“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

★炭素ニュース★千葉大学など、光合成で働くサイクリック電子伝達経路の生理機能解明

2015-09-24 06:37:27 |    ★炭素ニュース★

 科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業において、千葉大学 環境健康フィールド科学センターの矢守航助教らは、イネを材料にサイクリック電子伝達経路の1つであるNDH複合体に依存する経路が弱光環境下における光合成制御に重要な役割を果たすことを解明した。

 矢守助教らは、主要作物であるイネを材料に、NDH複合体を欠損したイネの変異体を使って、2つの電子伝達経路とCO2ガス交換を同時測定するという最新の手法を用いた解析を行い、NDH複合体に依存するサイクリック電子伝達経路は強光環境ではなく、むしろ曇天や薄暮などの弱光環境下の光合成電子伝達反応の最適化に重要であることを世界で初めて明らかにした。

 今後、弱光環境下における光合成の最適化メカニズムの解明を進め、光合成効率の改善のみならずバイオマス生産量の確保に結びつけることで、地球レベルの大気CO2濃度の低減や食料増産が期待される。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

★科学技術ニュース★信州大学など、人工タンパク質でナノ構造複合体創生に成功

2015-09-24 06:36:39 |    生物・医学

 信州大学と横浜市立大学の研究グループは、独自の人工タンパク質を用いた「タンパク質ナノブロック」を開発し、複数種類の超分子ナノ構造複合体を自己組織化によって創り出すことに世界で初めて成功した。

 タンパク質は、自己組織化により複雑な立体構造を自発的に創り出し、さまざまな生命現象を担うナノマシン。

 タンパク質を自在にデザインして望みの機能を実現することができれば、タンパク質工学だけでなく、広く我々のの生活を豊かにする材料開発にもつながる。

 同研究グループは、今回、新規人工設計タンパク質WA20の特徴的な「クロスヌンチャク型二量体」構造と、タンパク質の自己組織化能力を活かし、ひとりでに組み上がる「タンパク質ナノブロック (PN-Block)」を設計した。

 PN-Blockは、おもちゃのブロックのように、単純な基本構造から多種多様な構造を創り出すことができると期待される。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●科学技術書<新刊情報>●「ブラックホール・膨張宇宙・重力波」(真貝寿明著/光文社)

2015-09-24 06:36:02 | ●科学技術書・理工学書 <新刊情報>(2018年5月4日以前)●

 

<新刊情報>

 

書名:ブラックホール・膨張宇宙・重力波~一般相対性理論の100年と展開~

著者:真貝寿明

発行:光文社(光文社新書)

 2015年は、アルベルト・アインシュタインが一般相対性理論を創りあげてから、ちょうど100年にあたる。 一般相対性理論は20世紀の物理学を一変させたが、この理論が描く世界は、アインシュタイン自身の想像を超えるほど奇妙なものだった。同書では、誕生から今日までの100年の間に、一般相対性理論がどのように理解されてきたのかを俯瞰すると同時に、 〈ブラックホール〉〈膨張宇宙〉〈重力波〉という、アインシュタイン自身が一度は拒否反応を示したものの、 現在では研究の主流となっている3つのトピックを概観。 現代物理学の知見は私たちに何をもたらすのか――。 最新の研究成果を交えて探る。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする