ようこそ石の華へ

鉱物の部屋へのいざない

              【お知らせ】

【定休日は毎週水曜日です。】【7月も毎週日曜日は休業します。】

8年目に突入

2018-07-30 11:34:46 | 日記・エッセイ・コラム
今朝、気づいてしまったのですが、「石の華」が開店したのは2011年7月30日だったので、今日から8年目に突入しました。これまでにご来店してくださった皆様、本当にありがとうございました。今日からまた新たな1年間が始まります。今後とも宜しくお願い申し上げます。

思えば、7年前のオープン日も暑い日でした。北陸初となる本格的な鉱物標本店でしたので、自分でも本当に成り立つのか?わかりませんでした。それほど深く考えて始めた訳ではなく、成り行きにまかせて始めたような気がします。

オープン当初のある人の言葉を覚えています。「すぐつぶれるだろう」とか「これ何に使うの?」とか、不愉快な言葉はなかなか忘れません。また、それとは真逆に、ある外国人旅行客の「Beautiful!」という言葉も忘れられません。

最近ではコアな常連客以外にも、主に若い女性の石好きさん達も少しずつ増えて来ているような気がしております。オープン当初のいわゆるパワーストーン系のお客さん達の姿は影を潜め、石そのものの美を愛でる事を知った人達が増えてきたようです。

昨今は、全国的に各地でミネラルショーが開催されるようにもなってきました。ネットでの売買も盛んに行われているようです。いまだに実店舗営業のみにこだわり続けている「石の華」まわりの環境も変化してきているようです。

さて、これからどうしましょうか?

昨日、関東に住んでいる高校生時代からの旧友が両親の葬儀(お父さんが亡くなり、その翌日にお母さんが亡くなったらしい)の為に帰省した際に、店に立ち寄ってくれました。その同じタイミングに店内に久しぶりのお客さんがいて、彼女は最近、赤ちゃんを出産したらしいのです。世の中、少しずつ、世代交代が進んでいる、という実感がありました。

鉱物趣味の世界でも石好きおじさんたちよりも若い鉱物コレクター達の方がメジャーになりつつあるのでしょう。

「マンガでわかる鉱物コレクターズ・マニュアル」(創元社 いけやま。著)という本を読んで、著者の鉱物コレクションのレベルの高さに少し驚きました。これからは少しバカにしていた「石フリマ」等にも出向いて行かなければならないのかもしれません。

この7年間、お客さん達は少しずつ変化して来ました。それに対して、「石の華」そのものはそれほど変化しておりません。

さて、これからどうしましょうか?
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泡3

2018-07-27 14:49:35 | 日記・エッセイ・コラム
今日は「泡3」です。過去に「泡1」(2013.05.16)、「泡2」(2013.05.17)で、「泡」のタイトルを使っておりました。

その昔、透明な水晶の丸玉に似せた溶錬水晶という名前のガラスの丸玉がありました。それは結晶した透明な水晶を丸玉に加工したものではなく、単にガラスを固めたものであって、廉価で、粗悪なものには必ず内部に泡があって、肉眼的にもすぐに人工物とわかりました。その場合の泡とは天然石か人工ガラスかを簡単に見極める際の重要な要素だったと思います。もっとも、最近では、泡の無いガラスの丸玉もあって、それらは熱伝導率の違いや偏光板を使って区別できます。

そうそう、話がそれてしまいますが、つい最近になって、気づいた事のひとつに、有名なM.C.エッシャーの「Hand with Reflecting Sphere(1935年)」のだまし絵があります。その版画は水晶球を持ったエッシャーの自画像だと思っておりましたが、実際に水晶球を持って見ても、透けた向こう側の対象物が上下反転して映るだけで、その版画のように鏡面像を映す事はありません。どうも、私は、長年にわたり、騙され続けていたようです。

さて、水晶球を模したガラス球の中の泡は、どちらかというと、ネガティブなものだと思いますが、現代のガラス工芸作家の中にはそのようなガラスに入ってしまう泡をポジティブにコントロールして入れ、その泡を作品作りの表現に取り入れてご自身の作家性を出している人がいます。







