KAZASHI TREKKING CLUB

四国の山を中心に毎週楽しく歩いています。

台風10号が来る前にウオーキングで満濃池へ

2024年08月29日 | 香川の里山

先週も早い段階で天気予報の雨予想でお山はお休みにした。今週も台風10号

が上陸するかもという予想で、奥様たちにはお休みの連絡をした。

ところがその10号の歩みが遅くて、今日一日はどうやら曇りの予報に変わっ

た。それなら少しは歩いておこうと考えて出来るだけ平坦な道でウォーキング

しようと思い、満濃池の周遊道を選んだ。

できたらウォーキングが終わったら少し足を延ばして宝山湖の青い睡蓮も見て

みたい。そう考えて曇り空の下車を走らせ出かけてきた。

満濃池森林公園の駐車場に車を停めてスタート。駐車場の横のトイレは建て替

え中で使用不可。その奥の大屋根のテーブルとベンチでは、数人のおばさんた

ちが賑やかに雑談中だった。

駐車場から車道に出て南にしばらく歩いて行く。少し下って途中に左手に入る

小道があったので適当に入って行くと周遊道にでた。

周遊道は要所要所で現在地に番号が振られたMAPが立てられていて、その

MAPには2~6kmほどの5つのコースが書かれていた。




2022年に完成した周遊道だが、この時期さすがに雑草が伸び放題の場所

もあり、一般の人が歩くには・・・・?かな。


樹木に囲まれた周遊道は日陰の道が続いているが、それでも蒸し暑さのせいで

額からはぬぐってもぬぐっても汗が流れ落ちてくる。熱中症にならないように

コマめに水分を補給しながら歩いて行くが、頭の上のミンミンゼミの大合唱が

なお一層暑さを助長してくる。

この周遊道はこれで3回目で、前回までは歩いた野鳥の森には寄らずにそのま

ま歩いて行く。







この周遊道は途中から今は閉鎖された『こんぴらレイクサイドゴルフ場』の

中を通っている。ゴルフ場はフェンスで囲まれて太陽光発電所に変わっている

が、歩行路やカート道に敷いてあった養生マットがその面影を残している。









そのフェンスに沿って歩いて行くと注意喚起の看板。たしかに急な坂なので

カートが下りでスピードを出し過ぎると危ないと感じたが、いったいどんな

事故が起こったのか興味が湧いてくる。





少しアップダウンをしながらゴルフ場の中を進んで行くと目の前には立ち入り

禁止のフェンスが現れた。本来なら先ほど左手に見えた道へ曲がらなければな

らなかったのに、うっかり進んでしまったようで直ぐに引き返す。







突き当りから引き返して通り過ぎた場所から脇道へ入って行くと杉林の中の

道になる。コンクリートの道を登って一旦下ると、満濃池の最南端部になる。

ここから満濃池に流れ込む小さな小川に沿って歩いて行く。

その流れが満濃池に流れ込む辺りには水かさが増した時には池の水の中に浸か

ってしまいそうな水中木が何本か立っていた。







その最深部から北に向かって歩いて行くと道の脇にベンチがあった。ここで

ひと先ず休憩。持ってきた水筒に入れたアイスコーヒーとシュークリームで

行動食代わり。ため池の湖面を撫でて吹く風が涼しくて心地よい。







ウエストポーチに水筒と一緒に入れたシュークリームは、潰れてしまって中の

クリームが全部飛び出していたが、お腹に入れれば何でも一緒。それまでお腹

が空いてあまりパッとしなかった身体が生き返った。

一息入れて『さぁ歩くぞ!』と腰を上げて歩き始めると直ぐに雨音がし始め

た。次第に雨脚が強くなり始め、仰ぎ見る空もどんどん黒くなってきた。

仕方がないので途中で周遊は諦め引き返すことに。

幸い木々の下の周遊道ではずぶ濡れになることもなく、何とか駐車場まで戻っ

てくることができた。




登山のよくあるあるで『山を下りたら晴れた』で、今日も車に乗り込むと雨

もやんで少し青空も覗き始めた。

次は満濃池から移動して宝山湖へ。

宝山湖の駐車場では五・六人の人たちが草刈り中だった。その横を通って

里山ビオトーブへと歩いて行く。






ビオトーブの青い睡蓮は、近くの農家さんが高知のモネの庭で購入して、自宅

で育てたものを移植したらしい。その後は三豊人材シルバーセンターのメンバ

ーでお世話をしているそうだ。開花の時期はまだこれからの様で、咲いている

花は疎らだったが、先週黒沢湿原でみた睡蓮とは違った爽やかな印象を与えて

くれた。









花・花・花と雲海の白山遠征(後編)

