ようこそ石の華へ

鉱物の部屋へのいざない

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石が人を選ぶ

2012-09-30 12:37:47 | 日記・エッセイ・コラム

昨日、妻が急に妙な事を言い出しました。

「今日はOさんがいらっしゃるような気がする。」

確かに、Oさんは最近よく来店されておりますが、ここ数日姿を見せていませんでした。

そして、それからしばらくして妻がちょっと席を外している間にOさんがいらっしゃいました。

それも店に来るなり、瞬間的にカイヤナイトのブレスレットを購入されました。そのカイヤナイトのブレスレットはつい最近妻が作ったばかりのものでした。

Oさんはそのカイヤナイトのブレスレットを気に入ったらしく非常に喜んでいました。

私は「石が人を選ぶ」「石が人を呼ぶ」という言葉を思い出しました。その言葉はスピリチュアルなパワーストーンの世界の言葉です。

もちろん、石には意志がありません。「石が人を選ぶ」事は現実的にはありえない事です。

ただ、石の店をやっていて、そのような現象、正確に言えば、そのように思える現象によく遭遇します。

店にいらっしゃるお客さんは「石を選び」ます。人が気に入った石を選んでいるのです。石との出会いは偶然性に支配されています。ある特定の石を探し出そうとしてもイメージされている石を探し出すのは非常に困難な事が多いのです。たまには、探していた石に出会う幸運なお客さんもいらっしゃる事があります。そのようなお客さんはとても喜ばれます。こちらも非常にうれしくなります。

幸運にも思い通りの石に出会った時は、それが偶然の出来事だったとしても、それが必然の出会いのように感じる事があります。そんな時、「石が人を選ぶ」という言葉を思い出してしまいます。

石と人との出会いは偶然です。その貴重な偶然は時に必然だったのではないか?と思う事もあります。そんな時、もしかすると石が持ち主を選んだのではないか?と錯覚してしまうのかも知れません。ただ、持ち主の人の寿命は石に比べるとあまりにも短いのです。石は持ち主を変え人の時間よりもっともっと長い時間、存続し続けます。

そんな事を考えていると、出会った石達との偶然をもっと大切にしていきたいと思います。

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菱マンガン鉱、インカローズ

2012-09-29 13:38:18 | 日記・エッセイ・コラム

雑誌「ミネラ No.19」を見ました。復刊、おめでとうございます。これまでと同じように鉱物写真が沢山載っており、値段も変わらず、良かったです。

「ミネラ」の「特別企画 わくわくミネラルランド 初めての鉱物採取 小学3年生が秩父鉱山を探索」を興味深く読みました。小学3年生、「石の華」にも小学3年生のお客さんが何人かいます。今では、石や鉱物に最初に興味を持つのはその頃なのだろうと思います。私の場合は小学4、5年生頃だったと思います。私の場合は中学・高校・大学・社会人初期には中休みがありました。鉱物以外にも興味深い事があったからです。今の小学3年生たちはどうなっていくのでしょうか?中には鉱物学者への道を進む人もいるでしょう。もしくはアマチュアのままハイエンドなコレクターになっていく人もいるでしょう。何れにせよ彼らの未来が楽しみです。

Dscf1982
埼玉県秩父鉱山大黒抗 産 菱マンガン鉱(Rhodochrosite)

この写真は店に置いてある標本です。「ミネラ」の記事に良く似た写真が載っておりました。表面が酸化した真っ黒な石を割って鮮やかなピンク色が現れると感動したと思います。初めての鉱物採取で採れた標本は一生の宝物になるでしょう。

Dscf1986

北海道古平郡古平町稲倉石稲倉石鉱山 産 菱マンガン鉱(Rhodochrosite)

稲倉石鉱山の「さくらマンガン」は実にいい色をしています。宝飾品クラスの色をしていると思います。実際、菱マンガン鉱はインカローズという名で宝飾品になっており、人気のある石でもあります。

Dscf2001

インカローズ ルース

この写真はインカローズのルースです。鮮やかでみずみずしいピンク色は好まれます。インカローズだけで作ったブレスレット等も人気の商品です。インカローズのピンク色には人を引き付ける何かを持っていると思います。特に縞模様の入った石には無条件に反応してしまいます。

そういえば、インカローズの名にふさわしい、バラの花模様のような縞模様の入った石がありました。その石は確か仙台からの旅行者の女性が買っていきました。その写真が無いのが残念ですが、それは記憶に残っている石のひとつです。

古いSDカードを整理していて良質の菱マンガン鉱の写真を見つけました。

Dscf0248

Dscf0241

上の写真は名古屋の太田三郎さんのコレクションです。数年前に太田三郎さんの御自宅で写真を撮らせてもらいました。写真が左右にズレているのは3Dカメラで立体写真を撮ったものの片割れだからです。

太田三郎さんは鉱物標本に銘を付けられて水石的な楽しみ方をされていらっしゃいました。その絶妙な銘の付け方もさることながら、ひとつひとつのすばらしい標本の数々に感動した記憶があります。

太田三郎さんのコレクションは「ミネラ」でも紹介された事があります。太田三郎さんは高齢ですが、先日の名古屋ミネラルショーの時にお会いした時は、まだまだお元気でした。太田三郎さん、いつまでもお元気で、さらなるコレクションを続けて下さい。

