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KAZASHI TREKKING CLUB

四国の山を中心に毎週楽しく歩いています。

大森山~佐々連尾山~中川峠

2021年06月03日 | 四国の山


今週の水曜日は私用でWOC登山部を欠席。

そして仕事も半期が終わったので、今年初めて連休をとった。

水曜日の私用は半日もあれば済ませるので、奥かずら橋から

丸石避難小屋まで登って三嶺の小屋で泊まり、名頃へ下山してお昼までに

帰宅したらいいかな?と思いついたが、奥様との打ち合わせがうまくいかず

結局、一日だけの日帰り登山となってしまった。

それなら、どこにでかけようかと考えていたら、WOC登山部のメンバーから

大森山と佐々連尾山に登るのだが、登山口までの道路状況は?とか

岩場があるのは大丈夫だろうか?などと、色々と問い合わせが入ってきた。

私も登ったことのない山だし、ましてや参加もしないのに・・・・。

と思ったが、それならという事で、先発隊で下見に出かけてみることにした。


四国中央市から法皇トンネルを抜け金砂湖沿いの道を走り、県道126号線を南に

登山口となる白髪隧道へ向かう。途中の道は狭くなったり広くなったりするが

概ね路面状態は良好。白髪隧道が近づいてくると5か所ほど未舗装部分があったが

距離も短く問題なく、家から約2時間で登山口に着いた。










隧道の脇が登山口となる。最初は林道だったような幅のある道が

続いていくが結構荒れて途中で崩れたような場所もあった。








林道の脇に佐々連尾山への道標があり、そこから杉林の中の道が始まる。

足元には平らな石が散々しているのは、かつての猿田峠への峠道だったのだろうか。













道が緩やかになってくると前方が明るくなってきた。しばらく歩くと猿田峠に着いた。

右に進むと佐々連尾山、左に折れると玉取山への道になる。













峠には鉄塔があり、北側の眺望が開けていた。鋸山・豊受山からの

法皇山系の山並みが続いている。反対側に目をやると玉取山と大森山の間に

奥白髪山だろうか?その奥にも山並みが続いている。










水分補給をして道標に従って東に大森山に向かって行く。

1194mの標高点までは樹林帯の中の比較的広い尾根道。







最初にロープの垂れた場所にでたが、ここはロープに頼らず登って行ける。

次に小さな岩にお助けロープがかかっていたが、ここも難なくクリアー。










次第に痩せ尾根になってくると三ヵ所目のお助けロープ。

ここは少し段差があるのでロープを使って登って行く。このルートに掛けられたロープには

輪っかを作ってくれていて、とてもありがたい。足元は岩や根っこで足がかりも良く、

最初の一段目が少し段差があるが問題ない。WOC登山部のメンバーにも、そう報告する事にしよう。










お助けロープは続いていくが、あとはロープを使わずほとんど登れて行ける。

高度感も全くなくて、高所が苦手な山さんや杉さんも明日は問題ないだろう。










痩せ尾根から大森山の稜線に出ると展望岩がある場所に着いた。

先ほどの猿田峠や車を停めた場所、そして南から北西の景色が広がっていた。










ここまで登ってくると山頂から続く緩やかな道が続いていく。駐車場からや猿田峠から見ると

大森山は尖った形に見えたが、尾根から愛媛側は緩やかな斜面。ブナの小道を進んで行くと

周りの木々は疎らになり、バイケソウの群生地が続く道になる。













広い尾根一面に広がるバイケソウの緑が青空に映える。これだけの数を見るのは初めて。

開花の時期には見ごたえのあるお花畑になるのだろう。










小さなピークを登ると大森山に着いた。今までの道が緩やか過ぎて

山頂と言った雰囲気や達成感が全くない。山頂のすぐ下に一本だけシャクナゲの木。







大森山から佐々連尾山への道もしばらくは自然林の中の快適な道。

その木漏れ日の道を抜けると、笹原の道が続いている。

一つ目のピークの向こうに、笹の斜面が山頂近くにある佐々連尾山が見え始めた。














一つ目のピークとの鞍部への下りでは道の脇にシャクナゲの木が続いている。

ここも開花の時期には山肌の新緑とシャクナゲの花のコントラストが絵にだろうな~。











手前のピークへも2ヶ所ほどロープが掛った場所があるが、高さもなくどんどん進んで行くと、

大森山の先から見えた佐々連尾山の笹原が近づいてくる。













ピークから佐々連尾山へも広い尾根になり、笹原が広がっている。

県別ガイドや古い山行記録を見ると、この佐々連尾山は緑の笹原に身体が埋もれた写真を

よく見ていたので、今まで二の足を踏んでいたが、今はその笹はきれいに刈り取られて

とても歩きやすい縦走路になっていた。こんな素敵な道ならば、もっと早く来たら良かったな~!














佐々連尾山山頂には三等三角点:大平:1404.2m

山頂は先ほどの大森山と同じような雰囲気だが、西に目をやると

ピラミダルな玉取山の左奥に見えるのは登岐山だろうか?

その奥にも法皇山系の峰々が霞んで見える。










YAMAPを見ると、ここまでで折り返す人と、更に先にある大ブナの駄場まで

歩く人とに分かれている。駐車場からここまで2時間弱。

時間もまだ早いので、せっかくなら大ブナを見てみたい。










佐々連尾山からもよく刈り取られた笹原道が続いていく。県別ガイドにはあまり人気のない山

なんて書かれていたが、どうして素敵な尾根歩きが続いていく。

途中で東側に木々の間からちょこんと頭を出した山が見えた。三ツ足山










大ブナの尾根に続く鞍部は三又に分かれていた。中央にはテント場?。この分岐を左に進んで行く。

テント場には形のいい岩が。明日はあっちゃと姐さんはこの岩登るだろうな~。











分岐を左に進んで行くと落とし物が。最近山でもちょくちょく見かける落とし物。




樹林帯を抜けると大ブナの駄場は、尾根から緩やかに広がる開けた公園の様な場所だった。

芽吹いたばかりの薄緑の葉を大きく広げたブナの巨木が散見できる。













ここに来るまで何故か大ブナの駄馬だと勘違いして、なぜそんな名前を付けたのだろうと

思っていたが、道標を見て大ブナの駄場だと気づく。(汗) なるほど、たしかに平らな場所だ。

それにしてもなんて素敵な場所だろう。これだけのブナの群生を見るのも初めての事。

誰一人いないブナの森の中、その木々の間を抜けていく爽やかな風を感じながらゆっくりと散策する。



















大ブナの駄場からほとんどの人は折り返しているが、ここまで来たら佐々連尾山へのもう一つの

登山口の中川峠への道に興味が湧いてきた。距離は長くなるが

峠まで行けば、あとは林道と県道を歩けば周回できので、駄場から緩やかに尾根に向かって登って行く。

しばらくは小ぶりなブナの木の道が続いていく。














尾根に沿って進んで行くとあすなろ峠書かれた道標のある鞍部に着いた。







あすなろ峠から少し登ると中川峠になる。中川峠までもきれいにスズタケが刈り取られている。

もしこのスズタケが刈られていなければ、藪こきのかなり厳しい道だっただろう。







中川峠には佐々連尾山への道標があるだけで、先ほどのあすなろ峠の様な道標はなかった。

道の脇には四角に囲われた石積みが残っていた。










中川峠を左に折れると中之川からの登山道になる。そこから右に折れて少し下ると広い林道に出た。

ここで地形図では破線が続いているのだが、右の道は登りになっていて、

安易に左の道を進んでしまったのが間違いだった。結局かなり遠回りになり

更に下の実線の林道に出ることになる。道は荒れていて石がゴロゴロ。気を抜くと躓いて

何度も転びそうになって疲れる。
















地形図で実線の林道は車が走れる砂利道といった感じ。少し腰を降ろして一息入れる。

ここからは等高線に沿った比較的緩やかで歩きやすい道が続いていく。

その内にまたゲートのある場所に着いた。ゲートの先の山際には佐々連尾山への道標があった。










林道を出来るだけ日陰を選んで歩いて行く。途中に起点から4kmと書かれた標識。

『まだ4kmもあるのか~』とため息ひとつ。







砂防ダムや木々の間から見える伐採地を横目に見ながら歩いて行く。

単調な林道歩きに独りだと会話もなく、ただ黙々と歩くのみ。













それにしてもなかなか県道には着かない。雨量計測の建屋を過ぎると道から左にまたゲート。

ここから先林道は、谷を回り込むようにして続いている。先ほどからGPSを見ていると、

この辺りのすぐ下に県道がある。わざわざ回り込まなくても、ショートカットで丁度いい

作業道用の道がゲートから下に続いている。『シメシメ』と思い、迷わず左に杉林の中に突入する。


















作業道は長い間使われていないのか急な道が崩れ、途中でいきなり行き止まりになってしまった。

行き止まりからは下は谷筋になっている。県道まではそんなに距離はないはずなのでそのまま谷まで降りる。

小さな沢だが、なかなかこれがどうして、行く手を阻む倒木だらけ。










迷ったら下らずに戻って登って行くのが原則だが、遠目に白い構造物が見えた。

『砂防ダム?』それならダム建設の時の作業道があるはずだ。











真新しい砂防ダムは土砂で既に満杯状態。右側は急峻な岩の崖だが、左はザレてはいるが

登れそうだ。そのまま左岸のザレた斜面を一旦登り、砂防ダムの下へと下って行く。

斜面は掴まる木もなく、とにかく一歩一歩ズリ落ちないように下りて行く。










ただ左岸はどうみても作業道らしきものはなく、反対の右岸に丸太や杭が見えた。

砂防ダムを見上げながら右岸に渡ると、案の定、作業道らしき細い道が続いていた。

荒れてはいるが先ほどまでの道と比べると明瞭!このまま県道に出るかと思ったが

作業道から飛び出した場所はまだ林道の途中だった。杉林の急斜面や谷筋の下りで

随分と時間をロスしてしまった。急がば回れとはまさにこの事。

素直に林道を歩いて来れば良かったと反省。










林道を反省しながら下って行くと中川峠から1時間45分かかってやっと県道に。

ここから駐車場まではアスファルトの登りの道。







今までの悪路からアスファルト道は疲れるが、リズミカルに歩いて行ける。

とにかく立ち止まらず、残りの距離は気になるがGPSも見ないようにしてひたすら歩く。

県道からはさらに40分かかってカーブミラーに白髪隧道が見えた時はホットした。














登山道から下道を歩いて戻るのに2時間30分以上かけたのも初めての経験だった。

本隊の下見と安請け合いをした今回だったが、大森山から中川峠までの稜線は素晴らしく、

また大ブナの駄場も圧倒されるブナの大木の連続で、想像以上のいい山歩きができた一日だった。

大ブナの駄場は秋の紅葉の時期や、霧氷の時期も素晴らしいので、また是非尋ねてみたいと思った。


今日のトラック



WOC登山部2021.05.26 雲早山・南高城山・高城山

2021年05月27日 | 四国の山


香川県も緊急事態対策期に入り、WOC登山部も先週から自主トレに入った。

本来なら先週に登ろうと思っていた雲早山だが、

天気予報がイマイチだったので断念し、今週に順延した。

お目当てのシャクナゲ尾根はYAMAPを見ていると、どうやら先週位までが

ピークだった様子。それでも一部の可能性に賭けて車を走らせる。

今日は現地集合で西讃支部?の奥様二人と待ち合わせ。スーパー林道の登山口からスタートする。

予定では高丸山への縦走路の途中にある1334mのピークまで脚を延ばして

シロヤシオを見に行こうと思ったが、前日に南高城山に出かけたKyoさん

シロヤシオの写真が見事だったので、雲早山に登った後に車で移動して、

シロヤシオ見物は南高城山に計画変更する。身支度をしていると車が一台やって来た。

男性一人の登山者だったが、その方は先にシャクナゲ尾根へと林道を下って行った。

雲早神社の鳥居を潜り登山道を進んで行くと、道は直ぐに沢沿いの道になる。







最初は左岸の道から、渡渉をすると中州のような両側に沢の水が流れる道になる。







中州の道を登って行くとベンチのある広場に着いた。kyoさんがカツラの広場と言っている場所には

カツラの古木が二本の太い幹に分かれ、新緑の葉を大きく広げて空に向かって高く伸びていた。










広場からは左に涸れ沢の谷筋を登って行く。

足元にはあちらこちらにトリカブトの濃い緑の葉が目につく。







目の前に稜線が迫ってくると道は右に折れ、九十九折れの道が続いていく。

広場からの長い登りの続きで、息が上がり額に汗が流れ落ちる。

道が次第に緩やかになると心拍数も落ち着き始めた。













トラバース道から左に折り返す手前の苔岩が広がる斜面を横目に見ながら

少し登ると、パラボラアンテナの標識のある高丸山との分岐に着いた。










登山口から40分。時間はまだ9時20分と少し早いので、せっかくならということで高丸山への

縦走路の1445mの標高点辺りまで歩いてみることにする。

分岐から左に折れて少し登ると西側に展望が開けた場所に出る。

ここからは高城山や砥石権現が少し霞んではいるがよく見える。










道は右に折れて自然林の中の気持ちのいい道が続いていく。新緑の緑の中にあって

オレンジ色のグラデーションの葉をつけた低木がいたるところで目につく。







少し小高い場所からも霞んでいるが徳島市内方面が見えた。

1445mの標高点が近づいてくると、道の北側にシャクナゲがまだ少しだけ花を残している。

あっちゃんとルリちゃんにはシャクナゲ尾根は

期待できないので『しっかりと目に焼き付けておいてね!』と。













縦走路はここまでで、折り返して雲早山へと向かって行く。

見上げると梅雨に入ってしっかりと雨を受けた木々の瑞々しい新緑が目に眩しい。




パラボラ分岐からは明るい尾根が続いていく。すると上から先ほど駐車場で挨拶した男性が下って来た。

さっそく『シャクナゲはどうでしたか?』と聞くと、『シャクナゲ尾根はもう終わっていました。

山頂の下に一本だけ咲いていましたよ。』と。

ガ~ン! (^_^;) 二人の厳しい視線がこちらに注がれる。

『シロヤシオは見に行かないのですか』と聞かれたので、

『今日は南高城山へ行ってみます』と答えて別れた。







その男性が教えてくれた通り、山頂手前の尾根の下に一本、満開のシャクナゲみ~っけ!

奥様二人はこれで少しは満足してくれただろうか?







雲早山山頂では相変わらず薄曇り。そして二等三角点:雲早山と雲早神社の祠。

周りに見える山座を同定しながら、少し肌寒くなってきたので上着を羽織る。
















山頂からまた引き返しブナの尾根の途中からシャクナゲ尾根へと下って行く。

下りが尾根道になるとまた自然林の中の素敵な道になる。

途中にあったシャクナゲはほぼ落花。やはりシャクナゲ尾根も・・・・・。(~_~;)










尾根道の表土は柔らかく緑の中の快適な道に、二人がどんどん先を行く。

『右側にテープがあるから見落とさないで!』と声を掛けたあと、しばらく歩くと

樹脂製の境界杭のある場所で立ち止まっている二人に追いつく。







ここを右に折れるといきなり急坂のシャクナゲ尾根が始まる。

尾根の両側には延々とシャクナゲが続いていくが、途中で数輪花が残るだけ。

足元にはすでに枯れて茶色くなった花がたくさん落ちている。













シャクナゲ尾根を下りながら前を歩く二人が、朝の連続ドラマの話で盛り上がっている。

その時間には会社にいる私にとっては全く縁のない内容だが、

どうやら出演者の俳優の名前がでここないで、あ~だこうだと言っている。









話に夢中になっている二人について行くと、次第に道が怪しくなってきた。

『踏み跡をよく見てね!』と声を掛けるが、黄色いテープを最後にとうとう道は無くなり、

それでも二人はどんどん下って行き、急斜面に木々を掴まりながら降りるようになる。

そのうち勢いがついた私は、足を止める為に前に見えた木の幹元めがけ飛びつき

細い幹に掴まった瞬間、前のめりに体が宙を舞い一回転してそのまま3mほど落下。

『大丈夫?』と言いながら『そのままじっとして』と言って写真を撮るあっちゃん。

撮られた写真は何とも哀れな姿だ。







背中に衝撃が走ったが、幸いザックがクッションの役目をしてくれ大事には至らなかった。

今まで何回か落ちた事はあったが、道から外れて急な斜面を無理やり下った際に

同じように枯れ木を掴んで転げ落ちた。慣れは禁物、油断大敵と反省。手の擦り傷が痛む。




取りあえずGPSを見てみるとやはり尾根から西に外れている。

今更引き返して登るのも何なので、トラバースして軌道修正をする。

慣れないルリちゃんは右往左往しているが、何故かあっちゃんは喜んでいる。
















結局尾根から道を外して戻るまで、25分近くもかかってしまった。

道を外したのは丁度尾根の中間地点。そこからもすっかり緑の葉だけになった

シャクナゲの痩せ尾根を下ってスーパー林道まで戻って行く。

林道に出て車を停めた場所まで戻って行きながら、『残念でしたねシャクナゲ』と言うと

あっちゃんが『いいじゃないですか、すぐ横に華がずっといたので』と・・・・(^_^;)




雲早山登山口から一旦車に乗り込み、ファガスの森まで移動する。

ファガスの森には何台かの車が停まっていたが、その内の何台かは

木製のスロープを新設している工事の人の車だった。

建屋の前のベンチに腰掛け昼食を摂る。ファガスの森高城は水曜日はお休みなので

未だ一度も中に入ったことがない。




昼食後はもう少しだけ先の南高城山まで車を走らせる。林道脇には車が三台停まっていた。

林道から南に山頂への道が続いている。自然林の中を少しだけ下り、登り返すと

笹の斜面に沿ってシロヤシオの木々が続いている。この木は花の密集度が他のツツジと比べると格段に多い。

その花の大きさと葉の数も多いので、白い色も相まって遠目から見るとあまり目立たない。














更に離れて写真を撮ると、緑の中に埋没してしまう。







写真を撮ったり動画を撮ったりしていると、先を歩く二人の姿は見えなくなった。

代りのに上から降りてきたご夫婦の男性に『KAZASHIさんですか?』と声を掛けられる。

『今日はお独りですか?』と聞かれえたので、『いえいえ前に〇〇さんが二人が歩いています』と答えた。

山頂近くの展望所と分岐から西に下ったシロヤシオの咲く場所を教えていただき別れた。

山頂らしき場所にはヒメシャラの幹に南高城山の山名札が掛けられている。

山名は地形図などに載っている正式な名前ではないが、この時期にはたくさんの人が訪れるようだ。

山名札から左に折れて笹道を進んで行くと目の前が開けた。展望所からは西二子山

先ほど歩いた雲早山、そして高丸山が見えた。











展望所から引き返し今度は山名札から左に折れて下って行くと、先ほどの男性に

教えてもらった通り、シロヤシオがたくさん咲いていた。実を言うとこの南高城山は初めてで

これでけのシロヤシオ見るのも初めて。アイコ様の御印の木にもなっているこの木は

葉の展開と一緒に花が咲いているので、薄緑の葉に白い花がとても清楚な雰囲気を漂わせる。

やはり女性もこうあるべきと奥様二人に・・・・!。(*´▽`*)

















同じ場所にあるのに満開の木とほとんど落花してしまっている木があり不思議だ。













白と若緑の競演を存分に楽しんでいる奥様達。これで先ほどのシャクナゲ尾根の件はチャラに

なった事だろうと、ほっと胸をなでおろす。







林道まで戻った後は高城山へと取り付く。空は朝方から比べると随分と青い色が広がって来た。







鉄塔広場を過ぎ、小さな岩を乗り越えると雨量レーダーまでのモノレールの横に出る。

そのモノレールに沿って登っていると前を歩くあっちゃんが、そのモノレールに近づいて行く。

あわてて『いかんよ!登ったら』と声を掛ける。目を離すと油断も隙もない!











