当をかきこみ食べ終える頃には、ザックの中身を全部取り出したが、探し物は見

つからなかった。WOC登山部メンバーには周知の事、セニョさんあるあるなのだ。

ベンチから見える南側の山々。剣山は少し雲に隠れていた。








オンツツジは見ごろを迎えていた。観光客が公園内を歩いて写真に収めている。なかに

は樹齢400年、6m近い高さのもあるという。これだけの規模と大きさのオンツツジ

は他に類を見ないそうで、国指定天然記念物に指定されている。

















展望台からオンツツジを眺めた後、高越山への林道を歩いて行く。途中から塔ノ丸の尾

根へ取り付き、尾根を歩いて行くと程なく塔ノ丸山頂に着いた。

四等三角点 塔ノ丸 1143.22m 地形図には山名は掲載されていないが、YAMAP

ではルートなしの山頂でポイントになっている。










以前はキティちゃんのプレートはあったと思うとセニョさんが言っているが見当たらない。

山頂には石祠と三角点と目新しい山名札があった。










ここからセニョさんはさらに高越山まで歩くという。奥野々山からの下りでどうも膝の調

子が良くない。『今日は私はここまでで』と断りを入れて山頂で別れる。林道まで戻ると、

高越山からの帰りか、四人の女性たちが賑やかに前を歩いている。










公園まで戻りフェンスのゲートを開けて中に入る。もう以前に何度か見ているのに、近く

まで来ると改めてその大きさに驚かされる。














西から東の端まで園内を歩いてフェンスの外の車道に出て駐車場まで歩いて行く。道の

脇には新緑の中の春紅葉の色が際立っている。

駐車場について車に乗り込み座席に座り膝を曲げるとといきなり太ももの裏と表、ハム

ストリング筋と大腿四頭筋が攣り始めた。慌てて膝を伸ばしても更に痛みが増すばかり。

ドアを開け外に出て立ってみてもますます酷くなる。悶絶とはまさにこのことだろう。

太腿の筋肉は大きいだけにその痛みたるや・・・・。足を持ち上げたり歩いてみたりし

ても変わらず。逆に足首や指の関節まで攣り始めた。にっちもさっちもいかない時間が

どれくらい経っただろうか。少しづつ収まってきたので車に乗り込んでも、膝の曲げ伸

ばしで痛みがぶり返す。

それでも少し痛みを感じながら車を走らせる。『これが左足で良かった。右足が運転中

にでもなったらとんでもない事になっていた』と考えながら、奥野々トンネルの手前ま

で来ると、今度はアクセルを踏んでいる右足が攣り始めた。じっとしていたなら足の

動作を変えてみることもできるが、運転中はどうにもならない。痛いのを無理やりアク

セルを踏み、道が広くなった場所でブレーキを踏んで車を停めた。そして悶絶すること

数分。今日は気温もさほど高い中、それでも水分も割と採っていたのに原因が全く分か

らない。しかも両足が攣るなんて・・・・。

膝の不安とともにまたひとつ不安材料が増えてしまった。これからの暑い季節。体調管

理を十分に注意しなければならない。


途中棄権で岳人の森でカメラの練習

2024年05月11日 | 四国の山


今週はあきらめが悪くて西赤石山のアケボノツツジを狙っていたけれど、どうやら天気

が西から崩れてきそうだった。そのうえYAMAPで下調べをしても、今年の兜岩から

西赤石山の北面の写真はあまりパッとしない。それなら少しでも天気が崩れる時間が遅

い東に向かって出かけてみようと行先変更。

そこで目についたのがYAMAPにアップされていたoimoさんの写真。この方の写真は

いつもとてもきれいで見惚れてしまう。直近でアップされていた鹿舞ダキ山・砥石権現

のカタクリ、そして岳人の森のヒメシャガの写真も青空の下の、ステキな写真ばかりだ

った。今日は恐らく良くて曇り空、雨も降ってくるかもしれない。それでも最悪岳人の

の中ならマシな写真が撮れるかもしれないと思って出かけてきた。


ところが自宅から前山ダムを越え多和辺りからフロントガラスに細かな雨粒。脇町の手

前で南側が開けた場所からは、視線の先の山々には灰色の雲が重くのしかかっていた。

美郷物産館の道路を挟んだ駐車場でおち合い、そのまま私の車で国道193号線を神

山町へ倉羅峠を越えていく。峠に差し掛かると今まで後ろで賑やかに話をしていた

リちゃんとあっちゃん
の二人が急に静まり返った。目を閉じ無口になったあっちゃん

は大抵車酔いをしている。神山町に入り大塚旅館から右折して更に南に向かう途中、

大中尾集会所の横の公衆トイレで用を済まそうと、車から降りたあっちゃんの顔色は

真っ青だった。大中尾集会所からも更にクネクネ道が続き何とか観月茶屋の前に車を

停めると、外は霧雨。『山の中ではご飯が食べられないと思うので、降りて来てから

のお昼になります。』と声掛けをして雨具を着込む。観月茶屋は10時からの営業なの

で、入り口の扉にはまだ『CLOSE』の札が掛けられていたが、扉を開けて声をかけて

みつるさんに入園料を払うと、『砥石権現までならこの天気ですから注意してください

ね』と声をかけてもらう。




観月茶屋の裏から岳人の森へと登って行くと、さっそく道の脇に小さな可愛らしい花が

咲いていた。それを見ながら時々立ち止まっては『あ~だこうだ』と話をしている奥様

たち。このままだと登山口にいつまで経ってもたどり着けそうにないと思い、『お花の

観賞は山から下りてからにしましょう』と声をかける。








茶屋の上の道から一つ目のカーブを曲がるとひときわ犬の吠える声が大きくなった。近

づいてみるとけっこう強面の人相、いや犬相をしている。








園内のコンクリート道を何度か曲がり登って行くと砥石権現の登山口になる。ここから

山田 勲さんが、それまであまりはっきりしていなかった砥石権現への道を、個人で

整備した『砥石新道』になる。と言っても岳人の森自体もほとんど個人で整備してきた

のだから、その苦労たるや想像を絶する。







登山口からは九十九折れの道が続いていく。先週の佐々連尾山では歩き始めこそ膝の調

子が悪かったが、しばらくすると体が温まってきたのか膝の違和感もなくなった。ただ

アケボノの丘への下りと、帰りの大森山からの下りで傷み始め、山から帰ってからは階

段の上り下りで難儀していた。先週のそんな感じもあったので今日も歩いているうちに

痛みはなくなるだろうと思っていたが、なぜか今日は登りで痛みが治まらない。このま

ま登って行っても酷くなりそうな感じがしたので1142mの標高点の手前で、奥様た

ちに事情を説明して途中棄権することにした。oimoさんの活動日記には砥石権現の稜線

でカタクリの花が咲いている写真が載っていたので、まだ今年は見ることができていな

いカタクリの花をぜひ見たいと思っていたのに残念だ。

登山道に薄く霧がかかっているいる中、ひとりショボショボ登ってきた道を降りていく。










