土曜日のことを。
親しい指導者に頼まれていたので午後から「リレー練習」をすることに。以前も書きましたがほとんどベースのない中での練習です。最小限の時間で最大限の結果を出したい。基本的はめちゃくちゃな要望だと思っています(笑)。が、せっかく出場するのであればやはり「笑顔で終わる」というのが理想。どこまでできるのかわかりませんが。
普段の練習よりも練習負荷が高まります。前回の練習では「歩きながら渡す」くらいしかやっていません。課外などもありなかなか練習ができなかったようです。天候も雨でしたし。話を聞くと「出の練習」だけはできたと。時間的なものもあります。本当に限られた時間の中での練習となります。
基本は前任校の選手と一緒にやってもらうことに。普段の練習と比べるとかなり動くのでしんどいと思います。途中抜けてもらいながら。そこから10バトン、25並走、合流走。ここはもっともっとシンプルに本数を絞ってやったほうが良いのかなという気もしました。私がメニューを作ったわけではないので細かい部分の調整ができてませんでした。普段走らない選手にとってはこれだけでダメージが・・・。
10バトンかなりやっていました。やることの意味は伝えています。それでもなかなかできません。歩いているときには手が上がるのですがスピードが上がるとそれができません。実際に走ってみなければわからないことがあるのです。見ていると様々なことに気づきます。バトンを早く渡したい。だから「ハイ」と言って相手の手が出る前にバトンを差し出してしまう選手もいました。これでは絶対に渡りません。頭ではわかっていると思います。しかし、実際にやるとできない。これが重要なことだと思います。練習をしなければ克服できないからです。
この子たちは「バトンに特化した練習」が必要だと思っています。この短時間で劇的に足が速くなることはないのです。もちろんバトン練習で最大スピードで走り続けることで速くなる部分はあると思います。しかし、練習が不足している場合にここで過剰に練習を詰め込んでしまっても多分速くなることはありません。試合が近づいてきたから「朝練をして練習時間の確保をしよう」という選手もいると思います。「あるある」です。試合が遠かったら意識しないのですが近づいてきたら「このままでは不安だ」という気持ちが強くなってしまいます。
ここまできたら何かあがいても大きな変化はありません。そうであれば「走り以外の改善点」のほうが早い。基本的な技術を身につけることでトータルタイムが上がるのです。
逆に前任校の選手はある程度できています。そうであればここにきて焦る必要はない。本当はもっともっと練習量を減らしていくべきだと思います。自分たちで考えているのでそのコントロールが難しくなります。「やっている選手」と「不足している選手」が「同じ課題」を掲げてやるのは違うのかなと思います。このあたりで若干「なに?」と思うことがありました。詳しくは書きませんが。この部分は私にとってはかなり大きな部分です。
合流走をやる。この時に「足長」について考える。これまでどれくらいの足長でやっていたのかを確認すると「15足」とのこと。かなり狭い。「なぜ15足なのか」と聞くと「先輩が15足くらいでいいんじゃない」と言っていたからと(笑)。なるほど。こういうのが「伝統」と言われる部分なんだろうなと感じました。特に「理由」があるわけではないのです。「これまでやっていたから」というだけで「検証」されていない。
これはこの選手たちが悪いわけではないと思います。「知らない」のです。実際の競技の世界を知らないから「これまで通り」でやる。「これまで通り」が「正しい」のか「間違っている」のかを考える材料がない。「伝統」というのはこういう大きな弊害があるのだと思います。そしてその中にいる人間はその「問題点」には気づかない。外部から見たときに「おかしくない?」と突っ込まれて初めて気づく。ここは重要なことなのではないかなと。
その後、バトン合わせへ。足長をある程度伸ばして。が、明らかに届かない。この時点ですでに「疲労」があったのだと思います。最大スピードを保てるだけの筋力と体力がない。これはこの時点ではどうにもできないかなと。しばらく休んでもらって回復してからもう一度やるようにしようと。ある程度の筋力と体力は必須です。過剰にやる必要はないですが「練習ができるだけの体力」は必要です。これも今どうこうできる話ではない。
親しい指導者と話しながら。「準決勝進出を目指す」と言われていました。適切な黙秘だと思います。きちんとできれば達成できるのではないかなと思います。「それは無理だ」と言う気は全くありません。可能だと思っています。単に出場するだけではなく「目標を持ってやる」ことの意味。ここが大切だと思います。何となく県総体のリレーに出るというのであれば面白くない。「出るだけ」を目指す選手に指導する気はありません。私が力を貸さなくても「出るだけ」ならできるからです。
これまでやってきた「自分達の世界」から「陸上競技の世界」へと一歩踏み出す。これにより見えてくるものが違ってきます。別に日本一にならなくてもいい。それでも「本気で競技に取り組む」ことで見えるものは全く違う景色です。遊び半分で何かをやるよりは必死になって取り組むほうが獲るモノが多い。間違いない事実です。
こういう姿を見るのが本当に好きです。競技力云々ではありません。そのきっかけを与えてくれる指導者に巡り会えたことはこの子達にとって財産だと思います。普通は「15足でバトン合わせ」をやるような選手を他の指導者に指導させようとは思わない(笑)。しかし、何かきっかけを与えてあげたいという気持ちがあるのだと思います。選手のために何かをしようという姿は本当に尊敬します。
何とかバトンを繋いで欲しい。心からそう思います。なんとなく走るリレーではなく数日間でも一生懸命に考えて取り組んだ方が形になれば良いなと思います。広い世界に視野を向けて自分達がこれから先何をやるのかを考えてもらいたい。3年生にとっては最後の県総体になります。昨年は開催さえできませんでした。走らせてあげたいなと思います。
他校の選手であっても私にとって「競技者」です。その選手のために自分に何ができるかを考えたいと思います。役立てるのであれば。これは前任校の選手にも言えます。かなり厳しく話をしました。私が言う話ではないのかなという部分もありますが。私以外にこの子達に「客観性」を持たせることはできないと感じたので。余計なお世話なのかもしれません。が、この子達が笑顔で最大限の結果を出せるようにしてあげたい。心からそう思います。力を出しきる。そこから見えてくる世界を見せてあげたい。
まとまりません。申し訳ありません。色々な感情が錯綜しています。