先ほどの南高城山がゆるゆるだったので、雨量レーダーまでの最後の坂が暑さも相まって堪えてくる。










巨大なレーダーの横まで来ると、あとは尾根を少し歩けば高城山だ。







高城山山頂からは東に剣山や三嶺そして天神丸を経て

ここまで稜線が続いている。今日はWOC登山部の別のメンバーが三嶺~剣山の縦走にチャレンジしている。

今頃どの辺りを歩いているんだろうね?と三人でエールを送る。



















高城山からまたレーダーまで戻り車を停めた林道へと戻って行く。

今日はとにかく短い距離だが折り返しばかりだったような気がする。











シャクナゲ尾根は結局予想はしていたが残念な結果に終わった。その代わりに

南高城山のシロヤシオが奥様二人のご機嫌をとってくれ、私にとっても初めて見るシロヤシオの数に

どちらの山ものんびりと歩く事が出来、とても有意義な一日になった。


雲早山のトラック



高城山のトラック

WOC登山部2021.05.12 西赤石山

2021年05月14日 | 四国の山



今年に入って水曜日はほとんど晴れの日が続いていたが、

2週間ほど前からどうやら周期が変わって雨の日が続いている。

今日も予報では雨模様だが、お昼前からの降り始めの予報なので、

何とかそれまでに兜岩からのアケボノツツジが見られないかと出かけてきた。


予想通り東平は歴史資料館の前に1台。奥の駐車場は空車状態だった。

幸いまだ雨は降っていなかったが、雨具を着こみスタートする。




駐車場から小女郎川に沿って歩いて行くと第三通洞のある広場に出る。

広場の上にはレンガ造りの旧東平第三変電所がある。この変電所は

遠登志水力発電所(鹿森ダム付近)から送電されてきた電力の電圧調整と明治38年(1905)に

第三通洞に電車が導入されたことに伴い、その電車用に直流変換するために設置されたものとされている。













変電所から一本松停車場までは九十九折れの道が続いていく。

雨具を着こんでいるせいか直ぐに汗が噴き出てきた。













一本松停車場は上部鉄道の中間地点で、索道と呼ばれる

ロープウェイに吊るしたゴンドラに鉱石を積み替えて東平まで運んでいた場所だ。







一本松からは上部鉄道跡のほぼ水平な道。道の両側には石垣が続き、よくこんな山の中で

わずか一年余りで鉄道を開通させたのには驚かさられる。

しばらく歩くと裏谷の橋脚が残る場所に出た。橋脚に架けられた

木製の橋は朽ちていて、ロープが張られて今は通ることができない。

ここであっちゃんとルリちゃんに、機関車が渡っていた橋ですよと説明。














一旦谷に降りて左岸に渡って更に鉄道跡を進んで行くと、切通しが大きく崩れた場所を通ると

次に七釜谷の橋脚があった。

石積みの上にはレンガが積まれ橋の土台が両側に残り、橋脚の足元の川床は水によって

えぐられて橋脚が崩れないように石が敷き詰められている。













七釜谷を過ぎても小さな谷に橋脚だけが残っていたり、足場の板がかかっている。





しばらくすると道の脇から兜岩への分岐の道になる。

今までのほぼ平坦な道から、また九十九折れの道になる。










少し雨が降り始め今まで乾いていた足元の土も濡れ始めた。

いつも大岩からは北面のアケボノツツジがいつもは見られるが、既にガスで隠れてしまっている。

尾根に近づいてくると更にガスは酷くなってきて、前を歩く二人の姿も霞始めた。













途中、所々でアケボノツツジが咲いている。谷の反対の西赤石山の北面にも

ガスで霞んでいるがけっこう咲いているのが確認できる。










尾根に出てスズタケが現れると兜岩はすぐそこ。道に岩が現れるとテープにつられて

二人が左上の岩に取り付いている。ここから兜岩に登るより、真っすぐ進んで

西赤石山との鞍部から岩に取り付いた方が簡単なので二人を呼び戻す。


鞍部から大岩を二つほど登ると、東平から2時間20分で兜岩の展望台に着いた。

残念ながら周りは真っ白な世界。帰ってYAMAPにアップされていた同じ場所から

2時間前の写真は、まだガスもかかっていなくてきれいに北斜面のアケボノツツジが見えている。







小さな雨粒が降り始め、手先が冷たくなってきたので、少し行動食を口に入れ

直ぐに西赤石山へアタックを開始。例年ならここからはアケボノツツジロードとなるが

数メートル先は真っ白で、何本かの花が目につく程度だった。




梯子を登り、ロープのある急登を登ると山頂に着いた。












山頂はもちろん眺望はなかったが、南からの突風で体重の軽い二人はふらついている。

出来れば銅山越えまで歩いて先週からの続きを線で繋ぎたかったが、

ここからしばらくは稜線歩きで、風がまともに当たると思い、計画を断念。










ロープ場で何度か足を滑らせながらも鞍部まで下って行く。




鞍部からあとは下って行くだけ。時折谷あいを吹き上げてくる風が強まる。

途中で兜岩までで引き返した第二班と合流。

樹林帯に入ると雨風の心配はなくなり、上部鉄道まで下って行く。













分岐から二人が左に曲がって少し角石原へと散策に歩いて行った。

その間ヤモッチと二人で行動食を口に入れる。


山頂近くでかかっていたガスも少し薄まり、上部鉄道の平坦な道は

雨に濡れた薄緑色の新緑が眩しい。七釜谷の橋脚の間から見える木々も

少し明るくなってきて光が当たって輝いている。ここで『本当にすごいね、ここを機関車が

走っていたなんて』と言うと、『えっ。そうなん?』とあっちゃん。

『奥様、朝から何度もこの道が鉄道跡だと説明しましたよ!』










山の反対側の旧別子で採掘された銅鉱石は長く人力で先週歩いた道を銅山越を

通って運ばれていたが、約3年の歳月をかけて最初の第一通洞が完成した。

その北側の出口になる角石原から5.5kmを石ケ山丈まで、この上部鉄道を

使って蒸気機関車で運ばれるようになり、更にその下の第三通洞が東平まで開通すると

上部鉄道の役割は終わり、廃線になったという。その歴史の移り変わりと、

今も残る石垣や切通の跡を、活気のあった当時に思いをはせながら歩いて行く。

時々その石垣を覗き込んでみるがかなりの高さの場所もあり、しかもその石垣は

数キロに渡って続いている。旧別子とこの上部鉄道、そして東平から新居浜にかけて

これだけの遺跡が残るこの山域は他の国内の世界遺産と比べても引けをとらないと

思ってしまうのは私だけだろうか。










詳しくは住友グループの別子銅山のホームページで。


一本松から東平までは往路に比べるとあっという間に着いた。

変電所跡を覗いて見ると、洋風の建物は変電所らしからぬ装飾窓があり、

中にはかまどやお風呂やトイレもあり、生活感が漂っている。












駐車場はやはり我々の車だけが、小雨の中静かに佇んでいた。

雨具から着替え、今日はここで解散し帰路につく。













WOC登山部2021.05.06 綱繰山~銅山越え

2021年05月07日 | 四国の山

二週間ほど前から気の早いあっちゃんが、アケボノツツジを見に行きたいと

頻りにメッセージで催促してきた。まだまだ早いのでと言っていたら、あっという間の5月。

例年ならGWの頃が兜岩は西赤石山のアケボノツツジで賑わうのだが

今年はどうも様子が違っている。他の山ではあちらこちらでもう満開の便りが届いているのに

西赤石山の北斜面はYAMAPの他の人のレポートを見てみても、まだまだ色づいていない。

これから開花という時期に強風が吹いたり、雪までふったりして

悪い条件が重なったせいか、今年はもう一週間くらい先になりそうだ。

仕方がないので日曜日にREIKOさんが歩いた綱繰山~西山に計画変更。

REIKOさんによると、痛んでいる花もあるがまだ保ちそうとのこと。

ただ昨日の雨風だけが気にかかるが、全部散っていることはないだろうと思い、出かけてきた。


豊浜SAでルリちゃんと二人をピックアップして大永山トンネルの登山口へ車を走らせる。

電話ボックスのある路肩には軽トラックが一台と外車が一台停まっていた。

車から降りると軽トラックの男性が開口一番『酷いやろ、この車!』と。

その外車は縦列に停めれば何台も停められる場所を非常識にも横に向けて停めていたのだ。




仕方がないので車を軽トラックに寄せて停めなおし、他の人のスペースを確保しスタートする。

REIKOさんが来た日曜日は30台近くが停まっていたらしいが、幸いGWがあけた平日の今日は

少し下の反対側の路肩に一台停まっているだけだった。

トンネルの横の林道から登山口へと歩いて行く。







少し段差になった取り付きを登ると七番谷川に沿った道が続いていく。

杉林の中の道は谷側には石垣があり、馬道(炭の道)の面影が残っている。

馬道は銅山嶺南麓の別子銅山の粗銅精錬に必要な炭を運ぶ道だった。

昨日降った雨のせいか川の流れは水量が多く、流れる音も大きく聞こえてくる。










しばらく歩くとナメ滝の脇に出る。滝の大岩を巻いて登ると大雨の時に流れ出たのか

倒木が散乱する荒れた沢筋の道になる。流れの少ない場所から渡渉すると急登が始まる。










杉林の九十九折れの道を登って行くと笹ヶ峰への分岐の峠に着いた。

ここから少し西に地形図では大坂屋敷越えと記されているが

別子銅山に由来するのではなく、立川銅山の経営者であった大坂屋の小屋かけのあった場所だそうだ。







分岐からは北に尾根に下に沿って道は続いていく。この尾根筋の道も馬道となっていて、

ひとつは今日歩く綱繰山を経て西山の手前で小足谷川へと続く道、もう一つは

分岐の道標の次にある道標から等高線に沿って地形図にも破線が載っている道だ。

以前独りで小足谷川から歩いてきたが、最後に道が途切れたようになり、迷って谷を

下って住友の森へと下った記憶がある。途中の道も荒れて、

何ヵ所もある谷筋に架かっていただろう橋も朽ちていてけっこう大変だった。

綱繰山への道は歩きやすい道だが途中で何ヵ所かはザレて、慎重に足を運ぶ場面があった。














途中の大きな倒木では、二人がコアラのようにして越していく。

しばらく歩くと今日初めてのアケボノツツジ、みっけ!














尾根の巻き道から尾根に出ると少し広場になっていて、木々の間から綱繰山の山肌が

アケボノツツジでピンクに染まっているのが見えた。二年前に来た時もここから見た

山肌は素晴らしかったが、今日も遜色なくきれいに色づいている。

初めて見るアケボノツツジが乱舞する山肌に、二人も大満足の様子。

ここでやっと肩の荷が下りた。昨日の雨でもし散っていたなら後で何を言われるか。

今日はそればかり気がかりで歩いて来た。ピンクの山肌を眺めながら少し休憩をとる。




二年前



アケボノツツジの展望所からは自然林の明るい道が続いていく。

しばらくすると綱繰山からの尾根の鞍部になる道標の立つ金鍋越についた。

この道標、銅山越への方向は合っているが、笹が峰への道が違う方向に向いている。

その方向に目をやると尾根の下にアケボノツツジが見えた。少しだけ登ってアケボノ見物。













金鍋越からは綱繰山に向かって急登が始まる。道は山頂が近づくにつれ急こう配になっていくが

今日は二人について行くのがやっとだ。GWの最後の三日間。徳島の売出の手伝いで

一日中モデルハウスの中でほとんど動くことなくじっとしていたせいかもしれない。

ただ道の脇のあちらこちらでピンクの花が『がんばれ!』と励ましてくれる。
















途中からはそのアケボノツツジ越しに平家平の笹原が見えた。




急登が終わり山頂手前で緩やかな尾根になると、さらにその数が増えてきた。

前を歩く二人も見上げては立ち止まりため息をついている。ミツバツツジほど花が密でなく

大きな花弁が疎らに咲いているアケボノツツジはやはり青空が似合う。
















遠目で見るより間近に見るとその色は薄く見え、春の夜明け前の曙の色に似ていることから

その名がついたというが、イメージが少し違うように思う。青春真っ只中の若い女子高校生の

ような雰囲気がするのは私だけだろうか。そんなアケボノを前にこちらも真っただ中のお二人! (*'▽')




尾根道にはミツバツツジや、まだ芽吹いたばかりの木々が両側に並んでいて足取りも軽くなる。







山頂からは平家平と東に西赤石山から東赤石山に続く法皇山系

西にはちち山とその方にちょこっと頭を覗かせた笹ヶ峰が見える。













山頂からこの辺りの代表的な山々を眺めた後、しばらくは平坦な尾根を次の西山へと歩いて行く。

ここでも奥様二人は度々立ち止まり、おしゃべりしている。これだけ見られればさぞや満腹のはず。

案内した私の株価も上がっているはず。イッヒ・ヒー! (*´▽`*)













平坦な道が終わると今度は西山への鞍部までの急降下。何もそこまでと思うくらいの

長く急な下り坂が続いていく。ダンスを踊っているように見える二人。











鞍部から西山山頂へも急登が待っていた。途中で前の二人が立ち止まり何やら写真を撮っている。

近づいて足元を見るとツガザクラが小さな花を咲かせていた。










山頂手前には展望所。笹ヶ峰がさっきより大きく頭を出し、その稜線の向こうには

伊予富士瓶ケ森だろうか。特徴的な沓掛山もよく見える。














山頂は木々に囲まれて景色も良くないので、展望所に戻って昼食にする。

正面には登って来た綱繰山が見えるが、二年前のピンクの山肌を期待してこの西山まで来たのだが

その時と比べると、残念ながら今日は随分と見劣りがする。







二年前




計画ではこの西山から折り返す予定だったが、まだお昼過ぎなので欲張って銅山越えから

日浦まで歩いてみますか?と提案してみる。下山後、下道を5km弱歩くことになるけど、

二人とも銅山越えも、別子銅山の遺跡が続く日浦への道も歩いた事が無いというので直ぐにOKがでた。

私も銅山越えからの小足谷川から馬道は前回歩いたが、日浦への道は十何年ぶりの事。

山頂から少し灌木の中を歩くと銅山峰の平らな山肌越しに、

西赤石山が大きく山裾を広げて近づいて来た。西赤石山も1500m付近までは

アケボノツツジで斜面がピンク色に染まっている。ただ山頂から兜岩までの稜線は

まだその色付きがあまり見当たらない。今年は裏年なのか、まだ早いのだろうか?
















さらに下って行くと北に新居浜の市街地が見渡せるようになった。奥様達は最近、事前に周りの山の位置を

学習してくるようになったが、先ほどの西山山頂では南を指して『こっちが北かな?』と言っていたので

『瀬戸内海が見える方が北ですよ!』教えてあげる。山名を覚える前に先ずは歩いている

方向がだいたいわかる様にならなければ・・・・まだまだランクアップはほど遠いぞ奥様!