2024年08月19日 | 四国外の山
黒ボコ岩ではしゃいだ後、いよいよ弥陀ケ原へ。スタート時点で奥様たちには『膝の状

態で途中棄権するかもしれませんが、出来たら弥陀ケ原からの御前峰は見てみたい』と

言っていたので、取りあえず第一段階クリア。














植生保護のために造られた木道が緩やかな台地の中に続いている。前回来た時も山頂から

の景色よりも、この木道の景色が記憶に残っていた。

この弥陀ケ原や御前峰周辺の地形が緩やかな部分では真夏でも雪渓残り、無雪期間が短

い為、ハイマツは育ちにくく草本植物などの雪田植物が育つそうだ。

弥陀ケ原の台地から室堂への最後の登りの五葉坂は、先ほどまでの歩きやすい木道と比

べると、岩がゴロゴロした歩きにくい登りだ。

この辺りは斜度もあるので雪が残らずハイマツ(五葉松)が育っているためその名が付

いたようだ。道の両脇にそのハイマツが迫り道幅がなく、離合するのに時間がかかる。














それでも20分ほどで五葉坂を登り切り、正面に見える室堂ビジターセンターに着いた。

時間は11時過ぎ、予想以上に時間がかかっている。計画では御前峰でお弁当を広げる予

定だったが、ビジターセンターの北側のベンチでお昼ご飯にする。











お昼ご飯の後、さっそく御前峰へとあっちゃんと私はザックを置いて登って行く。その

前に白山比咩神社の祈祷殿を参拝。参拝した後はその奥宮の横を通って御前峰へと向か

うと、ここからの道でもお花畑が広がっていた。













室堂の平坦地が終わると石畳の登坂が続いて行く。東の遠くに見える雲の上に頭を出し

た山はどこの山だろうか?

