科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業において、千葉大学 環境健康フィールド科学センターの矢守航助教らは、イネを材料にサイクリック電子伝達経路の1つであるNDH複合体に依存する経路が弱光環境下における光合成制御に重要な役割を果たすことを解明した。
矢守助教らは、主要作物であるイネを材料に、NDH複合体を欠損したイネの変異体を使って、2つの電子伝達経路とCO2ガス交換を同時測定するという最新の手法を用いた解析を行い、NDH複合体に依存するサイクリック電子伝達経路は強光環境ではなく、むしろ曇天や薄暮などの弱光環境下の光合成電子伝達反応の最適化に重要であることを世界で初めて明らかにした。
今後、弱光環境下における光合成の最適化メカニズムの解明を進め、光合成効率の改善のみならずバイオマス生産量の確保に結びつけることで、地球レベルの大気CO2濃度の低減や食料増産が期待される。