銅山峰の道の両側はツガザクラの植生保護でロープが張られている。














銅山越えに着くと、エントツ山さんの銅板の看板は健在だった。

江戸時代、採掘した鉱石は、運搬夫が籠(かご)で運び出し、砕女(かなめ)小屋で

砕女と呼ばれる女性達が砕く砕き、しれを谷にある炭火で溶かし(大量の木炭が必要でした)、

銅分が8~9割の粗銅(あらどう)に製錬した。

精錬された粗銅は、この銅山越を越えての新道の開削で、仲持(なかもち)が人肩運搬路

を使って(男性で45kg、女性で30kgを担ぎ)、明治19年に第一通洞が開削されるまで、

184年間に渡って仲持が鉱石を峠越えで運び出していたという。標高1294mという峠越は、

行き倒れとなる仲持もいて、この峠にある峰地蔵はそんな無縁仏を祀ったものだという。




銅山越から前回は牛車道を下ったが今日は別子銅山で最初に

鉱脈が発見された歓喜坑へと下って行く。

牛車道の幅の広い緩やかな道に比べると、やはり中持が人力で運んでいた感じの道。










日差しが差し込む明るい道から、谷あいが狭くなり薄暗くなってきた場所に歓喜坑はあった。

二つ並んだ坑道入り口前は広場になっていて東屋とベンチが置かれていた。




ここからは小足谷の谷筋を右に左にと橋を渡って行く。所々で銅山の施設跡の説明板があり、

その説明をあっちゃんはその都度見入っている。













そのうちにまた広場になった場所に出た。昭和26年、探鉱ボーリング中に地下水脈に突き当たり、

水が出てきたのだが、その時ボーリングの先端に付いた工業用ダイヤモンドが、

回収出来なくなったのが名前の由来となったダイヤモンド水がある。














ダイヤモンド水の少し先には以前にはなかった真新しいバイオトイレがあった。

瓶ケ森でも昨年見かけたバイオトイレ。瓶ケ森はハンドルを回すようになっていたが、

ここのバイオトイレは自転車のペダルを漕ぐようになっている。

ここから日浦までは小足谷川沿いの遺跡が立ち並ぶ道。

右岸から左岸への橋を渡るとまず長い石垣の続く小足谷劇場跡がある。

その石垣の終端の高い石垣を眺めてあっちゃんが『登れそうね』というので

『もういらん事考えんといて』と何とかなだめる。







その当時、毎年五月には山上祭が行われ、京都や大阪から役者を呼び歌舞伎や

芝居を上演させ、観客は千人以上収容で来たという。こんな山中にこれだけの建物が

あったのが非常に興味深い。




劇場跡の次に小学校跡。明治36年には教員7名、生徒も298人在籍してたそうだ。

先ほどの劇場跡もこの小学校跡も石垣の上の建物があったであろう平らになった場所には

今はかなりの背丈の木々が天に向かって伸びている。するとルリちゃんが

『石垣の際の木は、根っこで石垣を崩しそうなのに、なんで植林したんだろう』というので

『こんな場所で植林なんてせんでしょう。』と答えた。後で気になって調べてみると、

別子銅山支配人だった伊庭貞剛の意志を継いで植林されたものとある。

藪化して荒れた遺跡に緑を取り戻す為に、ヒノキ、カラマツ、クロマツ、など

様々な種類の木が植えられ、寒冷地に自生するシラカバが植えられた場所もあるそうだ。

安易に答えてしまってルリちゃん、ごめんなさい。あなたが正しかった!










小学校跡の先にはレンガの壁が残る接待館跡

今までの石垣が和の雰囲気だったのが、この場所だけは西洋的な雰囲気がする。

塀に囲まれた中には日本庭園もあったらしい。ブロック塀の透かしブロックのように

等間隔に十字の形をした穴をあけていて、きれいな模様のようにみせている。










中に進むとさらに奥には高い石垣の上にレンガ塀が残されていた。

その穴からあっちゃんをのぞき見してみる。







接待館跡の下には小足谷集落の何段にもなった石垣がある。

全盛期には14,000人近くも住む、愛媛県内有数の大きな町であっただけあり、

目出度町には別子山村役場・郵便局・接待館・駐在所・住友病院などがおかれ、

養老亭や一心楼などの料理屋や料亭、雑貨屋・うどん屋などの商店が建ち並んで盛況を

きわめたこの別子銅山も、今は深い森の中にその当時の旺盛の面影を残すだけとなっている。




そういった遺跡をゆっくりと眺めながら1時間30分ほどで日浦の登山口着いた。

駐車場には10台近くの車が停まっていたが、銅山越までは途中数人に会うだけだったので

みんなほとんど西赤石山へと登ったのだろう。







ここから下道歩きが始まる。距離にして5km弱。駐車場からは県道が大きくヘアピンで曲がって

ぐいっと登坂になっている。それを見てルリちゃんが『あんなに登らんといかんの!』と愚痴り始めた。

せっかくここまでアケボノツツジと産業遺産の遺跡で満足して気分よく帰ってもらえると思ったのに。

ここでせっかく上がった株価が下落したらいけないので、『もう1/3、もう1/2やから』

色々と話しかけご機嫌をとりながら歩いて行く。(笑)









しばらくは緩やかな道が続いていたが、最後に住友の森からの登坂が足に堪えてきた。

口数も少なくなってきたころ、日浦から1時間20分の下道歩きで何とかトンネルまで戻って来た。

最近はギックリ腰こそでなくなったが、長い時間歩くと足より腰が重たくなる。

翌日は不用意な動きをしてギックリ腰に注意しないといけない。

下道歩き含めると沿面距離13.5km、行動時間6時間30分の県外の山行では

久しぶりに長い距離を歩いたが、思っていたよりアケボノツツジが咲いていて、

奥様二人も満足してくれたことだろう。そう考え安堵のうちに車を走らせるとあっちゃんが、

『来週は西赤石山ね。楽しみ!』と・・・・・・・・はあ~あ! (T_T)


今日のトラック

WOC(TOC)登山部2021.04.14 黒滝峰~工石山

2021年04月16日 | 四国の山



今週は水曜日に珍しく仕事が入り、久しぶりに木曜日の今日、

独りで出かける事になったので、さてどこのお山に登ろうかと考えていたら

高知のギッチャンさんや愛媛のグランマー啓子さんのHPで

工石山のアケボノツツジの情報がチラホラアップされ始めた。

よし!それじゃ工石山の様子を見に行ってみようと思い立った。

せっかくならお隣の三辻山も歩いてみたいし、前々からおじょもさんがアップしていた

更に南の黒滝峰木に登る鹿も見てみたい。

そこで周回ルートを色々と調べてみると、黒滝峰の岩壁の直登コースがある事も判った。

結局今日のテーマは『岩壁・木に登る鹿・アケボノツツジ』の欲張りなコースとなった。


いつものように工石山青少年の家の体育館の下に車を停める。今日はまだ時間が

早いのか一台も車が停まっていない。身支度を整えて体育館から南に県道を下って行くと

杉林の上にちょこんと頭を出した黒滝峰が見えた。そう言えば誰かが高知のジャンダルム

なんて書いてあるのをネットで見かけたが、見えなくもないな~なんて思いながら

歩いて行くと10分ほどで右へのヘアピンカーブの手前に、鳥獣保護区の赤い標識に小さく

三辻山登山口と書かれた案内板があった。







取り付きの正面には小滝があり、直ぐに左に曲がって登って行く。

ここからの道はグランマーさんが書いていたように、白と赤のテープが要所要所で

木に巻かれていて、それを目印に登って行く。










出だしからなかなかの急登が続いていくが、先ほどのアスファルトの下りで

少し膝に痛みが出ていたので、果たして登れるだろうかと不安になってくる。

しばらく痛みを我慢しながら登って行くと、大きな岩壁が現れる。

屋島の冠ケ嶽の岩壁の下と同じような雰囲気だが

『こんな所登れるのかな?』と思っていると、先ほどの白赤のテープが右に導いている。







テープに沿って岩壁の下を進んで行くと正面に岩壁に沿って真っすぐ伸びる木。

よくこんな場所でこんなに大きく育ったもんだと感心しながら、更に右に回り込むと

先ずは一つ目の岩壁の全容が現れた。その岩壁の右にロープが垂れ下がっているので

取り付きだと判る。足がかりも比較的良いのでグイグイと登って行く。








高さはさほどでもないが足を滑らせるととんでもない事になる。

登りきると狭い岩壁の突端で素晴らしい展望が待っていた。

腰を降ろして一息入れるが完全に腰が引けている!(笑)













一つ目の岩壁からも樹林帯の中をテープを目印に登って行っていたが、

途中で見失い右に左にと少しうろついてしまう。

尾根らしい方へと軌道修正してさらに登って行くと赤良木峠から樫山峠への

登山道らしきトラバース道に出た。登山道を一旦左に曲がり少し下って行くと

右にピンクのテープがぶら下がっていて、ここからが黒滝峰への取り付きになる。




踏み跡は薄いが上へ上へと登って行くと、ここでも白赤のテープが所々に付けられていて

その内に黒滝峰の岩壁が目の前にで~んと現れた。先ずは短めのロープに沿って登るのだが

ここも足がかりが良く、木や岩を握りながらロープを使わずに問題なく登って行けた。







そこを登ると核心部の長いロープの掛る岩壁の直下に出た。

ここも足がかりがあるので問題はないが、一つ目の岩壁よりは高度感があって少しビビる。

木の枝も岩も時よりポロっと抜けたりするので、慌てず注意深く登って行く。
















岩壁を登りきり、左に折れて黒滝峰の突端に出ると、ここでも素晴らしい眺望が広がっていた。

谷あいから南に続く道の奥には太平洋。左に視線を移すと室戸岬。

右には工石山と車を停めた青少年の家も見える。










ここで腰を降ろしてしばらくその眺望をのんびりと楽しむ。

周りには淡い黄色のヒカゲツツジが盛りを迎えようとしていた。







黒滝峰から尾根を戻ると三辻山から樫山峠への道に出た。

ここから先ずは右にとって今日二つ目のテーマの“木に登る鹿”を探しに行く。

尾根の北にトラバースの道が続いていくが、道はどんどん下って行くので少し不安になり、

何度か尾根に登ったり、巨岩に登ったりして見ると、何度目かにまだ先にそれらしい木が見えた。

岩から降りて更に登山道を下って行く。先ほど見えた木の辺りを目星をつけて

右に左に目をやりながら注意深く進んで行くと、道の左に木々の間からそれらしい木が見えた。

うっかりすると見過ごしてしまいそうな目印も何もない場所だった。

白骨樹の木の枝が見る角度によってその木を登っている鹿に見えるという、

自然が創り出した偶然の産物にやっと出会えた。




ここで二つ目のテーマをクリアして、歩いて来た道を三辻山へと折り返していく。

道は尾根の北側の少し下に続いている。気温が上がらず陽の当らない道はまだ少し肌寒い。

道の表面は凝灰岩だろうか?赤紫の岩屑が散りばめられた道。







途中で道標が立ち始めると周りも明るくなり、登山道もいい雰囲気になってくる。







時々、道の脇に巨岩が点在し時間があれば登ってみたいが、脇まで回り込んで

取りつけるかどうかを確認するだけで先を急ぐ。










東屋がある場所で赤良木峠と三辻山への分岐になった。右に折れて三辻山へと登っていると

途中で木々の中でガサガサ大きな音がする。熊?鹿?猪?と慌てていると、

藪の中から初老の男性が現れた。『びっくりしました!』と言うと『すみません、驚かせて』と。

男性は木々の中で何やら探していたようだが、あえて聞かずにそのまま進んだ。

道の脇には可愛らしいスミレがたくさん咲いている。










三辻山山頂は360度の眺望が広がっていた。

南には浦戸湾と室戸岬。北には石鎚山や瓶ケ森まで望める、最高の展望だ。

ザックを降ろして水分補給と煙分補給。日が当たってきたのでやっと上着を脱ぐ。
















山頂から赤良木峠へは杉林の中をかなり下って行く。何もこんなに下らくてもいいのにと

独りで愚痴りながら歩いて行くと林道に出た。右に折れて林道を進んで行くと

ドロマイトの採掘場跡に着いた。既に操業を停止して久しい採掘場跡の

錆びて赤茶けた施設からは、月産1500トンもの生産量を誇っていた鉱山の面影はない。

すると先ほどの熊と間違えた男性がまた藪の中から現れた。手にはイタドリを握りしめている。

『高知の人は好きですね、でも酸っぱいでしょ?』と聞くと

『水につけて置いて保存食として食べてます。美味しいですよ』と嬉しそうに答えてくれた。










ドロマイト採掘場跡からは比較的幅のある道が続いている。

しばらくすると先の方から人の声が聞こえてきたと思ったら、杖塚の広場に出た。

広場では青少年自然の家のガイドさんと若い女性が草花を見ながら話をしていた。







杖塚から今回も昨年と同じように北回りに歩いて行く。県立自然公園の工石山の

全国(県の木)遊歩道となっているこの道には、各県を代表する樹木が集められ

植栽され保護されていていて、道の至るところにその樹木の名を記した案内板が立てられている。

途中では椿の落花で道が真っ赤に染まっていた。




登りから道が緩やかになると右側に昭和38年8月に高知県に上陸した台風9号によって

植栽間もない杉がなぎ倒されてしまった根曲がり杉がある。

その後、倒れた幹や枝が上に向かって再び成長した結果ではないかと言われているが、

昭和38年に植栽されたと言う事はほぼ私と同い年の杉になり、枯れずに頑張って

伸びている姿に何だか親しみを感じる。




根曲がり杉を過ぎると白鷲岩。そのくちばしの先からは嶺北の峰々が見渡せる。

白鷲岩から杉林の中を進むと今度は天然ひのき風倒根。このひのきも38年の台風で

根っこから引き抜かれて倒れてしまったという。その時の台風のすさまじさが伺える。

その根に首を絞められ喘いでいる姿。







ひのき風倒根から次はトド岩。この道はいつ歩いても本当に見所満載の道だ。

この岩からも遠くに石鎚山が見える。岩の横と下にはアケボノツツジが咲き誇っている。

ここで後ろから来た女性と少し話をする。『このアケボノツツジの色は何とも言えませんね。』

と言うと、熱心にスマホでその写真を撮りながら、『やっぱり他のツツジとは比べ物にならないですね』

『一年に一度は見ておかないとね』と答えてくれた。










トド岩からは北の頂きに進んで行く。道は徐々に高度を上げて

北の頂きの周りでもアケボノツツジが数本花を咲かせていた。







北の頂きから一旦下り、鞍部から綴れ折れの道を登って行くと工石山山頂に着いた。

広場になった山頂にはベンチが置かれ、数人の人が昼食を摂っていた。

広場の周りでもアケボノツツジが満開を迎えていた。













展望台は老朽化で立ち入り禁止になっているが、展望台に登らなくても

広場からは高知市内に向かっての景色が見渡せる。ベンチに腰掛けおにぎりを頬張る。







先ほど杖塚で会ったガイドさんのグループが登って来た。

ベンチに腰かけていた人がそのガイドさんに、途中で見た花の名前を聞いていたが、

珍しい花らしく、こんな時に地元のガイドさんは頼りになる。








お腹を満たした後は賽の河原へと下って行く。

山頂からの道はシャクナゲの道。まだ花は全く咲いていないが、開花の時期には

見応えがあるだろう。アケボノツツジはあちこちで咲いている。







途中の大岩にしがみついたヒノキには『天空の窓』と書かれた案内板があり、

覗き込むと暗闇の向こうに新緑の緑と空が見えた。







直ぐ近くの大岩で自撮り。足元の悪い場所でセルフタイマーで慌てて移動すると危ない。

もう少しで落ちそうになったが一応笑顔で!








