ようこそ石の華へ

鉱物の部屋へのいざない

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石川県(北陸)の鉱物特別展示販売

2012-07-31 10:57:35 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「石川県(北陸)の鉱物特別展示販売」のお知らせです。

大げさなタイトルですが、店の中のひとつの棚を石川県産の鉱物のコーナーとします。

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8月は県外からの旅行者も増えます。旅行者からよく尋ねられる事のひとつが石川県産の鉱物についてです。これまで私個人のコレクションをベースにお店を開いてきましたが、国産、特に石川県産の鉱物については充実しておりませんでした。

そこで、石川県鉱物同好会の河合副会長に相談しましたところ、河合副会長がこれまでに採集してこられた河合コレクションの一部を放出して下さる、との了承を得る事ができました。河合副会長、本当にありがとうございます。

河合副会長のコレクションは石川県産の鉱物を中心に一部、姫川ヒスイや今ではもう絶産の臼中紋石、等、他県の石も含まれています。河合副会長の鉱物趣味歴は40年近くにもなり、今回展示販売するものの中での目玉は何と言っても石川県小松市遊泉寺銅山産の紫水晶です。

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石川県小松市遊泉寺銅山産の紫水晶(Amethyst)

あの市川新松さんが研究した蝕像水晶も豊富にあります。遊泉寺銅山産の紫水晶をこれだけ放出できるのは恐らく河合副会長だけだろうと思います。そういう意味で、今回の特別展示即売コーナーは貴重な機会になると思います。ご興味のあられる方はこの機会に是非、どうぞ。

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1970年頃の石川県小松市遊泉寺銅山はげ山

上の写真は私が中学生の時に撮った小松のはげ山の写真です。先日、自宅の古い写真箱の中から見つけたものです。遊泉寺銅山産の紫水晶はこの近くで採れましたが、現在では欠片を見つけるのも難しいと思います。

今回の特別展示販売のコピーとして、

「石の華の花の石、石川の川石」としました。何となく回文風になっております。

回文はシンメトリーな構造を持っていて、結晶的な印象を受けます。結晶好きな方なら分かって頂けるのではないかと思っております。

「石の華」も今日から2年目に入ります。

今後とも宜しくお願い申し上げます。



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鉱物の本

2012-07-30 11:02:41 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「石の華」にとっては記念すべき日です。

昨年の7月30日に「石の華」を開店し、今日が開店1周年の日となります。この1年間にご来店されたお客様の皆様、本当にありがとうございます。何とかやっています。今後とも宜しくお願い申し上げます。

さて、今日は鉱物の本です。

昨日、定期購読しているデアゴスティーニの「地球の鉱物コレクション」(120号)が届きました。それが完結号となります。隔週発行でしたから創刊号から約4年半かかった事になります。完結号の最後にはバックナンバーの正誤表が載っていました。訂正をしてようやく完全版となります。これから全体をじっくり読み返したいと思っております。

今日の「鉱物の本」はそれとは違う本の事です。

それは福井市自然史博物館が昨年の夏に開催していた第72回特別展「きらきらクリスタルー水晶とそのなかまたちー」の展示解説書です。この解説書は昨年の特別展の時にはまだありませんでした。発行日は今年の3月10日となっております。

先日、石川県鉱物同好会の山本会長がこの展示解説書が非常に良かったとおっしゃっていました。私はその時は豊橋市自然史博物館が発行した「キラキラ水晶展」の展示解説書の事と勘違いして同意していたのですが、調べてみて、まだその本を見ていない事に気付き、早速、福井市自然史博物館から取り寄せました。

その本を見て驚きました。それは本当に非常に良い本でした。その展示解説書に載っている水晶やメノウの標本が良い事と、それらの写真が素晴らしく良かった事です。解説も実に詳しく書いてあり、鉱物の文献としても一級の資料になります。その本は吉澤康暢館長の思いと総意が詰まっていました。

実は、私は吉澤館長には一度お目にかかった事があります。それは昨年の3月でしたが、市川鉱物研究室を訪ねた時です。それは昨年の市川新松展の開催前の時期で、私が訪ねた時にちょうど吉澤館長への新聞社の取材が行われていました。吉澤館長は4年の歳月を掛けて市川新松氏の標本を整理されたとおっしゃっていた事を思い出します。吉澤館長と水晶の出会いは小学校高学年の時だそうです。それは私の場合も同じで、多くの石好きの人たちとも共通するところだと思います。「石の華」のお客さんにも同世代のひと達がたくさんいます。皆さん、透明な水晶の結晶に魅了されてしまったのです。