登山口を通り園内の順路と書かれた案内板とは逆行して通路へと入って行くと、さっそく

道の脇には目当てのヒメシャガの群生。シャガに似ていることからその名が付けられたよ

うだが、シャガの花びらの濃い紫と黄色の模様があるのに比べると、その小ささもあって

か控えめな雰囲気のするヒメシャガ。










静かな森の中の小道の両側に隙間なくびっしりと咲いているヒメシャガ。花こそ違えど、

2月に高知の加茂で見た林床に小さく咲く、バイカオウレンの森とと同じような雰囲気

もする。

もちろん晴れた日も木漏れ日の中の道でいいけれど、今日のように霧がかかった森の中

も、また違った雰囲気がいい。







山田さんが重機を使って人工的に作った『ゆきしろの池』の周りにも、貴重な花がたく

さん植えられ咲いている。クリンソウ、エビネランのどちらも独特な花の形と色をして

いて、緑の森の中でひときわ目立っている。クルッと花びらが丸くなってあちこち向い

ているヤマブキソウは森の中で遊んでいる園児の様だ。














森の斜面に周遊するように造られた道。その道に沿って右に左に目をやると、まるでアヤ

メのミニチュアの様なヒメシャガがびっしりと咲いている。














森の中から舗装路まで戻るとオンツツジの花が目立つ中、珍しい黄色い花びらのツツジ。

相変わらず山は雲に覆われている。すると上の方から奥様たちの聞き慣れた声が聞こえ

てきた。『お疲れ様!』と声をかけ、取りあえずお弁当を取りに車まで戻ると、駐車場に

奥様たちの地元のバス会社のワゴン車が停まっていた。店の中から出てきた方が何やら

袋を下げている。『このわらび餅は天然のわらびを練り込んでいるんですよ!』と教えて

くれ、私の車のナンバーを見て『どちらから?』と尋ねられた。あっちゃんが『同じ地元

です!』と答えると、『まぁこんな所で!』と皆さん笑顔になる。
















ワゴン車の出発をみつるさんご夫婦と一緒に見送ったあと、三人でわらび餅を予約して弁

当を抱えてまた森の中へ。

途中にある東屋でお弁当を広げた後、三人で今度は順路に沿って歩いて行く。




途中の道の脇にも咲いていたヒメシャガだが、森の中一面に咲いているのを見て奥様たち

も感激している。











私はと言えば、カメラを抱えて色々と試しに設定を変えながら写していく。ただ足元に

咲く小さな花を、膝を屈んで撮るのがなかなかの苦痛だ。











薄緑の林床の中に藤紫のヒメシャガの花が咲き、赤褐色のヒメシャラの木の幹が新緑の

周りの景色のアクセントになっている。静かな雨露に濡れた森は傘をさす夫人の姿が似

合っている。










オダマキは昨年大山で見て以来。ユキザサと一緒にチゴユリも咲いているけれど、小さ

すぎてマクロで撮って拡大してみてやっとユリらしく見える。











50年に渡ってこの森を造り育ててきた山田 勲さん。23歳のころに父親にこの場所に

植物園を造る構想を話したところ最初は取り合ってもらえなかったが、母親が一緒になっ

て説得してくれ、当時山の共同所有者だった7人を説得して所有権を譲渡してもらうとこ

ろから始まった岳人の森。県道は舗装路ではなく電気も水道もなかった時代から苦労に苦

労を重ねて今に至っている。1月の事故の話も聞くが、何とか回復してまた森の中で仕事

をしている姿をみたいと思っている。



え!アケボノ狂想曲はもう終わり??

2024年05月03日 | 四国の山


先々週、工石山で始まったアケボノ狂想曲も、先週の休みは雨で出かけられず、二週間

空いてしまうと、YAMAPを見ると主だった場所ではもう終盤と書かれている。今日

予定した佐々連尾山アケボノの丘も日曜日には大勢の人で賑わっていたようだが、月

曜日の夜には風を伴った雨、そして昨日も雨が降って半ばあきらめムード。それでも少

しは頑張って花を散らさずに残っていてくれるのを期待して出かけてきた。

法皇トンネルを抜け下って行くと、金砂湖にかかる赤いひらのはしを凪いだ湖面が鏡の

ようにきれいに映し出していた。











銅山川に沿って走り、途中猿田川橋の手前から左折して南へと走って行く。最終集落を

過ぎ、杉林の中の道になると4カ所ほど未舗装の場所があるが、ゆっくり走れば問題は

ない。白髪隧道を抜けると2台の車とバイクが1台停まっていた。すでに皆さんスター

トしているようなので、私たちも身支度をして歩き始める。








汐見川の最上流部になる沢沿いの荒れた作業道を登って行くと、昨日の雨のせいか道の

至る所で脇から水が流れ出ていた。今日はルリちゃんがお休みであっちゃんと二人での

山行なのでのんびりと思ってたら、最初からあっちゃんのぺースが早くてすぐに息が

切れ始め、左膝に違和感が出てきた。










道の正面に小さく佐々連尾山と書かれた案内板から左手に登って行くと、『佐々連尾山へ』

の案内板。道は杉林の中の道になり九十九折れの道を過ぎると、石畳の名残りのような

荒れてはいるが平らな石の道が続いている。スタートから25分ほどで猿田峠に着いた。










形が独特な住友の鉄塔の横で北側の山並みを眺めていたら、玉取の大カツラの方から林

道を一台の車が上がってきた。『さすが四駆だけある、私の車では無理だな』と思いなが

ら見ていると、男性二人と女性一人が降りてきた。見覚えのある車だなと思いながら、

軽く挨拶をして峠を後にする。見上げた大森山方面にはまだガスがかかっている。









1194mの標高点を過ぎると道の勾配も徐々に急になって行く。新緑の中、鳥の鳴く

声が響き渡っている。道の脇にはミツバツツジがチラホラ咲いていた、














※画像が粗い場合は歯車マークをクリックして、画質を1080Pにするか、youtubeを見る
 をクリックしてください。


すると今日最初のアケボノツツジ。残念ながら空はまだ白く薄いピンクの花は、その光

の中に溶けている。



あっちゃん、ここは右に回り込むよ!



大岩が次々と現れると、最初のロープ場。以前はロープだけだったが昨年登った時にも

ロープと別にアブミがかかっていた。揺れるアブミに足をかけて登るのは少しコツがい

る。片足をアブミに足をかけ、もう片足を岩に足をかけて登って行く。

次のロープ場は傾斜もゆるく意外と簡単に登っていけた。ただ木の根にのってしまうと

ツルっと滑るので注意が必要だ。











大岩を回り込んだりロープを使って登ったりと子供がいたら喜びそうな、まるでアスレ

チックのような道。アケボノツツジも少しづつ顔出しをしてくれ始めている。














最初の展望岩の下で道を外してロープ場を通り過ぎてしまう。木の枝や幹を掴みながら

岩の頂部をめがけて登っていると、チェーンアイゼンが落ちていた。冬場に道を外れた

場所で、アイゼンがなかったら大変だっただろうな?