ひやりとした後谷筋に降りて行くとまた人の話し声が聞こえてきて、賽の河原に着いた。

サンショウウオが生息する賽の河原は、名前に不釣り合いな明るい場所で、透き通った水が流れている。










賽の河原からトラバース気味に進んで行くとヒノキ屏風岩

ここでは別のガイドさんと若い女性が二人岩の上で寛いでいた。

するとガイドさんが『車を体育館の下に停めましたか?』と尋ねてきた。

『はい!停めても良かったんですか?』と聞くと、『今日は大丈夫なんですが、先週末は満車に

なって、先に停めた車が出られないようになったんです』と。『車が出られないような停め方するなんて、

山でもやはりマナーの悪い人はいるもんですね』と話をした。

屏風岩からも今日は遠くまで見渡せる。女性の前の岩を景色を眺めようとひょいっと登り

立ち上がると、後ろでその女性が『わ!絵になりますよ!』と言ってくれた。

後ろには振り向かず目尻が下がってニンマリしてしまった。((笑)










賽の河原からは整備されたきれいな道が続いている。

本日最後のアケボノツツジや巨岩を眺めながらのんびりと下って行く。

巨岩と巨岩に挟まれた小さな岩。『子は鎹』なんて言葉が浮かんできた。










周回で杖塚に戻る手前で右手に黒滝峰が見えた。正面には石灰岩だろうか白い巨岩も見える。

あそこも登れるのだろうか?といらぬ考え。










杖塚から青少年の家までは一気に下って行く。林道まで降りてくると、登山口の両側に

何台も車が停まっていた。『大丈夫だろうか、車が出られるのだろうか』と不安になって来た。











幸い駐車場には数台しか停まってなくて、結局登山口の直ぐ近くまで車を停めている

人が多かっただけで無事帰宅となった。

岩壁・木に登る鹿・アケボノツツジの3つのテーマをクリアでき、更にはヒカゲツツジや

ミツバツツジ、芽吹き始めた木々を眺めながら

久しぶりの独り歩きをのんびりと楽しめた一日だった。










今日はWOC登山部ではなくTOC(木曜)登山部




今日のトラック  登山口から沿面距離9.8km 行動時間5時間30分









WOC登山部2021.01.20 塔ノ丸

2021年01月21日 | 四国の山



先週に続いて今週もIRIBITOさんの提案で塔ノ丸

出かけてきた。何年か前にIRIBITOさんと姐さんトッシー

三人で出かけて途中の道の状態が悪くて引き返したことがあった。今日はそのリベンジだ。

他のメンバーの麺法師さんは12人を連れて粟島に、

セニョさんは独り五剣山に、そして山さん

自転車で紫雲出山にと、今日はそれぞれ分かれてのWOCの活動となった。


貞光から見ノ越に向かって車を走らせるが、周りの山々にほとんど雪は積もってなくて

キョウちゃんとゆかりんが後ろの座席で『雪はあるんだろうか?』と話している。

集合場所の貞光へ行く途中の脇町辺りからは、南の見える山々には

白い頂きが見えていたので『大丈夫!』と応えたものの、

段々と不安になってきた。幸いヘアピン辺りから路面が凍り始め、周りの景色も徐々に

雪景色になってきた。夫婦池の手前の登山口にはすでに香川ナンバーの車が2台停まっていた。

道の脇には新雪が少しは降った様子でそこそこ期待できそうだ。




まずはウラジロモミの林の中を登って行くと予想通り先行者のトレースがある。

私もキョウちゃんもゆかりんも、雪の塔ノ丸は初めてで気分が高揚してくる。




ラッセルの跡を辿って歩いて行くが時々踏み抜いて壺足になり『あっ!』と声が上がる。

林の中の道からロープが張られたトラバースのヶ所が少し注意が必要だが、

それでも順調に尾根への道を進んで行く。次第にじわっと汗を掻き始めた。







尾根に出ると薄暗い樹林帯の中の景色から一変して青空が広がっていた。

雪の上に広がる青空は、夏山の空とはまた違う澄み切った何とも言えない空の色だ。

木々の間から高ノ瀬だろうか三角の頭が見える。

少し進むと今度は遠くに三嶺が見えた。










さらに進むと塔ノ丸への稜線と三嶺から高ノ瀬への稜線が続いている。

こんな青空は蒼穹・ 蒼昊・ 蒼天・ 碧空 ?、なんて表現するのだろう。

剣山も次郎笈も陽が当たって輝いている!













1579mの標高点を過ぎ緩やかな尾根道を進んで行くと、先行していたパーティーが登っているのが見えた。

後ろから来るゆかりんが『ラッセルしんどいから追いつかないようにゆっくり行こう』と不遜な事を言っている。















案の定、後ろの三人はスピードを落としてきて距離が開いてくるが、ふとラッセル泥棒

言葉が浮かんできた。やはりここは雪山のマナー、一応休憩しているパーティーに追いついてみると

5人のメンバーのパーティーだった。話を聞くと観音寺の山の会の人たちで、夏山ならここまで1時間強ほどの

ところを今日は2時間もかかってバテたと言っている。『ここから先にお願いします!』と言われたので、

『イヤイヤどうぞ先に!』とは言えない雰囲気になり、先行する事に。

恐らく日曜日くらいに歩いたトレースの上に雪が積もっているので、道を間違えることはないが、

ラッセルの跡を辿るよりも壺足の回数が増えてやはり体力を消耗する。













ゆかりんがトップの私の歩幅が広くて踏み跡を辿れないというので、少し歩幅を狭くして歩いてみる。

まったく風もなく、脚を持ち上げながら歩くと途端に汗が噴き出てきたので上着を一枚脱ぎ、

手袋も脱いで進んで行く。後ろの三人はもう帽子も脱いでいる。

この塔ノ丸の稜線はいつも南に剣山から三嶺の稜線、北には矢筈山の山系が見渡せるが、

今日は青い空に雪と白骨林の白が一段と映え格別の景色だ。










雪原に可愛らしい足跡が続き気持ちを和ませてくれるが、やはり太腿の付け根が重たくなってきた。

今日はまだ積雪の量が少ないので歩いて行けるが、これで積もった量が多ければ

やはりスノーシューが無ければとてもじゃないが歩けない。










まだ手前のピークの奥に塔ノ丸が見えている。トレースの横には自然が作り出す芸術の風紋が美しい。










手前のピークを下った鞍部では小さな雪庇状になった場所があった。

出来るだけ離れて踏み抜かないように進んで行く。













山頂手前の樹林帯のに入ると膝の上くらいに積雪量が増え、一歩足を出しては埋まり、

また足を持ち上げての繰り返しでほとんど進まなくなった。







樹林帯を抜けると山頂まであと少し。足元も少しはマシになってきた。












やっとのことで山頂に着いた。

昨年やもっち・あっちゃん・ルリちゃんと歩いた時は1時間35分ほどだったが、

今日はやはり2時間30分ほどかかった。それでもWOC登山部冬季塔ノ丸登頂!だ。

後ろからメンバーも登って来た。










山頂ではいつものように360度の大展望が広がっているが、今日は大・大・大展望!

剣山・三嶺・矢筈山はもちろんの事、遠くは石鎚山まで見渡せる!
















実は朝出かけにウエストポーチを一旦車の屋根に置いて車のドアを開け、

うっかりとそのまま走ってしまった。奥様に電話をして家の前と途中までのコンビニまでの道を

探してもらったが見当たらない。ポーチにはデジカメと三脚を入れていたのだが

先週の鍵閉じ込めに続いて2週連続の災難続きだ。

仕方がないので今日はスマホの自撮りで記念撮影。(自撮りの顔が皺だらけ!)




丸笹山と剣山の間には、まだ月が登っているのが見えている。

写真を撮ろうを柔らかい新雪の上を際まで歩いたキョウちゃんが、踏み抜いて

雪原に種を撒いている!(笑)







完璧な青空にIRIBITOさんも大絶賛。他の2人も写真を撮りまくっている。

そう言えば何年か前にエントル山さんのグループで雪の笹ヶ峰に登ったのを思い出した。

その時の青空も素晴らしかったが、風があって山頂では寒い思いをした。







山頂の西側の岩でお昼を食べていると後続のパーティーが到着した。

メンバーの何人かが、他の人に『ありがとう!』としきりに言っている。

塔ノ丸が初めてなのか、雪山が初めてなのかはわからないが、

初めてきて今日のこの絶景を見られたなんて、とてもラッキーな人たちだ。

北には小豆島、東側もかなり遠くまで見えている。







大展望を楽しんだ後は下りのヒップソリの準備をして下山を開始。








山頂で少しだけ風が吹いていたので上着を着こんだが、また暑くなってきたので一枚脱いで歩きていく。

前を行くゆかりんが背中でダイブをしたが、自重で起き上がれない!(笑)













所々でヒップソリを試みるが、雪が柔らかくて滑らない。

また登って来た時は傾斜があるように見えた坂も下りではさほどでもなく、

先週の国見山の防火帯くらいの勾配が無いと無理があるようだ。

















日差しが強くサングラス忘れてきて陽が眩しい。

陽の当った顔も少し暑くなってきた。







二つ目のピークの下りで写真を撮ろうとヒップソリを下に置いたら、

軽いソリが雪上をスルスルと滑り始めた。慌てて追いかけるがどんどんソリのスピードは増して

最後には深い谷底にジャンプして落ちて行った。

今日の紛失物。ウエストポーチ・デジカメ・三脚・のど飴そして最後にヒップソリ!

過去には三脚やストックを落としたり忘れたりして無くしたことはあるが、

今日のロストの数は過去最大! (T_T)

人間、必死なると壺足でも追いかけて走れるのが判った。

(下の写真の中央のトレースの左に、谷側に斜めに追いかけた踏み跡がある)




後ろから下って来たゆかりんが『あれ?ヒップソリは?』と聞くので

状況を説明すると。『お母さん、あのヒップソリはどこに行ったんでしょうね』と追い打ちをかける。




この後、何度か滑れそうな場所でメンバーが試みるが、

滑れる距離が短く、それでも最後までチャレンジしてみる。

















この尾根道のシンボルの大岩を過ぎると、いよいよ塔ノ丸ともお別れだ。

最後に歩いて来た道を振り返る。







樹林帯の中に入るとやはり雪が柔らかく足を取られてまた汗を掻いてきた。

風の音も鳥の鳴く声もなく、静まり返った林の中を雪を踏む音だけが聞こえてくる。







トラバース気味になった場所では、左の谷側に足を滑らせないように注意しながら進んで行くが、

時々前を歩くキョウちゃんも、ズルっと足を滑らせている。










諦めの悪いゆかりんとキョウちゃんまだ滑っている!





スタートから4時間、全員無事に冬季塔ノ丸登頂から帰還した!

雪山は天候によっては厳しく危険が伴うが、今日の塔ノ丸は最高の天気に恵まれ、

四人ともに充実感に包まれながら帰路についた。























WOC登山部2020.12.16 藍染山

2020年12月17日 | 四国の山



今日はかねてからWOC登山部で歩いていた阿讃縦走路

セニョさんの希望で再開する予定だった。

前回は三頭峠まで歩いたので、今回は竜王山まで繋げる計画だったが

週初めからの冷え込みで縦走路は積雪が見込まれ、登山口と下山口となる林道も

凍結の恐れがあると急遽、予定を変更して安全な里山歩きに変更した。

と言ってもセニョさんに納得してもらうには(笑)、まずは三角点と

山頂が2~3つはないと・・・・と言う事で、以前からチェックしていた藍住町の

藍染山に出かけることにした。このコースは徳島のkyoさん

以前に歩いていて、三角点が3ヶ所。山頂も4つほど踏める周回コース。

これなら代替案でもセニョさんは喜んでくれるはず! (^O^)/


板野ICを降りて北西の高速の側道沿いにある奥宮登山口の駐車場に車を

停めて9時20分にスタートする。







登山口には道標とGoogle Earthとカシミール3Dのソフトで

作られたこの山のルートが詳しく書かれた案内板があった。




登山道は里山らしい低木と羊歯とよく踏み固められた花崗土の道。

支尾根の道を少しづつ高度を上げていくと道の脇には季節外れのツツジが咲いていた。











しばらく登って行くと少しづつ周りの景色が開けてきた。

丘の上にアスタムランドと大塚製薬の工場も見える。







さらに進んで行くと木々を切って広場になった見晴らし台に着いた。

広場にはベンチやテーブルが置かれていて、奥のベンチでは地元の人が数名、腰かけて

お茶をしながら談笑していた。道の途中の要所で見かけた案内板やこういった休憩場所が

設けられているのは、最近里山ではよく見かける風景だが、この山は特別手が掛けられている。

ただ少し気になったのは、職業柄そういった木々を切ったりベンチやテーブルを置いたりするのを

地権者の許可を得ているかどうかだ。(地元の山でも時々それが問題になったりしているケースがある)







さらに高尾山への案内板に沿って歩いて行くと、また見晴らし台があった。

先ほどの見晴らし台とはまた違った更に東側の吉野川河口の眺望が広がっている。







気温は低く吹く風も冷たいが、陽が当たり道が急登になるとやはり汗ばんでくる。

前を歩くひなちゃんが何やら肺がんや肺気腫の話をしている。

するとルリちゃんも胃がんの話をし始めた。

どちらも気になる耳に痛い話を私に振ってくる。(笑)







途中ではこれから歩く藍染山がけっこう遠くに見えた。




急登を登りきりさらに進んで行くと高尾山の山名板の建つ広場に出た。(10時00分)

ここからも南側の眉山から西に続く峰々や、その奥の中津峰山

見渡せる。広場の端にはカシミールのカシバード機能で作られた、山名が書かれた

案内板が建てられている。どうやらカシミールのソフトを使い慣れた人がいるようだ。

いつになく寒さで笑顔が凍っているセニョさん。

麺法師さんと杉さんはカシバードの山名の画像を見ながら熱心に山の特定をしている。







広場から少し歩くと四等三角点関柱に着いた。

ここにもベンチが設けられている、女性が二人が腰掛て休んでいた。

途中でほとんど休憩なしで歩いてきたので、ここで少し水分補給。







この辺りからしだいに周りの木々の樹高も高くなってきた。







電力の鉄塔を過ぎ支尾根の下をトラバース気味に進んで行くと展望台の案内板。

登山道から少し左に外れて案内板の方向へと歩くと北から西にかけての眺望が広がっていた。

阿讃の峰々の向こうにちょこんと五剣山が頭を出しているのが見えた。

その並びの稜線を見ると馬酔木公園や大山の電波塔も確認できる。

ゴルフ場の奥には瀬戸内の海が広がり小豆島も見えるビューポイントだった。














展望台から少し下り登山道に戻って歩いて行くと今日の最高地点の藍染山に着いた。

二等三角点藍染山で本日二つ目の三角点ゲット!(11時05分)







その横には異なる二つの山名札。どちらも鳴門岳友会の標識なのに、ややこしい!

眺望もないので早々に次の万石山へと向かう。










山頂から一旦下ってから尾根の南側のトラバース道を進んで行く。

途中で東に大麻山?だろうかピラミダルな山容をした山が見えた。




藍染山までの快適な道から、道幅も狭くなり少しザレたヶ所のある道になってきた。

前を歩く身軽なキョウちゃんとルリちゃんはヒョイヒョイと歩いている。








トラバース道を進んで行くと72番の鉄塔広場に出た。

樹林帯の中から明るい日差しが差す広場は、少しだけ寒さが和らいだ。







鉄塔広場から樹林帯の中を進み少し急登を登って行くと、トラバース道から支尾根の道になり

355mの標高点と73番鉄塔に着いた。鉄塔の先にはこれから向かう万石山が見えた。










73番鉄塔からは急な下り坂。晴れの日が続いて乾いた土からは、前を歩く

ルリちゃんやキョウちゃんの足元から土煙があがっている。







鞍部からまた支尾根の登坂が続いていく。時間はそろそろお昼時、お腹が空いてきたが

山さんやあっちゃんがいたなら『お腹が空いた』とうるさいことだろう。







寒くない場所でお昼にと思っていたが、下山後となるとまだまだ時間がかかりそうなので

背に腹は代えられない369mの万石山で、

木々の間から冷たい風が吹き抜けていく中でお昼ご飯にする。(12時15分)

ここには標準点の代わりに背の高い陸軍用地の石柱が建っていた。







先週のさぬき広島での暖かい日差しの中でののどかな昼食と違って、寒風の中あまり会話もなく、

食べ終わつたら直ぐに出発する。万石山からも更に急な下り坂を下りと

小刻みなアップダウンの道が続いていく。











所々で西側の景色が開け、登り始めた奥宮登山口への稜線が見える。







道幅もなく急坂や急登の場所にはトラロープが張られているが、やはり藍染山までの

道と比べるとあまり踏まれてないような感じがする。







また一旦下って登り返すと明るく南の眺望が広がる千石山の広場に出た。

276mの千石山には今日三つ目の四等三角点三軒屋。(12時55分)














千石山からはまた急な下り坂が続いていく。下りで間の開いた後続を待ちながら下って行くが、

道はしっかりしていて時折案内板もあり、変化があって本当にいいコースだ。













登山道が終わると高速道路の脇へと飛びだした。(13時15分)

高速に沿って階段のアップダウンが続いていくが、

下りきったつもりでいたので最後に意外と足に堪える。







脇道から下道にでても平坦な道は僅かばかりで、また側道は登坂に。

下道歩きの距離はあるのは分かっていたが、最後まで登坂が続いていた。










沿面距離10.34km、累積標高721mで行動時間は4時間40分の里山歩き。

寒風吹きつける中でも整備された道の周回を楽しめるいいコースだった。


【今日のトラック】




WOC登山部2020.11.25 御在所山

2020年11月26日 | 四国の山


今年の梅雨時期の雨の日には、山には登らずに滝巡りに何回か出かけた。

その滝巡りの中で高知県の香美市の大荒の滝は、

紅葉の名所だというのを知った。その時に一緒に歩いたやっさん

秋にまた来てみたいねと話をしたのを思い出し、先週の小豆島に続いて

紅葉狩りに出かけてきた。ここ最近は暖かい日が続いたので、南国高知なら

まだ紅葉が見られるかもしれないという魂胆だ。しかもその大荒の滝に行く途中には

どうやら御在所山の登山口があるらしい。よしよし、御在所山に

登った後に、紅葉狩りをすれば一石二鳥。と言う事で、いつものように丸亀を6時に出発した。


大荒の滝への道の途中にある木馬(きんま)茶屋の前の駐車場に車を停め、

身支度を始める。木馬(きんま)は昭和30年代ころまでに木材や木炭の搬出に使われたソリで、

木馬茶屋はその木馬を引く人たちが休憩した場所だそうだ。

その茶屋の横が御在所山への登山口となる。










しばらくの間は車道を歩いて行く。道の脇には原木を組んで椎茸の栽培が行われていた。

後で知ったことだが、ここで栽培されている椎茸は、『御在所しいたけ』として

地元の物産として有名な椎茸らしい。







車道を10分ほど歩くと最終民家があり、大きな登山口の案内板の横から登山道が始まり

植林された杉林の中を道は続いていく。










しばらくすると道の両側には、石積みに囲まれた平らになった場所があった。

おそらく民家の跡だと思うが、以前にはこの辺りまで集落があったのかもしれない。




道の途中には2カ所ほど水飲み場があり、さらに登って行くと杉林は間伐や枝打ちされて

どんどん周りの明るさが増してきた。







登山道は梅久保からの林道に飛び出した。林道には間伐作業の車が数台停まっていて、

広場になった場所に韮生山祇神社の鳥居があり、もう終盤のイチョウの木を

眺めながらベンチに腰掛け休憩をとる。ここまで駐車場から約50分。

ベンチに座りながら話の流れで杉さん波平さん

体重を聞いていた。どちらも自分の方が軽いと思っていたのか、波平さんの体重を聞いた杉さんが

『え?』と不服そうな顔をした。広場ではその昔に奉納相撲が行われていた土俵の跡がある。

思わず二人が四つになった姿を想像してしまった。(笑)




