現状把握
問題や課題を解決するための指針としてQCストーリーがある。TQCの研究から生まれた「シックスシグマ」もMAIC〔(M:Measure、A:Analyze、I:Improve、C:Control):測定(現状把握)、問題点の摘出と目標設定、改善、歯止め〕というステップ解決法を用いるが、いずれにしても最初の現状把握が最重要である。
現状認識を間違うと問題点の把握もその対策もすべて狂ってくる。現状認識に時間を掛けるべきである。企業コンサルも同じことで、業界の事前調査から経営者への聴取、事務所から工場、倉庫まで見て回ることが大切である。そこで働く人々の雰囲気を感じ取ることが必要である。
中小企業診断士にやたら専門性を求め、協会の研究会なども必要以上に難しい課題と取り組むことがある。向学心は尊重しなくてはならないが、多くの場合自己満足に過ぎない。本当の専門家は診断士資格など要らないので巷に十分存在する。ただ私は診断士には品質管理のスキルは必須だと思っている。そのため3年前に品質マネジメント研究会を立ち上げた。マネジメントは「経営」であり「管理」とも読める。
企業勤めの40歳半ばに工場の品質管理課で3年を過ごした。この間工場にISO9002が導入され、課内の担当スタッフとして、その取得に至る経緯をつぶさに経験できたことは貴重であった。この間、通信教育で「統計」を学んだ。ISO9000も統計も専門家からはほど遠いが、その手法を使って実績は上げた。
工場の各職場にISO9000が行き渡ったところで、品質管理課で用済となった私は、品質管理文書作成の能力を理由に、新規事業の情報電子部品製造の部署に転出となった。客先の大手企業から品質監査が入るということで、準備が必要だが適当な人材が居ない。品質管理の担当者は猛烈に忙しく手がまわらないらしい。実際には開発初期段階の検査中心の品質管理を続けており、みごとに不良品は選り分けられて除去されていたが、銘柄ごとの歩留まりも把握されておらず商業生産でありながらコスト意識も低かった。
石油化学専業企業が新規事業をと始め、電機電子業界からの若手退職者を採用していたが、転入者は客先へまで、個人への評価を期待するところがあったように診る。ほとんどの者がその後いろんな形で転出していった。当時の採用を担当した人事の責任者の趣向にも問題があったと考える。その後経営者層にまで登りつめたけれど、当時の社長の下、リーマンショックになす術もなかったように見えた。組織の経営者にもっとも重要なことは人物眼である。
新規事業のリーダー層には優秀な人材も居た。しかし品質管理の素養に乏しかった。歩留まり算出や歩留まり向上の根本解決のアプローチ方法が分からない。TQCもどきの活動も実施していたけれど、IEの真似事ではプレゼンでは誤魔化せても実効は上がらない。
結局客先からの品質監査はなく、製造現場の歩留まり改善が私の当面の主業務となった。
現状把握は、まずは現場担当者の声を聴くこと。現場パートさんの協力を得て新たなデータを採る事。誰にも分かりやすいQC工程図を現場と確実に照らし合わせて作る事。3か月後関係職場のリーダーも参加しての私の報告会での説明で、みなさん目から鱗が取れた。「なあんだそうやればいいのか。簡単じゃん。後は専門の技術者に改善して貰えばいいや」。
組織はとかく失敗の原因究明と対策はそれなりに行うが、うまくいった時に、その要因をきちんと確認し記録を残し、成果を正当に評価して次につなげることを怠る。
やったことは確かに簡単。TQC(TQM)にある「分けることは分かること」を実践したに過ぎない。難しい学問を習得しても自身の頭脳を謙虚に柔らかく維持できる人は居るが、多くは傲慢で習わないことは分からない人に陥る。習えば習うほど知恵が出なくなることがある。
研究所時代(1970年代)に一流大学出の修士連中が、「博士号は足裏の飯粒だ、取っても食えない」「研究開発は、修士卒までが良い。博士までゆくと視野が狭まり過ぎていて駄目だ」などと言っているのを聞いた。そのことと符合しないでもないが、要は組織の要所にゼネラリストが必要なのである。専門家ばかりを集めると角が立つばかりだ。
話が逸れてきた。兎に角、しっかりと現状と向き合うことが品質管理には重要なのである。難しい解析が必要なこともあるが、自身の知識と照合してより難しくするのではなく、シンプルに考え知恵を出すことである。