途中で3年生くらいの男の子と、保護者らしき男性たちとすれ違う。その男の子を見る

ともう半べそをかいている。見かねたあっちゃんが声をかけてなだめるが、笑い顔には

ならず『がんばって!』と声をかけて別れる。











途中で神々の生まれる場所・天津神の住まう場所の高天ケ原の道標が立つ場所に着いた。

見上げると御前峰が目の前に近づいている。振り返ってみると室堂の東の窪地にはまだ

雪が残っていた。










室堂から40分を過ぎてやっと白山奥宮の社殿が見え始め、ひと踏ん張りで大きな石垣

に囲まれた奥宮に着いた。










その奥宮と御前峰は目と鼻の先。山頂碑で写真を撮る。北側正面には大汝峰とその右手

には剣ケ峰が見える。前回はこの山頂から下ってお池巡りをした。火山湖の点在する火

口は、山頂までの風景とは一変して火山らしい、白っぽい火山灰や青灰色の巨石の中の

道が続いている。今日は時間的に余裕ないのでこのまま折り返して下山していく。

奥宮の社殿が雲に浮かんでいる。そして360度雲の海が広がっている。














時間は予定を1時間ほど過ぎていた。南を見るとどんどんガスが流れ登ってきている。

ここまでで景色を存分に楽しめたから、下りは別段ガスがかかっても返って涼しくてい

いかもしれない。














ビジターセンターまで降りて食堂で一休み。喉を潤し一息つくがまだこれから1000m

以上は下って行かなければならない。今のところまだ膝は大丈夫だったが、腰掛けて靴ひ

もを直そうと屈むと足が攣りそうになった。

歩きづらい五葉坂を下り弥陀ケ原へ差し掛かるまでの間、登りでも一緒になった若いカッ

プルと話をしながら歩いて行く。











途中でエコーラインから下って行くというカップルと分かれ弥陀ケ原へ。今日は行動時

間が長い分歩くペースが似通っている人達とは、途中で抜いたり抜かれたりして度々顔

を合わせるので、その都度挨拶をして話をする。

弥陀ケ原の端部になる黒ボコ岩に近づくにつれ、次第にガスが濃くなってきた。










黒ボコ岩から観光新道へと入ると最初は緩やかな稜線の下のトラバース道。その山肌に

はイブキトラノオがゆらゆらと風に揺れている。薄紫のタカネマツムシソウとハクサン

シャジンが目立ち始める。









タカネマツムシソウ


ハクサンシャジン




石鎚山系でも見ることのできるタカネマツムシソウだけれど、これだけ群生している山

は四国にはないと思う。










下って行くにつれてガスが益々濃くなっていく。前を歩く奥様たちの姿が直ぐに見えな

くなる。この辺りが『馬のたてがみ』と呼ばれる場所で東から南にかけて広がる雄大な

景色を見ながら歩けるはずだが、今日は残念ながらガスのお陰で何にも見えない。











黒ボコ岩から50分ほどで殿ケ池避難小屋が見えた。小屋の横のベンチで小休止。ガス

のお陰で気温はそれほど高くは感じなかったが、念のため経口補水のゼリーを口に入れる。



クガイソウ



殿ケ池避難小屋から道は少しづつ険しくなってくる。七つ坂辺りの尾根筋も乾いた土と

石が足を滑らせる。







正面のゴツゴツした岩が餓鬼ヶ咽(ガキガノド)。これも約10万年前の白山火山の噴出

物のようだ。奇妙な形はその噴火の際やその後の浸食によって造り出されたと云われて

いる。














そんな大岩の足元にはシラタマノキやハクサンシャジンの白花など、砂防新道とはまた

違った花が咲いている。晴れていればもっと遠くまで見えただろうが、ここまでも砂防

新道以上のお花畑が広がっていた。

ハクサンシャジンの白花


シラタマノキ






岩が重なりその下を通り抜け出来る仙人窟(センニンイワヤ)を通る。この仙人窟の南

側は、昭和9年7月の大雨で甚大な被害を及ぼした大規模な崩壊の『別当大崩れ』があ

った場所だ。400mmを超す豪雨と,それによって残雪から溶けだした水によって,推定

1億立米に達する崩壊土砂が流れ出し,土石流となって下流に押し寄せ、市ノ瀬地区では

12mもの河床に土砂が堆積したと云う。この土石流による被害は死者・行方不明者112名

、流出家屋172戸、流失などの家屋437戸,埋没耕地2113町歩など,石川県史上最大規模

の災害だったそうだが、ここもガスで周りがほとんど見えない。










仙人窟を過ぎると道はどんどん険しくなってくる。場所によっては濡れて一段一段の段

差があって、とにかく転倒しないように注意深く降りていく。ただその段差が膝に堪え

てじわじわと痛み始めた。







別当坂分岐からも荒れているうえに急坂は続き油断ができない。朝スタートしてからす

でに11時間を経過しようとしている。ここ最近としては最長時間となる。健康時でも

疲れが出ているのに、ましてや膝にはかなりの負担になっている。この後炎症を起こし

て水がたまらないか心配になってくる。

後ろからこのコースで初めて男性二人が追い越していく。『こんにちは!』の挨拶の後、

お互いに『キツイですね』と声をかける。








別当坂分岐から1時間以上歩いてやっと別当登山センターに降り立った。くたくたにな

りながら登山センターのベンチに腰掛けると、目の前に御前峰の下ですれ違った小学生

が座っていた。さっそくあっちゃんが『よくがんばったね!』と声をかけると、下山し

てほっとしているのか少し笑顔になった。











センターのトイレの中にある更衣室で窮屈な着圧タイツを脱いで、駐車場まで戻る。

スタート時点でほぼ満車状態だった駐車場も車は疎らで、この時間にまだ停まってい

る車の人は恐らく室堂で泊まりの人たちだろう。

ガスのせいもあって薄暗くなった駐車場で着替えを済ませて、今日の宿へと車を走ら

せる。

YAMAPとカシミールでは若干データーが違っていて、カシミールでは沿面距離が

15.4km。累積標高差が1,670mとなっていた。行動時間は12時間20分。欠けた半

月板を抱えて自分でもよく歩けたと。

ホテルに着き近くの居酒屋での乾杯の生ビールがこの夏一番美味しくいただけたのは

言うまでもない!



他に見かけた花たち
































花・花・花と雲海の白山遠征(前編)

