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時事散歩Ⅸ 第9回

2021年05月25日 | ブログ
豪雨の季節

 西国では今年梅雨入りが早かったようで、熊本などまたまた連日大雨の画がテレビに流れていた。昨年の7月の熊本豪雨災害では、死者・行方不明67名を数えた。

 昔から台風に伴う豪雨被害は、この国では数えきれないが、近年はいわゆる地球規模の温暖化の影響で、各地の地元の長老も、経験したことのないような雨に見舞われることが多い。

 人類が化石燃料を燃やし続けてきたことで、大気中の温室効果ガスといわれる二酸化炭素量が増え続けているのだ。温暖化により、海水温が上がり水分の蒸発量は増加するし、南の海洋で発生する台風が日本近海に近づいても勢力が落ちにくいことになる。

 北極海や南極の氷は細り、山岳地帯の氷河も失われているという。海水温の高まりによる膨張と相まって、南洋の島国は陸地を奪われている。

 このような事態に、バイデン大統領は地球温暖化対策の国際的な取り組みである「パリ協定」に復帰すると共に、本件では中共とも協力することを表明した。

 米国のパリ協定離脱は、トランプ前大統領によるもので、評判が悪かったが、中共は世界で決めたことを自国に不都合なら守らないことを旨としており、その政権と自由貿易や自由な産業政策でまともに競争すれば、どんどん中共に経済力でも追いつかれる。中共を潰すためには、米国が産業面の優位性を維持することが必要で、温室効果ガスの排出を言われるままに減らせば、違う土俵で戦う中共には負けてしまうという危機感であったと思う。

 もっとも中共もCO2削減技術は必要だし、石炭によるPM2.5による自国の大気汚染は深刻で、米国と協力できるところは協力する。バイデンさんの申し入れは歓迎であろう。中共は原子力発電所をどんどん建設しているようで、日米などの原発反対論が多く削減方向の自由主義諸国より、パリ協定遵守に有利な状況にもある。

 わが国の2009年の政権交代で総理となった、民主党の鳩山氏は、就任と同時に世界に向けて、2020年までにCO2排出量を1990年比で25%削減すると打ち上げた。当時わが国原発による発電量は全体の30%程度であったが、これを50%まで引き上げるという目論見での発信であったようだ。その後どうなったかはご存じの通りである。

 世界では挙って、太陽光、風力などを中心に再生可能エネルギーによる発電量比率の増大を目論む一方、水素やバイオの活用によるCO2発生源縮小に注力している。

 この度菅総理は、鳩山氏の向こうを張って、2030年には、2013年の46%まで削減を打ち出した。彼らにとって言うのはタダ。10年後まで総理で居るわけはないし。

 ただ、世界や日本では現在、溶鉱炉などから発生するCO2を回収して、日本の近海にも存在する貯蔵に適した海底下に貯蔵する技術(CCS)や、CO2を炭酸カルシウムに変えて、都市インフラに必須のコンクリートに混ぜ込んで固定する技術(CCU)などが進んでいるという。勿論コスト、安全性など課題はあろうが、有力な技術であることは確かであろう。菅総理の発信根拠には、それらの技術の進展に期待してのことは間違いなかろうと思うが、10年で間に合うものかどうか。

CCS・CCUについては日経ビジネス2021.05。24号を参考にしています。




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