ようこそ石の華へ

鉱物の部屋へのいざない

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金箔

2013-02-28 10:47:40 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「金箔」です。

前回は「金の結晶」でした。「金の結晶」は貴重な鉱物コレクションになりうるものですが、それはめったにお目にかかれません。それに比べて「金箔」はありふれています。特に金沢は「金箔」の総生産のうち99%を独占しています。それはこのエリアが伝統工芸が盛んで、仏教王国でもあり、金箔を大量に消費する漆器や仏壇の産地が近くにあったからでもあります。

金沢には金箔を使用した金の茶室や金の蔵もあります。金箔工芸館もあります。金箔入りの和菓子はもちろんの事、金箔入りの日本酒やコーヒー等もあります。金沢では金箔は日常的です。

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今井金箔 製 金箔ガラスコースター

これは今井金箔の金箔ガラスコースターです。金箔を強化ガラスで挟み込んであり、この特徴的なひび割れが非常に美しいと思います。この偶然性の美には金箔ならではの独特な文様美があると思います。

金箔は金の持つ特殊な性質を利用して作られています。金は展性に優れ、1gあれば数平方メートルまで延ばすことができるそうです。こんな金属は他にありません。

金箔は古代エジプトで製造が始まったとされております。ツタンカーメンをはじめ、金箔を使ったエジプト美術には魅了されます。金箔は日本の美術でも多様されてきました。金色は日本人好みの色なのかも知れません。そうそう、日本人だけではありません。世紀末のウィーンのグスタフ・クリムトの作品群に見られる金箔やインドやタイやミャンマーの寺院に見られる金箔、中南米のウルトラゴシックの教会に見られる金箔、等々、金箔は世界中で多様されています。人は基本的に金色好きなのかも知れません。

金箔は、人が、貴重な金を、金独自の性質を使って、その何倍もに有効利用した、人類の英知の賜物と言えると思います。


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金の結晶

2013-02-26 11:01:04 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「金の結晶」です。

自然金は等軸晶系の鉱物ですから、当然結晶しますが、金の結晶は非常に稀です。まず、大きな標本が少ない、あっても高価、さらにそれらのほとんどが塊状です。私も金の結晶現物を見た事がありません。ただ、写真では見た事があります。(今日のブログは写真無しです。)

因みにWebで探してみると、すぐに見つかりました。

「Hori Mineralogy News」の「2013 Tucson Show News No.4」にコロコロしている金の結晶が写っていました。もうすぐ皆さんが今年のツーソンショーで仕入れてきた鉱物標本達が出てくる時期です。私はツーソンショーには行った事がありません。行ってみたいという気持ちはありますが、今の店の事を考えると長期休暇は無理です。当分行けそうにない状況です。

「Hori Mineralogy News」の「2011 Denver Show News No.4」には驚くべき金の結晶の写真が載っておりました。それはサイズが3cmくらいの金の単結晶で、さらに美しい正八面体の形をしております。その結晶は高温で生成されたもので骸晶になっています。その標本はいくらだったのでしょうか?思わず、欲しい!と思ってしまいました。

その金の結晶とデビアス社の社宝と言われている616カラットの正八面体のダイヤモンドの結晶を並べてみたいと思ってしまいました。正八面体の金とダイヤモンドとの2ショット!何と素晴らしい出会いでしょうか。それこそ地球の宝となるべきものだと思います。思わず妄想してしまいました。

世の中には我々が知らないだけで、どこかには、まだまだ素晴らしい鉱物標本が眠っているのかも知れません。地球は奇跡の惑星だと思います。これからも信じられない鉱物標本が登場してくるような気がしております。

今日はそんな妄想を抱きつつ、短めに終わります。

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金鉱石

2013-02-25 11:41:53 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「金鉱石」です。

このブログ内検索でキーワード「金」を検索してみると非常にたくさんのタイトルが出てきました。これまでに何度か「金」について書いた記憶がありましたが、そんなに多く書いたつもりはありません。それは金沢に「金」の文字があるからかも知れません。この地は「金」に縁のある場所なのです。