鳥居を潜ると御在所山名物?の石段が始まる。まだこの時点では余裕だが、

自然石のままの石段の踏面はガタガタしていて、

所々段差が高くなっている場所もあり登りづらく、一段一段ゆっくりと登って行く。














どこまでも続く石段にメンバーの足取りもいつになく重たい。

この辺りから杉の巨木が目立つようになってきた。





石段が終わるとしばらくは地道になる。急な坂でも石段に比べると

圧倒的に歩きやすい。




道の脇に夫婦杉と書かれた2本の杉が並んでいたが、

片方の夫杉はその面影もなく折れてしまっている。

『夫婦杉じゃなくて、後家杉やね!』




夫婦杉を過ぎると巨岩の下の小さな洞窟の中にお地蔵さんが祀られ、その前が水場になっていた。

水場から落ち葉が積もり滑りやすい急坂を登ると展望台に着いた。







曇天の下で遠くまでは見渡せないが、晴れていれば高知の市街地まで見られたかもしれない。




展望台からはまた石段が始まる。しかも尻見坂と名付けられるほどの急な石段。

麺法師さんのお尻を見ながら登って行く。








尻見坂を登った所には『入山安全祈願所』と書かれた祠があった。

こんな途中でなく、参道入り口にあってもいいのに思ったが、不遜な考え方をしていると

事故でもあったらいけないので、浮かんだ気持ちを直ぐに打ち消した。




相変わらず石段は延々と続いている。そして我々は修行僧のように、ひたすら足をあげていく。

レッド・ツェッペリンの曲だったが、天国への階段という曲があったが、

この石段は真逆な地獄への階段だ。











石段の先にはまた狛犬が見えた。麺法師さんに『狛犬が見えるから山頂も近いかも?』と言ったが、

これが偽ピークならぬすぐ上にある大日如来の祠の偽狛犬だった。そしてさらに道は続いていく。










杉林の地道になったのが束の間、また石段が始まる。

『もういいです!満腹でこれ以上は食べれません!』 (T_T)

ここまで来ても元気なあっちゃんは苦も無く登っているが、

リバウンドで最近太ったせいなのかセニョさんは苦しんでいる。










石積みに囲われた場所には今度は狛犬ならぬ狛鷹があった。

片方の鷹の首は折れ、もう片方の鷹の足元にある石もけっして動かしてはいけない。

ひなちゃんがその石を動かそうとしたら、鷹がひっくり返りそうになったそうだ。







普通どこの神社の石段も、段数が多い所は何段の石段と数えられているが、

この韮生山祇神社の石段は朽ちかけた石段もあり数えづらく、

それ以上にこの苦しさに数える気も起らないのだろう。後でどこを調べても出てこない。







八十八カ所の石仏も余裕もなくて横目で眺めて通過するだけ。




いつもの事だがひなちゃんは、ペースはゆっくりだが、

コツコツと立ち止まることなく粘り強く登ってくる。




その内に石灯篭が現れた。この灯篭も先ほどの狛鷹と同じように片方は火袋から上が朽ちている。

もう一つも台座が開いて灯篭の足が又裂きのようになって、今にも崩れそうだ。







灯篭を過ぎるとやっと韮生山祇神社(にろおやまずみじんじゃ)に着いた。

立派な鳥居に社殿をよくもこんな山の奥に造ったもんだと、ひとしりき感心する。







ここでは愛嬌のある顔の狛犬が、疲れ切って何とか登って来たメンバーを癒してくれる。

御在所山の三角点はその奥にあった。










三角点の奥には展望所があり、晴れていれば剣山から天狗塚までの

山並みが望めるようだが、今日の空模様の下ではほとんど特定できない。










未だ時間は11時。少し早いので記念撮影をした後は下山後に昼食を摂る事にして山頂をあとにした。




登りに比べれば心臓の負担は格段に違うが、同じように荒れた石段はとにかく歩きづらく、

あまりスピードはあがらない。急な場所では登りでは使わなかったロープが重宝した。










長い長い石段を下りきると、広場まで戻ってきた。ここまで降りってくるとやっとひと段落。

一息入れてさらに登山道を降りて行く。




ここからの下りの道は先ほどまでの石段の下りに比べると天と地の差。

次第にメンバーのペースも上がってくる。







途中にある大正15年に建てられた手やり石には五山所道と書かれている。

御在所山は元々は五山所と呼ばれていたのだろうか?




車道まで戻ると駐車場まではもうすぐ。周りの景色に目をやる余裕も出てくる。

傍らに咲く黄色く小さな花を見てゆかりん

『この花の名前は?』と聞いてくるが、花音痴の私に聞くのは間違い。

帰って流れ星さんのレポートにはシマカンギクと書かれていた。







駐車場まで戻って木馬茶屋の軒先を借りてゆっくりとお昼にする。




お昼ご飯の後は次のお目当ての大荒の滝を目指す。

普段ならもみじ祭で賑わうもみじ峡も駐車場には他の車の姿はなく、

もちろん人影もない遊歩道を歩いて行く。







遊歩道と言っても登山道のような道。御在所山から降りてきて着込んだ上着のせいで

汗がじわじわと出てきた。遊歩道の入り口からは150mほどで、最初の岩屋の滝に着いた。










前回尋ねて来た時は天候も悪く、小さな滝の印象だったが、どうして2段に分かれて

流れ落ちる滝は見応えがある。









岩屋の滝からの道も所々でザレた場所があり、ザレ場恐怖症の杉さんは難儀していたようだ。

終わりかけていた紅葉も何本かはハッとさせられる見事な彩を残していてくれた。














渓谷に係る橋まで来ると大荒の滝がその姿を見せてくれる。

落差38mの滝は両側の巨岩の間から、勢いよく流れ落ちてくる様が圧巻だ。







随分と荒れた遊歩道を登って行くと滝壺近くまで行くことができる。

滝壺に近づき正面まで来るとミストが飛び散り、マイナスイオン感が半端ない!








遊歩道まで戻り少し登って行くと林道に出た。途中からはゲートで通行止めになってはいるが

駐車場や展望所もあって、大荒の滝を遠くに臨むことができる。

落葉樹に囲まれた滝のある谷あいは、紅葉のピーク時には本来のもみじ谷の

姿を見せてくれる事だろう。







平家の落人が安徳天皇を奉じて隠れ住んだことが名前の由来となったという御在所山。

普通、神社は南北方向に建てられるが、東北方向の高板山(こうのいたやま)に向いて建立され、

大山祇命・安徳天皇・清盛の弟平教盛が祀られている韮生山祇神社。

その高板山は「皇の居た山」に由来すると言われ、安徳天皇御陵跡がある。

安徳天皇に関しての色々な伝説の残る歴史の山を登り、香美市の名瀑を散策もできた

苦しくも楽しい一日だった。長い林道をおしゃべりしながら歩いて下って行くと、

最後に二色の紅葉とイイギリの赤い実が葉の落ちた木々の中にあって

晩秋の山間に最後の彩の花を添えてくれていた。










今日のGPSトラック










WOC登山部2020.10.28 御来光の滝

2020年10月29日 | 四国の山



今秋の目標の御来光の滝に出かけて来た。

この時期の御来光の滝は2年ほど前から麺法師さん

『一度は見てみたい!』と熱望していて、やっと実現できる運びとなった。

と言っても私が歩いたのは7年前に木の根の森で、

『ホームページ開設10周年』と銘打って、高御位山さん、すまし粉さん、エントツ山さん

Kyoさんご夫婦、グランパご夫婦、マーシーさん、Reikoさん
と大勢集まっての16時からの宴会。

そして翌日雨の中を御来光の滝を目指したものの、スタート時間が遅く滝を目前にしての撤退となった。

翌年、リベンジで独りで念願の御来光の滝を見ることができたが、それも6年も前の事。

メンバーを案内をするのに薄くなった記憶に不安になって、エントツ山さんの掲示板に書き込みをしたら

丁寧に初心者用のルートを解説してくれた。『よ~し、これで準備万端』。

残るは左膝の痛みだけと思っていたら、夜中に腹痛に見舞われた。

12時から1時間おきにトイレに駆け込み、最後は3時を過ぎてしまったので、

そのまま起きることにしたが、結局ほとんど眠れなかった。


いつもより1時間早く丸亀を5時にスタート。西条辺りでようやく空が白み始めた。

瓶ケ森林道では薄曇りの空。若干不安は残るが、それでも林道の途中では朝陽に当たる伊予富士

赤や黄、オレンジ色に染まる山肌の写真を度々車を停めては写す。
















長尾尾根展望台には8時に着いた。ここから見える石鎚山

普段見る山容とは違った山のように見える。『まるで槍ヶ岳のようやね~』と山じい







身支度をして展望台から少し上に歩いて行くと、目印となるカーブミラーがある。

もともと御来光の滝から石鎚山へのルートは面河渓谷がスタート地点。

エントル山さんによるとここからの道は釣り人が歩いていた道だという。

今は踏み跡もしっかり付いていて、面河川までの激坂が始まる。




案の定下り始めて直ぐに膝が悲鳴をあげ始めた。幸いにして反対の右脚の攣りはどうやら大丈夫の様だ。

踏ん張ると痛みが走るので、スピードを落とさずトントンと降りて行く方が楽だ。

とにかく周りの紅葉が素晴らしく、よそ見をしていると躓き転びそうになる。







最初はメンバーと付かず離れず下っていたが、次第に間隔が空いて独りで河原に降り立った。

しばらくは右岸に渡渉できる場所をあちこち探していたが、いくら待ってもメンバーが降りてこない。

仕方がないので下流へと歩いて行くと『お~い!』と呼ぶ声がした。

どうやら途中から違う道へと降りて行ったようだ。

前回歩いた時はこの河原を少し歩いた記憶があるので、メンバーが降りて来た道が元々の道の様だ。

話を聞くと山じいが下流と上流を間違えて突堤まで歩いたとの事。

『山じい!水が流れてきている方が上流ですよ!』










幸いにして晴れの日が続いて水量は少なく比較的楽に右岸へ渡渉して、

目印のブルーシートのある場所から河原から山道へと入って行く。

ここからは踏み跡はしっかりあり所々にテープもある。

それでも台風の影響かあちこちに道を塞ぐように木が倒れていたり

道が崩れていたりして少し回り込む場面もあった。










最初の高巻きが終わると2回目の渡渉で左岸に渡って行く。頭を出して白く乾いている岩は問題ないが、

まだ濡れて茶色く色のついた岩はツルっと滑り油断禁物だ。







左岸に渡るとしばらく川の流れを横目に見ながら森の中を歩く。

ここでもテープを目印にしながら右に行ったり左に行ったり。




森を出ると七釜の幾段もの小滝が続く場所に出た。

岩の上には苔が付き白い岩肌に川床は赤くとっても雰囲気のある場所だ。










七釜の上流から3回目の渡渉。渡渉ヶ所には手前と対岸にテープが必ずあるので

『ほら!あそこにテープが見える!』などと言いながら渡って行く。







川の上は低く谷あいになっていて、その奥に見える紅葉がとてもきれいだ。







対岸に渡るとまた高巻きが始まる。しばらくは森の中を何本もの大木を見上げながら進んで行くと、

次第に山道になり斜面をジグザグに登って行く。







前を歩く麺法師さんが『最近お気に入りのYouTubeチャンネル』を教えてくれた。

『かほの登山日記』というチャンネルらしいが、

とにかく女の子が可愛いから見てくださいと言っている。

私のお気に入りは『山好き移住者の日記』というチャンネルで

元モンベルのショップ店員のチャンネルだが、奥さんのマルちゃんがとっても可愛らしい。

映像の素晴らしさでは『JIN』だが、登場人物の女性の好みで性格が出る。


雨の後には渡り辛くなるだろう小さな沢も、水量が少なく難なくクリアー。

木製の二段の梯子を登って巻き道の一番高い場所に出る。











川を見下ろすと彩が続いている。高巻き道でなく川をずっと遡上すれば、それはそれは素晴らしい

紅葉の中の沢登りとなるだろう。







道が付かない急な斜面には木製の階段が取り付けられている。『大丈夫かな?』と

言いながら山じいが歩いてくるが、意外としっかりしていて問題ない。

一般的な登山道ではないこの道に、階段や梯子は誰が整備したのだろう?

御来光の滝の上部に愛媛大学の小屋があるが、愛大の登山部の人たちかな~?




ここからまた一旦河原に降り、左岸へと4回目の渡渉をする。

河原からは上流も下流も彩の花が咲いている。
















しばらく川の中の大岩をピョンピョンと移りながら、南沢出合いの滝を右手に見ながら進んで行くと

ロックゲートと呼ばれる、沢の両側から岩が迫る場所に着く。

本来ならこのロックゲートの間を進んで沢の中を進んで行くのだが、

その先には最難関の斜め岩が待ち構えている。10mほどの斜面の岩だが手掛りがほとんどなく、

足掛かりも余りないので、足を滑らすとそのままドボーンと水の中に落ちる事になる。










今回エントツ山さんに教えてもらった初心者用のコースは、このロックゲートの手前の倒木から高巻く道。

と言ってもあのエントツ山さんが『この道も危険な場所がない事はない』と言っていたので

果たして今日のメンバーは大丈夫だろうか?と気にしながらグイグイと登って行く。










柔らかい土の斜面は滑りやすく歩きにくい。朽ちかけた木橋や小さな沢筋のロープが張られた場所を通り進むと

先ほどの沢筋より少し幅のある沢に出た。エントツ山さんのアドバイスによると

この沢筋の岩はいつも濡れていて、足を滑らせると危険で要注意のヶ所らしい。

ところがやはりここでもほとんど水が流れていなくて、乾いている場所もあり、

意外とスムーズにクリアできた。













この最後の高巻き道の難関の場所を過ぎると、いよいよ御来光の滝が姿を現した。

山じいが姿の見えない後ろから来るメンバーに『お~~い!着いたぞ~』と嘯いている。

(本当はもう少し登らんといかんのに)







ここからは御来光さんがどんどん、どんどん近づいてくる。

巨大な岩が転がる沢筋から見上げると周りの木々の色付きも申し分ない。







一旦、沢から右岸の巻き道を登って行くと、御来光の滝のお膝元に着いた。

今まで薄曇りだった空も、日ごろのメンバーの行いがよっぽどいいのか

雲が流れて青空が広がり始めた。










落差102m、日本の滝100選にも選ばれている名瀑。今年は夏場に四国内の他の百選の滝を

色々と巡ったが、滝までのアプローチといい、その姿といいこの滝は別格だ。

特に巨大な岩壁にこの時期ならではの周りの木々の彩が、なお一層花を添えてくれている。













全員が揃った所で、滝壺を直ぐ目の前にして滝を見上げながらお昼ご飯にする。

こんな滝を目の前にしてお弁当が食べられる滝も他にはなかなか無い。










間近にしては飛び散るミストも大袈裟ではなく程よく心地いい。

IRIBITOさんも腰を降ろして見上げながら感激している。

やっさんは何枚も何枚も一眼レフで写真を撮っている。







振り返って歩いて来た谷あいの彩も今がまさにピークで見とれてしまう。

ただ朝からの腹痛で、ほとんどお弁当が喉を通らない。小さな稲荷寿司を2個食べるのがやっとで

随分と残してしまった。最後にメンバーの写真を撮って名残惜しんで滝壺を後にした。













帰り道の道も高巻いて登ったり降りたり、そして何回か沢を渡渉しての繰り返し。

高巻くと盛りの紅葉からは外れるが、沢に降りると紅葉のど真ん中に飛び込む。










何回か河原で小休止しながら最初に渡渉した河原まで戻って行く。

相変わらず熱心に写真を写しているやっさん。

渡渉もここまで繰り返すとメンバーもこ慣れてきたが、

案内には『足元に不安のある方はお勧めできません』と書いて正解だった。

初めて雨の日に来た時に私はこの場所で沈して肩まで浸かった。

廻りの人は助けもせずに何とか写真を撮ろうと必死だったのを思い出す。










七釜まで戻ってくるとあと一息。と言っても最後にあの激坂が待っている。




最後の渡渉が無事終わり、今日は誰も沈することなく(残念!)、残りは急登を残すのみ。







ここにきてお腹の調子はピークに差し掛かり、お昼もほとんど食べれなかったのに

胃がムカついてきた。山じいとやっさんには先に登ってもらっていくことにする。




いつもは余り水分を摂らないたちだが、今日は2本のスポーツ飲料が空いている。

河原で念の為に空いたペットボトルに水を入れて正解だった。

ここ数年、年間の山行回数が増えているので少しは体力が付いているかと思ったが、

6年前と同様に10~20歩ほど歩いては立ち止まるの繰り返し。

脱水状態もさることながら、シャリバテにもなっているのかほとんど歩けない。

せっかくの周りの紅葉もゆっくりと見る余裕もなく、果たして登りきれるかと思ったほどしんどい。

スタート地点の近くのロープを登りきり、

石鎚スカイラインを走る車の音が聞こえてくると、何とか最後の力が湧いてきた。










長尾尾根展望台では先に着いた二人が寛いでいた。

後ろから来る麺法師さんとIRIBITOさんが気になったが、考える余裕もなく

ベンチに寝そべった。随分と遅れて二人が到着。IRIBITOさんはさほどでもないが、

麺法師さんは疲れ切った雰囲気だ。








次第に陽が落ちかけた雰囲気の空に石鎚山がそびえ立っている。

スタート時点の下りでIRIBITOさんが『スタートして下って、最後に登るのは初めてやな』と言っていたが、

とにかく疲れた体に鞭打つように最後の急登は堪えた。

『もう一度行こうとは思わんな』とメンバーが口々に言っていたが、それでも

『これだけの豪快な滝とドンピシャな紅葉が見れて最高だった!』と全員が言ってくれた。




とにかく激坂の苦難の先に素晴らしい景色が待っていた御来光の滝。

墓場尾根も前回歩いて、今回の御来光の滝に麺法師さんも満足してくれたようだ。

帰り道、河原でIRIBITOさんが拾ったスマホの落とし物を、西条の交番に届けて

時間のロスがあったが、陽の落ちるのが早くなった中を高速り帰路についた。


WOC登山部2020.10.14 剣山(単独)

