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■科学技術ニュース■理化学研究所、1滴の血液からクローンマウスを誕生させることに成功

2013-06-27 10:03:38 |    生物・医学

 理化学研究所は、たった1滴の血液から分離した非リンパ球の白血球を用いて、体細胞クローンマウスを作出することに成功した。

 これは、理研バイオリソースセンター遺伝工学基盤技術室の小倉淳郎室長(筑波大学大学院生命環境科学研究科教授兼任)、上村悟氏大学院生リサーチ・アソシエイトと、生体情報統合技術開発チームの三好浩之開発研究員、および統合生命医科学研究センター統合ゲノミクス研究グループの小原收グループディレクター(かずさDNA研究所副所長兼任)を中心とする共同研究グループによる研究成果。

 体細胞核移植クローン技術は、核を除いた卵子(除核卵子)に体細胞(ドナー細胞)を移植することで、ドナー細胞と同じ遺伝情報を持つ個体を作出することができる技術。

 体細胞核移植に用いるドナー細胞は、マウスに負担をかけず、迅速にわずかな組織から採取できることが望まれている。しかし、従来法ではドナー細胞を臓器から外科的手術によって採取するために、個体を犠牲にせざるをえなかった。

 そこで、共同研究グループは、ドナー動物に採取負担の少ない血液に着目し、クローン技術の開発を検討し、マウスの尾部から採取した1滴の血液内にある非リンパ球の白血球を分離、これをドナー細胞として体細胞クローンマウスを作出することに成功した。

 尾部から血液を採取するため、従来法では困難だった生きたまま、かつマウスに負担をかけさせることなくドナー細胞を得ることができる。

 体細胞クローン技術は、畜産分野をはじめ、創薬や医学分野などへの幅広い応用が期待されている。今回の研究で生きたマウスの血液1滴を用いて、遺伝的なコピーが作出できることが明らかとなった。これによって、特にバイオリソース分野では、不妊マウスや系統最後のマウスの系統を維持できる可能性を高められると期待できる。

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