KAZASHI TREKKING CLUB

四国の山を中心に毎週楽しく歩いています。

『線で繋ぐ石鎚山~剣山』丸石分岐~三嶺

2022年10月27日 | 四国の山
色々と条件が重なってこのところ停滞していた『線で繋ぐ~』をやっと再開できた。

残す所は天狗峠から三嶺と三嶺から丸石分岐まで。丸石分岐から次郎笈・剣山は各々が

過去に歩いているのでトラックが取れている。問題は今日歩いた奥祖谷二重かずら橋から

丸石分岐まで登り、高ノ瀬・平和丸・カヤハゲを経て三嶺へのルート。一台を名頃駐車場に

デポして、奥祖谷二重かずら橋へ移動してスタートする計画。距離にして16km、

行動時間10時間近くなると予想していた。その距離と時間に少しビビっていたのが

ルリちゃんと私。あっちゃんはと云えば、登山の距離や時間ではなく、朝起きる時間が

今までの中で一番の早起きになるのにビビッていたらしい。停滞して1ヶ月が過ぎたが、

その間その早起きの事がずっと頭から張られず気がかりだったそうだ。


その心配も今日限りでなくなった。朝7時に名頃に集合して予定通りのコースで歩いて行く。

自宅から一字を過ぎ、小島峠から菅生への道を走ると次第に空が明るくなってきた。

峠に近づいてくると何度も道に鹿が飛び出してきた。鹿は好奇心が旺盛なのか、よく一旦

立ち止まってこちらの様子を伺ったりするのだが、カメラを取り出しもたもたしている内に

走り去っていくので、なかなか写真を撮る事が出来ない。







名頃の駐車場には既に数台停まっていて、その内の何組かがザックを背負ってスタートして

行った。するとあっちゃんから電話が入ってくる。途中でアクシデントが起き少し遅れるとの事。

気温は5度。少し肌寒いので車の中で待っているとほどなく二人を載せた車が到着した。

直ぐに車を乗り換え二重かずら橋に移動して、予定より30分遅れでスタートする。

朝露に濡れたかずら橋を、踏み外さないように注意しながら渡りきると、右手に折れて

丸石谷川に沿って右岸を歩いて行く。














夏場ならその水の流れの音に涼しさを感じるのだが、この季節になり、まして未だ陽の

当らない道では肌寒さをなお一層助長する。やはりもう手袋が必要な季節になってきた。










30分強でこのコースのランドマークの国体橋に着いた。丸石谷川の左岸へこの橋を渡って行く。










橋を渡ると次第に丸石谷川からは離れ、九十九折れの登坂になっていく。ここから丸石分岐までは

地形図を見ても右に左に何度も折れた破線の道になっている。地形図で破線がここまで折れている

道も珍しい。その地形図の通り道は何度も折り返して続いて行く。先ほどの遅刻を気にしているのか

先頭を歩くルリちゃんが、何かに取り付かれた様に黙々とそしてガンガン飛ばして行く。










登山道はまだだが、見上げた山並みには陽が当たり始めた。周りの紅葉もやはり日陰よりも

陽が当たった方が輝いて見えて綺麗だ。










国体橋を渡ってひたすら登り、少し飽きてきた頃に道は少し緩やかになってきた。

そして1時間40分で丸石分岐に着いた。











分岐から左に丸石避難小屋に取りあえず寄ってみる。7年前に剣山から歩いてきた時は

風が強くてとにかく寒くて、あまりいい印象のなかった丸石避難小屋だったが、

小屋の西側も南に開けていて明るく、以前に比べて印象が随分と違って見えた。







北側の祖谷渓から吹き上げてくる風がとても冷たい。小屋を背に風が当たらない場所で

一息入れる。その小屋から先ずは高ノ瀬に向かって歩き始めると、あっちゃんが『やっぱり

寒い!』と言いながら上着をもう一枚羽織っている。




分岐からしばらくは冷たい風を感じながらの樹林帯の中の道だが、すぐに開けた日差しの

中の明るい道になった。前方に笹原のピークとその横に三角のピークが見えた。

『高ノ瀬はどっちかな?』と三人で話しながら歩いて行く。














丸石分岐との鞍部からその笹原を目指して登って行く。山頂の手前までは樹林帯の中の道。

木々の間から右手に塔ノ丸、そして中東山が見える。













樹林帯の中、標高が上がってくると道には大岩が現れた。その岩の上で何やら物思いにふける?

あっちゃん。露岩が現れるとどこでもそうだが山頂が近づいて来た証。岩の陰には苔むした

岩の日本庭園もあった。












その樹林帯を抜け山頂近くになってくると一気に眺望が開けてきた。次郎笈と剣山の山頂

近くが少し白く見えるのは霧氷?。塔ノ丸の稜線の奥に丸笹山も見える。










笹原と白骨林を見ながら山頂へと登って行く。先ほど見えた手前の笹原が山頂だった。

三等三角点 高ノ瀬(こうのせ) 1740.7m














今まで西に続いていた稜線はここからは南西に振って北側に見える景色が変わってくる。

今まで見えなかった三嶺が姿を現し、今日最終下って行く麓の名頃も見える。

丸石から続く稜線と、その奥の次郎笈と剣山のフォルムが何とも言えずに美しい!











高ノ瀬からは笹と、葉の落ちた木々の間を緩やかに下って行く。三嶺のコメツツジが色付いて

いる様子も見て取れる。一旦下りきると鞍部から石立山分岐への登りになる。














ピークの手前に『オオヤマレンゲ群落』の説明版。その中で四国では最大規模の群落と

書かれている。ネットを張りニホンジカの食害から保護しているが、その個体数は

減少しているという。毎年シーズンにはこのオオヤマレンゲを一目見ようと、ここまで

登ってくる人も多いと言う。










その説明版から西に東祖谷側にはけっこうな距離をネットが張られていた。石立山分岐を過ぎると

三嶺がさらに近づいて来た。平和丸の笹原の左には白髪山。そして右にはカヤハゲから

三嶺への稜線が続いている。そのカヤハゲの奥には天狗塚が近眼の私にもはっきり見える。














道の脇の岩の上で、今から歩く稜線をバックに奥様たちの記念撮影。これぐらいの岩なら

高い所が苦手なルリちゃんでも平気なようだ。











この辺りからは稜線に沿ってではなく、少し南側下にトラバースする形で道は続いている。

下り坂の途中にある大岩にあっちゃんがまた登った。三嶺をバックに笑顔の一枚!

『ルリちゃんも!』と声を掛けるが、この高さになってくると『遠慮しとくわ!』とルリちゃん。











別府峡へと続く谷筋への支尾根の彩りも、もうそろそろ終盤かな?

手前の少し低いピークには白いオベリスクの様な岩が数本直立しているように見える。

道はその尾根の下を横切る様にして続いている。その岩は近づいて見ると尖ったようには

見えず、普通に大きな岩だった。













道は相変わらず稜線をトラバースしながら徐々に標高をあげて行く。小ピーク直下の

石灰岩の岩の間を抜け稜線に近づくと、北側は樹林帯、南側は笹原の歩いてきた尾根から

石立山分岐のピークの奥に次郎笈が見え隠れしている。













1732mの標高点のあるピークは比較的平らなピーク。笹の草原の向こうで三嶺が手招き

している。また一段と近づいて来た感じがするが、まだ距離的にも時間的にも予定の半分に

届いていない。その三嶺と反対に次郎笈と剣山は次第に遠のいて行く。




















1732mの標高点からは急な下り坂が現れた。『勘弁してよ~』と口に出るくらい下って行く。











一旦鞍部まで下り樹林帯の中を登って行く。何だか滑稽な枝ぶりの白骨樹を横目にみながら

樹林帯の中から視界が開けると平和丸に着いた。三等三角点 菅生 1700.7m













時間は12時前。当然ここでお昼ご飯となる。三嶺をバックに贅沢な時間。

さすがに今日は温かいインスタントラーメンが体を暖めてくれた。








昼食は20分ほどで済ませて次のポイントとなる白髪避難小屋を目指す。ここからも

一旦下り坂となる。避難小屋のピークとカヤハゲとの鞍部の向こうに天狗塚。

少し視線を左に移すと白髪山。以前は山麓から4時間近くも掛かるベテラン向けの山だったが

峰越林道が開通してから登山口から40分ほどで登れる気軽な山になった。その登山口に

続く峰越林道もよく見える。











平和丸との鞍部から樹林帯の中を登り返して行くと白髪山への稜線と、正面に白髪避難小屋が

見え始めた。この小屋は丸石避難小屋とほぼ同じような形をしている。











三嶺の小屋泊もいいけれど、ここから三嶺を眺めながら泊まってみるのもよさそうだ。

周りには下草を刈ったテント場もある。外で星空を眺めながらの一杯もいいだろう。










避難小屋から白髪山への分岐までは登りになる。その斜面ではススキが風に揺られ、陽が当たり

眩しいくらいに銀色に輝いている。










分岐の手前まで来ると、振り返ると避難小屋の奥に今日歩いてきた稜線が続いている。

剣山と丸笹との鞍部には見ノ越の建物が見える。







白髪山への分岐からはこの尾根の西側、綱附森が姿を現した。この間緑の濃い時期の

当然勢いのある笹の中を歩いて苦労した山だ。北に視線を向けると三嶺の手前に、少し

山肌の色が違うカヤハゲ。ここから見るとこの場所とほぼ変わらない高さに見える。











このまま水平に道が続いてくれればいいのだが、そうは問屋がおろさない。今日一番の

急坂が待ち構えていた。樹林帯の中から一旦出ると、道はザレてさらに滑りやすくなった。

終盤に差し掛かってここでも『も~お勘弁してよ!』というくらい下って行く。
















鞍部まで降りてくると、先程の分岐からはほぼ同じ高さに見えたカヤハゲが、随分と高く

そびえて見える。まだこれから始まる登りに『ハア~』とため息ひとつ。




カヤハゲへの登りで2組のご夫婦とすれ違った。今日は名古屋から飛行機で来て、白髪山から

三嶺を往復しているそうだ。そういえば石立分岐ですれ違った男性も愛知から来たと言っていた。

その男性もこの四国のゴールデンルートがとても気に入ったと笑顔で話をしていた。

登りの途中にあるにろう越えの鐘を三人がそれぞれ鳴らして、その音の出来不出来を

言い合いながら暫し戯れる。途中からは高知の市街地と太平洋がくっきりと見えた。

















カヤハゲへの登りの山肌も、ススキの穂が輝いていた。高い所が大好きなあっちゃんが

また大岩に登っている。カヤハゲのピークで三嶺をバックにいよいよラストスパートだ!














ここから三嶺まではコースタイムで1時間15分。目の前に迫ってはいるがまだ時間はかかる。

15時を目途にがんばりましょう!(とは言っても足を引っ張っているのは私だが)













ただ無情にもまた下り坂になる。先ほどの分岐からの下りは下草が笹だったが、この斜面は

苔が一面に張り付いている。日陰でもなく日当たりのいいこの場所に、不思議な感じがした。











思っていたより鞍部には直ぐ降りた。さあ~ここからは最後の登り、もうひと踏ん張り!











それでも少しづつ足を踏み出し続けると、山頂との中間部に見えた天狗岩が近づいて来た。

遠目ではそうでもないが、近づくとかなり大きな岩だ。











その天狗岩の右手から鎖を使って登って行く。鎖の苦手なルリちゃんも仕方なく登って行く。

天狗岩を登りきると岩肌のコメツツジとカエデの赤が目に飛び込んできた。

その天狗岩に登って戯れる二人を、決して近づかないルリちゃんが写真を撮ってくれた。














天狗岩の上部からは山頂にかけての絶景が広がっていた。山頂近くに点在する白い巨岩に

赤茶けたコメツツジの色、そしてその裾に萌黄色の笹の山肌が広がっている。

以前にセニョさんと歩いた時は9月だったのでまだ山頂付近は緑一色だった。これだけの

景色は初めてで感動すら覚える。

テキサスゲートではカップルが腰を降ろして休んでいた。

今日は白髪小屋から来て三嶺の小屋泊だそうだ。この時間に白髪の小屋から?と思ったが、

これだけの景色。急いで登り下りする事もない、ゆっくりのんびりと楽しむのも良い。

















山頂に続く景色もいいが、右も左も素晴らしい景気が広がっていた。最後に急登が待ち構えて

いたが、この景色を見ながらなら苦にならない。山頂から西の青ザレと東に見える太郎と次郎。

そしてまた一段と高知の市街地がクッキリと見える。

















最後の岩場は鎖を使わずに登って行ける。その岩場を乗っ越すと最終地点の三嶺到着!














時間は15時10分前。予定より少し早く着いたが、さすがに山頂には男性が二人だけ、

いつもは登山者で賑わう山頂は閑散としていた。その二人も今日は山頂小屋に泊りだそうだ。

大阪から来た初老の男性二人も、四国の山は良いねと褒めてくれた。それにしても今日

すれ違ったほとんどの人が四国外から来た人たちだった。それだけに今日のコースと

この三嶺は、四国外から高い交通費を払ってでも来てみたい魅力のあるコース、そして

山なんだと一日歩いて来て感じた。

それでは最後、名頃まで日が暮れないうちに下って行こう。山頂から小屋への道は今まで

何度も見た景色だったが、急峻な岩肌とコメツツジの山肌が今まで見てきた中では一番の

景色に見えた。それは同じ景色を何度も見てはいるが、今日は奥祖谷のかずら橋をスタート

して7時間以上歩いてきた達成感が、そう感じさせてくれたのだろう。山頂池からの下りは

段差もあり急な坂。最後に転倒しないように慎重に下って行く。
















ザレ場を過ぎると足元も比較的歩きやすくなる。南側の今日歩いた稜線には、そろそろ

低くなってきた陽が当たって、山肌の陰影がクッキリしてきた。最後の大岩を過ぎると

タヌキのかんざし(マユミの木)。以前に比べると緑の苔がまとわりついて、何だか随分と

年を取ってきたように見える。








タヌキのかんざしを過ぎると広尾根を右に左に振りながら下って行く。足元には随分と

落ち葉が降り積もり、頭上の紅葉と同じくらい斜面を染めている。

周りの木々の紅葉も陽が当たらないがそれでもきれいに見える。これだと陽が当たった

状態なら、それはそれは見応えのある素晴らしい景色だっただろう。














奥様たちは山頂から『2時間で下るわよ!』と言って、超特急で下って行っている。

逆に私はと言えば、その周りの紅葉が目移りして度々立ち止まり、なかなか前に進まない鈍行。














すると左手の斜面を駆け下りる動物が見えた。一瞬その音にビビったが、立ち止まったその

動物は可愛い目をした鹿だった。














木に首を挟まれた鹿のように見える倒木。可笑しいなと眺めていると、目の前を横切った

本物がじっとこちらを見ている。










山頂から1時間40分ほどで林道に出た。その間超特急で下りながらもずっとお喋りを続けて

いた奥様たち。今更ながら感心するばかりだが、このペースだと本当に2時間を切りそうだ。











ここ最近ずっと膝の調子が悪く病院にも通っていたあっちゃんが、ジム通いをし始めて

筋肉が付いてきたので、下りでも痛みが出なくなったという。ルリちゃんと二人で

週に何度か出かけているようだが、膝痛がなくなるのは良いが、これ以上鍛えてどんどん

歩くのが早くなってしまわないかと考えてしまうへっぽこリーダー。もう禁煙したぐらいでは

二人には追いつけそうにもない。ト・ホ・ホ~~!!














奥様たちの宣言通りに山頂から2時間を切って駐車場に到着した。陽が当たらなくなった

駐車場からは、夕陽に輝く塔ノ丸の肩が見えた。16,4km、9時間30分の行動時間。

今年に入っては最長の距離と時間になったが、沢沿いの道に始まり、九十九折れの急登。

そして樹林帯の尾根を抜けると笹原の絶景。急坂下りにプチ鎖の岩場と、今日一日で

一般的な登山のほぼ全てのバリエーションを歩く事が出来たと同時に、縦走路ではピークに

登る度にどんどん近づいてくる堂々とした三嶺の姿。しばらく停滞をして歩けずモヤモヤして

時間が長かった線で繋ぐだったが、とにかく天気も味方をしてくれて最高の一日となった。

残す所天狗峠から三嶺。達成に向けて楽しみと同時に終わりが近づく寂しさも・・・・。

何はともあれ最後のフィナーレをまたこの三嶺で迎えようとしている。







今日のトラック


今日は頂きには拘らずに彩を愛でる!

2022年10月21日 | 四国の山
毎月第三週はあっちゃんの都合で水曜日に出かけられない。WOC登山部で一緒に

歩いていた頃は、あっちゃんは第三週の水曜日は毎回欠席していたけれど、ルリちゃん

共に三人で歩くようになってからは、気軽に曜日を変更できるようになった。

『それじゃ~今週は木曜日に出かけましょう!』という事になったが、今度はルリちゃんが

金曜日にバスツアーで1泊2日の遠征に出かけると言う。予定していた丸石小屋から三嶺は

コースタイムで10時間ほどかかる。さすがのルリちゃんも、10時間歩いた翌日に遠征に

出かけるのは無理があると言うので、翌日に疲れを残さない程度に軽めに歩けて、帰りの

時間もいつもより早く帰れたらという連絡があった。なので今週もまた『線で繋ぐ~』の

残すところの2区画は順延となった。

それならせっかくなので今がベストシーズンの剣山の紅葉狩りに出かけましょうと声を掛けた。

昨年も同じ時期にルリちゃんの娘さんと4人で剣山から槍戸山を歩いたが、今回は先週に

アカリプタさんがYAMAPにアップしていた裏次郎の紅葉を見てみたいと思った。

但し剣山と次郎笈の山頂に登って更に丸石分岐近くまで歩くと、時間的に厳しくなるので、

今回は太郎さんにも次郎さんにも登らず、どちらもトラバースして裏次郎が見られる場所まで

歩いてみる事にした。これなら時間的にも疲労度的にもルリちゃんの条件をクリアできる。


今まで剣山方面に出かける時は、道の駅貞光ゆうゆう館の第二駐車場に集合して、そこで

乗り合せをして一台で出かけていたが、それこそ去年に4人で出かけた時に、山に登った後に

帰ってきたら『長時間の駐車禁止』の張り紙をされていた。道の駅たからだの里でも、

あっちゃんが叱られたりして、段々と肩身が狭くなってきた。それ以降は道の駅ではなく、

貞光町から少し南に走った路肩が広場になった場所に車を停めて乗り合わせをする事にしている。

前日にはWOC登山部でも剣山に登っていて、その時の様子がFBにアップされていた。

その写真を見ると色付きはピークを迎えていたし、今日の天気は100%の晴れ!


予想通り見ノ越の駐車場は普段停めている立体の1階の駐車場には停められず、2階の

駐車場に。周りは四国のナンバーより四国外のナンバーの車が目立っていた。

8時45分見ノ越の駐車場をスタート。まだ陽の当らない駐車場は少しヒンヤリとしたが、

歩いて温もってくれば上着はいらない程度の肌感だった。駐車場の奥に見える丸笹山

南斜面には陽が当たって輝いていた。

いつものように劔神社の石段を登りきると既に身体は温まっていた。神社に参拝した後

登山道へと取り付いて行く。簡易宿泊所の横の日陰の温度計は5度を示していた。














劔神社から西島駅までの間は植生も豊かで道の脇には巨木が並んでいる。剣山の北面にあたる

この辺りはまだ陽が弱く薄暗い雰囲気が残っていた。それでも見上げると木々が色づいているのが

手に取るようにわかる。これだと陽が昇ってもっと光が届き始めたら期待できそうだ。










今日は気温の割にはほとんど無風の状態なので、まだ体感温度は高いように感じる。ただやはり

吐く息は白く、立ち止まると直ぐに汗が冷えてくる。笹の斜面に立つダケカンバの紅葉も、

日が当たってまずまず。















西島神社の大岩を過ぎるといつもの定点観測の場所。但し往路ではいつも逆光なので、見た目

通りのきれいな写真にはならない。レンズに陽が入らないように少し位置を変えてみると、

緑の葉が丁度額縁の様になって、山頂直下の紅葉が映える。








西島駅には見ノ越から45分ほどで着いた。予想していた通り青空の下遠くまで見渡せる。

休憩所のベンチの前から見る次郎笈は、稜線の登山道を境に陽の当たり具合で笹の色が

違って見える。三嶺がいつもより近くに見えた。そしてその奥には四国中央部の山々。














リフト駅の横からは右手に丸笹山、そして少し左手には塔ノ丸とその奥に矢筈山










西島駅からは刀掛けの松へではなく、予定通り二度見展望台への道を歩いて行く。

歩き始めると直ぐに、歩いて踏んでしまうのが気が引けるくらいの紅葉の絨毯。













いつになくこちらの登山道を歩く人の数が多い。時々追い越しながらその都度『きれいですね!』

と声を掛けてすれ違う。昨年、ルリちゃんの娘さんのマリリンと四人で歩いた時も、この間の

紅葉は素晴らしかった。今日も陽が当たり始めて益々輝き始めている。











振り返って御塔石の南側の紅葉も見頃の様だ。二度見展望台から次郎笈の稜線と北斜面の

紅葉。葉を落とした木々の中にオレンジ色のカエデの紅葉が目立っている。











二度見展望台から先の登山道でもカエデの色付きが見ごたえがある。そのオレンジ色と

同じ色付きの奥様たち。『ん、ひょっとして意識して今日着てきた?』








剣山山頂との分岐で一息入れる。山頂からも次々と降りてくる人の姿が見える。

ここで今日の折り返し地点の話をすると、時間的には予定より超過するが、

あっちゃんが『丸石まで行ってみましょう!』と。

YAMAPでコースタイムを見ると、ちょうどお昼が丸石辺りになりそうだ。




ここから次郎笈峠までの道は何度歩いても気持ちがいい。足を踏み出すたびに近づいて

くる次郎笈と、その手前で小さなピークに続くくねくねとした道。そして今日は文句なしの

青空と、すそ野に広がる彩。も~~~最高!



















