
西三子山でミツマタの群生を堪能した後の帰り道。県道16号線を東へと車を走らせる。この通り沿いには山犬
嶽へのアプローチ道に樫原の棚田、そして上勝町の取り組みのひとつのゼロ・ウェイストアクションの施設、ク
ラフトビールのISE & WIN Brewing Coなど、山間部にあってというより山間部こその景勝地や施設があって、時
間があれば色々と立ち寄りたい場所がある。道筋の山際にもいたるところで桜や桃やヤマブキが春の里を華やか
に彩っていた。
正木ダムのある美愁湖を過ぎた辺りでふと、ある場所に3月に奥さんと訪れたのを思い出した。坂本のひなまつ
りを訪ねた際に寄り道した『山河の里』だ。最初に尋ねたのは2年前。その時は西の奥様たちと同じように坂本
のひな祭りを見た後に近くの山を登った。最後に訪れた山河の里はまだ花の開花には少し早く、河津桜とアネモ
ネが咲いている程度だった。3月に奥さんと来た時もまだ花は見当たらなかった。
ここまで間周りの木々の色づきを見て、山河の里もそろそろ見ごろを迎えているんじゃないかと立ち寄ってみた。
高鉾郵便局を過ぎ藤川谷川に架かる橋を渡って正木トンネルの手前で南に曲がる。少し走ると三差路がありそこ
をさらに右に曲がり、離合の難しい狭い道を進んで行くと山河の里に着いた。少し先の道の下にある駐車場に入
ると2台ほど車が停まっていた。皆さんよく知っているな~と自分の事を置いといて感心しながら園内へと歩い
て行くと、花・花・花のオンパレード!
小さな作業小屋の前には薄紫や薄いピンク色のアネモネが風に揺れていた。その反対側にはサークル状に植えら
れた色とりどりの大きな花びらのチューリップ。その前で訪問者と話をするおじいさんの姿があった。
訪問者との話が終わったので声をかけると、顔中にしわを寄せてニッコリ笑顔で挨拶をしてくれた。
話を聞くとここには住んでいなくて、毎日小松島から40分近くかけて通っているそうだ。退職して20年以上
かけてこの庭を造りあげたそうだ。あと数年もすれば90歳というのにとてもお元気そうだ。そしてこの花園を
無料で開放している奇特な方だ。
『この花が一番好きなんです』と教えてくれた平安紅枝垂れは小さく淡いピンクの花びらが可愛らしい。
『奥のヤマブキも見頃ですよ』と教えていただいたので園内を奥へと歩いて行くと、素焼きの植木鉢で作ったひ
でちゃんが迎えてくれた。
園内にはこうした手作りの作品が至る所で迎えてくれる。そして花の名前や道標は全部手書きで可愛らしい。
ひでちゃんの奥の突き当りにはヤマブキが満開だった。薄い春色の花たちの中にあって明るい派手な山吹色がア
クセントになってとてもきれいだ。
ヤマブキを見ながら一周して戻ると、『上から下を眺めてもきれいですよ』と教えてくれたので、民家のある場
所まで上がってチューリップ畑を見下ろしてみる。
眺めた後また下まで降りておじいさんと話をする。『本当にきれいですね、もともと花がお好きだったんですか』
と聞くと『ハイ大好きでした』と応えてくれた。『ほんとうはイングリッシュガーデンにしたかったんです』とも
照れながらお話ししてくれた。
香川から来たのを伝えると『お~~いお母さん!』と声をだして奥に居る奥様を読んでくれた。園の奥から現れ
た奥様もとてもやさしい笑顔で話しかけてくれ、三人で色々と話をする。園内が手狭になってきたので上の道路
の反対側の山の斜面を切り開いて、何年か前からしだれ桜を植えているそうだ。見上げると急斜面。作業も大変
だろうけど、怪我のないよういつまでもお元気で、『また来させてもらいます!』と約束をして山河の里をあと
にした。
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