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品質管理ノート 第6回

2018年11月16日 | ブログ
検査

 品質管理の第一歩は、出来上がった製品を基準に照らして検査し、基準に満たない不良品を出荷しないことにある。

 ただ、製品によって1品1品検査を必要とし、また検査が可能なものと、ネジや釘のように1個1個は小さく、一度に大量に生産するものの場合のように到底1品1品の検査は無理なこともある。このような場合、等しい条件下に生産した製品集団をロットと呼び、出荷検査もロット毎に抜き取りで行うことになる。

 この抜き取り検査による判定基準によって、全体の不良率がどの程度になるか(OC曲線)、その不良率をどこまで許容するか(AQL:acceptable quality level:合格(許容)品質水準)など、統計的品質管理の嚆矢と思われるものだ。

 液状の化成品(化学薬品等)なども、保管タンクや出荷の際のタンクローリーや貨車のタンク毎に一部を抜き取って(サンプリング)検査をして判定する。コンビナートのように他社に専用のパイプラインで輸送出荷する場合には、輸送中のパイプラインから抜き取って検査することになる。装置産業である石油化学工業では、製品タンクに納める前に工程のパイプラインなどからサンプルを採取して工程検査とする。工程検査の数値の動向によって、工程の諸条件を微調整する、また不適合であれば輸送先のタンクを切り替えることになる。外乱が入らないように行うサンプリングは気の抜けない業務であり、重要である。

 検査の場所・頻度、抜き取り量なども管理項目として決めておく。これをQC工程図に規定するが、特に工程検査で異常が出た場合、どの部署に一番に報告し、対応して貰うかを決めておく(フロー図の返り線の表示)ことが重要で、出来上がってからの検査だけでは、場合によっては不良品の山を作ることになってしまう。

 技術部門でも研究開発・設計部門などはエリート集団の意識があり、それはそれで確かに重要な部署ではあるが、決められたことを決められた通りに行うだけと思われがちな検査部門をどれだけ重視できるか、企業の品質管理意識の強さが問われている。

 検査は精緻なサンプリングに始まり、各種分析機器の校正など地味だが重要な業務がある。より迅速で精緻な分析法の開発もある。品質保証のためには検査部門にも企業を背負うキーマンが必要であり、有名企業、大企業の品質問題撲滅に必要なことである。 
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