上の写真はそのような作家のおひとりである所志帆さんの作品です。意図的に入れてある小さな気泡の並びは見事なものです。円錐状の頂点から下部の半球状の部分へと視点を動かしていくと泡が規則正しく並んでおり、さらに透明なガラスのレンズ効果もあり、その不思議な視覚の変遷が非常に印象的な作品だと思います。





次は小坂未央さんの一輪挿しです。こちらはさらに微細な泡が揺らいでいるように織り重ねられており、内部の球状の空間にも反射して映り込むという複層された面白さがあります。ほのかに青く染まっているのは微妙に呉須を使っているそうで、色彩的にも進化しております。今後の作風の進化にも期待できるような作品だと思います。

このブログは石のブログなので、最後は水晶のポイントです。







この水晶の面白い所は、水晶内部のインクルージョンです。この白い靄のような部分は何なのでしょうか?上の小坂未央さんのガラス作品のように揺らいでいるようにも見えます。もしかすると、さらにさらに微細な顕微鏡サイズの泡?なのかと錯覚してしまいそうです。普通のファントム水晶とは違った何となく和風な感じのするこの正体はいったい何なのでしょうか?
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放射状結晶鉱物

2018-07-20 11:12:19 | 日記・エッセイ・コラム
太陽が元気良く放射線状の光線を放っており、猛烈な暑い日が続いておりますが、皆様、如何お過ごしでしょうか?「石の華」はポルテ金沢内の空調のお陰で、摂氏26度の快適な環境下で営業しております。石好きの皆さん、店内で石を見ながらクールシェアしませんか?

さて、先日、新しい常連さんのYさんが、白山市内のあるところで拾ってきたという石を店に持ってきました。そして、「これは何でしょうか?」という鑑定依頼がありました。その石は最初はドーソン石かな?と思いましたが、流紋岩の母岩に白い放射状結晶の鉱物が張り付いており、その産地情報などから、私はそれは葉蝋石(パイロフィライト)ではないか?というような話をしました。実は、私は石川県産の葉蝋石を初めて見ましたので、経験的な肉眼鑑定はできませんでした。本当はX線粉末回析をしなければ、はっきりとした事はいえないのかもしれませんが、その外形とWeb上の画像検索等で、そのように同定しました。違っているかもしれませんが・・・

その石の写真を撮らなかったので、その石の写真は出せません。

その代わり、と言っては変かもしれませんが、今、店内にある放射状結晶の石の写真を出します。

最初は白い放射状結晶の鉱物です。





上の写真は群馬県藤岡市下日野たたら沢産のドーソン石です。ドーソン石は大阪府の県の鉱物として認定されているそうですが、これは群馬県産のものです。





次に愛知県新城市吉川鉱山産のアルチニ石です。何となく似ていると思います。沸石類もそうですが、どれもが2次鉱物で炭酸と水酸化しているところが気になります。放射状結晶と何か関係がありそうな気がします。





もうひとつ、銅の2次鉱物であるアタカマ石です。美しい放射状結晶だと思います。

2次鉱物は鉱物の進化形と解釈する事は可能だと思いますし、それらが放射状結晶という形態をとる事、何か?自然界の秘密が隠れているような気がしております。

放射状結晶の鉱物は他にもたくさんありますが、今日はこれだけにしておきます。

これらの放射状結晶の鉱物を見ていると、やはり、素朴に、それらは「石の華」だと思ってしまいます。そして、店名を「石の華」にして良かったと思います。
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ストーンキャンドル

2018-07-13 13:11:31 | 日記・エッセイ・コラム
事の発端は店のレジカウンターの上の蛍光灯が切れた事でした。二つある蛍光灯の片方は随分前に切れていたのですが、レジカウンターの後ろにある棚に雑多なものがたくさん置いてあった為、蛍光灯の交換の際に必要な脚立が置けないので、交換を諦めていました。ところが、全ての蛍光灯が切れてしまうと、店のレジカウンターのコーナーが暗くなり過ぎるので、今回は重い腰を上げて、棚回りを片づけ、脚立のスペースを確保して、蛍光灯の交換をしました。

