タイムライン

DVD「タイムライン」(2003 アメリカ)

マイクル・クライトン原作のタイムスリップもの。

物質転送装置の実験中にタイムスリップが起きる。
カメラを送ると、天体の運行から、そこが中世のフランスと判明。
ついには、ひとを送りこむことに成功。
が、何度も送るとコピーが劣化するように、身体の組織がずれていく――。

これが技術的な前提。
それから、ストーリーの背景がある。

100年戦争中の1357年、フランスのカステルガールでは英国軍が村を占領。
近くのラロック城に立てこもり、仏国軍と決戦した。
英国軍のオリヴァー卿は、仏軍司令官アルノー卿の妹レディ・クレアを捕虜にし、城壁に吊るしたのだが、かえって仏軍の指揮は高まり、けっきょく落城。
そのさい、レディ・クレアは死亡した。

1357年のいきさつは、発掘現場での、教授やその息子クリス、助教授のマリクが実習生に説明するというやりかたで観客に語られる。
同時に、主要登場人物も紹介。
クリスは、教授の教え子ケイトに好意を寄せている。

さて、教授はスポンサーであるITCを訪ねにいくことに。
ITCは、物質転送装置の実験から、偶然タイムスリップ現象を発見し、ひそかに人間まで送りこんでいた当の企業。
中世のカステルガールの状況を知るために、教授の発掘を援助していた。

教授が留守にしているあいだ、発掘現場の修道院跡で崩落が起きる。
降りてみると、壊された跡がある美しい彫刻があり、さらに書類と、なぜか教授のメガネが。
書類には、教授の署名と、助けてくれというメッセージが記されている。
日付は、1357年4月2日。

クリスたちはITCと連絡をとり、実験をおこなっているニューメキシコに飛ぶ。
そこで、社長のドニガーやエンジニアから物質転送装置の実験と、その実験で生じたタイムスリップの話を聞かされる。

タイムスリップは、いつも同じ時代、同じ場所にいってしまう。
すなわち、1357年カステルガール。

教授はいったきりもどれなくなってしまった。
教授を救出するには中世の専門家が必要。
そこで、皆でタイムスリップすることに。
14世紀の服に着替え、マーカーと呼ばれるペンダントを身につける。
マーカーを押すと現代にもどれるのだが、広い場所でつかわなければいけない。
それに、6時間たつと燃えてなくなってしまう。
ITCの社員数名とともに巨大な装置に入り、クリスたちは中世フランスに転送される――。

全てのカットがストーリーを進めることに奉仕している。
無駄なカットはひとつもない。
まず、そのことに感心。
この映画はやたらと説明が必要なのだけれど、それを渋滞せずによくみせる。

それでもみていて混乱する。
どっちが英国軍で、どっちが仏軍だったっけ、など。

冒頭で主人公と思われた、教授の息子クリスは、だんだん影が薄くなる。
かわりに後半は、助教授のマリクに焦点が当たる。
これも、話がややこしくなる原因だろう。
主人公は、最初から最後まで主人公でいてほしい。

タイムスリップ後は、ほとんどサバイバルものになる。
着いた早々、一行は戦闘に巻きこまれ、英国軍の捕虜になってしまう。
が、同じく捕虜となっていた教授と、運良く再会する。
今夜は、まさに仏軍が英国軍に決戦をいどんだ日だ。
とにかく、6時間以内に広い場所にいき、現代にもどらなくては。

また、マリクは仏軍の女性と親しくなる。
この女性こそ、アルノー卿の妹、レディ・クレア。
このあたり、過去の人物と現在の人物が交差しあう、タイムスリップものの妙味が味わえるところ。

さらにまた。
ITCの社員はタイムスリップするとき、現代の手榴弾をもっていっていた。
そして英国軍に襲われたさい、その手榴弾をつかおうとし、また同時にマーカーも作動させてしまう。
結果、現代にもどって手榴弾は爆発。
転送装置は大破してしまう。
はたして、タイムリミットの6時間以内に、一行は現代にもどってこられるのか。

それから、タイムスリップしたきり、もどってこないITCの社員もいるという。
かれは、いまどうしているのか。

中世にいってからは、捕まっては逃げ、捕まっては逃げのくり返し。
でも、最後まで緊張感を失わない。
タイプスリップもののお約束もよく押さえられており、その手際の良さが見もの。

それにしても、教授はなぜわざわざ中世にタイムスリップしたのか。
話がどんどん進むので、みているあいだは気にならないけれど、それだけがわからない。
原作には、なにか書いてあるのかも。


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