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“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術ニュース●慶應義塾大学、アナログコンピュート・イン・メモリー回路でTransformerとCNNのハイブリッド処理を世界で初めて実現しAIの環境負荷を低減

2024-03-08 09:33:59 |    人工知能(AI)
 慶應義塾大学 理工学部 電気情報工学科の吉岡 健太郎 専任講師は、エッジコンピューティングの普及に伴い、より身近なデバイスへの人工知能(AI)応用を促進するため、深層ニューラルネットワーク(DNN)、特にTransformer処理の高効率な推論を実現する高精度かつ省エネルギーなコンピュート・イン・メモリー(CIM)回路を開発した。

 同研究では、従来のCIMが抱えていたTransformerの推論に必要な演算精度を実現するために、データ格納、演算、アナログ-デジタル(A/D)変換を1つのメモリーセルに集積した「容量再構成型CIM(CR-CIM)」構造を提案した。

 この構造によって、アナログCIMで初めてTransformer処理に必要な演算精度を達成しつつ、消費電力1ワットあたりの処理速度が818TOPS(兆回/秒)と非常に高い電力効率を実現した。

 また畳み込みニューラルネットワーク(CNN)処理を行う際は、同等の演算精度を持つ従来技術と比べ10倍のエネルギー効率となる4094TOPS/ワットを達成した。

 同研究成果は、エッジコンピューティングやAIの分野で、電力効率と処理速度の両面で効率的なAIハードウエアの開発に貢献する。また将来的にはより多くの人々が大規模言語モデル(LLM)といったAIサービスを利用しやすくなると期待される。<科学技術振興機構(JST)>
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●科学技術ニュース●NEC、生成AI「cotomi(コトミ)」の強化・拡充と共に生成AI事業戦略を発表

2023-12-29 09:37:12 |    人工知能(AI)
 NECは、高い日本語性能を有する軽量なNEC開発のLLM(Large Language Model:大規模言語モデル)「cotomi」を性能強化・拡充し、「NEC Digital Platform」として展開を開始する。

 具体的には、2024年春からNECが持つ業種・業務ノウハウをもとにした特化モデルを中核にユーザーのビジネスに応じて、最適な生成AIの利用環境を提供する。

 これにより、医療・金融・自治体・製造業などの各業種で、現在の業務を変革する環境が飛躍的に広がる。

 NECは今後、各業種・業務の変革を推進する特化モデルの整備に注力し、マネージドAPIサービスを通じて適用範囲を個別の企業から、産業や業種全体へと生成AIの活用を推進する。

 今回、品質の良い学習データ量の倍増により、NEC開発のLLM「cotomi」を強化し、日本語対話能力の比較評価(Rakuda)において国内外トップクラスのLLM 群を上回ることを確認した。

 さらに長文処理能力は他社比最大150倍の30万字まで対応可能となり、これにより、社内外の業務文書や社内マニュアルなど膨大な量の文書を扱う幅広い業務への活用を実現する。

 また、入力データやタスクに応じて柔軟にモデルを組み合わせ、新たなAIモデルを創り出す「新アーキテクチャ」を開発中。

 パラメータ数の規模を拡大し、機能を拡張できるスケーラブルなファウンデーションモデルの確立を目指す。

 具体的には、性能劣化なく小型から大型までモデルサイズを拡大でき、法律や医療などの専門AIや他社やパートナーのモデルを組み合わせるなど、柔軟に多様なAIモデルと連携が可能。また、小型で省電力なため、エッジデバイスへの搭載が可能になる。さらに、NECの世界トップクラスの画像・音声技術、センシング技術と融合することで、実世界のさまざまな事象を高精度かつ自律的に処理できる。

 なお、NECでは、従来のパラメータ数130億クラスのモデルを大きく上回る1,000億クラスの大規模モデルの開発も並行して開始している。

 これらの取り組みを通じてNECは、生成AI関連事業において、今後3年間で約500億円の売り上げを目指す。<NEC>
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●科学技術ニュース●東工大と産総研、日本語に強い大規模言語モデル(LLM)「Swallow」を公開

2023-12-22 09:38:16 |    人工知能(AI)
 東京工業大学(東工大) 情報理工学院 情報工学系の岡崎直観教授と横田理央教授らの研究チームと産業技術総合研究所(産総研)は、日本語能力に優れた生成AIの基盤である大規模言語モデル(LLM)「Swallow」を公開した。

 同モデルは現在公開されている日本語に対応した大規模言語モデルとしては最大規模であり、オープンで商用利用が可能であるため、ビジネスに安心して用いることができる。

 東工大と産総研の研究チームは、英語の言語理解や対話で高い能力を持つ大規模言語モデル(米Meta社 Llama 2)の日本語能力を拡張することで「Swallow」を構築した。

 拡張前の大規模言語モデルの高い言語処理能力を維持しながら日本語能力を強化するため、同研究チームは、言語モデルに日本語の文字や単語などの語彙を追加したうえで、新たに開発した日本語データを用いてモデルの構築を継続的に行う継続事前学習を行った。

 今回、パラメータ数が70億パラメータ(7B)、130億パラメータ(13B)、700億パラメータ(70B)であるモデルを公開した。公開リンク: https://tokyotech-llm.github.io/

 今回公開された大規模言語モデルは、学術と産業の両方に恩恵をもたらすと考えられる。学術分野では、日本語の大規模言語モデルの標準として研究開発に利用され、自然言語処理や人工知能分野で新たな研究成果が生み出される他、信頼できる人工知能の実現に向けた研究開発が促進される。

 産業分野では、APIの使用などで外部の企業に依存することなく、自社で大規模言語モデルを運用できるだけでなく、特定のタスクに特化したモデルにチューニングができる。日本語に強くオープンな大規模言語モデルが登場したことで、日本における大規模言語モデルの研究開発・活用がさらに促進され、製品開発や技術革新が進むと考える。<産業技術総合研究所(産総研)>
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●科学技術ニュース●NEC、映像認識AI×LLMにより動画から説明文章を自動生成する技術を世界で初めて開発しドライブレコーダー動画に適用

2023-12-13 10:09:46 |    人工知能(AI)
 NECは、生成AI(Generative AI)を支える大規模言語モデル(Large Language Model:LLM)と映像認識AIを組み合わせ、長時間の動画から利用者の目的に応じた短縮動画と説明文章を自動生成する技術を、世界で初めて開発した。

 同技術をドライブレコーダーの動画分析に活用することで、事故発生時の状況や発生に至った経緯などを説明する文章と短縮動画を自動で生成可能となる。

 また、それらをもとに、損害保険金請求や交通安全指導などに向けた事故調査報告書を、フォーマットに合わせて自動作成する。

 これにより、従来は手作業で行っていた報告書の作成にかかる時間を半減できます。NECは同技術の試用版を、2024年3月に提供する予定。

 開発した技術による分析の流れは、1. 効率的にシーンを見つけ出し、報告書の作成を迅速化 2. 動画の正確な解釈で、専門家と同品質の報告書を生成 3. 大規模なコンピュータを使うことなく、数秒間で報告書を作成

 NECは同技術を、ドライブレコーダーの動画から事故調査報告書を作成するユースケースに適用し、検証を行った。

 検証の結果、従来は人手で行っていた事故および事故原因となったシーンの探索や、報告書案の作成を自動化し、報告書作成にかかる時間を半減できることを確認した。

 NECは、2024年3月に、同技術の試用版を損害保険会社や自動車メーカーなどに提供開始し、ドライブレコーダーの動画を活用した事故報告書などの資料作成を支援する。

 また今後は同技術を、看護・介護記録の作成支援、製造・建設現場での作業記録の作成支援、自動運転用AIに学習させる事故シーンの収集と説明文の作成、放送映像向け特定コンテンツの収集とナレーション原稿の作成など、様々なユースケースに展開する予定。<NEC>
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●科学技術ニュース●矢崎総業とNEC、複数台ロボットの動作プランをAIで自動生成し技術者が40日を要していた動作プラン生成を1日で達成

2023-11-24 09:37:55 |    人工知能(AI)
 矢崎総業とNECは、ワイヤーハーネス(自動車の電気・電子機器間をつなぎ、自動車内の電力供給および情報伝送を行う製品)製造において、NECの「NEC デジタルロボット動作計画ソリューション」を用い、複数台ロボットの動作プランをAIで自動生成する実証実験を実施した。

 同実証実験では、技術者が従来40日を要していたティーチング(産業用ロボットの動作プランを作成する作業)を不要化し、AIによってわずか1日で動作プランを自動生成できることが確認できた。