2024年08月19日 | 四国外の山
5年前ネットで見た八方池から見る白馬三山の写真に目が釘付けになった。そこからず

っと一度は登ってみたいと思って夏が来るたびに遠征を計画をしていたが、直前にイン

フルエンザにかかったり、台風が接近したりと毎年計画倒れになっていた。

今年もお盆過ぎてうまくいけば八方池と唐松岳の日帰り登山をと考えたが、台風6号が

通り過ぎた後にすぐに台風7号が発生した。その日からは天気予報と睨めっこ。だが直

前まで降水確率は下がらず、仕方がないのでまだ少しは予報がマシな白山に予定を5日

前に変更した。

計画では15日の日が変わる前に家を出て朝に別当出合に着きそのまま登山開始して

御前峰に登頂後下山して、福井市内に移動して宿泊するというプラン。

18年前に山の会で出かけたときは日帰り登山ではなく室堂で1泊して、日の出を見て

御前峰とお鉢回りをして下山という余裕のある計画だった。

その時はバスでの移動だったがやはり車中ではほとんど眠れなかった。それでもその日

は室堂での宿泊だったので今回の計画よりは楽だった。今回はコースタイムでは8~9

時間となっているが、なんせ累積標高差が1500m以上になっているのが一番気にな

った。果たして今の膝の状態で往復できるだろうか?途中で傷み始めたらどうしょうか

と、色々考えたが、取り合えずは出かけてみることにして、奥様たちに計画を伝えた。

天気予報の降水確率は40%で普段でも出かけるかどうか判断に悩む予報だが、とにか

く白山は『日本百名山』で『花の山百名山』。曇り空でも花を楽しめたらいいかな?、

くらいの気持ちで奥様たちには『雨具の準備はしっかりと』とだけ伝えておいた。

11時に自宅をスタート、ナビの案内に従って高速道路を走る。名神高速道路までは夜

中でも意外と交通量が多く、スピードをだすトラックに神経を使い、米原JCTからの北

陸自動車道では逆に走っている車がほとんどなく、しかも運転するのは初めての道。外

灯もない暗い高速道路の運転はけっこう緊張した。




途中で少しフロントガラスを雨が濡らしたが、別当出合に着く頃に明らみかけた空は曇

り空になっていた。駐車場に着く手前では路肩に何台も車が停まっていて、『駐車場は満

車かな?』と焦ったが、駐車場の中まで入ると余裕で駐車することができた。

それでも着替えをしてスタートするころには次々と車がやってきた。







駐車場から登山の拠点となる別当出合登山センターまでは石段を登って行く。センター

ではまだ6時前だというのに結構な人で賑わっていた。トイレを済ませ装備を確認して

先ずは砂防新道へと向かう。











ここからは砂防新道と観光新道のコースに分かれるが、今日は登りは砂防新道、下りに観

光新道を下る予定だ。すぐに以前に登った時の記憶に残るつり橋を渡る。あっちゃんに『

酔わないようにね』と言うと『私車と違ってこういうのは平気なの』と言いながら、前を

歩くルリちゃんを怖がらそうと、わざと飛び跳ねて揺らしながら歩いて行く。













登り始めはエンジンがかかるまで体が重い、ましてや昨日の5時過ぎに起きてすでに2

4時間が経過して寝ていないので、なんだか頭がクラクラする。さらにはここのところ

スタートしてしばらくは膝が慣れるまで痛みを感じるので調子は良くなかった。







それでも奥様たちに遅れをとるまいと頑張って登って行く。樹林帯の中の石段や石畳の

道は雨が降った後なのか少し濡れていて、足を滑らせないように気を使いながら歩いて

行く。この間、環境省の道標が要所要所に立てられている。









イブキトラノオ




駐車場をスタートして約1時間、トイレのある中飯場に着いた。ここまでで室堂まで

の1/4、まだまだ先は長い。











中飯場で水分補給をした後、階段状になった大きな石を登って行く。この辺りから道の

脇に咲く花々が目に付くようになってくる。



ソバナ


キツリフネ




途中で右手に不動の滝が見えた。その滝の横にはまだ新しく砂防ダムを造っているの

か、工事用の大きな施設が見える。目線を南に移すと稜線の上は青空が広がってきて

いた。ただ稜線の奥に隠れて別山はまだ見えない。












キオン




中飯場から40分ほど登っただろうか。左手に眺望が広がり『別当覗』と書かれた案内板

が立っていた。目の前の稜線は観光新道の稜線の先の1666mの標高点から、天井壁に

向かって切れ落ちている稜線だろうか?そして眼下は別当谷になるが、木々が隠して覗く

ことはできない。次第に頭上も青空が広がり始めた。










別当覗辺りからは道の勾配も比較的緩やかになってくる。前を歩くショーツ姿の男性は

横浜から来て下のキャンプ場で前泊しての登山だそうだ。今朝着いてすぐに登って往復

する予定だと話をすると驚いていた。標高も随分上がってきたのだろう、視線を遮って

いた稜線の奥に別山が見え始めている。











樹林帯を抜けると周りの植生も変わってきた。そして周りの景色も高山の雰囲気がして

きた。雲の上を抜けた山頂は間違いなく青空だ!













スタート時点で奥様たちには『往復に時間がかかるので、花の前であまり長い時間立ち

止まらないように!』と話をしたが、とにかく次から次と色々な花が咲いているので、

その度写真を撮るので予想以上に時間がかかる。



ハクサンボウフウ


ハクサントリカブト



甚之助小屋には3時間近くかかって着いた。小屋の前のベンチでは大勢の人が休んでい

た。その中で目に付いたのがお母さんと男の子二人におじいちゃん。男の子の弟の方は

年長さんだという。里帰りをして山好きのおじいちゃんに連れられてきているそうだ。

この時点で標高は2000m弱。ここから上は四国の山にはない高さになる。『行ける所

まで行きます』と明るく話をする家族が微笑ましい。









フジアザミ






雲が流れて山頂が隠れそうな別山から視線を移すと雲海が広がっていた。






ヤマハハコ




暫くは石段が続いて行く。しかしよくこんな高い場所で石段を造ったなと思う。それは

登山の為なのかはたまた霊場参拝の為の石段なのか?

スタートから3時間30分で南竜山荘への分岐に着いた。すると年配の男女の3人組が

降りて来て、ザックを下ろして一息入れ始めた。入れ違うようにして登り始めようと歩

き始めると、その人たちが『ここからがキツイからね!』と教えてくれた。『がんばり

ます』と自身を励ますように声を出すと、『頑張ってね!』と応援してくれた。








分岐から少し登ると弥陀ケ原へと続く道が見える。






シモツケソウ




ここから弥陀ケ原直下の十二曲がりまではお花畑が続いて行く。先ほど休憩した甚之助

避難小屋の赤い屋根がはるか下に見える。






ハクサンフウロ





カライトソウ





道の両脇の斜面は赤・白・黄色の花・花・花で埋め尽くされている。











周りの景色は申し分なく、奥様たちからも『ほんと来て良かった』と喜びの声。『ハイ、

私のお陰です』と鼻を膨らませて自慢げな私。






シナノオトギリ









ここから十二曲がりに差し掛かる。黒ボコ岩までの最後の登り。南竜山荘の分岐で『こ

こからがキツイわよ』と教えてくれたが、これだけのお花畑の中の道。その厳しさは全

く感じることなく楽しく歩いて行ける。




















一口飲むと3年長生きするという『延命水』。冷たい水に手をかざし少しだけ口に含む。













前を歩く奥様たちの頭上に黒ボコ岩が見えた。振り返ると十二曲がりの九十九折れの下に

雲海が広がっている。まさに雲上のお花畑に続く道!














弥陀ケ原の先端部にある黒ボコ岩は、火砕流によって山頂から運ばれてきた火山弾。まわ

りにも同じくらいの大きさの岩がゴロゴロしている。これだけの大きさの岩塊が飛んで落

ちてくるなんて、火山の噴火の凄まじさを物語っている。そのボコ岩に登ってはしゃいで

いる奥様たち。










それでも物足りなかったのか、さらにはその横の岩塊の上でポーズをとるあっちゃん。









🔳🔳🔳 後編に続く 🔳🔳🔳

まさかの中三日でまた岳人の森へ!

