今日は当初予定していた話題を急遽変更して書きます。
今朝、常連のOさんが休暇を取ったという事で来店し、非常に面白い石を店に持って来てくれました。
上の写真がそれです。
それは何と!先日のブログ「不明だった重晶石」(2024.05.20)と同じ産地の同じ鉱物だったのです。
私は思わず笑ってしまいました。そして、それらを並べて写真を取らせていただきました。
私は、日本の鉱物標本市場で、これまで同じものを見た事がありません。それらはかなりレアものだと言えます。
今回、偶然にも、こんな近いところで、出会ってしまう事は、奇跡に近いと思ってしまいました。
両者を比較すると、この重晶石の完全結晶は球体であろうと想像できました。
実際、Mindat org.には、そのような球体状の結晶の写真も出ていました。
今回の両者は、方解石上に張り付いた球状重晶石の一部が放射状に結晶した形で共生していたものなのです。
鉱物コレクションを続けていると、今回のような偶然の一致現象が稀に起こります。
それが、また、面白く、止めれなくなってしまうのだろうと思います。
ここに一つの木製立体パズルがあります。
上の写真はダイヤモンドスター(別名 悪魔の星とも呼ばれる。)という名前の立体パズルです。ばらすのは非常に簡単ですが、組み立てるのはそれなりに難しいパズルです。
実は、この立体パズルの完成形の形は、ひとつ前のブログのギズモンド沸石の24連双晶と同じ形なのです。
それは多面体的には菱形12面体の星形の形になります。
そして、非常に面白い事に、この形は空間充填立体でもあります。
空間充填立体とは、空間充填によって構成された立体の事で、空間充填とは、空間内を図形で隙間なく埋め尽くす操作の事です。
わかり易い空間充填立体は、立方体ですが、他にも菱形12面体や切頂八面体があります。
今回の菱形12面体の星形の形も空間充填するらしいのですが、それを直感的に理解するのは難しいと思います。
ここにもう一つ、複雑な木製立体パズルがあります。それを組み立てるのは相当難しそうで、中々ばらす気にはなれません。
上の写真がそれですが、それを見ていると、ダイヤモンドスターを縦・横・高さの3軸に七つ合体した形である事に気づきます。これを見ていると、ダイヤモンドスターが空間充填立体である事が理解できたような気がします。
例えば、鉱物の柘榴石の結晶は菱形12面体になる事があり、その群晶は隙間なく埋め尽くされている事が多く、何となく、空間充填と関係しているような気がしております。
鉱物結晶と空間充填立体との関係性、何か?面白さを感じてしまいます。
鉱物の結晶構造を理解する為には、直に現物を観察する事が大切です。それもある一方向からだけでなく、複数のアングルから立体視する事が必要です。そうすることによって、対象となる鉱物の結晶の構造や様々な様相を愛でる事が出来ます。
現物を見る事が出来ない場合は、結晶図を見るという手もありますが、そのような平面的な結晶図よりも、もっと理解しやすい方法があります。
それは、立体的な結晶模型を見る、という方法です。
昨日、名著「鉱物結晶図鑑」の著者である野呂輝雄さんからうれしい郵便物が届きました。
そのレターパックの中には、鉱物の結晶模型が二つ入っておりました。
一つはギズモンド沸石の24連双晶です。
上の写真がそれです。
透明な赤・青・黄色で構成されており、手の平の上で転がしながら観察すると、貫入双晶になっている事が良く分かります。
全体的な形状も対称性の高い星型多面体になっており、薄い透明感が、可愛らしい蛍石のようで気に入っております。
もう一つは、何と!若林鉱物標本で有名な三角式黄銅鉱の軍配型でした。
問題となっている軍配の棒部分は、ありませんでしたが、重要なのは三角形の結晶部分なので、私的にはこれで十分満足です。
野呂さんのお手紙には、それらは失敗作だと書いてありましたが、私にとっては失敗作どころか、非常に貴重な結晶模型となっております。
野呂さん、本当にありがとうございました。
ひとつ前のブログの最後の写真の脱帽水晶は、実は、大英博物館・自然史博物館の鉱物標本です。
私がその標本の存在を知ったのは、実は、10年以上前の事です。
それは、ネットサーフィン(既に死語?)していて偶然に出会った写真だったと記憶しております。
そして、今回、また偶然にも、同じサイトの同じページで、またもや私的な再発見をしてしまいました。
上の写真は、「石の華」店内のバックヤードのストック棚に長年仕舞い込んでいた不明鉱物だったのですが、今回、また同じサイトの同じページでその正体が判明してしまいました。
上の写真がそれです。(すみません、またもや無断借用です。)
両者は非常に良く似ております。恐らく、かなり高い確率で同じ産地の同じ鉱物だと思われます。
「石の華」的には花のような結晶鉱物だったので、これまで不明鉱物としても、大切な標本としてストック棚に仕舞い込んでいました。
それが、思わぬところで、その正体が判明してしまいました。
10年以上前には、その写真を見ていたはずですが、それを意識すること無く、見過ごしていたのです。
まさか!大英博物館と同じ標本が、「石の華」店内にあったとは、正直、驚きました。
不明鉱物という存在も、知らなかったというだけで、決して侮ってはいけないものだと再認識しました。
一昨日の水曜日は、定休日で天気も良かったので、久しぶりに金沢市内を散歩しました。
散歩コースは、いつもとほぼ同じで、金沢の街中を歩きながら、しいのき迎賓館(「ドオル・コレクション金沢」が開催されておりました。)と金沢21世紀美術館(「透明標本」展が開催されておりました。)を見ながら、約13,000歩の散歩でした。
この季節は、天気が良いと紫外線が強い時期なので、妻はしっかり帽子を被っておりましたが、私はそのままで歩き、少し日焼けしました。
で、今日の話題は帽子です。
鉱物の世界でも帽子のような標本があります。
上の写真がそれです。これはインド産の水晶ですが、帽子のような形状をしております。
この形状から、スタラクタイト(鍾乳石状玉髄)の先端の頭の部分と思われます。非常にユニークで帽子のように見えます。
もう一つ、上の写真は鍾乳石状のミョウバン結晶の先端部分です。人工的なものだとは思いますが、これも同じく帽子のように見えます。
帽子のような石はまだまだあります。
上の写真はある有名鉱物サイトにあった非常に興味深い写真です。無断借用します。
素晴らしい!!これは、究極の帽子鉱物だと思っております。
世の中には凄い標本があるものだと感心してしまいます。