 また、生産速度を高めるための動作プランをAIが試行錯誤し、製造工程にかかる時間の約10%短縮を実現した。

 この結果を受け、2023年10月より、ワイヤーハーネスの量産に向けて試験を実施し、2025年7月の実導入を目指す。ワイヤーハーネスの複数品種製造に対応し、複数台ロボットの動作プランを自動生成するソリューションの本格活用は、国内初。

 今回のシステムは、NECが開発した「NEC デジタルロボット動作計画ソリューション」 と矢崎総業のワイヤーハーネス組立向けロボットシステム及びシミュレータを組み合わせて実現した。

 具体的には、AIに製品デザインや作業内容など製品データを入力し、AIとシミュレータを連携させる。これにより、製造時間を最小化しつつ複数台ロボット同士や周囲の装置が干渉しないことを両立する動作プランを自動生成する。

 動作後に干渉がある場合は、AIに通知して干渉を回避する動作プランを再計算する。さらに、新製品投入時や製品の仕様変更時、製品データをAIに入力すると、短時間で動作プランを算出し、複雑なティーチング工程を不要にする。<NEC>
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●科学技術ニュース●住友化学、社内向け生成AIサービス(最大50%以上の効率化)の運用を開始

2023-11-02 09:56:29 |    人工知能(AI)
 住友化学は、生成AIを活用した当社版「ChatGPT」として『ChatSCC』を開発し、約6,500名の全従業員を対象に運用を開始した。

 足元では生産性の飛躍的向上を実現するとともに、将来的には同社独自データの有効活用による既存事業の競争力確保、さらには新規ビジネスモデルの創出へとつなげていく。

 『ChatSCC』の特長は、入力情報が外部に漏れないセキュアな環境を持つことで、同社独自情報を取り扱うことができる点。

 一般的なオフィス業務(文書作成、校正、プログラムソースコード生成など)で利用できることに加えて、技術アイデアの創出や研究・製造データの分析に活用することも可能となる。

 事前検証では、典型的な約200の業務パターンをテストし、最大で50%以上の効率化を確認した。

 本格運用開始後は、導入効果を最大限発揮させるため、利用頻度の高い指示や質問のプロンプト集、業務シーンにおいて有効な指示文書作成テクニック、順守すべき禁止・注意事項の規則、初心者向け教育動画などを従業員へ広く公開し、利用拡大を促進していく。

 今後は、『ChatSCC』に同社独自データを連携させ、社内の各組織で蓄積されたナレッジをより効果的に利用できるスキームを整備する。

 将来的には、特定分野のデータをもとに追加学習を施した“特化型モデル”の構築なども視野に含めつつ、一層の業務効率向上および付加価値創出の取り組みを加速していく。<住友化学>
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●科学技術ニュース●NTTと三菱重工、海外への特許出願作業稼働を大幅削減する特許AI翻訳エンジンの有効性を確認

2023-10-31 09:35:00 |    人工知能(AI)
 NTTと三菱重工業は、特許専用のAI翻訳の業務活用に関する共同実証を実施し、外国特許出願にかかる稼働を大幅に削減できる可能性を確認した。

 NTTと三菱重工は、2014年に「社会インフラ×ICT」に関する研究開発連携に関する基本契約を締結し、NTTの研究所が持つICT(情報通信技術分野)の研究開発成果を三菱重工のエネルギー・環境、交通・輸送等の社会インフラ関連製品および関連業務に適用し、新たな価値創造をめざす取り組みを実施しており、その一つとして、AIによる特許翻訳実現に向けた共同プロジェクトを2023年2月より開始した。

 AI翻訳の外国特許出願時の翻訳業務への活用可能性を探るため、三菱重工の特許明細書を対象とし、NTT研究所の研究開発成果を活用したAI自動翻訳エンジンを用いた評価を、以下の役割分担で行った。