展望岩から南を見ると汐見川の下流はまだガスがかかっている。工石山や白髪山はガス

が流れて山容が確認できたが、反対の北側の二ツ岳は雲の上にチョコンと頭をだしてい

るだけだった。














ここで猿田峠でお会いした三人さんも登ってきた。『駐車している車が見えますよ!』な

どと話をしながら男性のザックを見てみると『granpa』ろ書かれた名札が目に付いた。

granpaさんですか?』と声をかけ『YAMAPでフォローさせてもらっています』と

言うと『おたくは?』と聞かれたので『KAZASHIと言います』と答えたら、YA

MAPで見覚えがあったらしく、そこから色々と話が始まった。








granpaさんたちには『お先に!』とあいさつをして、しばらく登って行くと大森山山頂

近くはなだらかな尾根道になる。後から出たはずなのにgranpaさんご一行はもう後ろに来

ている。ミツバツツジの濃い赤紫とバイケソウの緑が続く気持ちのいい尾根道。









わざとらしく疲れた顔をしてみる










大森山でザックを下ろして行動食を口にしていると、三人さんはすぐにやってきて、少

しして今度は先に歩き始めた。天気予報では午前中が晴れで、午後から曇りになってい

た。北側の法皇山系にはまだ雲がかかっているが、それでも青空が顔を覗かせている。

ただこれから行く佐々連尾山方面はまだ薄曇りだった。













大森山からの尾根はブナと笹の気持ちのいい道。大森山の手前から道の脇のバイケイソ

ウが何本も茎から刈り取られていた。切り口が真っすぐなので動物ではなく、人が刈っ

た様子だけれど、歩くのに邪魔になるほどでもないし、いったい何のため?だろう。

尾根の先の大岩に、先に歩き始めたgranpaさんが立っているのが見える。『速いな~!』











granpaさんが立っていた展望岩まで来ると西に土佐のマッターホルンと呼ばれる山頂近

くが尖った登岐山が見える。この猿田峠から玉取山、兵庫山、そして登岐山・野地峰

かけては、線で繋いでいる時にけっこうしんどかった区域だ。その登岐山までの稜線を

眺めながら、二人で『線を繋いででよく歩いたね!』と話をする。
















展望岩から見える一つ目のピークを過ぎると、佐々連尾山までは笹原の道。大森山辺り

は愛媛県側がなだらかな笹原だったが、この辺りは高知県側が比較的なだらかな笹原に

なっている。反対側の樹林帯も背が低く見晴らしのいい尾根道が続いている。














佐々連尾山には三人さんの姿はすでになかった。代わりに男女のペアが歩き始めたとこ

ろで『こんにちは』とあいさつをして山頂で入れ替わった。

時間は11時半前。当然あっちゃはお昼ごはんを食べる場所を気にしている。『もう少し

先のアケボノの丘に下りる途中の林道でいいですか?』と聞くと『ハイ!いいですよ』と

意外な返事が返ってきた。いつもなら今が待てないように言って、この山頂でごはんにし

ましょうと言うはずなのに・・・・でも考えたらすでにおにぎり2個は頬張っている。





佐々連尾山からアケボノの丘への分岐へと歩いて行くと、三人さんが尾根の先でお弁当を

広げていた。さすが360度の景色が広がる抜群のロケーションに、『いいですね綺麗な場

所で!』と声をかけて先を行く。











途中でピンクのテープが枝に巻かれた場所から北東に進んで下って行く。佐々連尾山から派

生するこの支尾根もブナの木の尾根道。林道の手前で最後に段差を慎重に林道へと降り

て、『さあそれではお昼にしましょう!』

横に長い岩をベンチ代わりにして腰掛けお弁当を広げていると、下から男性が登ってきた。

ちょうど我々が座っている岩が道を塞いでいる。『すみませんね!』と声をかけ、『アケボノ

はどうでした?』と聞いてみると『え~まだ綺麗でしたよ!』と教えてくれた。
















林道から鞍部に向かっての道もブナや大岩が点在する雰囲気のいい支尾根の道。佐々連

尾山
からここまでの下りで、今日初めて膝が差し込んできた。時々ポキポキと音をたて

ていたが、急な下りになるとやはり膝に負担がかかるようで、炎症を起こさなければと

思うが、それでも周りの景色がそんな不安を忘れさせてくれる。

















支尾根の右手にはミツバとアケボノの二つのツツジが競い合って咲いている。鞍部を過

ぎると巨大な岩が現れる。二度ほどそんな大岩を巻いて登って行く。













1289mのピークが近づいてくると、お目当てのアケボノツツジのお目見え!昨日の

雨風のせいか足元には結構花びらが散っているが、それでも見ごたえがある。昨年の青

空と比べると薄曇りなのが少し残念だが、それでもアケボノの丘、来て良かった!