2024年08月08日 | 四国の山

先週土曜日に独りで剣山のキレンゲショウマと岳人の森のレンゲショウマを堪能したら、

奥様たちから『私たちも見たかった』と。『では、今週はどうしますか?』と尋ねたら、

『レンゲショウマは是非見てみたいけれど、キレンゲショウマも捨てがたい』と迷って

いる様子だった。ただ先週と同じように剣山から岳人の森への移動は、距離にして50

km、そしてほとんどがクネクネ道になるので、車酔いするあっちゃんは二つを見るのは

諦めて岳人の森でレンゲショウマを見ることになった。『それなら近場の雲早山でも登り

ますか?』と相成った。


この山域に出かけるときの定番になっている山川町の『美郷物産館』の駐車場に集合し、

そこから一台でまずは土須峠へと車を走らせる。前回岳人の森のヒメシャガを見に行っ

た時は、山川町から神山町に入る手前の倉羅峠で既にあっちゃんは酔死していたので、

今日は車の窓を全開にして、出来るだけカーブではスピードを落として運転していたが、

それでも後ろの座席は静まり返っていた。

先週は剣山の登山道の真ん中で見たが、今日は国道の真ん中で立ち止まっていたバンビ

ちゃん。しばらくして逃げていく後ろ姿。




雲早トンネルを抜けて左折して剣山スーパー林道に入る。昨年独りで来た時はまだ林道

の途中が崩落していて通行止めになっていた。その時あったゲートは取り払われ、今日

は登山口まで車で行けるようになっていたが、路面の状態が分からないので曲がって直

ぐの路肩が広くなった場所に車を停める。その路肩の端には見覚えのある電力の保線路

の番号杭があった。

十年近く前にシャクナゲ尾根への下り口から、さらに西に下って鉄塔に沿って周回して

最後に沢から登ってきた場所だった。その時のことを奥様たちに話をすると、二人の目

が輝いた。『今日もそのコースを歩いてみましょう!』と。







駐車した場所からスーパー林道を登山口まで歩いて行く。平日にもかかわらず何台もの

バイクとすれ違う。さすが国内でも人気の林道だ。








土砂捨て場で広場になった場所からはいつもなら高城山が見えるのだが、今日は雲がか

かって目印のレーダー雨量測候所も見えない。

林道の崩落個所はきれいに復旧されていた。崩落個所までは復旧工事で工事車両が通って

いた事もあって路面の状態は良かったが、そこから先は角ばった石がゴロゴロし始めてい

た。やはりトンネル近くで車を停めて正解だった。













道が那賀町から神山町に入ると山側に見覚えのある車のホイールキャップが置いてあった。

この場所がシャクナゲ尾根への取り付きになる。ここから少し進むと雲早山の登山口。







鳥居を潜って少しだけ急登を登ると、あとは沢沿いの道になる。眩しく光る木々の緑の

中を、流れる沢の水が涼しげな風を運んでくる。この真夏の酷暑の下界では考えられな

い快適さだ。

















作業小屋跡まで来るとその沢からも離れていく。以前は広場になっていた場所も今はほと

んどその面影がないが、カツラの大木だけは今も健在だ。

ここからは方角を変えて東に谷筋を登って行く。周りにはまだつぼみにもなっていないシ

コクブシがそこらじゅうで葉を広げていた。













谷筋についた道は正面に明るく見える稜線の手前で、また南東に振って続いて行く。九十

九折れの道をやり過ごすと道の脇が苔岩の斜面になる。














苔庭からはすぐにパラボラの道標のある高丸山との分岐に出た。『ここから熟達者は高丸

山を往復するんですよ』『また途中から北に行くと菖蒲権現から大川原高原への稜線にな

ります』と説明すると、『そしたら線を繋げていけるのね』とあっちゃん。『あんた繋げ

ることしか頭にないのね』とルリちゃん。










木々がまばらで晴れていたら日差しが照り付ける山頂までの稜線も、今日は時々ガスが

流れて予想以上に暑くはない。








山頂からは相変わらず高城山の測候所は見えなかったか、南東の高丸山までの稜線は雲

に隠されることなく見ることができた。時間は11時だったが、誰かがうるさくなる前

にお昼ご飯にすることにした。

腰掛け各々お弁当を広げると、まるで避暑地にでもいるように、心地よい涼しい風が吹

いてきた。家にいるときとは雲泥の差だ。
















お昼を食べた後はまずはシャクナゲ尾根への道を下って行く。尾根から以前はなかった

小さな道標から下って行くと、しばらくは踏み跡も分かりづらい広々とした斜面だった

が、次第に踏み跡の残る尾根へと変わって行く。











途中からは今まで見えなかった高城山の測候所や北には岳人の森が見えた。
















自然林の雰囲気のいい支尾根の道。地形図では町境の線が北に折れている場所からがシ

ャクナゲ尾根になる。
















今日はここからさらに西へと下って行く。地形図で支尾根が分かれた場所では、傾いた境

界石杭から右手に進んで行く。













するとすぐにシャクナゲの群生が現れた。シャクナゲ尾根と比べるとその規模は小さい

が、開花の時期は見ごたえのありそうな尾根だ。











シャクナゲ尾根を過ぎても色々と変わり種のある尾根だった。暑苦しくまとわりつくヒメ

シャラの木や、本宮山のクジラ岩を小さくしたようなミニクジラ岩。そして何やら怪しげ

なほっかむりをした奥様と、枚挙にいとまがなく楽しめる。











調子よく世間話をしながら下って行く奥様たち。その姿を見て一抹の不安がよぎる。さ

っそくYAMAPのルート図を見てみると、案の定北に折れる場所を通り過ぎていた。

あわてて奥様たちを呼び止めて引き返す。ルート図に乗っている分岐の場所まで戻ると、

ちゃんと赤テープが何本も巻かれていた。











ここからは急坂が続いて行く。シャクナゲ尾根も急坂だった、それでもシャクナゲの根

や木があってゆっくりと下って行くことができたが、このルートは木から木へと掴まり

ながら飛び移り、何とかスピードを落として降りていく。ただその度に踏ん張るので膝

の痛みが酷くなる。











奥様たちはリズムよくスピードに乗って降りていくのでどんどん離されていく。自然林

から杉林になっても相変わらず急な坂は続いて行く。するとルリちゃんから『鉄塔よ!』

と声があがった。











広場の鉄塔は陰平線38番鉄塔だった。ここから釜ケ谷川を越えて車を停めたスーパー

林道の上を電線は続いていた。以前に歩いた時は尾根から36番鉄塔に出たとブログに

書いてあったので、前回は今下ってきたルートとはまた別のルートを下ったようだった。

鉄塔の横でルリちゃんが『林道に停めた車が見えるわよ』と言っているが、立ち止まる

とジンジンと膝の痛みが酷くなる。とにかく下りの坂を早く終わらせたいので先に釜ケ

谷川へと続く保線路を下って行く。







杉林の中の九十九折れ道を下って行くと見覚えのある鉄橋が釜ケ谷川に架かっていた。








ただ記憶は曖昧なもので、一カ所だけだと思っていた橋は合計3カ所あった。帰ってそ

の時のブログを読み返してみると、ちゃんと3カ所渡ったと書いていた。










三つ目の古い橋を渡ると車を停めた場所までの最後の急登になる。距離は短いがその斜

度はかなりのもので、前を行く奥様たちが頭の上を歩いているように見える。

時間にしたら僅かだったが、大汗を掻きながら何とか登りきると愛車の真後ろに出た。




















この後汗を掻いた服を奥様たちも着替えるというので、私は車を停めた一つ先の場所ま

で移動して、『あっちで着替えるので、着替えが終わったら声をかけてくださいね』と

言って、次のカーブの路肩が広くなった場所で着替えをする。

上着を脱いでショーツを脱ぎ、着圧タイツを膝まで降ろして座り込もうとした瞬間に、

前方のカーブを車が曲がってきた。着圧タイツの下は下着は履いていなくてフ〇チン

状態。着圧タイツで身動きが取れずに、上半身と膝まで丸裸の状態で慌てて股間を手

で隠したが、時すでに遅し車は目の前を走り去って行った。

車の運転手の身になったら、山の中の道の脇で裸のおっさんがいたら、さぞかし驚いた

ことだろう。かと言う私もこれほど恥ずかしいことは今までなかった。

『着替え終わりました!』と声がしたので、車まで戻ってその話をすると二人は笑い転げ

ていた。



岳人の森までの車中もその話で盛り上がり、『ひょっと観月茶屋にさっきの車の人がい

たらどうしよう?』と話をすると、また一段と笑い声が車内に響いた。

観月茶屋は営業時間が終わっていたので、開いた窓から『すみません!』と声をかける。

出てきた充さんに、『入場したいので!』と言って入場料を払う。

先週の土曜日と同じように上のキャンプ場まで車で行って、同じように順路通りに歩い

て行く。以下は岳人の森の花たち

ヤマシャクヤクの実


ヒオウギ


ウバユリ


キレンゲショウマ


キツネノカミソリ



ここからがお目当てのレンゲショウマ!







