中小企業診断士 泉台経営コンサルタント事務所 ブログ

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この頃気になることなど第2回

2012年06月04日 | Weblog
規制緩和

 今年のゴールデンウイークでは高速道路でも大変な事故が起きた。運転手の居眠りにより、楽しい筈の東京ディズニーランドへの旅が悪夢に変わった。その後バス会社などに多くの法令違反が見つかって、社長までも逮捕されるに至ったが、こちらの事故では、規制緩和による参入障壁の低下で競争が激化し、低料金が安全意識の低下につながったとする批判が聞かれた。規制緩和するなら行政はせめて安全指導を徹底すべきというもっともな意見も聞かれた。

 昔、少年犯罪が起こる度に、社会が悪いからこのような少年を生む。社会が悪いのだ。と犯罪者である少年を弁護するような発言が、テレビでその手の特に女性評論家から聞いたが、その類のような気がしてならない。規制緩和が悪いと言うことは、個人や企業の責任を社会全体の責任にすり替えることで、そのことを反対側から見れば、社会全体のためには個人を犠牲にせよということと同義で、本来マスコミが国家権力として忌み嫌う全体主義的発想なのだけれど、どうもどこかで自己矛盾を起した発言をして素知らぬ顔である。

 また、5月16日に起きた広島県福山市でのホテル火災では、やはり7名の方が亡くなったが、こちらは地元消防署の安全指導が成されていた。ホテル側がそれに十分従っていなかった。行政指導をやっている業界でも悲惨な事故は起きるのだ。前線の企業経営者、担当者の自覚がなければ事故は防げない。

 もっとも今回規制緩和についてはそれほど大きな声にはならなかった。何といっても電力会社の地域独占ぶりが、経済産業省との癒着につながり、庶民が高い電気料金を支払わされていると糾弾されている真っ最中だったからだ。

 郵政民営化は米国の保険業界の策略に乗ることになるからダメだ。過疎地の人々へのサービスが低下するから駄目だと大反対で規制を続ける方向の意見を吐きながら、電力は自由化しろ、TPPは平成の開国だとこちらは規制緩和論をぶち上げる。原発問題や消費税増税などもそうだ*1)けれど、国のトップまでがその時のムードだけで、ご都合主義の理念なき主張を述べ、自己矛盾を起していることさえ気付いていないのだから、世の中皆がそうなっても仕方がない。政治とマスコミの限りなき劣化が、この国を不幸に導いている。

 勿論われわれが国家を持ち、最大多数の最大幸福のみならず、一部の恵まれない同胞にさえ配慮する施策を行うためには、当然に法律と言う縛りや諸々の規制によって、人々の安寧を確保し経済の暴走を許さない仕組みが必要である。一方で、一部の既得権者を保護するような規制は排除してゆかねばならない。

 護送船団方式などという言葉があったけれど、産業を育成する段階で、国家が主導で戦後の乏しい資金を集中するための規制はあった。経済大国になったわが国は、それらを徐々に解いて、国民になるべく均等な機会を与え、正しい競争を行うことで、技術の進歩や生産の効率化を図り、グローバルな競争に打ち勝ってゆく力を、それぞれの産業自らかがつけなくてはならない。

 二言目には、「小泉、竹中の改革によって格差が広がり」、と根拠なく対案もなく、テレビでは言い難い大企業批判を避けて、勤労意欲の乏しい人々に阿(おもね)る発言を繰り返す評論家とマスコミとその手の政治屋がこの国を危うくしている。





*1)先の総理が、原発の危険性を盛んに煽って脱原発を唱えたあげく、総理が変わっただけで再稼働だといえば、国民は不安に駆られるのは当たり前。また「国民の生活が第一」と吹いて政権を取った政党が、事前に国民の信も問わず、一人当たり年間10万円もの消費税増税を決定して、政治生命を賭けると意気込んでいる姿は、滑稽でさえある。
コメント
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