次郎笈峠の手前の大岩が見えてきた。いつもならここから次郎笈峠を越えて山頂までが

踏ん張り所となるが、今日は次郎笈峠から気楽にトラバース。剣山の山肌では、アカリプタさんも

書かれていたが笹が枯れてミステリーサークルのようになっている。

これはササコナフキツノアブラムシの仕業によるものだと書かれていたが、その写真を見ると

まさしく白い粉を噴いたアブラムシガが写っていた。このアブラムシの写真を見てしまうと安易に

枯れた笹の中を歩けないと思ってしまう。







次郎笈峠からは丸石に向かってトラバース道を歩いて行く。次郎笈の北斜面。遮るもののない

笹の斜面からは、北に遠くの山々が見渡せる。東西に続く阿讃山脈が所々で峠で標高が

下がった奥に街並みが見える。東側の街並みは恐らく高松市だろうが、その西側に見える

手前におむすび山とその奥に山頂が比較的平らに見える山とさらに奥に見える市街地。

そのおむすび山と平らに見える山が同定できない。視力が抜群のルリちゃんが言うには、

その市街地にはビルが建っているのが見えると言う。歩いて行くと少しづつ角度が変わって

見える範囲も変わってくるので、度々立ち止まっては、あ~でもない、こ~でもないと

三人で勝手な推測をする。高松市以外でビル群が見えるとしたら丸亀市ぐらいかなと思う

のだが、それにしても平らに見える山とおむすび山が同定できない。

奥様二人は綾歌三座だと言うが、その手前におむすび山?と疑問が残る。こんな時にもっと

ズームの倍率のいいカメラだったらと、次の物欲が湧き始めた。

平らな山は『城山じゃないですか?』と奥様たちに言うと、そうなると『市街地は坂出から

丸亀?』と言う事になった。それなら平らな山の西側に見える市街地にあるビル群も、丸亀

なら肯ける。色々とそんな話をしている内にルリちゃんが『瀬戸大橋が見える!』と言い始めた。

さすが視力バツグンのルリちゃん。私のコンデジのズームより優秀だ。

となると手前のおむすび山は讃岐七富士の高鉢山かな?











その山座同定だけでなく、山裾に広がる彩りを眺めては度々立ち止まり、なかなか前に進まない。














すると登山道の脇に一本の紅葉したカエデの木が見えた。夏場だとほとんど気にならない木だが、

今日は笹の中の斜面にオレンジ色が映えて目立つ。反対方向から歩いてくる人達も、

そのカエデの前で立ち止まっては写真を撮っている。














孤高のカエデを過ぎてトラバース道を回り込むと、西からの次郎笈山頂への分岐に出た。

コースタイムでは次郎笈峠からこの分岐までは15分ほどだが、度々立ち止まったせいで

30分近くもかかってしまった。

ここからは更に西の三嶺への稜線が見渡せる。分岐から少し下がって行くと、今日のお目当ての

裏次郎の紅葉。期待してた通りに山肌のキャンパスに、少し太めの筆の穂先でオレンジ色の

絵の具を散りばめている。


















その裏次郎を振り返っては眺めながら丸石へと歩いて行くが、途中で立ち止まり過ぎて予定

していた12時までには着きそうもない。提案したあっちゃんに『時間がもう少しかかり

そうなので丸石は諦めて、この辺りでお昼にしませんか?』と声を掛けると、もう正午を前に

して当然あっちゃんは『ハイ!』と即答してきた。












丸石分岐に下がる手前で適当に場所を探してお昼ご飯にする。登山道の北側の笹の斜面に

丁度笹が刈られた様になった場所があったのでここで腰を降ろす。腰を降ろしても三嶺までの

稜線が眺められる絶好の場所。ランチタイムの場所としては今年に入って一番だったかもしれない。

今日はコンビニで買った来来亭のカップ麺。『背油こってり』と書かれた文字を見てあっちゃんに

『最近太ってきているんだから、少しは考えないと!』と窘められる。







笹のテラスからは立ち上がると更に絶景が広がっている。中東山から石立山の稜線、もちろん

塔ノ丸と祖谷系の山々そして三嶺!目を凝らすと三嶺の左横には天狗塚も見える。










テラスの後ろには白骨林。明るい空の青と笹の緑そして無機質な白骨林の白色が何とも言えない。

その白骨林の間からは剣山の西斜面。山頂近くから裾野に彩りが広がっている。











景色もお腹も満腹にしたところで見ノ越へと折り返して行く。こちら側から見る次郎笈は

剣山山頂から見る山容とはまた違った姿に見える。
















今の時間反対側からやってくる人たちは、ほとんどの人が三嶺への縦走だろう。見ると背中に

大きなザックを担いでいる。その内の一人の若者にあっちゃんが『どこまで行かれるの』と

声を掛けると、『今日は白髪の小屋までです』と答えてくれた。今日は暑くもなく寒くもなく、

そしてこの青空の様子だと、それはそれは白髪の小屋から見る星空は最高だろう。











昨日のネットにはこの穏やかに見える次郎笈から西側で女性が滑落したとニュースが流れていた。

山頂への分岐から西は滑落するような場所は見当たらない。山頂から分岐までの間で事故が

起きたのかもしれない。残念な事だが決して他人事ではない。特に急な下り坂では十分に

注意しながら下らないと・・・・・。

次郎笈のトラバース道を歩いて行くと、小さな尾根筋を回り込むたびに剣山が近づいてくる。







二度見展望台から派生する支尾根の斜面は、他の山肌とはまた違った色付きを見せている。







次郎笈峠から見る剣山からの道には、まだ結構な数の人が下ってきている人の姿が見える。

今日は山頂からの次郎笈への素晴らしい稜線の景色を、大勢の人が楽しんだ事だろう。













二度見展望台までのトラバース道の紅葉も光の加減で、朝よりもまた一段と色が冴えている。

そして展望台からの次郎笈の笹の山肌も、朝とは違った光沢を帯びた色に見える。














ここから西島駅までの道もオレンジ色に染まったプロムナード。また度々立ち止まってしまう。














そうかと思えば白い石灰岩の御塔石や石灰岩の中の登山道と、また違った顔を見せてくれる。








ここからは途中の紅葉の様子。

これだけ見られれば今年の紅葉狩りは今日で終了でも大満足だ!
