ゆら~りゆらゆら











周りの花に見える白と薄紫のグラデーションはガク








ニッコウキスゲ




ひととき『森の妖精』を眺めた後、岳人の森をあとにする。沢沿いの水の流れと尾根で

はガスが流れて終始涼しかった雲早山。そんな避暑をあとにいっぺんに暑さのなかの現

実に戻され家路につく。








初めて見るレンゲショウマ。とその前に・・・。

2024年08月04日 | 四国の山
ここ最近YAMAPの活動日記で目に付いたレンゲショウマ。初めて見る『森の妖精』

と呼ばれる姿は、今にも折れそうな細い茎の先に、割と肉厚な白に薄紫のガクが透明感

があって、可愛らしすぎて一目ぼれしてしまった。

活動日記では少し前から見頃と書かれていたので、そろそろもう終わりかなと思って出

かけてきた。ただどうせならこの時期に訪問する剣山のキレンゲショウマも見てみたい

と思い、剣山から岳人の森への計画をたてた。


剣山の見ノ越から岳人の森までは約50km。移動時間にして1時間以上はかかるので

少し早めに家を出た。7時30前には見ノ越に着いたが、さすがこの時期のしかも土曜

日の剣山。観光バスが停まり、第一駐車場の日陰になる1階はすでに満車の状態だった。

身支度を済ませて劔神社への石段へと向かう途中で、お腹がグルグルなった。何か変な

ものを食べたわけでもないのに、昨日の夜中に二度ほどトイレに立った。その続きだろ

うか、建て替えできれいになったトイレを初めて利用した。


劔神社の石段には例大祭で飾られていた提灯は下ろされ、いつも見る石段になっていた。

まずは神社にお参りして登山口から取り付いて行く。







拝殿の前の花手水鉢のアジサイもこのところ続く暑さのせいか少し枯れ始めていた。た

だし暑さといっても下界と比べると快適そのもの気温だ。







普段は9時から運行しているリフトも、今月は8時から営業を開始していて、登山道の

トンネルを通る頃には、ザックを膝の上に載せて腰掛けている人たちが登って行ってい

た。後ろから来た細身の男性はあっという間に私を抜き去り、すぐに見えなくなってし

まった。










月曜の会食に始まって、火曜からの3日間の出張でほぼ呑みの夜だった今週。そのせい

か身体が重い。いつもなら焦ることもないこのコースだけれど、今日は下山後に移動し

なければならない。気がせくわけではないが歩くペースが気になる。











いつもの定点観測の場所からはガスが流れて雲海荘を隠してしまっていた。西島駅まで

来ると次々とリフトから降りてくる人の姿があった。剣山山頂と同じように、正面に見

える三嶺にも雲がかかっていた。













その右手に見える塔ノ丸の緩やかな南斜面には、雲の影が映し出されてまるでホルスタ

インの背中の模様のように見えた。丸笹山山頂近くの笹原は陽が当たって輝いている。







リフトの降り口の横を通り、まずは刀掛けの松へと登って行く。今までほとんど目に入

らなかった小さな花たちが足元に目立つようになってきた。













刀掛けの松のベンチでは親子連れが腰掛け休んでいた。その4人の前を通って行場へと足

を運ぶ。足元は登山道のよりさらに白い石灰岩が目立ち始める。







途中の鶴の舞の手前にはネットで囲んで保護したお花畑がある。














不動の岩屋の下を通り、鎖場を横目に見て進んで行くと、お目当てのキレンゲショウマ

が咲いていた。








すると下から登ってくる男女。どこかで・・・・と思ってみていたら、石鎚の山女?の

さおりんさんだった。今日は石鎚山荘のスタッフと一緒に来ているそうだ。『これから奥

槍戸へ行く予定です』というので、『私は山頂へ登ったあと岳人の森へレンゲショウマを

初めて見に行きます』と話をする。すると『リフトの下にも咲いていましたよ!』と。

絶滅危惧種と聞いていたのに、この剣山でも咲いているなんて・・・・。

さおりんには『また秋に石鎚山に行きますね』と言って別れた。













鎖場の下から両剣神社が見える辺りまで下って折り返す。キレンゲショウマの周りには

先週、皿ケ嶺で見たギンバイソウとツルギハナウドも咲いていた。











登山道の脇から不動の岩屋へと登って行くと、岩屋の奥からは冷気が漂ってきた。覗き

込むとはしごの下から勢いよく流れる水の音が聞こえてきた。














岩屋の横から山頂への道に取り付くと、ロープがかかり木の根が縦横無尽に走る階段状

の急坂になる。太い木の根のアーチを潜り登って行くと、岩屋の岸壁の上部に出る。そ

こからは笹の道。前回歩いた時よりも笹は刈りはらわれて歩きやすくなっていたが、道

の上に残された笹が、枯れて乾いて滑りやすくなっていた。
















笹の斜面も九十九折れの急登が続いて行く。それでも樹林帯の日陰のお陰で何とか少しづ

つでも登っていけた。そのうちに刀掛けの松からの道との合流点と雲海荘が見えた。あと

少しで山頂だ!