問題や課題を解決するための指針としてQCストーリーがある。TQCの研究から生まれた「シックスシグマ」もMAIC〔(M:Measure、A:Analyze、I:Improve、C:Control):測定(現状把握)、問題点の摘出と目標設定、改善、歯止め〕というステップ解決法を用いるが、いずれにしても最初の現状把握が最重要である。
現状認識を間違うと問題点の把握もその対策もすべて狂ってくる。現状認識に時間を掛けるべきである。企業コンサルも同じことで、業界の事前調査から経営者への聴取、事務所から工場、倉庫まで見て回ることが大切である。そこで働く人々の雰囲気を感じ取ることが必要である。
中小企業診断士にやたら専門性を求め、協会の研究会なども必要以上に難しい課題と取り組むことがある。向学心は尊重しなくてはならないが、多くの場合自己満足に過ぎない。本当の専門家は診断士資格など要らないので巷に十分存在する。ただ私は診断士には品質管理のスキルは必須だと思っている。そのため3年前に品質マネジメント研究会を立ち上げた。マネジメントは「経営」であり「管理」とも読める。
企業勤めの40歳半ばに工場の品質管理課で3年を過ごした。この間工場にISO9002が導入され、課内の担当スタッフとして、その取得に至る経緯をつぶさに経験できたことは貴重であった。この間、通信教育で「統計」を学んだ。ISO9000も統計も専門家からはほど遠いが、その手法を使って実績は上げた。
工場の各職場にISO9000が行き渡ったところで、品質管理課で用済となった私は、品質管理文書作成の能力を理由に、新規事業の情報電子部品製造の部署に転出となった。客先の大手企業から品質監査が入るということで、準備が必要だが適当な人材が居ない。品質管理の担当者は猛烈に忙しく手がまわらないらしい。実際には開発初期段階の検査中心の品質管理を続けており、みごとに不良品は選り分けられて除去されていたが、銘柄ごとの歩留まりも把握されておらず商業生産でありながらコスト意識も低かった。
石油化学専業企業が新規事業をと始め、電機電子業界からの若手退職者を採用していたが、転入者は客先へまで、個人への評価を期待するところがあったように診る。ほとんどの者がその後いろんな形で転出していった。当時の採用を担当した人事の責任者の趣向にも問題があったと考える。その後経営者層にまで登りつめたけれど、当時の社長の下、リーマンショックになす術もなかったように見えた。組織の経営者にもっとも重要なことは人物眼である。
新規事業のリーダー層には優秀な人材も居た。しかし品質管理の素養に乏しかった。歩留まり算出や歩留まり向上の根本解決のアプローチ方法が分からない。TQCもどきの活動も実施していたけれど、IEの真似事ではプレゼンでは誤魔化せても実効は上がらない。
結局客先からの品質監査はなく、製造現場の歩留まり改善が私の当面の主業務となった。
現状把握は、まずは現場担当者の声を聴くこと。現場パートさんの協力を得て新たなデータを採る事。誰にも分かりやすいQC工程図を現場と確実に照らし合わせて作る事。3か月後関係職場のリーダーも参加しての私の報告会での説明で、みなさん目から鱗が取れた。「なあんだそうやればいいのか。簡単じゃん。後は専門の技術者に改善して貰えばいいや」。
組織はとかく失敗の原因究明と対策はそれなりに行うが、うまくいった時に、その要因をきちんと確認し記録を残し、成果を正当に評価して次につなげることを怠る。
やったことは確かに簡単。TQC(TQM)にある「分けることは分かること」を実践したに過ぎない。難しい学問を習得しても自身の頭脳を謙虚に柔らかく維持できる人は居るが、多くは傲慢で習わないことは分からない人に陥る。習えば習うほど知恵が出なくなることがある。
研究所時代(1970年代)に一流大学出の修士連中が、「博士号は足裏の飯粒だ、取っても食えない」「研究開発は、修士卒までが良い。博士までゆくと視野が狭まり過ぎていて駄目だ」などと言っているのを聞いた。そのことと符合しないでもないが、要は組織の要所にゼネラリストが必要なのである。専門家ばかりを集めると角が立つばかりだ。
話が逸れてきた。兎に角、しっかりと現状と向き合うことが品質管理には重要なのである。難しい解析が必要なこともあるが、自身の知識と照合してより難しくするのではなく、シンプルに考え知恵を出すことである。