先に来ていたgranpaさんたちも、あちこちの木に移動しながら写真を撮っている。























それにしても散っていなくてすべての花が咲いていたらどれだけの密度だろう。何枚、

何十枚と写真を撮り今日は満腹!二週間前にアケボノ狂想曲と謡ったものの、結局今日

で二回目のアケボノツツジ。それも今年は今日で終わりそうだ。



















名残惜しいがまた来年はタイミングもよく、もっと咲いていることを期待しながらアケ

ボノの丘
をあとにする。林道から鞍部はわずか100mほどの標高差だが、登りの急登

に息が切れる。相変わらずあっちゃんはいいペースで登って行く。

















アケボノの丘から一旦下って登り返すと20分弱で林道に出た。ここからは去年と同じ

ように佐々連尾山には戻らず林道を歩いて行く。ただし昨年は林道の最終地点から尾根

に向かって登って行ったものの、急登に飽きて途中からショートカットをしようとした

ら谷筋に当たってしまって、急登どころではない急斜面を四つん這いになりながら登っ

た失敗がある。二の足は踏むまいと今日は大森山の先の緩斜面を登っていた人のルート

をダウンロードしてきたので大丈夫だ。










林道に飛び出したところでgranpaさんたち追いついたあっちゃんが『granpaさんたちも

林道の終点まで行って急登を大森山の尾根へと登って行くそうよ』と教えてくれた。











ダウンロードしたトラックを見ながら尾根へと取り付く場所を見逃さないように歩いて

いたのに、世間話に夢中になってその取り付きから随分先へと林道を歩いているのに気

が付いた。『いかんいかんこれではいつも朝ドラの話をしていて道を間違えるあっちゃん

とルリちゃんではないか!』

地形図を見ると大森山への斜面は等高線も広く緩やかなようだ。少しだけ後戻りをして、

ダウンロードしたトラックとは違う場所から適当に取り付いて登って行く。













最初は杉林の中の斜面だったが、すぐに広い笹原に出た。ここからは笹原を横断する獣

道を時々横切りながら尾根に向かって真っすぐに登って行く。




















すると足元に白い物体が・・・・。二本の角からするとどうやら鹿の頭蓋骨の様だ。

その頭蓋骨をよ~く見ると角と角の間からちょうど縫い合わせたような黒い筋。

人間の頭蓋骨にも縫合があるように、鹿にも縫合があるようだ。








笹原にコバイケソウが目に付くようになるとすぐに尾根道だ。そして大ブナが点在し始

めると尾根道に出た。『林道からは今のルートが楽勝でいいわね!』とあっちゃん。











尾根からあとは下るだけ。ただしこの山域は地質なのか、笹原の尾根でも雨の後は割と

ぬかるんでいる。それが急坂下りやロープ場ともなればなおさら注意が必要だ。











尾根道から少し脇にそれると青空が広がり始めた西側の遠望が効いている。すぐに同定

できるのは、スキーのジャンプ台のような急斜面になった沓掛山。そこから続いている

ように見えるのがちち山だ。東赤石山から二ツ岳、赤星山まで続く稜線もきれいに見え

る。『線で繋ぐ西赤石山から阿讃山脈』で残すところ3回となる区間だ。











案の定まだ気温が上がらず乾ききらない道は、所々でぬかるんでいる。ストックで体を

支えながら注意深く下って行く。こんな所で転んでしまってはせっかく今まで養生して

いた膝が更にまた傷んでしまう。今までだったら何でもないロープ場での下りも、重心

が左ひざにかかると突然差し込んでくる。あっちゃんはいつものようにトントンと調子

よく下っている。

















すると佐々連尾山でお会いした男女のお二人が立ち止まって指さし何やら見ている。男性

が説明をしているようで、あっちゃんが『なにかいるんですか?』と聞くと『キツツキの

仲間だと教えてくれた』男性はガイドの様で鳥の事も詳しく色々とあっちゃんに話をして

くれている。『いた~見えました!』とあっちゃんが声をあげた。残念だが近眼の私には

どこにいるのかさっぱり見えない。



指さす場所をズームで撮るが、的外れだったようだ






『いつも木をつつく音だけは聞いたことがあるけど、姿を見るのは初めて!』といたって

感激したご様子の奥様。その後はルンルン気分で猿田峠まで下って行っている。

峠では先に林道を歩いて行ったgranpaさんたちは未だ着いていないようだった。振り返る

と朝は雲に隠れていた大森山の手前のピークがくっきりと見えた。











そのうちに先ほどのガイドさんたちそしてgranpaさんたちも降りてきた。猿田峠からは20

分ほどで白髪隧道に着いた。すでに車はガイドさんたちの車だけになっていた。











アケボノの狂想曲も狂う間もなく終わってしまった感があるが、それでも頑張って花を残し

てくれていたアケボノの丘。その年の表・裏年、そして直近での天気と花のジャストタイム

に出会えるのはなかなか難しいが、透き通った淡いピンクと、丸くふんわりとした何とも言

えず可愛らしい花びらのアケボノツツジ。また来年に期待して帰路に就いた。

春はアケボノ・・・・・アケボノ狂想曲の始まり

2024年04月19日 | 四国の山

花咲く春はとにかく忙しい『あっちの山に〇〇が咲き始めた』『こっちの山には〇〇が

咲いていた』と聞き耳を立ててというより、目を見開いてWebで見て回る。その点では

YAMAPを始めてから次々とアップされる活動日記で、情報が随分とタイムリーにな

り、割とタイミングを外さなくなってきて、YAMAPさまさまだ。

桜が散って次はと物色していると、工石山のアケボノツツジがチラホラアップされ始め

ていた。まだ少し早いようだが他にもいろいろと草花が咲いているようなので、今回も

買ったばかりの一眼レフの試運転をしに出掛けることにした。

ずっと山歩きをしていて何台もカメラを買い替えたけれど、いずれもコンパクトデジカ

メ。とにかく山歩きの邪魔にならないようにと重さといった点でも二の足を踏んでいた

一眼レフだったが、今回けがをして『ひょっとしたらもう山歩きができないかもしれな

い』と思い『のんびり歩くなら多少かさばっても一眼レフもありかな』と思った。

それとリタイヤ後の趣味の一つとしても、今から写真撮影を覚えておくのもいいかなと。

先週も一応持って出かけてみたら、今までのコンデジでは決して撮らないような素材を

撮っているのに気が付いた。名所に出かけなくても日常でもハッとする瞬間がある。そ

の瞬間を切り取れる写真は、感性が鈍らないようにするのに持って来いの道具だと思う。




ということで今回は奥様たちをお誘いして出かけてきた。

いつもの体育館の下は立ち入り禁止でコーンが置かれていたので、登山口近くの林道の

脇に移動してのスタート。青少年の家の県道を挟んでの山の斜面はまた一段と伐採の作

業が進んでいて、黒滝峰に迫る勢いだ。

