ラジオ爺の道楽三昧

原発放射能汚染により素人百姓・孫専科を奪われ、病で蕎麦打ちも廃業。最後に残ったアマチュア無線と男の料理の細々生存証明。

昔羊羹

2012年08月16日 | 福島のうまいもの
  
                    
羊羹の表面を糖化させたジャリッとした砂糖の歯ざわりの羊羹。一代限りの貧乏和菓子屋の末っ子自分が子供の頃に食べた昔懐かしい味だ。こんな羊羹、数年前中合デパートで毎年開催される九州物産展で佐賀の「小城羊羹」にめぐり合い、以後毎年小豆と抹茶の二種類を求めて賞味していた。
今年の春コラッセ福島(福島県物産館)で玉羊羹で有名な二本松玉嶋屋が数日間出店。コラッセ福島のパンフレットに「玉嶋屋の昔羊羹」が目に留まり、初日に求めると紛れも無い小豆の昔懐かしい羊羹だった。
今は宮内庁御用達の東京虎屋の羊羹ですら、練りあがった羊羹を長期保存のためアルミの袋へ流し入れ密封して固めるため、表面が糖化する事がなくなった。これを昔ながらの製法で作り上げ竹の皮で包装すると、期日を経る程に羊羹の表面から糖分が染み出し自然乾燥した物が“昔羊羹”の原理だが、製品を均一化して仕上げるには羊羹屋それぞれの秘伝があるらしい。
現役時代玉嶋屋へ取材で伺った事があった。仕事場へ入ると楢薪を焚きながらボートの櫂にも似た大きな木べらで銅鍋の餡を練る職人の姿を一番先に目にした。主人は「昔ながらの製法で火加減も練りも全て職人の感と腕次第、でも自信は絶対あるんですよね」の当時の言葉はアルミ袋では無い今もって竹の皮一枚だけの昔ながらの包装でも品質管理が十分に行届いた優れ物なのだ。普通の羊羹も絶品だが、この“昔羊羹”も優るとも劣らない“福島のうまいもの”逸品に違いはなく是非お薦めしたい一品だ。