その展示解説書を見ていると、見覚えのあるメノウの写真を見掛けました。写真提供者を見ると何と!山田英春さんの名前がありました。あの「不思議で美しい石の図鑑」の著者です。さらにオパールのページでは「石川県西部の川でのオパール探し」と題した写真も載っていました。その写真は恐らく赤瀬と思われる川の風景と山田英春さんの奥さんとお嬢さんも写っていました。何となく親近感が湧きました。石川県産では他に遊泉寺や菩提産の紫水晶や玉髄、メノウも載っています。石川県人としても親近感のある一冊です。

思うに地方博物館の発行する展示解説書には良い本がたくさんあると思います。今、手元には「水晶ってすばらしい!」(相模原市立博物館 平成15年)や「立山に産する玉滴石 オパールの世界」(立山カルデラ砂防博物館 1999年)等があります。どの本も内容が充実しております。一般の書店売りの本とは違った趣で石好きの人達にも満足できるレベルの本が多いと思います。

石川県でも充実した自然史系の博物館が欲しいと思ってしまいました。

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花火

2012-07-29 12:21:56 | 日記・エッセイ・コラム

今日のブログは少し気分を変えて「花火」についてとします。

昨晩は金沢の北国花火大会がありました。

お店を閉めてから自宅のマンションに帰り、屋上に上がりました。屋上では町会提供のノンアルコールビールの配布があり、それを飲みながら、住民の皆さんと一緒に花火を待ちました。屋上は微風があり、日中の暑さが嘘のように涼しく感じました。

しばらくして花火大会が始まりました。

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マンションの屋上からの花火

上の写真は昨晩の花火の写真です。少し離れた距離からの屋上からの光景です。屋上からはナイアガラ等の低い花火はほとんど見えませんでした。打ち上げ花火は横から見た感じでした。映画「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」(1994年 岩井俊二監督)のタイトルを思い出してしまいました。映画の分野でも花火を印象的に撮った作品は数多くあります。すぐに思いつくのは何と言っても「ポンヌフの恋人」(1991年 フランス レオス・カラックス監督)でしょうか?美しい花火のシーンは目に焼き付いています。

昨晩の花火を見て思った事は、最近の花火は種類が多く、色も形も変化に富んでいました。花火の色は金属化合物の「炎色反応」です。銅とかナトリウム、バリウム、ストロンチウム等、鉱物世界ではお馴染みの元素です。形も基本形は放射状の球体です。こちらも鉱物世界ではお馴染みの形です。形の方の進化はずいぶん進んでいるようで、ハート形やドラエモン形や、中にはもっと複雑な形のものもありました。見る角度の問題もありそうですが、本来の球体から人工的な形を表現するには高度な技がありそうです。

最近は花火だけではなく、様々な分野で、進化した形が見受けられます。例えば、スイカです。自然なスイカは球体が普通ですが、スーパーやデパートでは立方体のスイカ等が見受けられます。立方体のスイカは転がる事なく効率良く積み込めます。そのうち空間充填の形である五つの平行多面体のスイカが登場するかも知れません。

花火の世界の形はもっと可能性があると思います。そのうち星形多面体の花火が現れてもおかしくないと思います。星形多面体なら見る角度や方向の心配をする必要がないからです。

虹色や金色の花火が出てくる時代です。今後の花火の世界の進化にも期待したいところです。




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電気石3

2012-07-28 11:59:43 | 日記・エッセイ・コラム

今日は電気石3、黒い鉄電気石のヴァリエーションにします。

鉄電気石の特徴は黒いガラス質の柱状結晶というイメージが強いのですが、今日はそのイメージから少し違った鉄電気石を出します。

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ブラジル ミナスジェライル州 産 鉄電気石(Schorl)

この標本は鉄電気石の特徴を保ちながらも柱面がほとんど無く、その表の面と裏の面の表情の違いが極端な標本です。表の表情は鉄電気石らしい、しっかりしたツルツルの光沢のある面構造です。写真からは西欧の鎧兜の面のようにも、あるい悪役ロボットの顔のようにも見えてしまいます。それに対して裏面はゴツゴツとした細い柱状結晶の集合体で長石や雲母で構成されているの母岩の欠片の一部が付着しております。これは鉄電気石の変種として面白い標本だと思います。

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ブラジル ミナスジェライス州 産 鉄電気石(Schorl)

この標本は先ほどの標本とは逆で、柱面は鉄電気石らしい柱状結晶で条線が発達していますが、先端部分にはツルツルの面は無く、規則正しく束ねられた針状結晶で構成されています。この標本もある意味、鉄電気石の変種として面白い標本です。

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Sonora Chihuahua Mexico 産 鉄電気石(Schorl)

この標本の表面は微細な針状結晶で、写真ではうまく伝わらないかも知れませんが柔らかいビロードのような質感に見えます。最初の写真ではまるで深海のチムニーのような印象を受けますが、横にして撮った写真ではその短い毛のような質感が分かると思います。

これらのように同じ鉄電気石といってもそのヴァリエーションは豊富です。鉄電気石のコレクターがいてもおかしくないと思います。ただ、黒い石は一般的に人気がありません。何故なのでしょうか? 