足元には次々とかわいいらしい花が咲いているけれど、ほとんど名前が分からず、帰っ

てから他の方の活動日記を見てチェック。






ヒゴスミレ


エイザンスミレ



『今日は三辻山には?』とあっちゃんが言うので、『今日はやめときましょう。前回も通

行止めで迂回したように思うので』と話をして、そのまま工石山方面へ。

奥様たちも私に合わせてくれているのか、立ち止まっては花の写真を撮りながらの、今

日はのんびり歩き。



ジロボウエンゴグサ





フウロケマン




登山口にはけっこうな台数の車が停まっていたけれど、皆さんすでに登っているのか杖

塚にも人の姿はなく、広場の奥の水の流れからツチガエルの低音の鳴き声が聞こえてく

るだけの、いつになく静かな広場だった。



カタバミ







今日のお目当てはもちろんアケボノツツジだが、他にもバイカオウレンやシロバナネコ

ノメソウも見てみたいと、あっちゃんが視力のいいルリちゃんに『見つけてね!』と言

いながら、道の脇を覗き込みながら歩いている。



ミツバツツジ


ツルシキミ




『バイカオウレンはひのき風倒根あたりだと思いますよ!』と言うと『それじゃシロバ

ナネコノメを探しましょう』とまるでお宝さがしの様子。根曲がり杉まで来ると道は割

と平坦になってくる。








白鷲岩で今日お初のアケボノツツジ!何度見てもこの花は色といい形といい可愛らしい。

黄砂と雲のせいで三辻山の北側の峰には雲が登ってきていている。遠望は利かないが、

個人的には久しぶりの山から見下ろす景色が新鮮だ。














高いとこ先っちょ大好きのあっちゃんが、ルリちゃんに注意されながらもやっぱり岩の

端っこに立っている。











白鷲岩をあとに歩きながら、『たしか風倒根の辺りにロープを張っている場所があった

気がします』と言うと『え~そんな所あった~?』とあっちゃんは記憶にないらしい。

疑われながらも歩いて行くと道の脇にロープが張られ、その中にバイカオウレンがチラ

ホラ咲いていた。二月に加茂で初めて見てから二か月以上経つのに、加茂と比べると標

高が高いせいもあってか、まだ散らずに頑張ってくれていた。









風倒根から今日も赤良木展望台へ寄り道。この辺りは太平洋から吹き上げる風が強いの

か、途中の道でも風倒根のように倒れた木が多く、それを避けて迂回路ができている。














展望台からは、先ほどの白鷲岩よりももうひとつ雲がかかって真っ白で何も見えなかった。

そんな中で展望台の脇のミツバツツジの薄紫の花が一段と映える。














トド岩まで来ると雲は流れて北側の景色が開けてきた。ここでもアケボノツツジが今日

二回目のお目見え。ルリちゃんは決して危なそうなところまでは行かないが、あっちゃ

んは気が気でないルリちゃんを他所にまた先っちょに行っている。

















ほとんどの花がそうだが、アケボノツツジは特に青空が似合う。雲の隙間に覗いた青空

と一緒に撮れた写真はこの一枚だけだった。








北頂上には男女の団体さんが腰を下ろして休憩していた。去年は同じ時期にこの頂上を

取り囲むようにしてアケボノツツジが咲き誇っていたが、今日は全く見当たらない。や

はり今年は随分と遅れているようだ。

団体さんに挨拶をしてすぐに南頂上へと歩いて行く。途中の工石神社の鳥居を見てあっ

ちゃんが『こんな鳥居あったかな?』とおっしゃる。『え~~覚えてないんですか?みん

なで神社もお参りしたのに!』

それりゃ仕方がないか・・・・。先ほどまで奥様たちはいつものように朝ドラの話に夢

中だったのだから。











南頂上では二組の人がすでにお弁当を広げていた。ベンチに腰を下ろして今日はざるそ

ばとおにぎり。すると南の方でゴロっとひと鳴り。天気は回復していたはずなのに?






タムシバ


ヤマヤナギ







昼食の後はいつものようにシャクナゲ道をサイの河原へと下って行く。いつも『このシ

ャクナゲが全部咲いたらきれいだろうね』と言いながらシャクナゲの開花の時期には来

たことがなく、今年は是非にと思いながらも果たして・・・・?



バイカオウレン





シハイスミレ



途中の展望岩から南側の景色を眺めるが、やはり黄砂で霞んであまり遠くまでは見渡せ

ない。江戸時代から石灰岩の採掘が行われていたという、山がほとんど平らになった

佐鉱山
は確認できる。土佐鉱山よりさらに大規模に開発された鳥形山の採石場は中津山

から初めて見てそのとてつもない広さに驚いたが、この土佐鉱山もなかなかの規模だ。














サイの河原まで降りてくるとさっそくあっちゃんが何やら探し始めた。最初は休憩所か

ら水上を。『どこにいるんやろね』と言うので『水の流れの所ではなく、溜まりの所じ

ゃないですか』と言いながらそれらしい場所を転々と探していくが見つからない。

そりゃそうだ、この工石山にはもう何回も来て、このサイの河原で探してみたけれど、

見つけられたことがないサンショウウオだ。

















ほぼ諦めかけて休憩所から歩き出し、それでも諦めきれずに道の途中でまた沢に降りて

チラチラと探して見てみると、『イタ~~!』

慌てて近くにいたあっちゃんを呼んで『ほらほらあそこ!』とストックで指して教えて

あげると『キャー』と嬉しい悲鳴が上がった!

しばらく眺めていると水の流れに逆らえなかったのか、サンショウウオは下流へと流さ

れて行ってしまった。その姿を見送った後二人で手をたたいて喜んだ。





ヒノキ屏風岩からの眺望も黄砂の影響でイマイチ。すぐ西側に見える妙体岩も霞んで

見える。高いところ好きの奥様は相変わらず岩に登って行った。







南まわりコースは赤良木園地から派生する複雑な等高線上を辿るようにして続く道。ほ

ぼフラットな道に奥様たちのスピードも上がって行く。標高が下がったせいか、所々で

アケボノツツジが花を咲かせている。途中で見つけた『観音寺東小学校植樹』と書かれ

た標識に『なんでこんな所に?』興味津々のあっちゃん。











支尾根を回り込むたびに淡いピンクの花が目に飛び込んでくる。ただ登山道からは離れ

ているので間の木々が邪魔してきれいには撮れない。

















アケボノツツジもサンショウウオも見られて満足かと思いきや、まだシロバナネコノメ

ソウが諦めきれないご様子の奥様。すると杖塚の手前で二人が騒いでいる。近寄って見

てみると、どうやらやっと見つけたらしくて、お二人ともご満悦!














メインのアケボノツツジはまだまだだったけれども、色々なかわいい花を見られて、おま

けにサンショウウオまでも見ることができた工石山。今からしばらくの間はアケボノツツ

ジで山は賑わう事だろう。花音痴な私もこの花だけはずっと追いかけているので、当分は

楽しめそうだ!


