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74歳の独り言 第21回

2021年12月01日 | ブログ
身近な野鳥20年で大幅減

 11月28日読売新聞の見出しにそうある。身近な野鳥とはツバメとスズメである。両方共、子供の頃から親しんだ鳥だ。ただ、米作の日本ではツバメは稲穂に巣くう虫を食べることで益鳥とされ、スズメは稲穂を食べる害鳥とされた。ツバメは渡り鳥でフィリピンやボルネオ、台湾などで越冬し、春に列島にやってくる。民家の軒先に巣作りし子供を育てる。スズメは空気銃で狙われ、レンガを使った簡便な仕掛けに掛って命を落とした。

 ツバメは空中を素早く飛んで虫を捉えるというが、その素早い動きと、わが家の軒先には巣を作らなかったこともあり親近感が薄いが、スズメは数羽群れて道端で何かを啄ばむ姿がかわいくて愛着が湧く。「雀の子そこのけそこのけお馬が通る」の一茶の句にもあるように、昔から多くの庶民に親しまれた野鳥であったと思われる。スズメは春に一度目のひなが誕生することで、この俳句の季語は「春」であるらしい。

 新聞記事によれば「全国鳥類繁殖分布調査」は20年程度の間隔で実施され、74年~78年年、そして97年~02年に続いて3度目調査が16年から今年21年にかけて行われたという。研究者やボランティアら2,000人が1,947の調査地点で行った結果が冒頭の見出しとなった。

 具体的には、ツバメが40%減でスズメも34%減少していたのだ。それぞれ8,987羽、2万627羽を確認している。確認された野鳥は379種。その中には日本には本来生息せず、駆除の対象となる特定外来生物の野鳥のガビチョウは1,105羽で20倍、ソウシチョウは1,507羽で2.4倍に増えていたという。ペットが逃げて野生化して森で生息しているという。

 実際ツバメを見なくなった。要は餌となる昆虫がまず激減しているのだ。子供の頃には家の中にはハエが飛び回っていたし、夜間街路灯には多くの虫が群がっていたように記憶する。企業時代、管理職研修で宿泊した立派な他社の研修所の周囲の森を散策したが、虫の気配がないことは驚きであった。

 戦後は食糧増産の必要から、田んぼにはホリドールやパラチオンという水銀系の農薬を撒いた。刈り取り後の田にタニシの姿はなくなった。現在は農家も人出不足で、畑にも農薬の使用が増えているそうだ。農薬は確実に野原の昆虫を減少させる。

 毎年大掃除の時期には畳を上げて蚤取粉を撒いた。ハエ叩き具やハエ取り紙が活躍した。まず、蚤は姿を消した。新しい家は窓に網戸が完備されるようになり、ハエもめったにみかけなくなった。蚊は健在だが、蚊取り線香から電気蚊取り器の普及で蚊帳は姿を消した。ダメ押しの軒先にぶら下げるタイプの防虫剤も普及している。

 人の生活を脅かす害虫は駆除されるが、その虫たちを餌にしていた昆虫は生活圏を奪われる。そして昆虫を食べる野鳥も減少しているのだ。

 食物連鎖という言葉を知ってはいるが、その頂点に君臨する人間にその自覚が足りない。顕在化している野鳥の減少は、いずれ自分たちに災いが向かう。


 野鳥の確認数など、読売新聞記事によります。その数は確認地点での実数で国内の全体数を推定するものではないと思われます。


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