 三菱重工:知財部門による、実業務の日英の特許明細書(請求項含む)の評価用データ提供、および翻訳結果の評価を実施

 NTT:研究所の独自技術により作成した、特許表現から構成される3億超の日英特許対訳文コーパスを提供(注1)。知財部門が翻訳結果の評価を実施

 NTTの提供する日英特許対訳文コーパスを用いて構築した特許専用翻訳、汎用翻訳、および既存の特許専用翻訳の3種類のAI自動翻訳エンジンによる翻訳結果について、三菱重工・NTT両社知的財産部門の特許出願業務を行う社員によって翻訳品質の順位付けを行った結果、同特許専用翻訳、汎用翻訳、既存特許専用翻訳の平均順位はそれぞれ1.5位、2.0位、1.9位であり、同特許専門翻訳がもっとも高い順位であった。

 また、プロの翻訳家によって事前に作成された正解翻訳との類似性を用いた自動評価(100点満点)についても、汎用翻訳38.6点、既存特許専門翻訳44.0点であったのに対し、同特許専門翻訳は57.5点と大幅な向上が見られた。

 これらの結果は特許専用AI自動翻訳(エンジン)の活用により外国特許出願時の翻訳に要する工数を大幅に削減できる可能性を示している。

 同実験成果を活用した特許専用のAI自動翻訳について、NTTグループ企業である株式会社みらい翻訳がサービス提供を予定している。また、今後、NTTグループの各事業会社を通して、同技術に基づくサービスやソリューションを提供していく予定。<三菱重工>
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●科学技術ニュース●NEDOの事業でちとせ研究所、AIによる自動培養制御システムを開発し熟練者を約10%上回る生産量を達成

2023-10-24 09:56:59 |    人工知能(AI)
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発」で(株)ちとせ研究所は、微生物による機能性食品素材の生産で、従来の熟練者の五感や経験に応じた「匠(たくみ)の技」に代わる、データを学習した人工知能(AI)による自動培養制御システムを開発した。

 同システムを使用した、機能性食品素材の生産性実証試験の結果、(株)ちとせ研究所と協和発酵バイオ(株)は最適な培養状態を高精度かつリアルタイムに自動制御でき、熟練者を約10%上回る生産量の達成を評価、検証した。

 今後、同事業でちとせ研究所は、同システムの開発を継続し、2027年度までの製品化を目指す。

 食品素材などの発酵生産では最適な培養条件の設定など安定的な生産のために熟練者の知恵やノウハウ、五感を駆使した、いわゆる「匠の技」が必要であった。

 一方で、このような熟練者の「匠の技」の継承や習得には非常に長い時間が必要なこと、熟練者の高齢化や海外生産による技術の流出などが日本のバイオエコノミー産業において大きな問題になっていることから、熟練者に代わって安定的に生産できる技術の開発が急務となっている。

 このような背景の下、NEDOは、2020年度から同事業で次世代バイオプロセス技術の開発に取り組んでいる。その一環として、株式会社ちとせ研究所は、微生物による物質生産で、従来の熟練者の五感や経験に応じた「匠の技」に代わり、温度やpHなどの従来データに色や匂いなどの匠の感覚をデータとして加えたビッグデータ(コンボリューショナルデータ)を学習したAIが培養制御を行うシステムを開発した。

 同システムを使用した機能性食品素材の生産性実証試験の結果、ちとせ研究所と協和発酵バイオは、リアルタイムで培養条件を制御することにより、培養状態の最適化と、熟練者を超える高い生産量を達成できることを評価、検証した。

 同事業でちとせ研究所は、同システムが微生物培養を実施する化学・医薬品や食品、燃料生産などのさまざまな業界に導入・活用されることによりバイオエコノミー産業のさらなる拡大に貢献する。<新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)>
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●科学技術ニュース●産総研とLLM-jp、産総研の計算資源ABCIを用いて世界トップレベルの生成AIの開発を開始

2023-10-20 09:51:31 |    人工知能(AI)
 産業技術総合研究所(産総研)と、東京工業大学(東工大)、国立情報学研究所(NII)が主宰する勉強会LLM-jp(NII、東北大学、東京大学、早稲田大学などが参加するLLM研究開発チーム)は、生成AIの基盤となる世界トップレベルの大規模言語モデル(LLM)の構築の開発を始める。

 その第一歩として、LLM-jpが従来の国産LLMの10倍の規模を持つ1750億個のパラメタ数を持つLLMの構築に着手する。

 産総研はLLM構築に必要な計算資源であるAI橋渡しクラウド(ABCI)を提供する。このほか、今後の開発に向けて東工大、LLM-jpと協力して開発に必要な言語データ作成を行う。