今日他にも出会った花たち




















桜の花びら散るたびに・・・・。

2024年04月11日 | 四国の山

この春の桜の季節ももうそろそろ終わりを告げようとしている。そこで先週の花紀行に

続いて、今週も奥様と花めぐり。

桜の花と言えばここのところのお気に入りはしだれ桜の神山町。全国的に桜の名所とい

えば8割以上がソメイヨシノだが、ここ神山町ではしだれ桜が有名な町。人口5,000人

の町に6,000本の桜が植えられていて、その内の4,000本がしだれ桜だという。

ただ事前にインターネットを調べてみると、先週にはすでに町内の桜は散り始めとなっ

ていた。しかも昨日は雨が降り風も結構強く吹いていた。あまり期待はせずにと言い訳

をして車を走らせた。

途中、今日の目的のひとつの奥様の祖母のお墓参りを済ませ、国道492号線を南に木屋

方面に向かう。道は広くなったり狭くなったりで、大きなダンプカーが対向する度に

ハンドルをキュッと握りしめる。二年前に西の奥様たちと通ったときは、沿道のしだれ

桜が満開で、度々車を止めては写真を撮ったが、今日はほとんどが葉桜になりかけてい

て、あまり見栄えがしない。










木屋平から川井峠への道は国道439号線になる。『つるぎの湯大桜』の看板を見ながら峠

へと向かって高度を上げていくと、何本かのしだれ桜が満開になっていた。『ひょっとし

たら峠のしだれ桜はまだ咲いているかも』と思いながら車を走らせると、その期待を裏

切らずに花を咲かせて待っていてくれた。










たしかに峠は標高700mほどになるので、平坦部よりは開花が遅くなっている。20本

ほどの大きな桜の古木からは、長く垂れ下がった枝に幾重もの花が付き、まるで空から

降り注ぐ桜のシャワーのようだ。








参道に沿って歩いて行くと西側の眺望が開けて、一の森から剣山そして丸笹山が望める。

今まで見たことのないような大きなしだれ桜に、取りあえずは奥様にはご満足いただけ

たようだ。











川井峠から次に向かうのは神通滝。実は今日の私の目的のひとつは神通滝にあった。滝

に向かう途中にミツマタの群生地があるというのを知って、ぜひ一度見てみたいと思っ

ていた。峠から東に国道を下って神山町に入る。途中でいつもは雲早山に出かけるとき

に通る国道193号線に入って神通滝へと向かう。

前回WOC登山部で来た時に車を停めた、ワーゲンの車が捨てられている広場に駐車する。

その手前に『新しい遊歩道』と書かれた矢印看板に従って林道を登って行くと、広い駐

車場にきれいなトイレも新しく設置されていた。














以前は神通谷川の左岸に道が続いていたが、新しい遊歩道は右岸になっている。以前の

道からは行き止まりが神通滝になっていたが、右岸からだと川を渡ることになる。遊歩

道から神通谷川ははるか下を流れているので『果たして川を渡ることができるんだろう

か?』と思いながら歩いて行く。遊歩道は谷側には手すりが設けられているが、足元は

石でガタガタしていて、しかも意外と急な個所もあった。『これって遊歩道じゃなくて

登山道やね』と息を切らせながら奥様が言っている。







するとその遊歩道の先に滝が流れているのが見えた。滝の手前ではコンクリートの階段

を降り、木の一枚板を渡した場所で左岸へと渡って行く。








昨日降った雨で滝の水は勢いよく流れ落ちている。先月梶ケ森の龍王の滝を見た奥様だ

ったが、落差も一段とあり、滝口の光の中から輝き落ちてくる滝の水にひとしきり感動

の声をあげている。











感心して長い時間写真や動画を撮っている奥様の横で『ミツマタ』という名前がぐるぐ

ると私の頭の中を巡っていた。『新しい遊歩道にはそれらしい場所はなかった』、ひょっ

とすると以前の左岸の道にあるかもしれないと思い奥様に『一人で来た道を戻ってくれ

る、私は以前の道を歩いてみる』と話をする。というのも左岸に続く以前からの道は、

すぐ目の前で斜面からの落石で道の体をなしていなかったからだ。










以前からの道はほぼ斜面からの落石で埋まっていた。その土砂が谷側まで覆いかぶさ

って足元が危うく、ヒヤッとする箇所があった。それでも足元と山側の斜面を注意深

く見ながら歩いて行くと何本かのミツマタの木が斜面に生えているのが見えた。

少し山側に登ってみると何となく群生しているような雰囲気があったが、足元が悪く、

しかも奥様が一人で戻っているので時間的に難しく諦めて道に戻る。










ある程度下まで降りてくると道は杉林の中の道になり、歩きやすい道になった。ほど

なく車を停めた広場のすぐ下に飛び出た。するとちょうど上から奥様が降りて来てい

たので手を振る。車まで戻り奥様の顔を見ると涙ぐんでいる。『どうしたん?』と聞く

と、一人で降りて来ていて途中で林の中から物音がして、何かがいると思ってとても

怖かったと仰っている。『それはそれは』と言いながら思わず吹き出してしまう。








神通滝を後にまずは腹こしらえ。以前にも来たことのある『めし処 萬や 山びこ』

ランチを頂く。神山町にはこんなおしゃれなお店が至る所にある。








今日は30年ぶりに買った一眼レフ(以前はフイルムだったが今回はデジタル)のデビ

ュー。まだ設定があまりできていないし取説もないのでオートで撮影。それでも液晶の

モニターではなくファインダーを覗きながら撮っていると、何となく気持ちが高揚して

画角も色々試してみたくなり楽しくなってくる。







ここからはお決まりのコースでまずは『四季の里 創造の森』へ。やはりしだれ桜は前

回に来た時ほどではなく、半分以上が散っていた。







それでもしだれ桜の横の園では色の濃い八重桜が満開近くになっていた。その八重桜の

下でシートを敷いて花見を楽しむ年配の女性たちの笑い声が聞こえてくる。











神山温泉を挟んで流れる上角谷川沿いのしだれ桜は見ごろを迎えていた。











次に向かったのは500本のしだれ桜を個人が植えたという『ゆうかの里』は、山肌一

面を覆いつくすしだれ桜と黄色いレンギョウが咲く桃源郷だが、ここもやはりピークを

過ぎていた。








それでも足元を埋め尽くす花びらの絨毯と目の前が桜色の霞がかかったように見える景

色に、奥様もうっとりしている。










レンギョウもほとんど咲き終わっていたが、代わりにシャガとサクラソウが目に付いた。














そして最後は前回同様、神山森林公園へ。国営まんのう公園ほどではないが、かなり広

い園内にはまだ少ししだれ桜とソメイヨシノの花が残っていた。











花見も終わった平日のせいか人の姿もまばらで、二人で園内をのんびりと散策。散り始

めた桜と入れ替わるようにして若葉がイキイキし始めている。














約200種の木々が植えられている園内のあちらこちらに大きく育った木々が気持ちよさ

そうに枝葉を広げている。今回はおそらく1週間ほど訪れるのが遅かったが、『来年は

満開のときに来たいね』と奥様。









 

毎年桜を見るたびに思うのは、『あと何回、桜が見られるだろうか』と。80歳まで生

きられたとしても20回。20年と聞くとまだ随分あるように思うが、20回と聞くと

急になんだか寂しくなってくる。それは自身の親たちにとってはもっと極端に少ない回

数になる。せっかくの華やか桜の花を見て素直に見られない、もうそんな歳になった。










花・花・花に誘われて・・・・!

2024年04月03日 | 四国の山


以前に山友さんがアップしていた写真を見て、ずっと気になっていた高知県の花桃の名

所。高知には西川花公園をはじめ引地川・上久喜など桜以外の花の名所が至る所にある。

先月から天候不良は続き、今週に入ってもあまりよくない。唯一雨が降らない予報は火

曜日と金曜日だ。金曜日は会社の花見で休むのは無理だったので、アポイントが入って

いたのを無理やり変更してもらって、火曜日の今日出かけてきた。

西川花公園は高知市内からは東、上久喜の仁淀町は市内から西になる。距離で云うとや

はり仁淀町の方が遠く、途中の道もどうやら狭いらしいので、どうしようかと考えてい

たら、奥様がネットで調べて『香南市では他にもチューリップまつりやってるみたい』

とおっしゃるので、行先は西川花公園に決定して車を走らせた。

西川花公園では『西川花祭り』が31日までの予定で開催されていたが、例によって先

月の天候不順と寒の戻りで花の開花が遅れ、4月3日まで延長されていた。公園は9時

に開園するのでその時間に合わせて出かけてみると、二つのうちの手前の駐車場にはま

だ車がほとんど停まっていなかった。『早めに来て良かったね』と二人で駐車場から公

園までの道を歩いて行く。県道の両側で咲く桜の花がまるでゲートのようで出迎えてく

れて、その奥に菜の花の黄色い色が見え始めるとしだいに期待が高まっていく。





桜のゲートを潜り歩いて行くと右手にまずは休耕田を利用して植えられた菜の花畑が目

に飛び込んできた。そしてその奥に写真で見たとおりの花桃と桜の花の丘が見えた。








菜の花畑の中には遊歩道が造られ、ぐるっと周回できるようになっている。黄色い海の

中に飛び込むと、菜の花の独特な匂いが漂ってきた。何カ所かにベンチと大きさの違う

ドラえもんのどこでもドアの様なドアが設置され、撮影スポットになっていた。

奥様はいつものように写真撮影に夢中で、なかなか菜の花畑から出てこない。











公園の入り口にはゲートが設けられ開園時間以外は入園できなくなっていた。その先に

歩いて行くと、テントの下で地元の方が協力金を集めていた。協力金を払うとポストカ

ードを手渡してくれ、『開催日は明日まで焼けれど、明日から雨の予報だからちょうど良

かったですね』と声をかけてくれた。

公園内は坂道を登って行く。桜の花は満開だけれど桃の花はまだつぼみの部分も多い。











途中の展望所の東屋の前ではテントの下で出店が並んでいた。二人でドリップコーヒー

と紅茶を注文して、設置されたテーブルとベンチに腰掛け美味しくいただく。

さきほどの公民館の駐車場にはそれほど車は停まっていなかったのに、次から次と人が

やってくる。なかには大きなカメラを肩からぶら下げて、アングルを考えて移動しなが

ら何枚も写真を撮っている。

一服した後、さらに上へと坂道を登って行くと、道の脇の斜面には可愛らしいスミレが

花を咲かせていた。










公園にはもともとヤマザクラやソメイヨシノが咲いていたのを、休耕田をみんなでお花見

ができる地域住民の憩いの場にしようと、地元有志が奮起したのが始まりだそうだ。

そんななかで、仁淀川町久喜の桃源郷に魅せられて苗を取り寄せ、実生でコツコツと増や

し、やがて久喜の花桃が西川の土地で実をつけ花を咲かせ、西川生まれ・西川育ちの花桃

が誕生した。







花桃は一本の木どころか枝でも花びらでも色が混じっていて、それがなお一層賑やかさを

醸し出している不思議な花だ。













公園の丘の頂部にはお墓が並んでいた。そのうちのひとつのは『百田家』と墓石に刻まれ

ていた。漢字こそ違えど『モモ』とは何かしら縁を感じずにはいられない。

頂部からはまた麓に向かって下って行く。

麓ではなお一層人出が多くなってきていた。中には中国からの観光客もいる。『こんなとこ

ろでもインバウンド?』と思ったが、過疎化の地域が人で賑わうのは喜ばしいことだ。













菜の花畑のどこでもドアでは、家族連れが楽しそうに写真を撮っている。











西川花公園を後にチューリップ園に向かって行くと、会場は町中の広場のような場所だった。

奥様と『お腹が空いたから先にご飯にしようか』といって、さらに東にある一度訪れたこ

とのある『SEA HOUSE』というレストランで食事をとる。食事の後ここまで来るとも

う少し走れば伊尾木洞があるので、チューリップからシダ見物に予定を変更。

私は再訪だったが、初めての奥様はチューリップよりもこちらを随分と感心していた。

ただ西川花公園で写真や動画を撮りまくり、わずか2時間ばかりで最新のipone15のバッ

テリーが切れたと悔やんでいる。それにしても買ったばかりのiphoneのバッテリーが半

日ももたないなんて、どんな使い方をしたのか疑問だ?

今日は西川花公園久喜のどちらに行こうかと迷ったけれど、少なくとも二つの場所に

縁があるのを知って、次回は是非久喜や上久喜に出かけてみたいと思う。















あの頂を食す前に、かの頂の天円山へ!

2024年03月28日 | 四国の山

以前に立ち寄った鳴門の道の駅『くるくるなると』で見かけたメニューのポスターには、

何種類もの美味しそうな海鮮丼の写真が載っていた。なかでも目を引いたのは、丼ぶり

に山のように高く盛られた『海鮮てっぺん丼』だった。

ハマチ・タイ・ブリ・マグロ・サーモン・イクラがどっさりのった海鮮丼。その海鮮の

種類と量もさることながら、そのネーミングに一目ぼれ。てっぺんと聞いたら、やっぱ

り登ってみたくなるのが心情。ただこの時は徳島市内で徳島ラーメンを食べて来ていた

ので、次回にと思いながら道の駅を後にした。




今週はちょうどお休みが奥さんと重なり『どこか連れて行け』との間接的なアピールが

あった。桜のお花見はまだ少し先になりそうだし、どうしたもんかと考えていたら、こ

のてっぺん丼が頭に浮かんできた。『くるくるなると』の海鮮丼についてはその時に話を

していたので、『海鮮丼を食べに行こう!』と誘ったらすんなりOKが出た。

ただ食事だけで出かけるのはもったいないので、その前に腹空かしにひと山登ろうと思

い、すぐ近くの里山の天円山に的を絞った。

まずは天円山のてっぺんを目指し、そのあと海鮮丼のてっぺんを目指すのだ。

下山後のお昼の食堂の混雑時間を避けるため、天円山へはゆっくりめにスタートしよう

と出かけてみると、麓の駐車場にはけっこうな台数の車が停まっていた。











この天円山はいくつかのコースがあるようだが、今日は西尾根コースから登ってみる。

西尾根コースはいきなりの急登。表土が洗われ木の根が露出する坂を登って行く。『根っ

こ坂やね』と奥様。







根っこ坂を過ぎると道の両側はシダで覆われ始めた。特に急になったヶ所にはお助けロ

ープが付けられている。道の脇の杭に『ゆるやかな坂』と書いたシールを張っているけ

ど、『全然ゆるやかな坂じゃないんやけど!』







急登を登りきると本来これがゆるやかな坂といった感じの場所になる。振り返ると山と

山に挟まれ流れる大谷川の向こうに、大麻町の街並みが広がっている。







昨日までの雨の後でシダの緑も瑞々しい。奥様も立ち止まっては写真を撮っている。








※映像が粗い場合は右下の歯車を開いて、画質を1080に設定してください。


すると見晴らしのいい場所に『皇后 雅子様の桜』と書かれた杭の横に、少しつぼみが

開き始めた一本の桜の木があった。この時は何を意味しているのか分からなかったが、

帰って調べてみると、寒緋桜/緋寒桜と大島系の山桜との自然交配種と推定されるサクラ

で、雅子様ご成婚を記念して新種のサクラに「プリンセス雅」と名付けられた桜だそう

だ。地元の方がこの景色のいい場所に植えたのだろう。大きく育てば西尾根コースの景

勝地になりそうだ。











プリンセス雅の横には数珠なりに花をつけたアセビの木。少し北側を見ると四国電力の

鉄塔の横に、稜線からちょこんと頭を出した剣ケ峰のピークが見える。








するとまた急登が始まった。奥様も慣れない岩尾根だが、割とスムーズに登って行く。

この西尾根コースには丸太と板で作られたベンチが所々に設けられているが、そのベ

ンチには休という文字と番号がふられている。番号は山頂までの合目の意味だろうか?











