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鉱物の部屋へのいざない

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鉱物化する生物

2015-04-24 11:33:29 | 日記・エッセイ・コラム
先日の妻が螺旋状に並べた黄鉄鉱はもう片付けてしまったのですが、その後、黄鉄鉱とアンモナイトの関係が気になっております。

黄鉄鉱化したアンモナイトの化石は人気が高く、中には非常に美しいものがあります。黄鉄鉱化したアンモナイトの化石は鉱物好きにも化石好きにも両方から好まれる要因を兼ね備えている事から石好きさんにとっては必需品のひとつと言っても良いかもしれません。

今日の写真はそのような黄鉄鉱化したアンモナイトの化石ではありません。そのようなものは人気が高い分、現物でもWeb上の写真でもいくらでも見る事ができると思います。このブログではそのような黄鉄鉱化したアンモナイトの化石ではなく、黄鉄鉱の結晶とアンモナイトの化石が共生しているものの写真です。





上の二つは複数の黄鉄鉱の立方体結晶の集合体とアンモナイトの化石が一緒になっているものと、黄鉄鉱の球状集合体がアンモナイトの化石と一緒になっているものです。黄鉄鉱は鉱物的に結晶し、アンモナイトの化石は泥岩化して、両方が一緒になっています。完全に黄鉄鉱化したアンモナイトの化石は魅力的だと思いますが、この二つのように完全に黄鉄鉱化するのではなく、黄鉄鉱の鉱物らしさと生物が化石化して両方が共存しているところが面白いと思います。それは一つで二度美味しいという事だろうと思います。

アンモナイトが黄鉄鉱化するには無酸素状態の堆積物という特殊な条件が必要です。海底に堆積した無酸素状態の泥の中で嫌気性細菌が硫酸塩を還元して硫化水素を作り出し、鉄と結びついて硫化鉄となります。さらに硫化水素と硫化鉄が反応して黄鉄鉱となり生物の組織と置き換わって結晶化するそうです。それが黄鉄鉱化するアンモナイトの化石の生成メカニズムだといわれています。それらは地球史的な環境変化を記録しているといえます。美しい黄鉄鉱化したアンモナイトの化石は観賞するだけではなく地球史を物語る標本的な価値も持っているのです。それだけ貴重なものだと思います。

では、完全に黄鉄鉱化したアンモナイトの化石ではなく、黄鉄鉱は鉱物の黄鉄鉱結晶として、アンモナイトの化石は泥岩として共存しているものはどのように解釈すれば宜しいのでしょうか?不思議です。完全に黄鉄鉱化したものとこれらはどのような違いから出来て来たのでしょうか?ただ、そのようなものが現に存在するのです。それが面白いのです。自然界は何でもありだと思います。

思えば、珪化木も不思議なものだと思います。珪化木はそれほど珍しいものではありませんが、木の化石がどのようなメカニズムでシリカ鉱物に変化していくのか?深く考えると本当に不思議です。どうも珪化木の中には天然ガラスである黒曜石化したものもあるそうです。そうそう、オパール化したものもあります。黄鉄鉱化だけではなくシリカ鉱物化する化石にも不思議なメカニズムが潜んでいます。自然界は神秘に満ちています。

面白いのは、それらが現に存在している事だと思います。現存するそれらからどのようなメッセージを読み取れば良いのでしょうか?そのメッセージはひとつだとは限りません。恐らく複数の解があるのだろうと思います。どのような解が潜んでいるのか?興味は尽きません。

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貫入結晶

2015-04-21 15:32:33 | 日記・エッセイ・コラム
昨日のブログを書いていて、今まだ店に残っているスペイン ナバフン鉱山産の黄鉄鉱の貫入結晶を並べたくなりました。今日の写真はそれです。



4年前に店を始めた頃はもっと多くの貫入結晶があったのですが、お陰様というべきか、現在の在庫はこれだけとなっています。以前は一辺が7、8cmの立方体結晶が二つ貫入結晶しているものもありましたが、やはりそのようなものは早く売れてしまいました。どうしても、大きなもの、色形が美しいもの、珍しいもの、お値段以上にお得感があるもの、等々が人気があるようです。ただ、サイズの大きなものに関してだけは特例で、購入するには収納の問題があり、居住環境が大きく影響しているようです。