2020年10月15日 | 四国の山
もう二週間になるだろうか、左膝の具合が思わしくない

先週はそれでも登山部に参加したが、左膝より右のふくらはぎから

太ももがスタート直後から張ってしまい、まるで長距離を歩いて

疲れ切ったような張りと痛みだった。一週間経っても

相変わらず膝の具合はよくなく、事務所の階段を登ると右脚も直ぐに張りが出てくる。

今週は用心をとって登山部はお休みして独りでリハビリ登山をすることにした。

リハビリと言えば剣山。この山なら独りで歩いて何かあってもリスクが少なくて済む。



家をでて国道193号線を脇町に入る手前では南の空は青空が広がっていた。

天気予報は曇りの予報だったが、うまい具合にハズレてくれたようだ。




夫婦池を過ぎ丸笹山からの尾根を回り込むと、剣山には雲がかかっていたが

次郎笈の方は晴れている。剣山の雲が流れていく事を願いながら見ノ越に着いた。




トイレ前の道際は満車だったが第一駐車場の下階はまだ余裕があった。

駐車場の奥に一台の自転車が停めてあった。ひょっとして今日、三嶺~剣山を縦走している

IRIBITOさんのデポ自転車かもしれない。IRIBITOさんはここ数カ月、

この剣山系から三嶺にかけて単独で色々なルートを歩き回り、

下調べをしながら着々と準備を進めて今日、晴れて実行に移しているのだ。


四国で山登りをしているものとしては剣山~三嶺のゴールデンルートは

いつかは歩いてみたい憧れの縦走路。とは言え今の私の足の状態では

夢のまた夢。案の定、劔神社の石段を登り始めると直ぐに右脚が張り始めた。




まぁとにかく今日は無理せずのんびりと歩こう。前回の雨の中の登山道と違って、

今日はやはり紅葉目当ての人が多いのか、数人の人が前を歩いている。

後ろから来ている三人の女性陣はずっとしゃべりぱなしで賑やかだ。




見ノ越から西島駅までの間は色づき始めた木がまばらにあるだけで、

緑の色の勢いが勝っている。紅葉はこれからの様だ。










高度が上がってくると次第に色づいた木が目につくようになってきた。

空は雲が流れ青空が広がって来て期待が出来そうだ。




西島神社の大岩の横を登るといつもの定点観測の場所から雲海荘を見上げる。

すると逆光だが山頂北面にオレンジ色に輝く斜面が見えた。『どひゃ~スゲー!』

何十回とこの場所からはいつも写真を撮っているが、これだけの紅葉を見るのは初めてだ。

期待感を膨らませて足の痛みも忘れて西島駅まで歩いて行く。







西島駅からも三嶺まで続く稜線の見慣れた風景が広がっていた。

IRIBITOさんはどの辺りを歩いているんだろうか?

リフト乗り場から下を覗いて見ると、こちらもいい色をしている。







西島駅から刀掛けの松までの間も相変わらずスピードは上がらない。

ただ道の脇から見える木屋平の方の斜面も、山頂からの北面もどちらも素晴らしい色づき。







刀掛けの松ではけっこうな人で賑わっていた。その服装を見ると、

今日は登山というよりリフトで登って紅葉狩りの観光客も多いみたいだ。










紅葉の写真は晴れて光がないと冴えないが、空は青空、絶好の写真日和だ!










オレンジ色の山肌の向こうに一の森が見える。

苔に付いた小さな植物も同じように可愛らしく色づいている。







西島駅でゆっくりとして途中も写真や動画を撮りながら、やっと山頂に近づいて来た。







見ノ越から二時間ほどで山頂ヒュッテに着いた。Kyoさんがブログで書いていたように

ヒュッテは食堂を閉めて、売店のみの営業をしている。







山頂の木道まで来ると風が当たって少し肌寒い。紅葉はもちろんのことだが

この先に待つ次郎笈への稜線に期待が膨らむ。




山頂からは期待通りの景色が広がっていた。次郎笈の山頂から幾筋もの緑の畝と

何とも言えないカーブを描きながら続く稜線と尾根道。

今までも、これからも何度訪れても恐らく見飽きることないだろう眺望だ。

鞍部から北側の山肌も色づき始めている。










山頂に着いた時には数人の人たちだけだったが、後ろからどんどん歩いてくる人が見える。

随分と時間は早いが北のテラスへ避難して?お昼ご飯にでもしようか。







そう思って北のテラスで腰かけて目の前に広がる景色をのんびりと眺める。

今日は独りなので、山頂でゆっくりしようとこの時期ならではの“おでん”を持ってきたが、

こちらにも次々人が来る。ちょっと人前でおでんを食べているのも気恥ずかしくて

おにぎり一個を口にして早めのお昼にした。










予定では山頂から次郎笈に向かって降り、途中の分岐からトラバース道を西島駅に戻るつもりだったが

途中で見た雲海荘から下の山肌を見逃す手はないと思い、山頂手前の鳥居の下から

大劔神社への道を下って見ることにする。恐らくこの道を歩くのは初めてかもしれない。







途中の展望岩では登ってくる西島辺りから見えた山肌から、更に西側にも錦秋の山肌が眼下に広がっていた。

この時期何かと密という言葉のイメージが悪いが、この彩の密は大歓迎だ!










大劔神社の直上の岩からも素晴らしい景色が広がっていた。

あと数日が見頃かもしれない。

今日はリハビリと思って出かけてきたのに、思いがけない景色に出会えて大満足!



















久しぶりに大劔神社にお参りをして、大劔道コースからこちらも初めて刀掛けの松への道を辿ってみる。

恐らくこの道が下から見たオレンジ色の山肌のど真ん中を通る道のはずだ。




道の途中では度々立ち止まっては見上げて、写真を撮る。

『開いててよかった!』はどこかのコンビニのCMだったと思うが、

今日は『晴れててよかった!』







緑の笹原と発色のいいオレンジ色のコントラストが何とも言えない。







道の上も風で落ちた葉で秋色に染まっている。上を見ても下を見ても、更には横を見ても

秋・秋・秋~!の錦秋にため息が出る。










先ほどの大劔神社も大勢の人がいたが、このコースでは誰にも出会わない。

この素晴らしい景色を独り占めしながら歩いていると、周りの景色に影響されてか

何だか目の前も薄~く、オレンジ色がかかってきたような錯覚に陥る。






















刀掛けの松ではまだ下からどんどん登ってくる人がいた。

西島駅までの途中から、また横道に入ってみる。行場では見かけた事のある

鹿の侵入防止の為のテキサスゲートが二ヵ所ほどあった。














西島駅ではお疲れ様!と鳥居さんが出迎えてくれた。ここでもKyoさんが書いていたように

売店の改修工事が行われていた。前回覗いた時には雨漏りがしていたので

先ずは屋根の修理をしているようだ。










西島神社からは左に遊歩道コースを下って行く。尾根道コースと違ってこちらも行き交う人の姿はない。

ここまで下って来るとやはりまだ紅葉には早いようで何本かの木が色づいている程度だったが

まだ残る緑の色とのコントラストが、これはこれで風情がある。










祖谷川源流の冷たい水で口を濯いでみる。鹿の鳴く声だけが聞こえる森の中、

爽やかな風が吹き抜けていく。










これからどんどん山頂から彩が下って来るのだろうが、この辺りまで来るには

もう少し先の様だ。そんなまだ少し秋の訪れが早い森の中を歩くと、リフトのトンネルの脇に出た。










劔神社から下を見ると第二駐車場も満車状態だった。キレンケショウマのシーズン以外で

ここが満車になっているのも初めて見た。さすがにおにぎり一個ではお腹が減っていたので

駐車場の横の売店のかけそばでお腹を満たす。











足の具合が良くなくてリハビリにと出かけた剣山だったが、今まで見た事のない錦秋に

出会う事が出来、普段なら先ずは歩く事ない脇道をのんびりと歩けて

脚の痛みを忘れさせてくれた一日だった。石鎚山から始まった紅葉は。これから

日に日に下がってくる。これから計画している山行に参加できるようにと

劔神社に願掛けをして(神頼みではダメなのだが)見ノ越を後にした。


WOC登山部2020.10.07 土佐矢筈山

2020年10月08日 | 四国の山
今日はWOC登山部では年に一度の遠征で八幡平に6名で出かけているので、

留守を預かるメンバーで、先週天候不良で予定を変更した土佐矢筈山にリベンジしてきた。

集合場所から高速に向かう途中でコンビニ立ち寄ると、朝焼けを背に飯野山のシルエット。

朝から天気の良くない日が二週続いたが、今日は久しぶりに期待できそうだ。




先週の工石山から帰って来てから左膝がずっと痛んでいた。

以前にも同じような症状があったが2,3日すると治っていたのに、今回はいつまで経っても

痛みが治まらない。少し不安になって前回足首が腫れた時に訪れた整形外科で見てもらうと

触診した後に先生が『少し腫れていますね。レントゲンを撮ってみましょう。』と言った後に、

『今度も山に登るんですか?』と聞いてきた。前回診察してもらった時のことを覚えていたようだ。

幸い骨には異常はなく、周りの筋が炎症しているとの事だった。

『毎回、山に登る前に、レントゲンを撮りにきますね。』と先生に皮肉を言われたが、取りあえずは一安心。

コンディショニング・タイツを履いて更に膝にサポートして登ることにした。



高知自動車道を大豊ICで降り(3週続けて)、豊永から439線を京柱峠へと向かう。

豊永からの道は国道とは名ばかりで道幅の狭いくねくねとした道を走って行く。

『峠は憶えているけど、こんな道を走ったかな?』と二年前も運転をしてくれたIRIBITOさん

峠に着くと二年前にはあった峠の茶屋の建物が無くなり、基礎の部分だけが残っていて様変わりしていたが

南側に遠くに見える梶ケ森までの景色は変わることなくメンバーを迎えてくれた。

身支度をした後メンバーはここ最近の定型業務?のYAMAPの記録をスタートにしている。











峠から東に林道を歩いて行くと右に小檜曽山登山口の小さな標識がある。

ここから斜め上に登って行くと登山道がスタートする。

登り始めると直ぐに気になっていた左膝ではなく、右足のふくらはぎと太もも痛み始めた。

ずっと左足をかばっていたいたせいだろうが、今まで経験したことのない痛みと症状だ。

山さんとIRIBITOさんに『ひょっとしたら登れんかもしれません。』と

言って弱気になりながら、しばらく幅の広い作業道のような道を進むと萱原になる。

IRIBITOさんの提案で、今日は女性陣に前を歩いてもらう事にしたので、

時々道を少し外れながらも、所々に付けられたテープを見ながら萱原を抜けると、檜と杉が混在した林になった。







林の中のトラバース道が終わると今日のコースで一番気になっていた急登が始まる。

トップを歩くキョウちゃんのスピードが半端ない。

女性陣に前をと、ちょっと上から目線で言っていたが、あとのルリちゃんもみなちゃん

どんどんと登って行く。IRIBITOさんと二人で『女性陣についていけんがな~!』








この急登は登っては少しだけ緩やかになるのを3・4回繰り返す。その度に先を行く女性陣が

待ってくれていて、一呼吸置きながら登って行くが、足の痛みはどんどん酷くなる。

もうすでに10時間近くも歩いた後のような張りで、『せめて笹原まで・・・・・』などと

思いながらも右足をひきづる様にして登って行く。










急登が終わると原生林コースの分岐点に着いた。先ほどまでの針葉樹の林から、

広葉樹の広がる手付かずの自然が残る道。







ブナやミズナラの森に朽ちた倒木には苔がつき、サルノコシカケや小さな

可愛らしいキノコもあちらこちらに目につく。

みなちゃんも度々立ち止まっては独特のポーズで写真を撮っている。

夫婦のマムシグサものびのびと葉を広げている。
















下草もなく柔らかい土の上をブナの大木を見上げながら歩いて行くと足元をすくわれる。

原生林と書いているだけあって、ほんとうに素晴らしい森だ。










『小さい秋、み~っけ!』





原生林の森を抜けると分岐の道が交わるモミ千本に着いた。

前回来た時に誰かさんが消えかかった標識の千本を十本と勘違いして読んだ場所だ。

『十本のモミの木をわざわざ書かんやろ!』と笑ったこの場所から、

しばらくはウラジロモミの林の中の道が続いていく。







ウラジロモミの林が終わると、いよいよ笹原の稜線に飛び出す。

右足は相変わらず痛くて、いつ攣ってもおかしくない状態だが、

ここまで来ると気分が盛り上がって痛みを和らげてくれる。小檜曽山と土佐矢筈山の分岐に出る手前は

平らな広場になっていて、北には天狗塚と牛の背、その向こうには

寒峰から矢筈山に続く稜線が見渡せる。

西側には遠く石鎚山までの峰々が続いている。













分岐からはまずは小檜曽山へと歩いて行く。少し先のピークに道標が立っているのが見えるくらいの距離。

背の低い笹の中明瞭な道が続いている。










白骨林までとはいかないが、枯れかかった木々の間を抜け10分ほどで小檜曽山に着いた。

二等三角点『笹』のピークからは、今から歩く土佐矢筈山までの笹が広がる尾根が見渡せる。










夕方からは雨になるという予報がウソのように青空が広がっている。










ここからが今日のルートのメインディッシュ。四国でも有数の笹原尾根の道。

暑くもなく寒くもなく湿度も低く、このコースを歩くには今日は最高のコンディションだ!

登坂になると足の痛みで俄然スピードが落ちるが、前を歩くメンバーに多少遅れて離れても

遮るもののないこの道では、全員の姿が確認できるので、ゆっくりと歩いて行く。

紛らわしい偽小檜曽山の道標の立つピークも通過して進んで行く。










以前に独り歩きをしていた時も、笹原を歩きたくなるとこの山に来ていた。

もう何度も訪れている山だが、何度来ても期待を裏切らない素晴らしい景色が続いていく。













前を歩くメンバーが立ち止まっている間に何とか追いつくが、

歩き始めると直ぐにどんどん離されていく。

笹原には人の歩く踏み跡とは別に、幾筋もの鹿たちが歩いた後の踏み跡が付いている。

先週の工石山では陽が当たらず開いていなかったアサマリンドウもきれいに花開き、

ヤマラッキョウの小さな花も道の脇に沢山咲いている。










二週間前に歩いた中津明神山では天空の鳥居と天空の林道を眺めたが、

今日は天空の笹原そして雲上の笹原。振り返ってもまた笹原だ。




鞍部からは山頂への最後の登り。最初は樹林帯の中を登って行くが、

随分前を歩くIRIBITOさんが『大丈夫?』と声を掛けてくれた。

大声で『大丈夫です。ゆっくり行きます!』と答えて歩いて行く。

樹林帯を抜けると山頂直下の登りをかなり先を歩くメンバーの姿が見えた。







高知の人たちが南側から登ってくる矢筈峠の分岐を過ぎると

山頂まではもう少し。ガンバレ・ガンバレ!