私が通り過ぎようとしたら『これなんの花やろうね』と奥様が声をかけてきた。指さす

木を見てみると小さな花が咲いている、ヒサカキの花だ。気の早いツツジの花も所々で

咲いている。













阿波鳴門線の87番鉄塔近くまで来るとかなり遠くまでの景色が見渡せるようになる。蛇

のように曲がりくねった旧吉野川と、水面が光り輝くレンコン畑の水田。








鉄塔を過ぎると西尾根コースと猿の墓への道との分岐になる。猿の墓は西尾根をトラバー

スするようにして続く道。道の脇には小さな小さなスミレの花たち。今日はあまり期待し

ていなかったが、そこそこお花も見られて奥様も満足げだ。











トラバース道をしばらく歩くと剣ケ峰に続く稜線に出た。稜線からアップダウンをしながら

15分ほど歩くと今日ひとつめのピークの剣ケ峰に着いた。










ピークの先の展望所ではここでもスミレが群生いていた。そのスミレの花たちの中にハ

ナニラも久しぶりの日差しを浴びようと、思い切り花びらを広げている。











香川の里山でもよく見る、登頂記念の記帳ノートがここにもあった。香川では四角いお

菓子の空き缶に入れてあるのだが、ここでは珍しく仮設の電気のボックスに入れてある。








花を前にするといつまでも写真を撮っている奥様。登りで暑くなったので上着を脱いだ

せいで、日陰に立つとまだ汗で冷えてくる。『そろそろ行くよ』と声をかけて、天円山

ともと来た道を折り返す。

途中で登ってきた道と猿の墓との分岐。その分岐を登って行くと猿の墓があった。『なん

猿の墓?』と二人で訝しんだが、調べてみるとこの辺りで悪さをしていた大サルを退

治にきた漁師が返り討ちにあって亡くなり、その敵討ちに漁師の弟が退治したという話

らしいのだが、悪さをしていたサルの墓をわざわざ造るのだろうかという疑問が残る。










サルの墓から天円山山頂を目指して登って行く。何カ所かの急登を登って行くと分岐に

は必ずサルの墓への矢印案内板が建っている。大猿の悪さを聞きつけ兵庫県からわざわ

ざ大猿を退治しようとやってきて、亡くなってしまった漁師の墓の道標は全くないのに、

なぜにおサルなの?と思ったが、漁師の墓は天円山のさらに北に1.5kmほど歩いた場所

にあるらしい。











しばらくすると天円山山頂直下のコンクリート道に出た。道なりに登って行くと鉄塔広

場の上からは徳島の峰々が見渡せるが、なかなか山座同定するのは難しい。







鉄塔からコンクリート道をさらに登って行くとうわさに聞いていたヤギたちが出迎えて

くれた。総勢五匹のヤギたちは私たちを見つけると立ち上がり、まるで道案内をするよ

うにして、山頂までを歩いて行く。










山頂にはベンチが並んでいて、ザックを下ろして腰掛けザックから水筒を取り出そうと

すると早速物欲しそうにして近づいてきた。水筒をだしてインスタントコーヒーにお湯

を注いだ後、おやつに持ってきたカステラを出そうとしたら、ヤギたちがザックに顔を

近づけてきたので、少し危険を感じておやつを食べるのはあきらめた。










天円山は別名天ケ津峰ともいい、山頂には天ケ津神社が鎮座している。この神社には、

天鈿女命(あめのうずめのみこと)が祀られていて、この天円山に西側にある大麻山

には、もともと猿田彦命が祭られていたという。山頭越には二人の夫婦が向かい合っ

ていたが、ここでは二人は少し離れた山にいらっしゃる。(猿田彦命はその後は麓の大

麻比古神社に合祀されている) 二等三角点 雨ケ壷 434.26m

食べ物をもらえないと分かったヤギは座ってまわりの芝生をもぐもぐし始めた。立派

な角の間には淡路島に続く大鳴門橋が見えている。この山頂から景色は申し分ない。




















天ケ津神社では天鈿女命に、前回山頭越で不謹慎にもおっぱいを触ってしまった無礼

をお詫びした後、ベンチでコーヒーを飲んでいると二人の男性が登ってきた。

そのうちの一人の男性がザックの中からキャベツを取り出し、足元にばらまくとヤギ

さんの争奪戦が始まった。








しばらくその争奪戦を眺めた後山頂を後にする。コンクリート道から登山口と書かれた

道標から山道へと分け入る。最初は313mの標高点へ向かってのトラバース道。時々道

幅が狭くなり危うい個所もあるが、前を行く奥様は快調にとばしていく。










313mまで来ると南へ下がる支尾根の道になる。この道が西尾根と東尾根との間にある

神社コースかな?時折木々の間が開けると天円山山頂が望める。西側に見えるのは剣ケ

からの支尾根だろうか、尾根に沿って感じのいい間隔で立木が並んでいる。あの支尾

根も剣ケ峰へ登るコースになっているようだ。








こちらのコースも急な坂ではロープが張られているが、けっこう古いのか握ると粉をふ

いている。登りはともかく下りの急坂はやはり慣れないのか奥様のスピードが落ちる。

ロープ場を過ぎると『大谷見晴台』と書かれた展望所。








こちらのコースは山頂からは二度鉄塔広場を通過する。二つ目の鉄塔を過ぎると右手に

社殿があった。その奥には日本の石仏とは雰囲気の違う石像が立ち並び、その奥に御嶽

神社奥の院
の石祠があった。その石像の衣装からするとどこか中国や韓国といった雰囲

気が漂っている。













奥の院からもまだ急坂が残っていた。振り返るとどんどん奥様が離れていく。『大丈夫

か?』と声をかけると『膝が痛くなってきた』と言う。岩場の足元が怖くて、足を突っ

張ったせいもあるが、ここにきて疲れてきたのもあるのだろう。














それでも何とか下りきり、御嶽神社の裏手に出る。神社の周りにもたくさんの石像が立

ったり座ったりしていたが、それにしてもユニークな石像ばかりだ。











駐車場まで戻ると、朝とは違う車がまだ何台も停まっていた。少ししんどそうにしてテ

ンションの下がっている奥様に、『それじゃ海鮮丼に行きますか!』と明るく声をかけて、

道の駅へと車を走らせる。





くるくるなるとは平日にもかかわらずほぼ満車状態。自身の停めた車の前には、神戸・

京都・三重などの県外ナンバーの車ばかり。『春休みやからかな~』と奥様。

お目当ての海鮮丼のある大渦食堂は、もう13時30分を過ぎているのに、食券を買う人

の行列ができていた。先に奥様に席を取ってもらって食券を買うと、ほどなく食券に

書かれたナンバーが呼ばれて、海鮮丼が出てきた。

やはりメニューの写真よりは小ぶりなどんぶりだったが、一人ではなかなか食べきれ

ない量だ。最初はワサビ醤油で、次にゴマダレそして最後は魚のだし汁でお茶漬けと、

味へんも楽しめて二人とも大満足でてっぺんに登った気分になった。土産物売り場も

人で混雑していて、目新しいお土産や珍しい食品が色々と売られていた。

それにしても最近のサービスエリアや道の駅は侮れません!

花の季節を前にして、まずはお腹を満たした花より団子の一日だった。