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74歳の独り言 第29回

2021年12月25日 | ブログ
NHK大河

 「青天を衝け」は明日の日曜日で最終回である。渋沢栄一については、新しい一万円札の肖像に選ばれたことで話題となり、われわれ庶民にも知れ渡ることになった。先に司馬遼太郎「坂の上の雲」で、日露開戦にあたり、軍の児玉源太郎とのやり取りで名前は知っており、大まかな業績は聞いてはいたが、幕末、明治の偉人の中で知名度は大きくなかった。

 ドラマは、栄一と馬上の将軍徳川慶喜の出会いに始まる。慶喜は2018年大河「西郷どん」にも登場するし、慶喜を主役に「徳川慶喜」大河1998年もある。2008年の「篤姫」にも島津斉彬の推す次期将軍候補として登場しており、家康、綱吉、吉宗らに並ぶ著名な徳川将軍の一人である。

 今回慶喜はドラマの終盤まで随所に登場し、大いにその人となりが紹介された結果となった。演じた草彅さんの評判が良く、その雰囲気、人となりがより伝わったのではなかろうか。

 慶喜には、薩長と幕府の鳥羽伏見の戦い(1868年)の最中に、大阪城から江戸に逃げ帰った事件の負い目がある。水戸藩の嫡男として生を受けた慶喜に朝廷崇拝の意識が強すぎたため、錦の御旗を掲げた薩長軍と戦うことで朝敵の汚名を着ることを必要以上に恐れたこと。また外圧として、薩長は英国が支援していたが、幕府には仏国が付いていた。ただ、仏国は幕府が勝利すれば、内戦の混乱に乗じて日本を植民化する思惑があったとされ、それを聞き及んでいた慶喜は、薩長に勝る兵力を持ちながら敢えて敗北を選んだという解釈もできる。

 もともと1867年の慶喜による大政奉還は、朝廷の治世能力のなきことを前提として、朝廷を仰ぎながら徳川将軍家を筆頭として、有力大名を議員とする合議制の国家にする計画があったとする見方がある。一方好戦派の西郷は、元々、徹底して幕政を破壊して新しい国づくりを目論んでいた。坂本龍馬は、大政奉還後の国づくりに慶喜方式を考えており、自身は当然国家権力の中枢に入ることなど夢想もしていなかったと思う。しかし西郷からすれば、龍馬の構想は看過できず、薩摩はその暗殺に至ったものであろうと推察する。

 英国が日本を植民地化するのではなく、温存したには少し深い解釈がある。清国をすでに侵略していた(アヘン戦争:1840-1842)英国は、いずれ南下するロシアとの対立が見えていた。その後の日英同盟で、ロシアの南下を日本人の手で押しとどめさせた(日露戦争:1904-1905)のだ。日英同盟はドイツとの第一次大戦(1914-1915)にも有効であった。しかし、日清・日露、第一次大戦の戦勝国として世界の中で大きな地位を占めるようになった日本は、清国での権益をめぐり米国とも衝突する構図に嵌り、今のうちに日本を叩けと日米大戦に誘導される。欧米人には捨てがたい人種差別と黄禍思想がある。

 現代にも通じる民族的確執であるが、近年の米国政権の見通しの甘さと欧米のグローバル企業群が、中共を手の付けようのないモンスターに仕上げた。そんな時代の流れも幕末から明治、大正、昭和に生きた渋沢栄一の物語に垣間見える。

 来年のNHK大河は「鎌倉殿の13人」という。楽しみである。




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