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マーケティングの今を考える3

2009年02月14日 | Weblog
鮮度を保つ
 鮮度が必要なのは、生鮮食料品に限らない。少し古い話になるけれど、「全てはお客さまの『うまい!』のために」を合言葉に「フレッシュマネジメント」に取り組んだアサヒビールのマーケティング戦略がある。工場でつくられてからビールが店頭に並ぶまで、11日から12日かかっていたものを「7日以内」にするというものでった。工場を出るまでに5日を要するため、物流には2日しか割けない。情報インフラの整備や流通を巻き込むサプライチェーンマネジメント*2)も必要であった。*3)

 アサヒビールは、1987年に新発売した「アサヒスーパードライ」の大ヒットで、10%を切っていたシェアを一気に20%台へと伸長させた。しかし、その後に出した新製品の売れ行きが悪かったこと、ライバルの「キリンビール」の必死の巻き返しもあって、90年代の前半、シェアは停滞していた。その時機に社長に就任した瀬戸氏が、「スーパードライ」の実力を信じ、経営資源を『スーパードライ』1本に集中して採られた戦略でもあった。

 そしてアサヒビールは、98年にシェア39.5%を記録。キリンビールの38.4%を上回ってトップに輝いた。*3)

 鮮度が必要なのは、商品に限らない。企業そのものの鮮度が必要である。この大不況の中、去る2月6日(金)の日本経済新聞に、「純利益最高に」<今期上方修正し41%増>という見出しが躍った。「東京ディズニーリゾート」を運営するオリエンタルランドである。売上高は13%増しの3,852億円、年間の入場者数は7%増しの2,710万人の見込みで勿論過去最高となる。

 「レジャーランドは、一度開業したら場所を変えられない制約がある。従ってその成否はリピーターをどれだけ集められるかに尽きる。」常に「新鮮さ」を保つ必要があるのだ。ディズニーランドのアトラクションは開業以来18追加され、ディズニーシーでもすでに3つ追加している。さらに昨年は「シルク・ドゥ・ソレイユ」(太陽のサーカス)を誘致、シルク専用の常設劇場を東京ディズニーリゾート内に設置した。オリエンタルランドには、「永遠に完成しない」というウォルト・ディズニーの哲学があった。*4)

「世界が変われば企業も変わらねばならない」。生き(粋)のいい会社であり続けなくてはならない。これはどんな企業にも当て嵌まる存続要件である。

 *2)取引先との間の受発注、原材料の調達、在庫、生産、配送などをITを活用して統合的に管理、効率化する経営管理手法。SCMと呼ばれる。
 *3)「アサヒビールの経営戦略」西村晃著 たちばな出版1999年
   「アサヒビール成功する企業風土」宮元紘太郎著 祥伝社2002年
 *4)日経ビジネス2008年11月17日号
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