私は同じ石でもヴァリエーションの多い石が好きです。水晶、方解石、蛍石、沸石、黄鉄鉱、等々それらは同じ鉱物でも種類が多いのが面白いところです。電気石も種類が多い鉱物です。

ただ、良く考えてみると、どんな鉱物でもそれらは全て一品ものです。同じものが二つと無いのです。それが鉱物標本の特徴なのかも知れません。

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電気石2

2012-07-27 11:45:46 | 日記・エッセイ・コラム

今日は電気石2です。

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ブラジル ミナスジェライス州 産 鉄電気石・水晶(Black Tourmaline/Quartz)

上の写真は鉄電気石と水晶の巨大共生結晶です。鉄電気石には巨大結晶になるものがあります。この標本は水晶もそこそこのサイズで、その二つが同じ時間をかけて巨大に結晶成長したものだろうと思われます。鉄電気石はどうも双晶になっているようです。下の写真の水晶にはスターバーストといわれる痕跡が見られます。これは雲母の結晶が付着していて、それが風化でなくなった痕跡だろうと思われます。この標本はサイズといい、その共生バランスといい、表面表情といい、複数の意味で立派な標本だと思います。

鉄電気石の巨晶は意外な所で見た事があります。そこはどこかと言うと、愛知県の岡崎市美術博物館です。同館の入り口を入っていくとひとつの椅子が目に入ってきます。それはマリーナ・アブラモヴィッチというアーティストの「人間と精神のための椅子」という作品です。その作品の背もたれの部分には巨大な鉄電気石が埋め込まれております。それは鉱物結晶の原石をそのまま現代アートの作品に取り込んだ珍しい例です。

一昨日の芸術家の女性が自分の作品に天然石を使いたいと言われた話を思い出しました。

自然が造った芸術作品ともいわれる鉱物結晶と、人間の芸術家の創意とのコラボレーション、何かゾックと感じるものがあります。

思えば、天然石を自分の作品に使う事は、それほど珍しい事ではありません。イサム・ノグチの彫刻作品は天然石で造られているものが多いです。そういえば、ルネッサンスのミケランジェロはイタリアのカッラーラ産の白い大理石で彫刻作品を造っていました。彫刻家であれば天然石という素材を使って作品を造る事は当たり前の事です。

水石の世界では石は自然のままが良いとされていますが、そもそも石の台座は人間が造るものです。もともと水石の世界では自然と人間の造ったものとのコラボレーションの美学なのです。それは庭園の世界でも同じです。それらはセカンド・ネイチャーといっていいような美学から成り立っています。ミロのヴィーナスを明礬結晶と思われる結晶でコーティングした作品を思い出してしまいました。

石は自然のままが良いのですが、我々人間がそれを愛でる際には、知らずに人間の意図が介在しているようです。拡大解釈すれば、宝石の世界でよくあるエンハンストやトリートメントのような加工もそれらと同じようなものかも知れません。メノウの焼を入れる事やタンザナイトの熱処理、中には放射線照射で処理する事もあります。

どうも人間はより良い美を追求するように出来ているようです。

先ほどの椅子の作品に絡んでもう少し書きます。

椅子も芸術的関心の対象であると思います。

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ヴィトラ・デザイン・ミュージアム製フランクロイド・ライト作 旧帝国ホテル用の椅子の模型

上の写真は金沢のコニーズ・アイというデザインショップで購入した椅子のミニチュアです。世の中には椅子のコレクターもいらっしゃるそうですが、そんなにスペースのかかる贅沢な趣味はないと思います。私は模型で十分満足です。このヴィトラ製の模型は非常に細部まで忠実に再現してあります。

ミニチュア世界の作品であれば普通のサイズの鉱物結晶でも芸術作品に取り入れる事が簡単だと思います。

芸術家の皆さん、是非、鉱物結晶をご自身の作品制作に取り入れてみて下さい。

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