西島駅に着くとトイレ休憩したり、ベンチに腰掛けたりする大勢の人の姿があった。すると

休憩所の横のベンチに腰かけているご夫婦の姿があった。ご主人は下を見ながらデジカメで

写した写真をチェックしているのか顔は見えなかったが、その横に座っている奥さんの顔に

見覚えがある。近眼なので近づいて確認すると間違いない。『Kyoさん!』と声を掛けると

見上げた顔は10年近く前に会ったのが最後だったが、ほとんど変わらないKyoさんだった。

『どうしたん?今日は木曜日やで』と聞かれてたのが最初で、色々と話し込む。

この10年間の間でKyoさんは体調に色々苦労をされた話をしてくれた。そして

話によると来年は讃岐里山倶楽部の20周年になるそうだ。記念にまた集まりたいねと話を

して、また毎年の香川のメンバーでの忘年登山にも呼んで欲しいとも言われた。

せっかくの再開だったのに、残念な事に一緒に写真を撮るのを忘れてしまった。

『西島神社から遊歩道の方の紅葉もきれいだよ!』と教えてくれた後、我々より先に

下って行くお二人。




西島神社まで下って定点観測の場所から雲海荘下の紅葉に別れを告げる。そこから左下に

遊歩道へと下って行くと、Kyoさんと静御前が話をしてくれた通りカエデの紅葉が素晴らしい。

















さらにこの遊歩道はモミジやブナやシロモジなど植生が豊かな道。その分彩りも豊かだ。



















祖谷川源流の谷を過ぎると右手に巨木。上から下までのグラデーションが素晴らしい。

三人で立ち止まって『ハア~』とため息をつく。これを見られただけでも遠回りにはなる

この遊歩道を歩いてきた値打ちがあった。奥様たちも感心してずっと間見上げていた。




















後ろ髪をひかれながらグラデーションの巨木を後に、遊歩道の緩やかな下り坂を歩いて行く。

さすがにもう登ってくる人の姿はなかったが、リフトにはまだ登りのリフトに載っている人の

姿があった。











見ノ越では朝と比べると第二駐車場の車の数が圧倒的に増えていた。私たちもそれほど早い

時間に出発したわけではないが、意外とゆっくりめにスタートした人が多かったのだろう。

沿面距離10kmで予定した時刻を少しオーバーしたが、累積の標高差が700mとあまり

なかったせいで、ほとんど疲れもなかった。これならルリちゃんの明日からの遠征にも

影響はでないだろう。帰りの夫婦池までの途中で、車を停めて太郎と次郎に別れを告げて

今年の紅葉狩りは終了した。





北の大地へ

2022年10月15日 | 雑記


奥さんが旅行社のチラシを見ながら『父さん、このツアーめちゃ安いよ!』と。

どれどれと見てみると2泊3日の北海道ツアーが〇〇交通社40周年記念で、

なんと39,800円。飛行機代・ホテル代・レンタカーの代金を含めてこの値段。

確かに無茶苦茶安い、安いと二人で盛り上がった。

そうなると奥さんはもう行く気満々。何回かある開催日の内、仕事を休める日がないかと

言い始めた。スマホのカレンダーを見てみると開催日の内の一つが何とか休みが取れそうだ。

早速奥様は予約を入れてテンションが上がってきた。チラシの旅行代金に参加人数と部屋の

種類で結局49,000円になったがそれでも圧倒的に安い。

しかも以前に問い合わせした時にはまだ対応できていませんと言っていたのが、数日前に

全国旅行支援が対応できるようになりましたと連絡が入った。

一泊につき8,000円。2泊で16,000円の割引となる。しかもホテルでコロナワクチンの

接種証明と身分証明書を提示すれば、一泊3,000円のクーポンが発行されると言われた。

ツアーには食事代は含まれていないが、このクーポンで十分食事ができる。

結局合計16,000円+6,000円の割引となる。


というわけで、私は3年ぶり、奥様は20年ぶりの北の大地を満喫してきました。

【一日目】

高松空港-羽田空港-新千歳空港-(レンタカーで)富良野-美瑛-旭川(ホテル)

どこを見ても紅葉真っ盛り!








名作『北の国から』の舞台の麓郷の森












夕暮れが迫る中寄ってみた四季彩の丘










そこから陽が沈む望岳台へ





今もなお噴煙の上がる十勝岳




美瑛岳と美瑛富士



【二日目】

旭川-美瑛-旭川

白金温泉にある白ひげの滝






ここ最近に観光名所になった青い池













大学卒業後に働いていた美瑛の牧場の畑







そして紅葉





昨日は日陰になっていたので出直した四季彩の丘









この景色の全てが開拓による人工的な景色だとは




私が一度は行ってみたかった旭山動物園







奥さんの今回一番行ってみたかった上野ファーム















【三日目】

旭川-小樽-新千歳空港-羽田空港-高松空港

シンガポールのマーライオン並みに期待外れの小樽運河







ということで思わぬキャンペーンで予想以上に安く出かけられた北の大地。奥さんのリクエスト

にもほぼ応えてご満足いただけました。これで当分は休日に山に出かけても大丈夫!(笑)

