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■科学技術ニュース■富士通研究所、分散ストレージの性能低下を自動的に解消する技術を開発

2012-08-30 10:37:06 |    情報工学

 富士通研究所は、分散ストレージにおいて人気データへのアクセス集中を自動的に解消して、ユーザーのアクセス時間の悪化を抑える技術を開発した。

 分散ストレージは、複数のサーバを組み合わせて1つのストレージ装置とする。サーバ台数を増加させることでストレージ容量や性能を増強できるため、日々増加していくようなデータの格納に適している。また、同じデータの複製(レプリカ)を複数のサーバが同時に持つことでデータの信頼性とアクセス性能を高めている。

 しかし、格納された特定のデータへのアクセスが極端に増加すると、そのデータを持つサーバの負荷が増大し、ユーザーのアクセス時間が著しく長くなる場合があった。

 今回、突発的に人気が出たデータを即座に検出し、そのレプリカを増やすことでサーバへのアクセスを自動的に平準化させる技術を開発した。従来は人手で対応していた性能低下の解消を自動で対処し、ユーザーのアクセス時間悪化を抑えることができる。

 開発した技術を分散オブジェクトストレージに適用し、インターネット上でアクセス集中が発生したケースで評価したところ、アクセス集中を約70%緩和でき、アクセス時間に10倍以上の差が出ることを確認した。

 同技術により、あらかじめアクセスのパターンを予測することが困難なICTシステムの安定運用が可能となった。

 同技術の効果については、インターネット上で実際におきた、ある有名ポップスターの大ニュース発生時の大規模なアクセス集中を模したデータを使い、64台のサーバで検証した。サーバごとのアクセス頻度の変化を時刻ごとに調べると、従来の方式では関連したデータを持つサーバのみにアクセス集中が起き、そのアクセス頻度の増加率は約2.3倍であった。同技術を適用することで、アクセス頻度の増加率は0.7倍までに平準化され、アクセス集中を約70%削減できることを確認した。

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