さて、写真のように二つの黄鉄鉱の立方体が貫入結晶しているものを並べて見ると、その貫入の仕方には秩序がないように思えます。これらは単なる貫入結晶であって、貫入双晶とはいえないようです。双晶とは2個以上の鉱物の結晶が、一定の角度で規則正しく結合しているものの事で、結晶学的な規則性をもって接合している必要性があります。そういう意味で、これらの黄鉄鉱は貫入双晶ではなく、貫入結晶と呼ぶべきものだと思います。ただ、貫入結晶にはランダムながらも偶然性の美が宿っているような気がします。鉱物の規則正しい実直な魅力と共に、その偶然性ともいえるそれらの個性もまた魅力的に思えます。そこには「一つとして同じものはない」魅力があるのです。これらは決して工業製品ではないのです。天然ならではの魅力があるのです。

私は工業製品が嫌いな訳ではありません。工業製品、特にプロダクト・デザインも好きな方で、工業製品を購入する時の基準はその性能や機能よりもそのデザイン性で選ぶ傾向があります。その必要性よりもデザインに魅かれて購入してしまう事もあります。自宅には使っていない照明機器がたくさんありますが、そのような状態は私の偏愛の現れかもしれません。

工業製品とはいえないものの、ルービック・キューブのような玩具にも興味はあります。その立体幾何学的な部分と、その変化を楽しめるところが魅力的なのです。ルービック・キューブの魅力は決してそれを元に戻すというパズルを解く事ではありません。そのような事は難解なだけで、それほど意味がある事とは思えません。むしろ、その形や色の変化を楽しむ事が重要なのです。ルービック・キューブにも様々な変種があって、現在では多種多様のバリエーションがあるようです。そうそう、何が言いたいのかと言うと、貫入結晶のようなものがあり、それが面白いのです。それらのその写真を出します。



上から2個、3個、4個が貫入結晶のように繋がっているルービック・キューブの変種です。どうでしょうか?これらに黄鉄鉱の貫入結晶との相似性を感じてしまうのは私だけでしょうか?
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黄鉄鉱遊び2

2015-04-20 14:45:46 | 日記・エッセイ・コラム
今日は「黄鉄鉱遊び2」です。ひとつ前のブログの続きです。先日、「黄鉄鉱遊び」をしていて面白い発見をしました。

螺旋状に並べた黄鉄鉱の中の大きなもの二つは完全なキューブではなく、それぞれにはちぎれたような跡が付いておりました。その二つを見ていると何となく似ているような気がしました。ひとつは三角形に窪んだ跡があり、もうひとつには良く似た三角形の突起状のような跡が付いておりました。それらの跡は累帯構造というか、等高線のような雰囲気があります。その二つを見ていて、ハッとしました。もしかするとこの二つは元々は繋がっていたのかも知れない!



その二つの黄鉄鉱の三角形の部分を合わせてみました。すると案の定、二つはぴったりと合い、さらに繋がったまま立ちました。





その二つのキューブ状の黄鉄鉱は元々は繋がっていたのです。そのカタチは私好みのカタチで、私はこれまでにも多くの二つのキューブ状の繋がった黄鉄鉱を集めて来ました。今回の様々なサイズのキューブ状黄鉄鉱セットの中にもそのちぎれた二つが混じっていたようです。それらは別々にされる事無く、運良くというか、偶然にというか、サイズ違いのバリエーションの中の隣合わせとしてセットの中に組み込まれていたようです。面白いと思いました。

このセットはどのようにして選ばれてきたのでしょうか?恐らく、それらの何倍かの多くの単結晶の中から、それぞれがサイズ違いのセットとして組まれてきたように思います。そのような工程を想像するに、今回のように元々繋がっていたものが隣り合わせで並ぶ確率は相当低いように思えます。そのように考えると、この二つが並んでいる事は奇跡に近い現象のようにも思えて来ます。これは「石が石を呼ぶ」現象のひとつなのでしょうか?

二つのキューブ状の黄鉄鉱の繋がり方には規則性や法則性みたいなものは無いように思えます。実際、様々なパターンの組合せがあります。それらは偶然性に支配されているといえます。

このように二つの黄鉄鉱の繋がったものはこれまでに比較的たくさん探し出してきましたので、それほど珍しくは無いのですが、三つのキューブ状黄鉄鉱が繋がったものはまだ見た事がありません。さらにそれ以上の数のキューブ状黄鉄鉱の繋がったものは非常にレアなのだろうと思います。(「地球のしずくたち」というスミソニアン博物館の鉱物と宝石の本には六つのキューブ状黄鉄鉱が繋がって立っている写真が載っており、驚きました。)