今日は「金鉱石」です。

昨日、高校の後輩であるTさんがお店に大きな段ボール箱を持って来ました。その箱には菱刈鉱山の金鉱石が入っておりました。

Tさんとは同じ小松出身で、隣の中学だったものの私と同じく剣道部にいた事や、東京の映像関連の仕事をしていた事、金沢転勤で近所に住んでいる事、等々、お互いに複数の共通点がありました。今後は今秋オープンする科学交流館(仮称)のお仕事で小松に引っ越されるのですが、知人から預かっていた菱刈鉱山の金鉱石を寄贈する、という事で、それを持ってきてくれました。ありがたいお話です。

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Dscf3588

鹿児島県菱刈鉱山産 金鉱石(Gold Ore)

これがその金鉱石です。白っぽい岩石の大半は石英質です。金は肉眼的には見えません。下の写真に写っている黒ずんだ縞模様の薄い鉱脈にわずかな金が入っています。ただ、わずかと言っても菱刈鉱山の金鉱石は世界最高水準の高品位という特徴があります。ただし高品位といっても1トン当たり290グラム程度です。

金は地球上では極僅かしか存在しません。宇宙存在度も極僅かです。金はマグマの活動に伴う熱水により濃集されて金鉱脈となります。人類がこれまでにその金鉱脈から取り出した金の総量は15万トン程度で、それはオリンピックの50メートルプールに換算して3杯分程度にすぎません。それだけに金には特別の価値があるようです。

金は太陽程度の恒星内では造られません。太陽程度の恒星内の核融合では鉄(原子番号26)までの元素しか造られません。金(原子番号79)は超新星爆発に因って出来たと考えられています。我々の太陽系はその前の何度かの超新星爆発の結果出来てきたのです。金の存在はその事を物語っています。

菱刈鉱山は現役の日本最大の金鉱山です。黄金の国ジパングを代表する鉱山です。その金鉱石の標本を展示する事が出来て非常にうれしく思います。Tさん、そして寄贈して下さった住友金属鉱山関係の方、本当にありがとうございます。

住友金属鉱山と言えば、やはり是銀さんの事を想起してしまいます。是銀さんとは是川銀蔵さんの事です。是川銀蔵さんは最後の相場師と呼ばれた投資家で、住友金属鉱山株の仕手戦で200億円の巨利を得た事は有名です。1992年に95歳で亡くなりますが、約24億円の株の借金があったそうです。最期は株で財産を残せませんでしたが、是川奨学財団という慈善事業は残しました。

名前に銀の字があった是銀さん、日経の記事を見てすぐさま「金(きん)」に投資した姿は、目先の「金(かね)」を追い求めるデイトレーダーとは違った投資姿勢です。私は金融にはさほど興味がありませんが、昨今、為替レートの変動や金価格の高騰は日々のニュースで話題になっております。

どうも私の興味は「金(かね)」ではなく「金(きん)」の方にあるようです。

「金(きん)」の結晶を見たくなってしまいました。

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いっこしかないきせき

2013-02-24 10:46:26 | 日記・エッセイ・コラム

今日も自宅で書いております。風邪は治りつつあります。熱が出なかったので、どうもインフルエンザではなかったようです。今日は午後から店に出ようと思います。

昨日からの流れで今日は「いっこしかないきせき」です。

この言葉は「seed-石物語。」というブログで見て、気に入った言葉です。「一個しかない奇跡」ではなく、ひらがなだけの言葉が気に入りました。

「seed-石物語。」は天然石を使ったアクセサリー作家さんのブログです。いつもアクセサリー作品と詩のようなつぶやきが綴られております。つい先日、そのブログを見ていると、記憶に残っている石の写真を見つけました。その写真はセレスタイトをメインとしたアクセサリーです。

そのセレスタイトは特徴的な剣のような形をしており、その表面には付いていた結晶の剥がれた痕が特徴的に残っています。それは個性的なものです。

そのアクセサリーに使われているセレスタイトは「石の華」から巣立っていった石のようです。そのアクセサリー作家であるUさんは確か昨年の5月頃に店にいらっしゃいました。どうもそのセレスタイトはその時にUさんが購入されたもののようです。個性的な石は記憶に残っています。