 産総研、東工大、LLM-jpが持つLLM構築に関するデータ・アルゴリズム・計算資源活用の知見を持ち寄って研究開発を行うことで、日本の産業競争力強化や社会課題解決に資する成果を創出する。

 今回構築に着手するLLMの規模を表すパラメタ数は1750億個であり、OpenAI社が構築したLLMであるGPT-3と同等の規模。

 産総研はLLMの構築に必要な計算資源としてABCIを提供する。このほか産総研と東工大は、LLM-jpとも協力しながら、LLM開発に必要な高品質かつ大規模な共有データセットの構築を行う。

 今回の取り組みによって、日本で初めてのオープンに利用できるGPT-3級の日本語LLMの構築を目指す。これによって、構築の過程が明らかで透明性の高いLLMを用いた、マルチモーダルなデータを処理するAI技術の開発や、生成AIのロボット応用等に貢献する。またLLMの原理解明を進め、安心してLLMを利活用できる社会生活の実現につなげる。

 今後とも産総研の持つ計算資源を活用しながら日本の英知を結集し、世界トップレベルの性能を持つLLMの構築を目標に研究開発を進める。構築される国産LLMは、ABCI以外の計算資源も活用しながらモデルを完成させた上で、LLM-jpを通じて公開される。

 生成AIは、Gartner社が2022年の「戦略的テクノロジーのトップ・トレンド」として発表したキーワード「ジェネレーティブAI」の和訳。ジェネレーティブAIとは、「コンテンツやモノについてデータから学習し、それを使用して創造的かつ現実的な、まったく新しいアウトプットを生み出す機械学習手法」と言われている。

 大規模言語モデル(LLM)は、人が書く文章の傾向を学習した大規模なニューラルネットワーク。生成AIを構築する基盤となるもので、流ちょうな文を生成するだけでなく、文章に含まれる知識を集約した知識源としての活用方法が注目を集めている。2023年現在では、トランスフォーマと呼ばれるニューラルネットワークを用いて構築されている。ニューラルネットワークが大規模であるために、その学習では大規模な言語データと大規模な計算資源を必要とする。<産業技術総合研究所(産総研)>
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●科学技術ニュース●産総研、数式から実画像や人的コスト不要で画像領域分割AIを自動学習させ自動運転やロボットなどの柔軟な対応が可能に

2023-10-17 09:32:21 |    人工知能(AI)
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「人と共に進化する次世代人工知能に関する技術開発事業」で産業技術総合研究所(産総研)は、数理モデルから自動で学習できる画像認識AIの開発に取り組んでおり、今回、画像中の物体を認識する画像識別に加えて、物体の範囲情報など画像中の詳細内容を把握できる画像領域分割を行うAIの学習に成功し、画像領域分割を含む基礎的な視覚に関する能力を持つAIを実現した。

 今回実現した画像領域分割は、自動運転やロボットの視覚情報など産業応用で求められるコア技術。

 従来、画像領域分割AIを学習させるためには、大量の実画像の収集や、人間が画像内の画素ごとに教師ラベルをつける作業など膨大な人的コストと、収集された実画像によって引き起こされる権利侵害や倫理問題があったが、同成果はこれらを解消している。

 また、学習する元画像自体が数理モデルによるものであるため、産業応用時に柔軟なカスタマイズができる。

 今回、産総研は、数理モデルから画像や教師ラベルを生成することで、AIが基礎的な視覚特徴を自動で獲得する学習済みモデルの構築に取り組んでいる。

 学習済みモデルにより、その後の産業応用で個別に必要な学習の精度を底上げし、これまでよりも容易なAI開発を目指している。

 今後、産総研は、人間の膨大な量の教師ラベル付けにコストを要する画像領域分割に対して、同成果を適用していく。

 また、同成果のように、位置情報など高度かつ膨大な時間を要する領域分割を含む教師ラベル付けは、AI分野の至るところで開発のボトルネックになっている。数理モデルによる学習用の実データと教師ラベルの生成においては、あらゆる産業応用に耐えうるモダリティ(画像・動画・3Dなどデータ種別)やタスク(物体検出・領域分割・超解像など)の設定が根幹技術となる。将来的には、これらに対応するAIの「汎用学習済みモデル」を開発していく。<産業技術総合研究所(産総研)>
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