今日の「探険ロマン世界遺産」(NHK)は、ドイツの巨大宗教建築・ケルン大聖堂。
建築にはおよそ300年もの年月が費やされ、さらにその途中300年の間建設工事がストップした。
建物自体にも勿論価値があるわけだが、それ以上に、建造する中での人々の信仰や歴史的事件などなど、ケルンの町と共に歩んできた役割というところに、価値というものが見出されている遺産なのではないかと思えた。
それゆえに、文化的景観が損いかねないケルン歴史や町並みを無視した「現代」の開発に対する警告として、一時「危機遺産リスト」に登録されたのも頷ける。
しかし。
この大聖堂の建築は、当時(14世紀)としてはまさに最先端の技術を駆使されたものであったろうし、それまでに無い景観を作り出そうとするのだから、違和感を抱く人もいたに違いない。
下手したら、宗教界の権力増大の象徴にも見えるし、俗に言う「ハコモノ建築」ともとれる。
そして案の定、宗教改革を提唱するルターの考えが広まった頃から、建設は休止に追い込まれることとなった。莫大な寄付が、熱心な信者からもたらされた時代から一転して。
けれども街の景観を一変させるような、巨大建築というものは、町のシンボルとなり、住む人々の心にも影響をもたらせる。
第二次世界大戦で、大聖堂の倒壊はまぬかれたものの、町全体が焼け野原となってしまった写真が紹介された。
唯一焼け残った巨大建築は、町のシンボルをこえ、町のアイデンティティーならびに希望として、人々を元気付けた。この例は日本にもある。姫路城だ。城としての役割を終えた後でも、脈々と続くその地域の歴史や文化に影響を及ぼしているというのが、非常に興味深いところである。
世界遺産そのものに価値を見出すのではなくて、それを取り巻く景観及び環境、そしてそこで営む人々の暮らしにこそ、大きな意味があるのではないかと思うのです。世界遺産に対しする、評価というものは。
追記。
ルターさんの趣味は、
ボーリング。
コレ、マジですから。
番組内容とは全く
関係ないですけれども、
ふと言いたくなったので。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます