ようこそ石の華へ

鉱物の部屋へのいざない

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時間2

2015-06-30 14:08:58 | 日記・エッセイ・コラム
今日は「時間2」です。

昨日のブログで石の持つ時間の事を書いたのですが、主に天然石の時間と人造石の時間の長さの違いの事について想いました。天然石の持つ時間の長さは人工的に造った石の持つ長さに比べると桁違いに長いと言うような話です。その長さの違いは桁違いに大きいのです。我々の人間的尺度ではその違いはとてつもないものだと思います。

ただ、その桁違いの長さは途方もない長さではありません。桁違いと言っても一桁二桁の違いから大きくともせいぜい十桁位の違いだろうと思います。(人の時間は100年として二、三桁、宇宙の時間は138億年として十桁とすると)その違いは数学的に考えると大したことはありません。

昨日、録画していたNHK-BSプレミアム「コズミックフロント☆NEXT 宇宙の果てのミステリー」を見ました。その番組の中で特に興味深く思ったのが、ペンローズタイルで有名な数学者ロジャー・ペンローズの宇宙のはじまりと終わりは同じという「共形サイクリック宇宙」の話でした。宇宙の終わりも始まりも質量を持たない光子で満たされた宇宙であり、そのために私たちは始まりと終わりが永遠に続くサイクリックな宇宙に暮らしている事になるというものです。このペンローズらしい理論は仏教の輪廻転生のように、万物は永遠に繰り返されていくというものです。その単位はaeon (イーオン)、仏教などのインド哲学でいう劫(こう)に近いような長い時間の概念です。不可能図形で有名な画家であるエッシャー好きだったというペンローズ、2種類の菱形が非周期的平面充填するパターンが2次元的に無限に広がるように宇宙の時間も永劫回帰するという話は非常に興味深いものです。

ペンローズタイルを3次元空間に一般化したものは5回対称性を持つ準結晶だそうです。また、3次元菱形多面体は高次元の立方体の3次元空間への投影になっているそうなので、空間的な高次元は投影する事で繋がっていると考えられるそうです。

ところで、時間的な高次元という概念も考えられるのでしょうか?

一般的には時間とは過去から現在、現在から未来へ一つの方向性を持った実数的な1次元直線として捉えらていると思います。時間にも空間と同じような高次元が存在するのでしょうか?

ちょっと調べてみると、実数を横軸に、虚数を縦軸にとる数学的な複素数平面のように、虚時間という座標軸を導入して宇宙の特異点問題に挑んだ人がおりました。あの車いすのホーキング博士です。詳しくはわかりませんが、どうも「我々の宇宙(時空)には境界とか端はない。」という事になるそうです。

石の時間の事を考えているとトンデモナイ宇宙論の話に紛れ込んでしまいました。

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時間

2015-06-29 16:44:23 | 日記・エッセイ・コラム
今日は「時間」です。このブログは石のブログなので、「時間」というタイトルは初めてだと思います。(今のブログは以前のブログと違ってブログ内タイトル検索ができません。)

先日書いた「タイムラプス」以来、石を見ながら「時間」の事を考えるようになってきました。鍾乳石に限らず、どんな石にもその石特有の時間があると思います。例えば、化石の場合はその生物が生存した地球史の中での時間と化石化した時間との二重の時間を持っていると思います。鉱物の場合はその鉱物を産する地層の地質年代と結晶化する時間との二重化した時間を持っています。さらに火成岩・堆積岩・変成岩としてそれらが生成・変成する時間、換言すれば、大いなる自然の中での物質循環の一部として、それぞれの石にはその石特有の時間を持っていると思います。

森羅万象どんなものでも同じだと思いますが、石にはその石特有の「時間」があると思います。

先日、ある人工鉱物の研究者と話しをしていて、面白いと思った事がありました。それは「自然は偉大だ!」というような話なのです。我々人間は実験室などで人工鉱物を造る事は可能ですが、化学的な成分や温度や圧力を自然と同じように再現・調整する事は可能だとしても、その生成にかかる時間は再現・調整できないというような話です。人工的なものは人の時間的な長さに縛られます。人の時間的な長さとは実験室的な長さからMAXせいぜい100年位という人の寿命の長さです。そのような短い時間に比べると自然の時間の長さは桁違いに長いのです。それも桁違いの組合せも持ち合わせています。「自然には敵いません!」というような話です。

私は合成宝石などの人造石にもそれぞれの魅力があって好きな方なのですが、やはり、天然石には自然ならではの特別な魅力があると思います。天然石の魅力はそれが唯一無二の天然のものだという魅力と共に、人造石とは比較にならない桁違いの時間があると思います。それらの生成時間は比べものにならない位に長く、その有難味も天然石とは比べものになりません。

あらゆる石にはその石ならではの固有の時間がある、という事を考えてしまいました。



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プリニウス

2015-06-26 15:10:44 | 日記・エッセイ・コラム
今日は「プリニウス」です。「プリニウス」とは古代ローマの博物学者で、一般に大プリニウスと呼ばれている人物の事です。その人物はどうもコミックにもなっているようですが、私の関心はその人物像よりも「プリニウスの博物誌」に書かれている石の方にあります。

先日、近くの図書館に、ある古い鉱物関連の本を探しに行きました。残念ながら、その本は県内には無い事がわかってガッカリしてしまったのですが、そのかわり図書館に行ったうれしい副作用として、本棚で見かけた「プリニウスの博物誌」という本が復刊されていた事を知りました。

「プリニウスの博物誌」の事は澁澤龍彦さんの「私のプリニウス」(1996年 河出文庫)で知っておりました。私はその文庫本を先日店主が亡くなった京都のアスタルテ書房という古書店で購入しました。それは10年くらい前の事です。当時、私はその原典となる「プリニウスの博物誌」の鉱物や石に関する部分を購入したいと思い探し、そして断念した記憶があります。それは全巻購入すると高かったからだと思います。私は全巻を通読しようとは思っていませんでした。

今回の復刊は縮刷版として分割されており、鉱物や石に関する部分はⅥ(第34巻~第37巻)で一冊にまとまられ、さらに索引にも鉱物という項目があり、私の読みたい部分と一致しておりました。

ただ、チョッとだけ気になる事がありました。それは澁澤龍彦さんの「私のプリニウス」という本の中では「博物誌」全37巻の構成が一覧表として示されており、それには第33巻が「鉱物」となっておりました。それは困ります。もしそうであれば、今回の縮刷版のⅤ(第26巻~第33巻)も買わなければならないのです。

それで今回の縮刷版で第33巻の内容確認をしました。すると澁澤龍彦さんが「鉱物」としていた部分は金とか銀という貴金属に関する内容で、それらも「鉱物」の一部には変わりないのですが、私的には興味が薄い分野を論じている内容となっておりました。

そういう意味で「私のプリニウスの博物誌」的には今回の縮刷版Ⅵだけで十分、という事になりました。

この今回のⅥ巻は石好きさんにはオススメです。約2000年前に書かれた鉱物や宝石に関する記述ですが、当時の知見がどのようだったかを知る事ができる貴重な文献だと思います。(特に「水晶の生成」の項目は非常に面白いと思います。)

この「プリニウス」、最期はヴェスビオ山の噴火でした。このⅥ巻にはその最期の様子について小プリニウス(大プリニウスの甥)が書いた手紙も載っております。澁澤龍彦さんは「私のプリニウス」のあとがきの中で「そんな死にかたをしたいと夢想したことがある」と書いております。澁澤龍彦さんはその翌年、病床で読書中に頚動脈瘤の破裂により逝去しました。享年59でした。



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タイムラプス

2015-06-23 12:49:55 | 日記・エッセイ・コラム
昨日のブログの最後の話題のCANDELS(キャンデルズ)は宇宙スケールと光速を使った宇宙そのものの過去に遡る極端な定点観測撮影映像だったのですが、このような定点観測撮影動画は古くは映像作家・萩原朔美のリンゴの腐敗していく様を撮った映像(1971年『TIME 時間の痕跡』)などや映画「コヤニスカッツィ」(1982年 アメリカ ゴッドフリー・レジオ監督)などが有名で、他にも多くの名作がつくられ、近年では「タイムラプス」として定着し、様々な面白い動画がつくられています。

「タイムラプス」の魅力は通常の時間の流れとは別次元の違った時間の流れが感じられるところにあり、タイムマシン的な疑似映像体験ができるところにあると思います。その時間の流れの速度も可変で、そこに空間移動も加わると、非常に心地良い映像体験ができる事もあります。最近はやりの空撮映像だけに限らず、星空や自然をそのように撮影した美しい環境映像なども高画質の画面で見る事は気持ちの良い事だと思います。

この「タイムラプス」で撮影した映像でどうしても見てみたいものがあります。それは鍾乳石の成長していくタイムラプス動画です。

鍾乳石はよく「1cm成長するのに約100年かかる」と言われる事があるのですが、実際にはその環境しだいで成長速度は大きく変化するであろう、と思われます。巨大な鍾乳石を見ると、それが成長するのにどのくらいの時間がかかったのか?と想像してしまうのですが、実際のところはわからず、ただそれを見るだけで悠久の時間の長さに驚くだけになっています。

いつか、そのような鍾乳石の「タイムラプス」映像を見てみたいものです。その成長過程の全貌を見ながら時間感覚を実感してみたいものです。

そういえば、鍾乳石に限らず、どんな石でも、それがどのくらいの時間をかけて出来て来たものなのか、正確に知る事は中々難しいものです。先日のポップコーンロックのように比較的短期間に人工的につくったものならその時間スケールは大体わかるものですが、例えば、天然の水晶の場合、大小様々なサイズのものがあり、それらがどの位の時間をかけてできたのか?を正確に知る事は難しい事です。特に、巨大な水晶の成長速度はどの位でどの位の時間がかかったのかは興味深いもののそれを知る事は中々難しいものです。

現在、「石の華」の店頭に置いてあるひとつの面白い紫水晶があります。今日の写真はこれです。









これはブラジルのAmetista do Sul産のアメシストなのですが、非常に奇妙な形をしております。それはまるでテーブルサンゴのようにも見えてしまいます。どうしてこのような形状になるのでしょうか?思うに巨大なアメシストドームの中で鍾乳洞内の石筍のように成長したのだろうと想像できます。上部のフラワーアメシストの部分は恐らくケイ酸分の多い水滴が長年かかり続けて出来て来たのだろうと想像できます。では、どの位の時間がかかったのだろうか?と考えるとそれは全くわかりません。それこそ、このように成長してきた過程を「タイムラプス」で見てみたいものだと思います。

このアメシストは当面非売品にして置きたいと思っておりますが、いつでも店に置いておきますので、いつでも見れます。こいつは正真正銘の「石の華」なので当面は「石の華」の看板としたいと思っております。

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夏至

2015-06-22 12:27:29 | 日記・エッセイ・コラム
今日は「夏至」です。

毎年、「夏至」の日になると思い出す事があります。それは大したことではなく、私個人の過去の記憶のひとつなのですが、それが何かと言うと、それは「夏至祭」という長野まゆみの小説の事です。その小説そのものの記憶はそれほど印象に残っていないのですが、その小説を読んだ時期が私の鉱物趣味にかぶれる初期の時期に当たります。その「夏至祭」を読むきっかけをつくったのは同じ長野まゆみの「鉱石倶楽部」という小説でしたから、その「夏至祭」という小説を読んだ時期は私にとっての鉱物趣味歴初期の熱い時期だったと思います。

私は、その「夏至祭」の文庫本を持って東京の白山にあるミネラルショップに出かけました。当時、私は泉岳寺に住んでおり、地下鉄に乗っての移動中にその「夏至祭」を読みました。確か、その日は掘り出し物をゲットしたという記憶があり、その喜びの感情と「夏至祭」を読んでいたという記憶が混じりあって、今でも思い出す良い思い出となっているようです。

私の鉱物趣味にはまる前の趣味は映画でした。以前の私は毎年「夏至」の日には映画「白夜」(ルキノ・ヴィスコンティ監督のものとロベール・ブレッソン監督のもの)を思い出していたと思います。「夏至」や「白夜」に関係する映画作品は多いので、それらをどこで見たかという記憶は曖昧模糊となっております。

さて、「夏至」の日の特別なスローライフ・ムーブメントとして「キャンドルナイト」があるようです。「キャンドルナイト」とは照明を消し、キャンドル(ろうそく)を灯して過ごそうという運動の事で、今朝のNHKの朝のニュースでも紹介されておりました。そのような運動は日本だけではなく、どうも世界的に展開されているようです。そのようなムーブメントは照明好きの私にとっても気になる事なのですが、今の私の関心事はCandle-NightよりもCANDELS(キャンデルズ)の方にあります。

CANDELS(キャンデルズ)とは先日見たNHK-BSプレミアム「コズミックフロント☆ NEXT 宇宙絶景に秘められたミステリー ハッブル宇宙望遠鏡25周年」という番組で知った宇宙観測プロジェクトの事です。そのハッブル宇宙望遠鏡を使ったプロジェクトは宇宙の誕生初期からの銀河の成長進化を定点観測撮影する事によって動画の映像で見せてくれました。その映像には感動しました。定点観測撮影による動画映像には日常的な時間感覚を超えた動画ならではの魅力があり、面白い作品が多いのですが、その宇宙版があったとは驚きました。それも宇宙的なサイズによってのみ可能となる過去の映像の定点観測動画です。それは「CANDELS: A Cosmic Odyssey」と呼ばれる「宇宙映画」の名作とも呼ばれる映像だと思いました。

その「CANDELS: A Cosmic Odyssey」はWeb公開されております。オススメです。


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