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マーケティングの今を考える2

2009年02月11日 | Weblog
価格戦略
 先日、NHKテレビの「特報首都圏」を興味深く観た。雑誌全体の売り上げが、過去のピーク時の7割程度まで落ち込み、伴って広告収入も減少するため、雑誌社は軒並み経営がピンチとのことである。ひとつにはやはりインターネットの普及が大きな要因となっているようだ。広告料はすでにネット広告が、雑誌広告を上回った。

 そんな中でも健闘している雑誌社がある。社長さんは、雑誌の企画会議を従来の企画部員だけで行わずに、営業担当者等も参加させるようにしたらしい。営業マンの中に、働きながら大学院でマーケティングを学んでいた女性が居た。彼女は、学んだ知識から「需要の価格弾力性」に着目し、既存雑誌の価格引下げを提案する。これが採用された。

 例えば950円で販売していた雑誌を、内容はそのままに650円で販売するようにしたわけである。途端に売り上げが向上し、広告収入の増加と相俟って、最終的に利益が向上した。社長による企画会議の変革が功を奏した格好ともなったわけである。

「知は力なり」と言われるけれど、価格戦略において、需要の価格弾力性を考慮することは当然と思われる。しかし、業界によっては当然と思われることが新鮮な方策になることを、この話から知らされるのである。

 もっともこの出版社においても、当該雑誌の初期の発売時には諸々の状況を十分勘案して価格を決定したと思われる。ただ、その後の市場動向の変化を価格に転嫁する発想がなかったのであろう。

 現下の大不況で、この3月期決算予測は大企業も軒並み大赤字。そんな中、日本マクドナルドが高収益をあげているけれど、これは徹底した低価格戦略が功を奏したもの。ホンダは189万円のハイブリッド乗用車を出した。物の値段は何でも安ければたくさん売れるというものではないが、常に市場の変化と競合や代替品の状況を捉えた価格戦略が必要である。
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