『線で繋ぐ石鎚山~剣山』が終わらぬうちに・・・・。

2022年10月05日 | 四国の山
スマホの天気予報の画面を見ながら『ハア~』とため息ひとつ。

『線で繋ぐ~』の三嶺のゴールデンルートを前に、どうもお空に嫌われているようだ。

水曜日の天気が悪いのなら、まだマシな火曜日なら予定を入れずに出かけられる。

そう思って予定を変更したのに、テンクラ、SCW共に三嶺付近の天気だけが悪い。

仕方がないので丸石小屋~三嶺はまたまた順延する事にして、さてさてどこにでかけよう。

祖谷周辺はダメだが、西の方は天気がもちそうだ。それなら

10月に入ったので石鎚山の紅葉は?と考えたが、週末の三連休にルリちゃんが、娘さんの

マリンちゃんと登る予定にしているという。『線で繋ぐ石鎚山~剣山』が終われば、次に

石鎚山から西の引地山まで線を延ばしてみようと考えていたので、まずは先行して二ノ森

まで歩ければと考えたのだが、ルリちゃんが週末に歩くのではダメだ。ん~ん~それじゃ~と

思いついたのが反対側の皿ケ嶺から東の陣ケ森。さっそくYAMAPで調べてみると、

上林トンネルから陣ケ森・前々司山・うなめごまで歩いている人がいた。うなめごから

更に先の井内峠まで歩けば次へと繋がって行く。さっそく奥様たちにその活動日記のURLを

送って、豊浜に7時に集合とメッセージを送ったのが前日の夜。するとあっちゃんから、

『了解です。水曜日豊浜7時ですね!』と返事が返ってきた。奥様たちはどこでどう勘違い

したのか、火曜日のつもりが水曜日にまた変更になったと思い込んでいた。慌てて『明日です

明日!』と送り返したら『ひえ~え~!』と。

当然奥様たちは準備にバタバタしたようだが、三人での山行だと前日のこんなバタバタな

やり取りでも、何とかなるのが手軽でいいところだ。

高速道路を川内ICで降りて県道23号線を西に、そして209号線を南に上林地区を

通って上林森林公園へと車を走らせると、途中で上林トンネル方面通行止めの看板。

『ありゃりゃ、やばいぞ~』と思いながら森林公園へ着くと、登山姿の男性一人と女性二人が

トイレの前にいたので『すみません、通行止めはどの辺りですか?』と男性に聞いてみる。

『最近そっちへ行っていないから判らんな~』との返事。『まあでもトンネルまで行っても

5分もかからんからダメだったら戻ってきたら』と教えてくれた。

『どこまで行かれるん?』と聞かれたので、『陣ケ森から井内峠までです。』と答えると、

『もうそんな馬力はないな~』と年配の男性が笑って話してくれた。

幸い通行止めは上林トンネルから南にさらに2.2km先だった。トンネルを越えて少し

下った道の脇の広場に車を停めて支度をする。

車を停めた場所からは正面に電波塔のある陣ケ森が『早くおいでよ!』と手招きしていた。











身支度を済ませてトンネルに向かって歩いて行くと、トンネルの脇から東に向かって林道が

続いていた。入り口にチェーンの張られた林道を道なりに歩いて行くが、ここ最近歩いた

林道が台風の影響で荒れていたのに比べて、とても綺麗?で歩きやすい。この道は電波塔

まで続いているので、日ごろから管理が行き届いているのだろう。トンネルの脇から5分

ほどで上林峠の小さな道標があった。その道標に従って道の脇の法面を登って行く。











登山口からは直ぐに尾根に出た。左に上林峠、右に陣ケ森の道標。ここで奥様たちが、

『そうそう、ここ通ったわ!』と行っている。『??』『え!陣ケ森は登った事があるん?』

と聞くと。何かで私が休んでいる時に二人で皿ケ嶺に来たついでに陣ケ森まで歩いたそうだ。







それでも二人はさらに先まで今日は歩けるので楽しみにしていると言ってくれた。陣ケ森に

続く尾根道はきれいに笹が刈り払われて気持ちよく歩いて行ける。







比較的緩やかな登坂。道の南側は人工林、北側が自然林の道が続いて行く。











すると右手にフェンスの中に大きな電波塔が見えた。電波塔を回り込むようにして進むと、

道は二手に分かれていて、そのまま真直ぐ進んで行くと陣ケ森山頂に着いた。分岐から

山頂までは笹が少し茂っていて、雨か朝露か笹に付いた露で直ぐにズボンが濡れていく。

山頂には四等三角点 陣ケ森 1206.8m







陣ケ森からは一旦下ってアップダウンが続いて行く。途中のスズタケは背丈をゆうに超える

高さで、これが刈られていなければ橡尾山どころではないねと、奥様たちと話しながら歩いて行く。











ここから西の皿ケ嶺は松山の方には最も親しまれている山だが、その皿ケ嶺から続くこの道は

所々にある道標や、草刈りなどは誰が整備してるのだろう?(後でわかったがエントツ山

さんのHPには、この道は“さくら山行会”のメンバーが毎年整備していると書かれていた)







今まで全く見えなかった北側の景色が、所々で木々の間から覗ける。

1162mの標高点を過ぎ、更に歩いて行くと1253mの場所に前々司山の山名標が立っていた。

地形図では山名は載っていないが、YAMAPでは山頂ポイントとして山名が載っている。

奥様たち、今日一つ目の山頂ポイントゲット。陣ケ森も初めてだった私は二つ目の山頂ポイント。

ただこの前々司山はその前後の高低差もなく、道の脇に山名標が建っているだけなので、

山頂といった雰囲気は全くしない。













道は前々司山から少し下ってまた登り返しになる。ブナの大木や自然林の中のとても雰囲気の

いい道が続いて行く。この辺りになると道は少し刈った後から年数が経っているのか、少し

笹が道に被っていたが、それでも全然歩きやすい。整備されている人の熱意を感じる。














霞んではいるが遠くに燧灘に浮かんでいる島々が見える。大きく構えた山容は東三方ケ森から

東の山々だろうか。麓に見えるのは井内の棚田が見える。









登り返しの途中で振り返ると皿ケ嶺が見えた。麓の川内から見ると平らに見える皿ケ嶺も、

こちら側から見るとそうでもないな~。ここでも分岐から少し南に歩くとうなめご。














途中の道標に書かれてあった遅越三角点うなめご。ネットで調べてみると善神ケ森

奥全神山とも呼ばれていてややこしい。ただ一応東温アルプスガイドではうなめごになっている。

三等三角点 遅越 1284.08m







このうなめごから井内峠まではコースタイムで50分になっている。時間は10時30分。

そろそろお昼ご飯の場所が気になり始めたあっちゃんが『お昼は井内峠で?』と聞いてきた。

ただ地形図を見るとここからは下り坂になっているのに、峠まで意外と時間がかかるな~と

思っていたら、案の定かなりの急坂が待ち構えていた。










途中の倒木には今が最盛期のキノコが、うごめきそこら中に張り付いている。













途中からは東に眺望が開けているが、遠くに雲がかかっているのが石鎚山だろうか?

