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この頃気になることなど第7回

2012年06月19日 | Weblog
三文評論家の戯言

 文藝春秋7月号の目玉企画「“徹底追及”平成政治24年亡国の“戦犯”」という対談記事の内容には驚いた。文藝春秋と言えば、その論評の品格からしてもわが国有数の一流雑誌と思っていたけれど、この記事に見る限り三流週刊誌に成り下がっている。

 記事の対談に触れる。冒頭ノンフクション作家の保坂正康氏が、『・・・一体、どこで日本の政治は劣化、弱体化したのか。・・・』と責任者を問うている。それにまず答えたのが、作家・麗澤大学教授の松本健一氏で、『政治の結果責任という観点から考えると、最も責めを負うべきは小泉純一郎氏だと思います。・・・』と言い切っている。松本氏など私は全く知らない方だったが、対談を読み進めるうち、民主党のブレーンであることを他の出席者からの発言で知る。「最低」、「最悪」、「下下下の内閣」と酷評された鳩山、菅政権を生んだ民主党のブレーンが歴代の総理を批判する資格など全くない。偉そうに言うなとまず言いたい。

 しかし、続く政治コラムニストの後藤謙次氏も『小沢一郎さんか小泉さんで迷いましたが、5年5ヶ月もの長期間、総理大臣という最大の権力を握って、日本政治を破壊し続けたという点では、小泉さんだと思います。・・・』と述べ、続く文藝評論家で慶応大学教授の福田和也氏まで、『私も後藤さんと同じく、小泉氏か小沢氏で逡巡しました。・・・』。さらに保坂氏も『・・・私はそれ以上に彼の政治手法に大きな疑問を持っているので、小泉さんの名前を上げたい。・・・』と述べており、結局対談者6名のうち4名までもの発言に、小泉元総理が亡国の戦犯候補として大きく登場する。

 本来平成の政治を語るなら、まず平成に日本の首相であった政治家達を上げておく必要がある。竹下登、宇野宗佑、海部俊樹、宮沢貴一、細川護煕、羽田孜、村山富一、橋本龍太郎、小渕恵三、森喜朗、小泉純一郎、安倍晋三、福田康夫、麻生太郎、鳩山由紀夫、菅直人、現在の野田佳彦(以上敬称略)まで17人を数える。野田内閣の寿命は未知数だけれど、お一人の平均任期は平成元年に退陣している竹下さんを除く16人で、1年と6カ月程度となる。この中で突出している小泉氏の長期政権を除けば、他の15人の平均任期は1年3カ月足らずである。

 小泉氏の総理就任は2001年(平成13年)4月、この24年間の半ばを過ぎて総理となっており、それ以前の大臣歴としては昭和の竹下内閣で厚生大臣、平成に入って宇野、橋本内閣でやはり厚生大臣、宮沢内閣で郵政大臣がある程度。平成の歴代総理と、その始まりの宇野内閣からして短命内閣であったことなど、現状把握は重要なのだけれど、この対談に登場する評論家諸氏は、きちんとした経緯、現状把握の共通認識の確認を行わずに、それぞれが印象だけで主張している感が否めない。まず問題原因追求の基本ができていない。

 この政治の混迷を招いた戦犯を言うなら、24年間で16人も誕生した総理とそれを生み出した政治システム。総理の資格のない連中が、恥も知らず我も我もと総理をやったことにあったのではないか。三文評論家のいい加減な論評は、次号で論破したい。
コメント
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