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品質管理ノート 第4回

2018年11月10日 | ブログ
バラツキの指標

 品質管理は、狭義には製品品質のバラツキを少なくするための管理手法であると言える。製品品質をより良くする領分は、固有技術の範疇であり、現場での品質管理はその設計通りに量産するための管理技術と言える。

 そのためには、バラツキを定量的に捉えるデータ採取が必要で、製造工程等においてサンプリングを行い、随時製品の出来栄えを評価し、運転の微調整などを行いながら最終製品のバラツキを押さえる。

 バラツキの指標として、標準偏差があることはよく知られているが、その計算式やその意味、活用方法まで知っている人は意外に少ないのではないか。もっともその計算は計算式など知らなくても、エクセルは勿論、気の利いた電卓ならデータを入力すれば答えが出るようになっている。

 わが国では近年学校で統計を教えていなかった(学習指導要領から外されていた)時期があったことで、従前(2012年2月)大学生の4分の1が「平均」の意味さえ十分理解していなかったという驚きの調査結果が報告されたりした。しかし、一応品質管理を理解したいと思う人なら、統計的品質管理などと大上段に振りかざす以前に、標準偏差の意味や活用方法、計算式くらいは知っておくほうが良いだろう。

 単にバラツキを知るだけなら、簡易的に最大値と最小値の差(R)を見ることや、平均値との差(偏差)の絶対値の合計をデータ数(n値)で割ったもの、また偏差平方和(偏差の2乗の合計)をn値で割ったもの(すなわち「分散」)の比較でも可能であるが、標準偏差(σ=√分散)は単なるバラツキの指標に留まらず、±σ内に何割のデータが納まっているかを示しており、そのことから所定の範囲から外れるデータの確率を示してくれるのである。

 QC7つ道具というものがあって、QCサークル活動などでも利用されるもっとも基本的な問題解決手法とされるが、この中のひとつである「管理図」にも標準偏差が必要となる。管理幅に過去のデータからの±3σが使われるのである

 ±3σ内には99.7%が入るが、±1σ内には68.3%、±2σ内には95.4%のデータが入る。「1000に3つ」と言われるめったに起こらない事象は±3σ内からの外れとなる。管理図において、このようなデータが検出されれば、直ちにその原因を探索し対策する必要がある。もっとも管理図では、単に±3σから外れたデータだけを監視するのではなく、データが一定数以上(通常7連以上)連続して上昇する、または下降するなど、バラツキ方の異常についても監視するところに真骨頂がある。

 標準偏差に関係はないが、QC7つ道具のひとつであるヒストグラムも、バラツキの形状から異常を検知しようとするものである。
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