宝蔵石神社の前は大勢の人で賑わっていた。神社では輪くぐり神事が行われていたので、

鳥居の下の輪を潜ってお参りをする、『これで魔除と昇運はバッチリ!』と思っていたら、

お参りを終えた後に見た張り紙には『八の字を描きながら巡る』と書いてあった。

普段から取説をちゃんと読まずに後で後悔する性格がここでも・・・・。





平家の馬場の木道では、雲がかかって涼しい風が吹いていた。山頂から見る次郎笈への

稜線に雲の隙間から陽が当たり、周りの笹の若々しい緑を浮かびあがらせていた。

いつ見ても見飽きない素晴らしい眺望だ。
















山頂から西のテラスへ移動する。今日はキレンゲショウマとは別に、ぜひ見ておきたい

ものがあった。西のテラスの少し下にあるという鶴岩と亀岩だ。ソロモンの秘宝の伝説

と関わりの深い鶴岩と亀岩。以前から二つの岩の存在は知っていたけれどその場所がイ

マイチ分からなかったが、ネットで調べていく内にこの西のテラスの下の二つの岩がそ

うだろうということだった。

テラスに上がって直ぐに段差の少ない場所から北側の笹原に下りる。踏み跡を辿って行

くと以前は登山道だったのか、朽ちかけた小さな道標があった。その道標が示す方向と

は反対に踏み跡を降りていくと、目的の鶴岩と亀岩があった。果たしてこの二つの岩が

間違いなくそうなのかの真偽のほどは定かではないが、また色々と調べてみようと思う。

亀岩の上に登って下を見ると大剣神社の赤い屋根と御塔岩が見えた。

その高度感に股間がざわッとしたので、慌てずにゆっくりと振り返って戻って行く。













『かごめかごめ、かごの中の鳥は・・・・鶴と亀が滑った』の動揺を謡いながらテラス

に戻る。そしてテラスで腰掛けて軽く菓子パンと水筒に入れたカフェオレで食事をとる。











本来ならもっとゆっくりしたかったがこの後の予定があるので、テラスをあとにする。

時折ガスが流れて陽を隠したり青空を見せたりと変化のある空模様だ。







山頂から刀掛けの松への下りでは、まだまだ登ってくる大勢の人の姿があった。途中す

れ違った高校生の団体は背中に『松山中央高校』と書いていた。まだ今時登山部に入っ

て、これだけの人数の若者が山に登っている姿を嬉しく思った。





途中道の脇でネットで囲んだ場所にはたくさんの花が咲きお花畑になっていた。




















西島駅では今度は中学生らしい男女が登ってきた。やはり週末は、いつもの平日登山と

は違った若い人たちの姿を見ることができて楽しい。





西島駅から見ノ越に下り始めて直ぐにまたお腹の調子が悪くなってきた。そう言えばね

こバスさんがYAMAPの活動日記に『⚠️この先センシティブな内容が書かれています

ので心して読んでください』と断りを入れたうえでその様子を克明に描いていた。

その時は『よく分かるわ~』と思いながらも他人事、軽い気持ちで読んでいたが、まさ

か直ぐに自分の身に降りかかってくるとは思わなかった。

寄せては返す波の様、大きく口では息をせずに、小さく小刻みに鼻呼吸しながら整えて

いくが、予告もなく大波が押し寄せてくる。西島駅まで戻ろうかと思ったが、あのきれ

いなトイレで小こそしたことはあるが、大は経験がない。あのトイレの扉は開けるのが

怖い。そう思いながら冷や汗を搔きながらも下って行く。できるだけ他ごとを考えなが

らと思うのだが、どうしてもねこバスさんの『センシティブな内容』という言葉が浮か

んでくる。しかもこのコースは最悪の事になっても脇が急斜面になっていて逃げ場がな

い。どうしようかと思っていると目の前の道の真ん中に鹿の姿が!

いつものことでじっとこちらを見ているが、けっこう人なれしているのか一向に逃げる

気配がない。カメラを取り出し何枚も撮るが、こちらが動いて初めて登山道の脇の斜面

を登って行った。それでも時々立ち止まってはこちらを見ている可愛い子だ。

このバンビのお陰で、ピークの波がしばらく引いていき、見ノ越のトイレに駆け込んだ。











トイレで至福の時間を無事終えて車に乗り込みトンネルを抜けてコリトリへと下って行

く。剣山にはもう何十回と来ているのにこの道を走るのは初めて。地図で見てもいった

い何十回曲がっているの?と思うくらいくねくねとした道だ。

それでもコリトリまで降りてくると道幅は広がり比較的真っすぐな走りやすい道になる。

途中で県道260号線との交差点で左に大きな木の鳥居が見えた。瀧宮神社の鳥居だっ

たが、その鳥居の脇に見覚えのある花が咲いているのが見えた。『あっタキユリだ!』

そう思って車を停めて近寄って見ると高知まで出かけて見に行っていたタキユリが咲

いていた。周りを見たがこの場所にこの何株かが咲いているだけだった。それでもこれ

だけ咲き誇っているのが見られてラッキーだ!

















川井峠を越えて神山町に入ると、岳人の森への193号線へ分岐の手前にある『ふなと

』に暖簾がかかっていた。剣山で食べたのは菓子パンだけだったので、さっそく店に入

る。メニューはかかっていたが店主のおばさんが『ラーメンでいいかね』というので、

『はいラーメンで!』と答える。出てきたラーメンは小腹が空いていたのであっとい

う間にたいらげた。











岳人の森の観月茶屋では充さんが忙しそうにかき氷を作っていた。店先でそれを運んで

いるお母さんに、入場したい旨を伝えて500円を払うと店の奥に座っていた山田さん

が立ち上がって地図をもってレンゲショウマの咲く場所を説明してくれた。今年の1月

に重機の事故で命に関わる危険なケガをしたそうだが、お店に出られるくらい回復した

ようだ。『順路通りに進んだらいい』と教えてもらった通りに歩いて行く。

最初に教えてもらった場所はネットで囲われたキツネノカミソリ咲く場所。

ヒメウギ


マルミノヤマゴボウ


オオキツネノカミソリ






その次に、前回はヒメシャガの咲いていた上部はパスして『ゆきしろの池』に行くと

その先でお目当てのレンゲショウマが目に飛び込んできた。すでに大きなカメラを抱

えた人が二組いた。写真で見た通りの蝋細工のような半透明の薄紫のガクと花は、期待

通りの可愛らしさだった。





























そして最後はこれも山田さんに教えてもらったニッコウキスゲ。大きな花びらを空に向

かって開いて、とても勢いを感じる花だった。














帰り道、山川町に入り何十年ぶりかで『ふいご温泉』に立ち寄って汗を流して帰る。

今日一日、思わぬ人に会い、思わぬ場所で鹿にも会い、そして思わぬ花にも出会って

最後は念願の花を見ることができた、とても充実した一日だった。