峠の雰囲気でもない場所にお地蔵さんが座っていた。このお地蔵さん、随分前には野地峰

お地蔵さんと同じように首無し地蔵だったのが、誰かが首を据えてくれたという。











急坂から井内峠までの間はとても歩きやすい緩やかな下り坂。尾根には町境の杭が続いている。

11時10分井内峠に着いた。ここから東には白猪峠への道がさらに続いている。
















お約束通りにお昼ご飯にする事に。あっちゃんが写真を撮ろうとしたので『ちょっと待って、

お腹をひっこめるから!』と言って撮ってもらう。秋になって初めてカップラーメンを持って

きたが、今日はまだまだ暑かった。あっちゃんからは柿、ルリちゃんからは上高地のお土産を

頂いておいしく食べる。まだ詳しく調べていないので漠然とだが、ここから白猪峠~石墨山

黒森峠~青滝山~堂ケ森~二ノ森、そして石鎚山へと道は続いている。剣山までの線が繋がった

あとは、また楽しみが増えた。





井内峠で30分ほど休んだ後、歩いてきた道を引き返して行く。尾根道はほとんどが広葉樹。

もう少し季節が進んだら、彩の中の素敵なプロムナードになりそうだ。











太い倒木を跨ぐといよいようなめご手前の急登になる。ご飯を食べて直ぐの急登はまた一段と

キツイ!ストックの長さを短くして、まだ湿った地面に足を取られないように注意深く登って行く。











ルリちゃんも『ご飯を食べた後だから・・・・・』と言いながらもグイグイと登っていっている。

途中で『やっぱりあれが石鎚山かな~』などと言いながら写真を撮るもんだから、どんどん

離されていく。最後の方にはロープがかかった場所もある。流石にこの急坂では危なくて

あまり笹も刈られていない。ただこんな急登では笹を握りながら登って行くので、逆に笹が

刈られていない方が都合がいい。さくら山行会の人たちに『元気坂』と呼ばれている急登を

何とか登りきる。














急登を登りきった後はまたアップダウンが続いて行く。時折尾根の北側には井内川に沿った

集落が見降ろせる。収穫を前にした田んぼの色付きが綺麗だ。途中に木の幹にびっしりと

張り付いたキノコの大群。ゾロゾロと幹の上へと登っていっているようにも見えるが、ここまで

密集していると、少し気持ちが悪い。あっちゃん、今夜のおかずにと持って帰ろうとしてるのかな?













遠くにツインドーム重信と10年前に閉館となった屋内スキー場のアクロス重信も見える。




尾根の南側に見える峰々は久万高原町辺りの山になるのだろうが、山座の同定は全く出来ない。

うなめごから前々司山と奥様たちは快調に飛ばして行く。この辺りは尾根の両側ともに自然林

の中の道。木々の間から射しこむ木漏れ日が気持ちいい。














前々司山を過ぎさらに歩いて行くと今度は松山市内が遠くに見えた。奥様たちに『あのビルが

並んだ奥に見える小高い山が松山城です!』と説明してあげるが、さすがに視力抜群の

ルリちゃんでもお城の形までは確認できないようだ。




陣ケ森まで何回か小さなピークを乗り越えていく。そしてのっぽのスズタケの中の道。







今日は花はほとんど見かけなかったが、とにかくキノコがそこらじゅうで目につく。

そして今日最後の陣ケ森への登坂。







陣ケ森の巨大な電波塔の横を通り抜けて、上林峠へと下って行く。この辺りになると右側は

自然林、左側はスギやヒノキの人工林になる。この間で笹に青いスプレーが吹かれているのが

目についたが、いったい何のしるしなのかな?














前を歩く二人のスピードが半端ない。猛スピードで歩きながらも何やら朝ドラの話をしている。

すると先頭のルリちゃんが何かに足を引っかけて転んでしまった。転んで直ぐに起き上がり、

『イテテ!』と言って起き上がりながら、間を開けずに直ぐに朝ドラの話を始めた。その

姿を後ろで見て『凄いな~~』と感心しながら大笑いする。

電波塔から25分ほどで、尾根の分岐に着いた。そして尾根から林道へと下り、上林トンネル

南側の車を停めた広場へとたどり着く。













付け焼刃のようにして慌てて計画した今日のコースだったが、眺望はほとんどなかったが、

地元の人が東温アルプスと呼ぶように、自然林の中の良い道だった。あまり下調べもせず

決めたので、家に帰って調べてみると、東温アルプスはおいわさんが名付けたそうだ。

おいわさんは20年以上も前からHPを開設していて、四国の山の草分け的存在。皿ケ嶺には

足繫く通っている方だ。おいわさんのHP(クリック)

また松山のショップのコンパスの告知で9月10日にさくら山行会の呼びかけで、今日歩いた

コースの草刈りが行われたようだ。松山市内からは気軽に行けて、花も多く自然豊かな

皿ケ嶺周辺の山々。何度訪れても飽きることのない、そして大切にされている山だった。

帰り道、県道から見えた皿ケ嶺はやっぱりお皿のように平らな山容をしていた。そして

その横には電波塔のある陣ケ森にも別れを告げて後にする。





今日のトラック