「石の華」出身の石が素晴らしいアクセサリーに変身している姿を見る事はうれしいものです。親心というか、それに似たような気持ちが湧いてきます。

私はUさんのブログにあった「いっこしかないきせき」という言葉を勝手に使わせてもらっています。「いっこしかないきせき」とは「何一つとして、同じものはないー・・・・。」という意味です。

それは森羅万象の全てのものに当てはまる事なのですが、特に、人と石との関係性に於いて象徴的に当てはまります。その手作りアクセサリーは宝飾に近い「いっこしかないきせき」のような作品です。そのいっこは選ばれたひとりしか持てません。同じものはありません。それは奇跡的な運命的な出会いなのです。

思えば、我々一人一人がいる事は、その歴史を辿れば奇跡的な偶然性が度重なった結果として存在しております。また、その石がそこに存在しているという事も、大げさに言えば、地球誕生以来の、否、宇宙誕生以来の奇跡的な偶然性の結果とも言えます。その人とその石との出会いは「いっこしかないきせき」とも言える奇跡的な現象とも言えます。

「石の華」にいらっしゃるお客さんはそのような「いっこしかないきせき」を求めていらしゃっているのかも知れません。

今日は病みあがりに「いっこしかないきせき」の事を考えました。

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宝飾3

2013-02-23 10:56:54 | 日記・エッセイ・コラム

今日は風邪で私だけお休みです。今日のブログは自宅で書いております。

今日は「宝飾3」です。宝飾の話題が続きます。

先日、雑誌「金沢」の3月号にポルテ金沢の広告が載ることになり、以前の掲載事例を見ましたところ、今の「石の華」の場所にダイヤモンド・ジュエリーの店があった事を知りました。「石の華」のお店の場所は直前はアロマテラピーの店がありました。それ以前はインド雑貨のお店等があったらしいのですが、ダイヤモンド・ジュエリーのお店があった事は知りませんでした。元々、この場所は「宝飾」には関係があった場所だったのです。

前にも書いたと思いますが、私は宝飾にはあまり関心がありませんでした。宝飾は富裕層の人たちの華やかな世界の事で、自分には関係のない世界だと思っていました。もっと言うと、日本のバブル時代には「日経ジュエリー」という雑誌が出ていた事もあり、「日経リアルエステート」という雑誌とダブルイメージがあって、ジュエリーや宝飾は不動産と同じようなバブリーなものという印象を受けていました。私にとって「宝飾」は、どちらかと言うと、嫌いなネガティブなものだったと思います。

しかし、嫌いだったものが好きになる事もあります。その良い例が味覚です。私は小さい頃に嫌いだった茗荷が今は大好きです。価値観も味覚と同じ様なものなのかも知れません。

鉱物趣味に再度目覚めてからは、鉱物や石の世界への関心が高まるに連れ、宝飾の世界への興味も出てきます。宝飾の世界は鉱物趣味の延長線上にあります。もっと言うと、宝飾の世界はその頂点にあるのかも知れません。鉱物標本の最上級品は宝石級です。

もっとも、これまで宝飾が嫌いだったかと言うと、決してそうではありませんでした。

私はアール・デコが好きなのですが、アール・デコのガラス作家であったルネ・ラリックはアール・ヌーボーの時代には宝石の宝飾作家でした。ミュシャやルイス・C・ティファニーも宝飾作家です。私はどちらかと言うと植物的なアール・ヌーボーよりも鉱物的なアール・デコの方を好んでしまうのですが、それでいて、工業的なアール・デコよりも伝統工芸的なアール・ヌーボーを好んでしまうという傾向もあります。要はそのデザイン次第なのかも知れませんが、大量生産されるものよりもイッピンものが好きです。

宝飾は基本的にイッピンです。それは製品ではなく芸術作品だからです。

サルバドール・ダリの例を出すまでもなく、芸術家と宝飾の親和性は高いと言えます。

「宝飾」はそれを持つ人にとってはかけがえのない大切なものです。それは「いっこしかないきせき」に通じているようです。

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