キューブ状黄鉄鉱はそれひとつでも自然の不思議さを感じる事のできるカタチだと思いますが、それらが繋がっているものを見ると、不思議さを通り越して、芸術的な感動を呼び起こします。それらは現代アートの彫刻作品といっても良いくらいの、正しく自然の造った芸術作品といえるものだろうと思います。

今回はそのような自然が造った芸術作品がいったんは壊れてしまい、バラバラになったあと、また偶然にも、セットの一部として揃ったという偶然性の面白さがあったと思います。

このような現象に遭遇するとまたいっそう石好きが高じそうです。


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黄鉄鉱遊び

2015-04-17 12:55:22 | 日記・エッセイ・コラム
今日は「黄鉄鉱遊び」です。

昨日、ずっと前から仕舞い込んでいたスペインのナバフン鉱山産の黄鉄鉱セット(複数のサイズの異なる立方体結晶)を取り出してきました。長年ほったらかしにしていたせいか、表面が白ずんでいましたので、トイレの洗剤(サンポール)で洗浄すると、それらは見事に黄金の光沢が甦りました。そこで、以前から是非やってみたかった「黄鉄鉱遊び」をやってみました。

「黄鉄鉱遊び」は簡単です。300円ショップで買ってきたコルクのボードに黒い紙を貼り、その上に立方体状の黄鉄鉱セットを並べるだけです。ただ、その黄鉄鉱セットは全てサイズが少しづつ異なっており、単純に一直線上に並べると、サイズのグラデーションが楽しめます。それはそれで面白いのですが、やってみると何となく単調な気がしましたので、私はX字状にクロスするように並べ変えてみました。今日の最初の写真はそれです。



それも最初は面白いと思いましたが、やっているうちにすぐに飽きてしまいました。

すると、その「黄鉄鉱遊び」を見ていた妻が違うやり方で並べ替えました。その写真が2枚目です。



その螺旋状の並びはいい感じだと思いました。螺旋も好みのカタチのひとつです。そして、妻はアンモナイトの棚からひとつのアンモナイトの化石を取り出してきて最後にそれを加えました。それが、何と!非常にいい感じなのです。本当は黄鉄鉱化したそのサイズのアンモナイトの化石があればもっと良いのに!と思いましたが、今、店には切らしておりました。残念でした。

それでもその並び方が気に入りましたので、それらはその並びのまま、そのままにしております。

このような「黄鉄鉱遊び」はいつでも簡単にできます。それらの並び方を変えて、そのバリエーションを楽しむのも乙なものだと思いました。
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第4回石川県鉱物同好会総会

2015-04-13 14:46:31 | 日記・エッセイ・コラム
昨日、第4回石川県鉱物同好会総会が行われました。今回は新会員4名も含めて18名の参加となりました。

総会は会長のご挨拶、新会員の自己紹介から始まりました。議題は会計報告に続き、春と秋の採集会の場所と時期について協議しました。春の採集会に関しては福井県の産地へ地元の教育委員会への許可を取って行く事になります。続いて、北陸中日新聞で連載中の「鉱物のすすめ」について協議し、今後も継続して行こう、という話になりました。事務局からは書籍「甲信高地 水晶の世界」の紹介、神岡鉱山GSAの紹介があり、関西のSさんから「石ふしぎ大発見 第21回大阪ショー」の紹介がありました。

その後、恒例となっている標本配布会が行われました。今回は会長、副会長からの採集品に加え、他の会員からも他県産の標本や海外旅行のお土産標本があったり、さらに興味深いものとして、輪島の松稜中学の廃校にともなって放出された多くの鉱物鑑定用教材標本がありました。会長の指示の元、各自数点ずつ選んで入手しました。ただ、松稜中学の岩石組標本に関しては、まとめて尾小屋鉱山資料館に寄贈しようという事になりました。



配布会が終わったあとは、総会で1番楽しみなコレクション品評会です。会員持参のコレクションを見ながら石談義が花咲きました。会場となった部屋からは白髭神社の桜も見えましたが、皆さん花見よりもやはり石見の方が良いようで、用意したお茶菓子も無視して石談義に集中されておりました。

石川県鉱物同好会は「石の華」のお客さんたちから自然発生的に出来上がってできたものです。福島県の石川地方と区別する為に、あえて「石川県鉱物同好会」という名称にしました。会員数は現在、他県の会員も含めて四、五十人に膨れ上がってきましたが、四、五年も経つと中には幽霊会員も出てきました。そんな中、新しい会員も入ってきております。同好会も生き物だと思います。今後も生きている活動的な会にして行きたいと思っております。


コメント (2)
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