その際に、棚回りに置いたまま忘れていた物が、色々、出てきました。

今日のブログのタイトルもそれらの中から出て来た物のひとつです。



上の写真はVilleroy&Boch(ビレロイ&ボッホは、ドイツの陶磁器メーカー)のストーンキャンドルです。これはもうずいぶん前に石のコレクションの一環として買った石の転石のような雰囲気の蝋燭(ろうそく)です。蝋燭でありながら、石の結晶のような質感が出ており、気に入っておりました。蝋人形ではありませんが、蝋燭というマテリアルも石のようなものをリアルに表現できる面白い素材だと思います。

そのストーンキャンドルを見ていると、何となく、先日、能登の海岸で拾ってきた石に似ているように思えました。



上の写真がそれです。



両者を並べてみました。似ているように思えます。

私が能登の海岸で拾ってきた石は、それほど意味がある訳ではなく、何となくいい感じがした石だったからです。今回のストーンキャンドルとは全く関係がありませんし、その石を拾った時にはストーンキャンドルの事などすっかり忘れていました。

面白いと思います。そのストーンキャンドルは石を模して作られたものですが、そのストーンキャンドルに似た本物の石の存在が後から出て来たのです。

思えば、人は何かを何か違うもので似せて作るという習性を持っているような気がします。絵画や彫刻のような芸術表現はその典型です。リアリズムやスーパーリアリズムの絵画は写真以上に似せて表現しますし、昨今の羊毛フェルトの作家さんは犬や猫などのペットをまるで生きているようにそっくりに似せて作ります。何かに似せて作る事は究極の表現方法なのかもしれません。(人工知能やアンドロイドも同じ延長線上にあるような気がします。)

何かに似せて作る事、石に限って言えば、昨今の鉱物お菓子や鉱物ドリンク、サボンジェム(宝石石鹸)等も同じ延長線上にあると言えます。人造宝石に至ってはその魁(さきがけ)でした。

そういえば、私の鉱物趣味歴で言えば、人工的なオーラ系水晶などは初期の頃からありましたし、天然イリデッセンスの水晶は後から現れました。ストーンキャンドルに似たような石が後から現れたようなものです。

現代、それから未来とは、本物とそれに似たようなものが混在する世界なのだろうと思います。

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そろばん玉石2

2018-07-06 11:34:00 | 日記・エッセイ・コラム
前回、「そろばん玉石」を書いた後、店内にもうひとつ熊本県人吉市桑木津留産のそろばん玉石があった事に気づきました。





上の2枚の写真はそれです。

最初の写真はそれを上から撮ったものです。その産地の特徴が良く出ています。

2枚目はそれを横から撮ったものです。その側面部分に割れて欠けてしまった部分があり、標本的にはあまり面白くないように思えました。



ところが、その欠けてしまった部分をよく見てみると、玉髄の皮の中身の部分が見えております。その部分を見ていると、その部分の質感がどうしても皮の部分とは違った鉱物のように思えました。私は経験的にそれは方解石のように思えました。そして、それを確かめる為に、店に置いてある希塩酸を取り出して、スポイトで希塩酸を一滴、その部分にかけてみました。すると、案の定、発泡しました。どうも、その産地のそろばん玉石の中身の部分は方解石のようです。



次の写真はそのそろばん玉石の裏側です。そこにはクリストバライトらしき小さな球顆が見えます。典型的な球顆流紋岩に包み込まれたそろばん玉石です。

そろばん玉石にはケイ酸分だけではなく炭酸カルシウムのタイプもあったようです。

そろばん玉石、その成因等を考えると、不思議な存在だと思います。そして、それには様々なタイプがあり、その成因も多様なのかも知れません。

今日はもうひとつ面白いそろばん玉石を出します。







上の写真のそろばん玉石は石川県(加賀)産のものです。これの面白いところは複数のそろばん玉石が接合し、その集合体がキューブ状に、さらにその全体像が球状になっております。そのサイズはソフトボール大です。

そうそう、小松の尾小屋鉱山資料館には小松の松岡町産のサイコロ状に接合したそろばん玉石が展示されております。興味のある方は行って見てみて下さい。



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