テレビドラマに透けるこの国の病根
10月から新しい連ドラが始まった。特に初代相棒が返り咲いたテレ朝の「相棒」は大きな期待を持って迎えられたようだ。
事実を基にしたドラマとの触れ込みに惹かれ、日テレ水曜ドラマ「ファーストペンギン」を観始めた。舞台は山口県萩市の大島(人口600人余り)という。主演の奈緒さんは知らなかったが、脇を固める堤真一さんや吹越満さんなど昔から好きな俳優さんだったから、観る価値はある。敵役の漁協組合長を演じる梅沢冨美男さんなどには、初回放映後から非難のメールが届くという嵌り役。脚本の森下佳子さんは、この世界で有名な実績のある方だ。
山口県には、萩からはだいぶん遠いが、高校を出て就職して17年間住んだ。このドラマのロケ地は千葉県いすみ市の漁港という、現在の千葉県人として関りがないとも言えない。
『岩崎和佳は5歳の息子・進を育てる、「金なし」「家なし」「仕事なし」のシングルマザー。息子と共に寂れた港町・汐ヶ崎に職を求めて移り住んできた。地元のホテルの仲居として働き始めたある日、漁師の片岡洋と出会い、「あんたにこの浜を立て直してもらいたい」と1万円を渡され、浜の立て直しを懇願される。アジとサバの違いもわからないような素人の和佳は、漁師たちのボスとなり漁業の世界へ飛び込むことになり、漁師たちとぶつかり合いながらも、彼らの夢を背負う奮闘の日々が始まる。
「ファーストペンギン」のように未知の世界に飛び込み、これまで変えることのできなかった業界内に蔓延した古い慣習・常識を変えていき、いつしか革命を起こす爽快で痛快なウソみたいなホントの話。』 Wikipedia「ファーストペンギン」あらすじ より
ドラマを観ていて、いつしか梅沢さん演じる漁協組合長の姿が、現代の政権内でふんぞり返っている老政治家どもに見えてきた。特に与党自民党の名を挙げるまでもなく、伝わると思うが、その連中である。言う事を聞く軽い神輿を総理に据えて、「国葬に反対する連中は馬鹿だ」と国民を愚弄する。
中曽根氏なども総理退任後なかなか引退せず、遂に小泉当時の首相が引導を渡す羽目となったが、組織を動かす老人(職人さんなど自営業は別)は、さっさと後継に道を譲り引退するべきなのだ。自身の権力を維持したいがためもあろう、碌に後継者の育成もせず、権力の地位にしがみついているようでは国を亡ぼす。周囲の若い国会議員も情けない。このドラマでも観て、大いに見習ってもらいたいものだ。
人体は37兆個の細胞で成っているというが、その細胞の一つ一つが健全で、新陳代謝を行って全体の健康を維持しているのだ。新陳代謝の悪い部分があると癌細胞化する。今の与党自民党など相当がん細胞に犯されているように見受ける。自民党だけでもない。政界はじめ学会も官僚も地方行政機関も、各種団体も。勿論非常に頑張って国家に貢献している組織もあろうから一概に批判だけも問題だが、組織で働く人は周囲を見渡し、問題があれば声を挙げてゆくべきだろう。
ジェンダー平等も世界の国々の中で、わが国は最低ランクである。この国の伝統の中で、けっして女性を粗末にしてきたわけでもなかろうが、胡坐を欠いている野郎が多いのだ。のさばる女性も多いことだが、見直すべきは見直さねばならない。