山頂に着くとメンバーたちの食事は始まっていた。

早速ザックを降ろして岩の上に腰掛けようとするが、足が固まって一苦労する。

前回独りで来た時も、あまりに多い虫の数に閉口して少し下った岩の上で食事にしたのだが、

今日も蚊のような小さな虫がまとわりついてくる。




山頂からは360度の大展望。剣山次郎笈

もちろん先ほどから見えていた天狗塚から三嶺

綱付森の笹原も手に取る様に見える。







仲が悪いわけではなくソーシャルディスタンスで食事をするキョウちゃんとみなちゃん

向こうには牛の背の笹原がで~んと広がっている。












今日はいつになく山頂でのんびりと過ごす。そりゃこれだけの眺望のある山頂で

せっかちにしても仕方がない。

先ほどまで私にまとわりついていた虫たちがIRIBITOさんの頭にTシャツにすごい数でたかっている。

払いのけてもきりがないので、ひょっとしたら白いTシャツの色に寄ってくるのかも言われて

Tシャツ脱いでみてもあまり変わらない。加齢臭に寄ってきてるのかも?(笑)

あっ!でもさっきまでは私に寄って来たので、人の事は言えないぞ・・・・!




山頂は風もなかったせいか思っていたよりも寒くもなく、

本当にゆっくりとできた。それではまた笹原を戻って行こう!











帰り道も女性陣がどんどん歩いて行くが、IRIBITOさんが心配して

遅れている私の後ろを付いてきてくれている。

空も予報通りに雲が広がり初め、モミ千本の辺りから雨がちらつき始めた。

分岐から往路と違うもう片方の道に進むと、次第に踏み跡が薄くなってくる。










自然林の森の中には鹿害避けのロープとネットが張られているが、注意書きには

『登山用のロープと間違えないように』と書かれているが、

そんな間違いをする人もいないだろうに!




こちらの道も原生林コースに劣らず自然が残り、様々な植物がいきいきとしている。










分岐まで戻ると残るは急な下り坂。時々他のメンバーが『おっと!』と言って

足を滑らせているが。一歩一歩足を踏み出すのが精いっぱいで

足を滑らせるほどの余裕もない。










スタート時点では『今日はリタイヤするかもしれない。』と思っていたが、

痛みをこらえながらも何とか歩き通すことができ、

この土佐矢筈山の自然のバリエーションと豊かさを存分に感じることができた。

京柱峠に着いて早速恒例のコーヒータイム。

今日はIRIBITOさんがコロンビアの美味しいコーヒーを用意してくれた。










約11kmを約6時間弱の行程。途中でいつも以上に写真を撮ったり、

山頂でものんびり寛いだりと今日もまた楽しい山歩きの一日となった。



 









WOC登山部2020.09.30 工石山

2020年10月01日 | 四国の山



先週は中津明神山の山頂から猿越山への笹原稜線と

くねくねと続く天空の林道を眺めた。

緩やかに北に広がり延びている笹原の尾根を見て、気温も下がり始めた事だし、

久しぶりに笹原歩きがしたくなり、四国でも有数のシコクザサが広がる土佐矢筈山を計画した。


今週も秋雨前線の影響かまた天気予報が思わしくない。どうやら毎水曜日が悪天の周期に入ったようだ。

自宅から高速道路を西に向かって車を走らせていると、西の空がピカっと光った。

雨雲レーダーも雨雲がかかったままだし、雷注意報の予測マークも時間が経っても外れない。

豊浜ICで丸亀からのメンバーと合流。事前に変更も有と相談していた麺法師さん

IRIBITOさんと話をして、急遽行き先を工石山に変更することにした。

土佐矢筈山の笹原尾根と違って工石山は山頂までほとんど樹林帯の中を歩くので、

多少の雨でも万が一の雷でもリスクが少ないと判断。


大豊ICを降りて先週と同じように国道439号線を西に、途中から県道16号線を稲刈りを前に色づいた

棚田の稲穂を眺めながら工石山青少年の家まで車を走らせる。

青少年の家の体育館の建屋の下に車を停めてスタートする。雨に濡れずに準備ができるのが

工石山に変更したもうひとつ理由。空はまだ怪しげな雰囲気。

まゆゆとあっちゃんが雨具やスパッツは?と服装を聞いてくるが、

『道は足元が濡れることはないと思いますが、濡れて騙された~!』と言われたら嫌なので、

『どうぞご自身の判断で!』(笑)と軽く答えた。




舗装路の林道をしばらく歩いて未舗装の林道へと入って行く。道の脇には秋の花が咲き誇っている。

先週の中津明神山には群生していたが、ここでもハガクレツリフネがたくさん咲いている。

オミナエシやアケボノウソウもみ~っけ!













テント場を過ぎると登山口になる。杉林の中を緩やかな道が続いていく。

剣山で群生しているテンニンソウとは色の違う、

まだ色づく前のオオマルバノテンニンソウも咲いている。










駐車場で用心のためカッパのズボンを着こんだまゆゆが、『暑~い!』と言い始めた。

見ると薄い上着も着込んでいる。







途中で南周りコースへの分岐があり、前回は雨の中を南回りコースを歩いたので

今日は北回りコースへ進んで行く。この山は標識が充実しているので

道に迷う事はない!(本当に?)




しばらくすると広場になった杖塚と呼ばれている場所に出た。

白く小さな花をたくさんつけたシシウドを見てあっちゃんが、

『このレースのような花は?』と聞いている。

私にはこの花はパッと上がった花火が開いているように見える。










杖塚から少し東に登り西に折り返すと山頂から派生した広い尾根の道になる。

全国(県の木)遊歩道となっているこの道には、各県を代表する樹木が集められ

植栽され保護されていていて道の至るところにその樹木の名を記した案内板が立てられている。







おび杉と書かれた杉林の道になると緩やかな歩きやすい道になる。

おび杉は宮崎県を代表する杉で、油分が多く腐りにくい材質は江戸時代には主として船を造る

板材として使われ、全国から注文を受けていたという。




杉林を進んで行くと白鷲岩がある。晴れていれば嶺北の山々が見渡せるが、

今日はやはり厚い雲に隠れてほとんど何も見えない。










更に進んで行くと天然ひのき風倒根と書かれた案内板があり、

その横に台風でで~んとひっくり返ったひのきの根が横たわっている。

硬い地質の為、下にではなく横に根を張ったひのきが台風の風に耐え切れずに倒れたとの事だが、

縦横無尽に張った根は、高知特有の自然が生み出した芸術作品だ。

ちょっと年齢は高いが、森の妖精?達が顔を覗かせている!




風倒根からスズタケの道を通り、トド岩も覗いて見る。










トド岩を過ぎると先ほどまでの緩やかな道から、山頂への登りになる。

ここでももののけ姫に出てくるのように見える

不思議な形をした杉?に出会う。










神の木を過ぎると山名を書いた丸テーブルのある展望台に出た。

途中にある標識には北の頂きと書かれた場所だが、

この時点ではこの場所の北の頂きの名前は全く頭になく、

メンバーは書かれた山名を見ながら盛り上がっている。

この展望台の辺りではアサマリンドウが目につくが日が当たらず開いていない。







展望台からもこの山の特徴らしい大木の根が目に入る。

初めてこの山を歩きこの北回りコースを歩いた時には気づかなかった小さな鳥居があった。

鳥居を潜り歩いて行くと岩陰に工石神社の小さな社殿があった。

社殿の脇には下から登ってくる参道と鳥居がある。麓の集落から参拝する参道だろうか?













シコクママコナの小さな花が咲いているが、コンデジで接写するのが難しい。




工石山山頂の展望台は以前に来た時は上に登れたのに、老朽化のせいか階段にはロープが

貼られて登れなくなっていた。しばらくの間ここで休憩をする。








ここで広場の端にある北の頂と書かれた標識を見て三角点・ピークハンター?の

セニョさんの目の色が変わってきた。どうやら頂きという文字が気になるらしい。

『まだ時間が早いし、行ってみたらええやん!』とIRIBITOさんが言うと、さっそく歩き始めたセニョさん。

初めてこの山にアケボノツツジがまだ咲いているかもしれないと来た時に、

一番最初にこの山頂に着いた麺法師さんが独りでこの道を歩いて、後からついたメンバーに

『アケボノツツジが咲いていますよ!』と言いながら戻って来た道だ。

その時はしばらく下って行ったが一向にアケボノツツジが見つからず、代わりにシャクナゲが咲いていて、

『麺法師さん、アケボノツツジとシャクナゲを間違えていません?(笑)』と言って引き返して来た道。




地形図を確認しても先に下った所に標高点があるだけで、『ピークがあるんだろうか?』と

疑心暗鬼で最後尾を歩いて行く。シャクナゲの群生が終わると道は北に続いている。

その内にまた巨岩にしがみつく様にして立つ檜や八岐大蛇のような大木が現れた。










その自然の厳しさと木々の生命力に感心しながら歩いて行くと、次第に道は登りになり、

そのうちにうす暗い森の中から明るい場所に飛び出した。

『やっぱり北の頂きはあったんや~』と思いながら広場に出ると前を歩いていたメンバーが

『さっきの展望台と同じような案内板がある!』と騒いでいる。

『まるでミステリーやね~』と話しているとやっさんが、

『ここ、さっきの展望台やんか!』と言い始めた。先ほどは下から登って来て、

今は上から丸テーブルの山名の案内板に出たから、しばらくの間メンバー全員が気づかなかった。

『な~んや~、結局ぐるっと一周回っただけやんか!』と全員で大爆笑!

GPSを直ぐに見れば気づいたのだろうが、それにしても思い込みと勘違いは怖い、怖い!







雨も散ら行き始めたので、妙体岩への急な下りはやめて、

登って来た道を戻って行くことにする。







途中で植栽直後に上陸した台風の影響で、曲がったままに成長した根曲がり杉があった。

ここでも『登りの時に通ったかな~』とメンバーのほとんどが気づかず通り過ぎていたようだ。




家に帰ってFBに写真をアップしたら、高知の花好きの流れ星さんから

『ヒメコウモリソウやクサヤツデは咲いていた?』とメッセージを頂いたが、毎回思うのだが、

花好きの人と花音痴の人とでは同じ道を歩いても目にする花の数が圧倒的に違う。

せっかく教えてもらったり調べた花の名前も、一週間後にはもう忘れている。







天気予報の予想に反して、先週に続いて今日もほとんど雨に降られず歩く事が出来た。

青少年の家に丁度12時に到着。体育館の下でお弁当と思ったけど、せっかくなら地元のお店で

と言う事で、隣にある直売所でお蕎麦を頂くことにした。直売所では女性一人が切り盛りしていて

大勢で押し掛け注文したせいで、二椀づつ運ばれてくるたびに『すみません、お待たせして!』と

言って済まなそうにして、かえって悪いことをしてしまった。








高度差もなく距離の割には四季折々の花が咲き、また高知県の自然の豊かさと厳しさを

感じられる工石山。香川からもそんなに遠くなく、こんな天候が良くない日でも

楽しみながら歩けるとってもいい山だった。













WOC登山部2020.09.23 中津明神山

2020年09月25日 | 四国の山



以前からネットで見かけていた仁淀町の中津明神山

それは山自体ではなく、山頂から見える天空の林道天空の鳥居の写真。

どちらも瓶ケ森林道高屋神社の鳥居が全国的には有名だが、

こちらもなかなか絵になる風景なのでぜひ一度は見てみたいと思っていた。

WOC登山部も未踏の山なので恐らく興味のある人も多いと思い今回計画してみた。


先週に続いて秋雨前線の影響で天気予報は各社ともあまり良くない、

唯一、日本気象協会の予報だけが晴れマークがついている。

麺法師さんには事前に、『一応集合して当日判断しましょう』と

連絡していたが、やはり朝から曇り空。高知道の新宮IC辺りからは雨も降り始めた。

大豊ICで降りて本山町のコンビニで『どうしましょうか?』と麺法師さんと杉さん

相談になったが、雲は割と高い位置にかかっているので、『行ってみましょう!』と決行することにした。


国道439号線は土佐町に入ってしばらくは道幅が狭くなるが、あとは二車線の道幅も広い

走りやすい道が続いている。西に進むにつれ空はどんどん明るくなり、青空も見え始めた。

丸亀からは約3時間弱で登山口となる吾川スカイパークに着いた。

スカイパークの建屋には近所の方だろうか、おじいちゃん、おばあちゃんが数人で

軒先で寛いでいた。『すみません!トイレはないですか?』と尋ねると、

『ここのトイレは鍵がかかっているから、今、開けてあげるわ』と言ってくれた。

ここからはまだ先を車で登って行く人も多いらしく、『歩いて中津山まで登ります!』と言うと、

途中はテープと標識があるから迷う事はないと教えてくれた。スカイパークから見える山には

まだ重く雲がかかっていたので、『今日は雲がかかったままですかね?』と尋ねると、

『そのうち晴れるろ~』とニッコとしながら高知弁でおじいちゃんが答えてくれた。







スカイパークのすぐ上の大山祇神社の向かいに登山口の標識があり、今日はここからスタート。

歩き始めて直ぐに木の根元に今まで見た事もないような大きなキノコが目に入った。







しばらくして切った太い倒木の間を通り過ぎると、徐々に道の勾配も急になって来た。

道の脇にはハガクレツリフネが群生といっていいくらい咲いている。







道は枝打ちされ真直ぐに伸びた杉林の中を続いていくが、足元は小さな石がザレていて歩きずらい。

山の中ではあまり見かけない色をしたフシブロセンノウが所々で咲いている。











登山道は何度も林道を横断していくが、その都度、標識がちゃんとあるので迷う事はない。







相変わらず九十九折れの急登が続いていくので、既に額からは滝のように汗が流れていく。

前を歩くセニョさんの足取りは重いが、このところ修行僧のように

毎週歩いているIRIBITOさんの足取りは軽やかだ!

後ろの方で杉さんの喘ぐ声がここまで聞こえてくる。

みやさんも久しぶりなので『さぼったらいかんな~』などと言っている横で

アキチョウジが咲いている。











地形図を見ると等高線の間隔が狭く、ほとんど直登のようにして道は続いているので

予想以上に急登なのは肯ける。登山道から林道に出る度にホッとする。










うなだれているのでよく判らないがジャコウソウだろうか?紫色が少し薄いように思う。




やっとのことで尾根に出た。麓でおじいちゃんが言っていたように空は晴れて来た。

北にはこんなに近くに?と思うくらい石鎚山が綺麗に見える。







相変わらず林道を横断しながら歩いて行くと、白いレーダードームが頭の半分覗かせているのが見えた。

目印が見えると何故だか気分が変わってきて、山頂がどんどん近づいてくる。







振り返ると車を停めたスカイパークが見える。『あそこから登って来たんや~!』




足元に笹が広がり始めると、ヤマラッキョウ・ツリガネニンジン・ツルリンドウの花が目につく。

ここ最近の山歩きの中では、これだけの花が咲いているのを目にするは珍しい。














山頂を目の前にしてセニョさんのエンジンがかかりどんどん先を登って行く。







笹路を登りきると小さな鳥居に着いた。先を歩いていた健脚メンバーが山頂から北に続く

天空の林道を見て歓声を上げている。










東側もどこまでも山々が見渡せ、流れ星さんのレポートでは剣山まで見えるらしいが

初めての山とあまりにもたくさん見える山の数で特定する事が出来ない。




セニョさんも久しぶりの一等三角点にご満悦!







石鎚山からの稜線の続きで先週登った筒上山はその山容で何となく特定できる。

石鎚山から二ノ森そして堂ケ森と続く稜線も、いつか歩いてみたい。







登山口から2時間30分。少し早いがこの山頂でお昼ご飯にする。

足元ではシコクフウロが小さく風に揺れている。










南に見える鳥形山には雲がかかり始めた。

石灰岩の露天掘りとしては日本一の産出量を誇っていたという鳥形山は、長年の採掘によって

標高が200m近くも低くなったいう。










その鳥形山の見える山頂の南側にも可愛らしい小さな天空の鳥居が立っている。










集合写真を撮った後、天空の林道に別れを告げて下山開始。

山頂からの帰り道はピストン組と林道歩き組の二手に分かれて下って行く。

次第にこの山頂にも雲が流れ始めて来た。










急登を登って来たと言う事は、急な下りが続くと言う事。

前を歩くセニョさんも後ろから来るあっちゃんや、やっさんも、時々足を滑らせ

小さく声が上がっている。他人ごとではなく私も濡れた岩の上でツル~と足を滑らせ尻もちをついた。







さらに後ろから来ていたひなちゃんとまゆゆ、杉さんと一緒に

林道で合流しては一息つく。道が杉林から広葉樹の森になると登山口まであと一息。










祠もない鳥居の前を過ぎると山頂から1時間20分ほどで登山口に着いた。

しばらくの間、林道歩き組を待つ事に。







先にIRIBITOさんが下って来たので少し下がった芝生の広場になった場所の

特徴のある一本の大木の下で恒例のコーヒータイムのお湯を沸かすことにする。










そのうちスカイパークの芝生の斜面を降りてくる林道組の姿が見えた。

全員が揃ったところで持ち寄ったお菓子とコーヒーでゆっくりとする。











メンバーが寛いでいる中で、ゆかりんがセニョさんを引っ張ってスカイパークの

中にある803mの三角点を探してまた斜面を登り始めた。点名を調べると吾川スキー場となっている。

パラグライダーの発着場としては整備が行き届いているので不思議に思っていたが、

どうやら以前はスキー場だったようだ。





帰り道の途中にある中津渓谷に寄り道してみる。

渓谷沿いには巨岩がゴロゴロとして、川沿いには遊歩道が続いていた。

仁淀川へと続くこの渓谷の水はやはり透き通って透明度はバツグンだ。

秋にはモミジが色づいて更に趣のある景観となることだろう。




















来週には例年ならそろそろ石鎚山では色付き始める頃。

短い季節の中で秋を探しに行ける山はたくさんあって目移りがする。

国道439号線の茶畑やなつかしい稲藁干しの風景を眺めながら車を走らせ帰路についた。






WOC登山部2020.09.16 岩黒山・筒上山

2020年09月17日 | 四国の山



今週のWOC登山部はいつになく早めに山さんの企画で石鎚山を計画していたが、

土小屋からのスタートなら、岩黒山筒上山への第二コースを設定したら、

WOC登山部では未踏の山なので、セニョさんが食いついてくるかもしれないと思い、

山さんに了承を得て案内して見ると、案の定早々に参加の連絡があった。(笑)

(このところセニョさんは既踏の山には触手が動かず、未踏の山に熱心なのだ)

ところが意外とセニョさんだけに留まらず、何年ぶりかに波平さんと久しぶりにIRIBITOさん

参加となり、思わぬ釣果?(笑)で楽しい一日になりそうな予感がした。


直前になって台風10号の影響で瓶ケ森林道が全面通行止めになったり、解除になったりと

バタバタしたが、2台に分かれて土小屋を目指す。私の方は取りあえず県道40号線を通り、

久しぶりに長沢からよさこい峠に向かってみることにする。

長沢からの道は長沢貯水池に沿った道になると道幅も狭くなり、曲がりくねったカーブも急で、

運転に慣れている私でも苦になって来た。




これなら瓶ケ森林道の方がマシだったな~と思いながら走って行くと大瀧の滝に着いた。

冬には氷瀑となるこの滝も、今日は水量も多く勢いよく流れ落ちている。




大瀧の滝を過ぎ手箱山の登山口を過ぎたあたりから、ガスがかかり

時々小さな雨粒がフロントガラスに落ち始めた。「今日は眺望は期待できないな~」と思いながら、

よさいこい峠、そして土小屋へと着いた。西条の加茂川のファミリーマートから約1時間20分。


土小屋で身支度をしているとそんなに時間差なくIRIBITOさんの車も到着。

「今日は雨具のズボンは履いていた方がいいですよ!」とメンバーに声を掛け

トイレに向かうと、トイレから出て来た同じ上下の服に同じザックを

背負った高校生らしき若者の団体とすれ違う。

一人の若者に「どこの学校?」と聞くと「建設学校」と返事。

さらに「登山部なの?」と聞くと「いえ、訓練です!」と答えてくれた。

建設学校なんて聞いた事がないな~、訓練??などと思いながら車に戻って行くと

IRIBITOさんが「どこの高校やろね?」と聞いてくるので、「建設学校らしいです」と

話しながら登山口へと向かうと、駐車場に見た事のあるバスが停まっていた。

「建設学校じゃなくて警察学校やんか~!」と二人で大笑い。

これで訓練と言っていたのも肯ける。




今日の先頭は波平さん。その後をセニョさんが続き普段通り最後尾をIRIBITOさんが来てくれている。

筒上山と岩黒山への分岐から左に折れて、先ずは岩黒山を目指す。




分岐を過ぎると前回歩いた時と同じように道の両側からは、濡れた笹の葉が迫って来て

所々では足元が全く見えないほど生い茂っている。







このところ毎週独りで歩いている波平さんのペースは速く、時々振り返っては後続を待ってくれている。

このところ余り歩けていないセニョさんが早くもしんどそうに後ろを付いて行っている。










樹林帯を抜け山頂近くの尾根に出ると予想通り周りはガスがかかって真っ白な世界。

晴れていれば山頂からは360度の大展望のはずだが、今日は仕方がない。







お久しぶりのコアラさんがいつものように、間食を配ってくれている横で

「いや~ここからの景色を見てみたいから、また秋に来ようよ!」とIRIBITOさん。




いつもなら山頂から見える丸滝小屋に、「次はあそこまで下ります」と

言えるのだが、やはりその丸滝小屋も筒上山もガスの中で全く見えない。




足元の見えない笹の茂った道は、登りよりも下りの方が危ない。

後ろでひなちゃんにアクシデントがあったようだが、

「20代の女の子だったら、助けてあげるんだけど」といつものようにコアラさん。




ウラジロモミの林を過ぎると笹原の下り坂から、柔らかい土の歩きやすい道になる。










岩黒山経由で1時間15分ほどで丸滝小屋に到着。眺望があれば岩黒山山頂でもっとゆっくりしただろうが、

今日は意外と早くここまで来られた。




全員が揃って直ぐに丸滝小屋を後に、筒上山を目指す。

「ここからの道は楽しいですよ!」と私が言うと、波平さんが

「KAZASHIさんの楽しいというのは、怖いな~!」と。さっそく道は崩れた場所にロープが張られている。




筒上山の主尾根の東側をトラバースするように道は続いていく。

霧のかかった幻想的な森の中を梯子を降りたり、少し朽ちた木の橋を渡ったりしながら

アスレチックの道は楽しい道だ。










デッキプレートの橋になるとコアラさんが「この橋の強度は大丈夫」とか

「せめてJIS規格で作ってないと」などどいつものように小難しい事を言ってくる。(笑)







トラバースのアスレチック道の脇にはハガクレツリフネを始めとする小さな花が

あちらこちらで咲いている。













キレンゲショウマの群生地を横目に見ながら石段を登って行くと、

最後に傾いたデッキプレートの階段?梯子?がある。










最後の階段を登ると大きな岩を真上から縦に割ったような石門?がある。

この岩の間を通り抜けると巨大な石垣が現れる。







「大峰宗(おおぶしゅう)石鎚山覚心寺」の手箱道場となっている建物がこの石垣の上にある。

どうやら高知県に本部のある修験道のお寺らしいが、詳しい事はネットで調べてもほとんど出てこないし、

その活動は不明でこの道場が開いているのも見た事がない。

こんな奥深い山中でこれほどの石垣を作って果たして費用対効果は?などと下衆な考え。

ここから今日の2番目の目的地の筒上山へと登って行く。

前回歩いた時は手箱山へと歩いて、帰りに登ろうと思ったが疲れて登れなかったが、

今日は15年以上前に歩いた時以来の再訪となる。







道場のすぐ上に見える白い鳥居を潜り、歪な石段を登って行くともうひとつ小さな鳥居がある。

ここからこのコースのメインの鎖場が始まる。








まずはトップを波平さんが登って行く。岩には鎖とは別にトラロープや

フィックスロープが数本垂れ下がっているので、

どれを掴んで登っていくか迷ってしまう。







案内には鎖場を登るのは自己判断でお願いしますと書いたが、濡れた岩は滑りやすく

足がかりの少ない所ではけっこう難儀をする。身軽なセニョさんと比べてどうかな?と

思っていたコアラさんはさすが元柔道部の腕力でグイグイと登って行く。

コアラさんは以前から飯野山に週に数回登っているのだが、荒れた登山道の整備に

毎回、袋に詰めた土を運んで登っているという。

柔道家が毎回40kgの土を背負って整備をしていると噂になっていると話してくれた。

「柔道家でもないし(元柔道部)、40kgも背負ったこともないのに、

人のうわさは尾ひれがついて」と言っている。










鎖場を過ぎると山頂に続く笹の尾根道。尾根の西側から霧の交じった風が吹きつけてくる。




やはりこの山頂もガスの中で眺望は全くないので、早々に引き返す。







鎖場を下るのは登るよりさらに難しい。とにかく足を滑らさないようにと

慎重にゆっくりを下って行く。もっと苦戦すると思ったコアラさんが

意外とスムーズに降りてくる。さすが柔道家!







緊張感の走る鎖場を終えてほっと一息も束の間、鎖場の下の歪な石段は

前に向かって傾いているので油断をすると足を滑らせて危うい。

しかも滑りそうになって両脇の草を掴もうとすると、トゲアザミの葉ばかりで

握った途端にチクっとして思わずその手を離してしまう。

前を歩く波平さんが大きな音をたてて滑って転んだ!




先に下で待っていた三人と合流して、霧状の細かい雨が降る中で昼食を摂る。

お弁当を食べた後は今日はまゆゆがIRIBITOさんのお店のコーヒーを淹れてくれた。

気温も低く雨で濡れた体に暖かいコーヒーは何よりのごちそうだ!




道場のまわりにはタカネオトギリやホソバヤマハコのお花畑の中に、

もって帰ったら食べられそうな可愛いらしいなめ茸のような小さなキノコがあちらこちらに。








昼食の後は先ずはアスレチックの道を戻って行く。急登だった下りの石段は慎重に、

緩やかな下り坂は皆さん意外と早いスピードで歩いて行く。

このところ独りで剣山系を修行のようにして歩いているIRIBITOさんは

やはり最終的に名頃から三嶺、そして剣山への縦走を目論んでいたようだ。

一緒に歩かないかと誘われるのだが、一日で歩くのにはまだまだ体力不足だ。







一ケ月ほど前に歩いた時には無かった巨木が道を塞ぐようにして倒れている。

香川ではほとんど影響のなかった台風10号によるものなのか、

これだけ大きな木が倒れてしまったと言う事は、かなりの風が吹いていたんだろう。








丸滝小屋までは立ち止まることもなく一気に下って行く。

先を歩いていた波平さんとセニョさんは早く着いてけっこう待っていたようで、

セニョさんが「疲れたわ~」と言っている。




丸滝小屋から土小山までの道はほぼ下りの道。途中で何ヵ所かは昇り降りがあるが

下草もなく歩きやすくウラジロモミの林の中に道は続いていく。








こちらの道でも樹高が十メートル以上はある巨木が倒れて道を塞いでいた。

幹が太すぎて乗り越えられないので、折れた根元まで登ってやり過ごす。

「長~いカウンターの板が取れそうやな」とか「輪切りにしても大きな丸テーブルができる」

などの、IRIBITOさんとセニョさんが商売柄か同じようなことを言っている。







土小屋まで着くと、第一コースで石鎚山に登った山さんの車は見当たらなかった。

出かける前に「天狗まで行って腰を抜かして時間を潰してください」とメッセージで

やり取りしたが、「さてはこの天気、今日は天狗岳まで行ってないな~」







第一コースの様子です。

建設学校と警察学校を勘違いした若者の団体



少数精鋭?のアタック隊



帰り道でちょっとお疲れ気味のアタック隊







WOC登山部2020.09.09 塔丸

2020年09月10日 | 四国の山



今週もWOC登山部は自主トレ。といっても個人的に塔丸を歩く予定なので

興味のある方はご一緒しましょうと、WOCのFaceBookに書き込んだら

やっさんとあっちゃんとルリちゃんが興味があると連絡があった。

台風一過で天気は良くなるとふんでいたが、どうやら午後から崩れそうな雰囲気、

集合時間を30分早めて夫婦池を目指した。貞光からいつものように国道438号線を

南下していると、前から見覚えのある車が来ている。『あっ!IRIBITOさんや!』

IRIBITOさんは剣山で御来光を見るため昨晩から車中泊をして、今からもう帰るところ。

『もう天気が崩れそうやから、他には歩かず帰るわ!』と。IRIBITOさんと別れた後、

時々フロントガラスに雨粒が落ちていたが、大きな雨にならない事を願いながら車を走らせた。


夫婦池でトイレを済ませていざスタート。雨はまだ降っていない。

地形図では塔丸となっているが登山口の道標には呼び名の通り塔の丸と書かれている。

他にも塔ノ丸と書かれていることもあるが、実は大正時代までは、

地元では塩無山(しおなしやま)と呼ばれていたそうだ。







登山口からはしばらくの間は塔丸の主稜線の北側をトラバースする

緩やかな登坂が続き、ウラジロモミが目につく林の中をゆっくりと歩いて行く。

前回丸笹山から赤帽子山を歩いたあっちゃんが『丸笹山への道と同じような道やね!』と。







林床にシコクザサが広がり始めると道幅は狭くなる。以前はザレて歩き憎かった場所は

谷側にロープが張られ問題なく通過できるようになっていた。







ザレ場を抜けると樹林帯が終わり稜線に出る。振り返ると太郎と次郎が仲良く並んでいる。

雨降りもそうだがガスがかかって全く景色が見えないというのが一番気になっていたが、

幸い何とか周りの景色は見えそうだ。










更に進んで行くと今日のコースの全容が見渡せる笹原になる。

反対側の剣山から見ても緩やかに続く稜線とこの笹原は見て取れる。








笹原にはこのコースの特徴の白い巨岩が点在している。画角を狭く切り取ると

四国カルストのような雰囲気がするが、四国カルストは石灰岩

この塔丸から三嶺にかけては御荷鉾緑色岩と呼ばれる地質だそうだ。

途中の小さめの岩に登ってみる。







最初の巨岩を過ぎると雨がちらつき始めた。笹原から少し登った道の脇のウラジロモミの木陰で

雨具の上着を着こむ。ここでやっさんも大事な一眼レフをザックの中にしまい込む。

最初は傘をさして歩いていたが、次第に風も強くなってきた。

後ろから来るルリちゃんが氷上を滑るスケーターのようにして歩いてきている。







晴れていれば青い空と緑の笹原で申し分のない稜線歩きだが、

周りの景色が見えるだけでも良しとしよう。北側には矢筈山黒笠山

そして落合峠から西に寒峰に続く稜線も見えている。

雨が降り始めるとあっちゃんが『どこでご飯を食べるの?』と頻りに気にかけ始めた。

コアラさんのように立って食べたら!』と冗談を言ってみる。







笹原から山頂手前で一旦、樹林帯の中に入る。樹林帯の中で風が止むと体感温度は

多少、変わってくるが、それでもやはり少し冷え込んできた。




山頂にはほぼコースタイム通りの1時間40分弱で着いた。三角点の周りには3つほど

背の低い山名標が立てられていて、その向こうには三嶺が見える。










時間は10時30分。これから折り返してもお昼には夫婦池に戻れる。

雨に当たると濡れた手先が冷たくなってきたので、『ご飯は夫婦池の東屋の下にしましょうね!』と言って、

一度も腰を降ろすこともなく早々に山頂を後にした。







なだらかに続く稜線にいつもならゆっくりと下って行くのだが、雨の中では他の人とも

ほとんど話すこともなく黙々と下って行く。これぞ理想的なフィジカルディスタンス?







稜線の奥には剣山から続く丸笹山が見えている。

『これで中尾高原から赤帽子山、丸笹山、塔丸と繋がった』とあっちゃん。

『ふ~ん、そんなことを考える様になったんだ~』とひとしきり感心する。




相変わらずおしゃべりすることもなく黙々と歩くメンバー。

まぁ~雨だし、周りの景色を楽しむ余裕もないからな~と思っていたのだが、

よくよく考えたら、私も含めててお腹が減って早く戻りたいだけかも知れない・・・・と。










笹原には登山道とは別に幾筋ものトレースがあちこちに続いている。

獣道なんだろうが、所々でその道と登山道が交わって、一瞬間違えそうになる。

登山道ははっきりとして笹が踏み固められているが、何ヵ所かは腰までの高さの

笹が茂って、雨具のズボンを履かなかったことを後悔する。

ルリちゃんだけがスパッツを付けていたが、それでももう太ももの辺りまで濡れている。




普段ならあっちゃんが登っているだろう大岩も今日はあっさりと通過。

やはり背に腹は代えられないらしい。

雨も止んで最後に見えた太郎と次郎にもお別れする。







1579mの四等三角点「塔丸東」には45分ほどで着いた。ここで初めて立ち止まる。

あっちゃんが「KAZASHIさん、靴の中は大丈夫?」と聞いてきたので、

「もうピッチピッチ・チャップチャップですよ!」と。

上から当たる雨よりも、足元の笹の露の方が靴の中は濡れてしまうようだ。




三角点を過ぎると残るは樹林帯の中の道。ここからは多少の雨が降ろうが、

風が吹こうがもう大丈夫。他の三人も落ち着いて来たのか、少しづつ話をはじめてきた。







稜線の北側の斜面は、どこの山でもそうだが木々の幹の周りにも

びっしりと苔がまとわりついている。その苔が雨のお陰で生き生きとしている。

鹿害避けのネットがかなりの数の木々に巻かれている。それだけ鹿の多い場所と言う事か。










往路で『ちゃんとテープが巻かれている道ね~』とあっちゃんが言っていたが、

ピンクの長めのテープは道標のテープではなく、営林署とかが付けて行ったテープ。

また枯れた木には『危険!』と書かれた黄色いテープが巻いてある。




台風10号の風の影響で来る途中の国道にも、この林の中にも木の枝が散乱していたが、

ウラジロモミの大きな枝も枯れてもいないのに道の真ん中に落ちていた。







最後は露出した木の根っこに足を滑らさないように下って行くと登山口に到着。

さっそく夫婦池まで移動して、濡れたものを着替えて待ちに待ったお昼ご飯。

濡れた靴下も脱いだので足元が寒いね、と言いながらお弁当を食べた後は、

久しぶりのWOC登山部恒例のコーヒータイム。

一人だけコップを忘れたルリちゃんは代わりの水筒に。知らない人が見たら

なんて欲張りなんだと思われるだろうな~なんて・・・・。




往復でも8kmのこのコースはのんびりと歩くにはもってこいのコース。

今日は雨に降られたので少し急いだが、今度は秋か雪の日に歩いてみてもいいな~と

いつになく早くお昼過ぎには夫婦池を後にした。