鉱物趣味は老若男女が石で繋がる特殊な趣味だと思います。



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虹の石

2012-09-28 12:26:21 | 日記・エッセイ・コラム

先日から曜変や玉虫色のテーマについて書いており、その流れで今日は「虹の石」です。

「虹の石」という鉱物名はありませんが、「虹の石」というラベルの石は存在します。堀秀道さんの「楽しい鉱物図鑑②」でも鱗鉄鉱のページで出て来ます。

Dscf1960
Rio Tinto mine Huelva Spain産 針鉄鉱(虹の石) Goethite (Rainbow Stone)

この写真は虹色に見える「虹の石」です。鉱物的には針鉄鉱なのですが、表面は鱗鉄鉱ともいわれております。いずれも鉄の酸化物(天然の鉄サビ)です。虹色に見えるのは表面に薄い酸化膜が形成されて光の薄膜干渉に因る構造色だからです。

Dscf1970

アメリカ ネバダ州 ゴールドフィールド 産 水赤鉄鉱(Turgite)

この標本も鉄の酸化被膜に因る「虹の石」です。ラベル原本にあったTurgiteはどうも鉱物名ではないようです。鉄の酸化物では他にもLimonite(褐鉄鉱)がありますが、どうも鉱物名ではなく通称のようです。鉄の酸化物の名前はややこしく、日本名では他には武石や升石、高師小僧等、鉄を含んだ鉱物の風化生成物は多種あり、それぞれの名前で呼ばれています。

Dscf1979

中国産 七彩石

これは中国産の七彩石です。恐らく水晶の群晶が鉄の酸化物でコーティングされたものだろうと思います。これもやはり「虹の石」です。

石の中国名も独自のローカルルールで名乗られる事がある為、正式な鉱物名ではない事があります。中には天然石に見せかけた人工物が混じっている事もあるようです。

鉄の酸化物の種類は多く、「虹の石」は鉄の酸化物に因るものが多いようです。そのような中から、見た目にも「虹の石」と呼ぶべき石が存在しているのです。

「鉄は七変化」という言葉を聞いた事があります。鉄は七色に発色する「虹の石」をも生み出しているのです。

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加佐の岬

2012-09-27 11:42:34 | 日記・エッセイ・コラム

昨日は定休日でした。天気も良く、小松の実家に立ち寄り、墓参りに行き、その足で久しぶりに片山津方面にドライブして来ました。

最初に行ったのは「加賀片山津温泉 街湯」です。今年の春にオープンしたモダンな建物の総湯(共同浴場)です。潟の湯と森の湯があり、男・女日替わりで入れ替わります。昨日の男湯は潟の湯でした。大きなガラス窓の外の風景は柴山潟で、湯船の端と同化して、柴山潟に浸かっている雰囲気になりました。

温泉を上がった後は、2階の「まちカフェ」でパフェを食べました。

以前の片山津温泉の総湯もそれなりに風情はありましたが、温泉の温度が高かった記憶があります。昨日はほど良い温度でした。

温泉の後は久しぶりに加佐の岬に行きました。加佐の岬は日本海を展望する景勝地です。そして石のブログ的には地質を楽しめる場所です。

Photo

加佐の岬 貝化石

この写真は加佐の岬で見た貝化石の痕跡です。加佐の岬の地層は凝灰質砂岩層から成っており、浅海性の堆積物で出来ています。この化石跡は窪んでおり、化石そのものは風で飛ばされてしまったのでしょう。現地では猛烈な海風が吹いており、この化石跡もそれほど長くは持たないと思われます。この場所の風化の速度はとても速いと思われます。

思わず、仏教の「劫」という言葉の事を考えてしまいました。「劫」とは「永劫回帰」と同じ文字の「劫」です。思ったのはニーチェ的な意味よりも、インド哲学的な極めて長い宇宙論的な時間の単位の事です。一辺40里(20km)の巨岩を3年(or100年)に一度、天女が舞い降りて羽衣で撫で、巨岩が擦り切れて無くなってしまうまでの時間の事です。1劫は43億2000万年とも言われます。何となく地球の歴史の時間を思います。

加佐の岬の海風はとても強く、その風化速度は天女の羽衣の撫でるような速度とは次元が違います。地質学的な時間は長いというイメージがありますが、加佐の岬の海風による風化速度は恐らく人間的な時間単位で変化していると思います。恐らく数十年単位で刻々と風景が変っていくでしょう。

Photo_2

加佐の岬 お夏の岩洞

この写真は海食洞です。海食崖の高さは20~30m、海食洞の奥行きは50m位あります。海の波と風に因る浸食・風化に因る絶景です。下に降りてみたいという願望が起こりますが、それは出来ません。

加佐の岬の近くには長者屋敷跡もありますが、そこはまた後日にして、昨日は近くの加佐ノ倶楽部でお茶して帰りました。

北陸には近場に魅力的な地学的な場所がまだまだあると思いました。

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鉱物採集ウォーキング

2012-09-25 11:45:15 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「鉱物採集ウォーキング」です。

昨日、「チームリアルこまつ」(ふるさと地域資源活用プロジェクト)の責任者である舟津さんが来店されました。以前に企画中と伺っていた「鉱物採集ウォーキング」のチラシが出来上がった、という事でそのチラシを頂きました。

Cci20120924_00000

「チームリアルこまつ」は小松市の活性化を目指して様々なイベントを企画開催されているプロジェクトです。「鉱物採集ウォーキング」は、舟津さんから鉱物採集をテーマにイベントを企画したいという相談を受け、石川県鉱物同好会でも協力する、という事で、河合副会長が特別講師として参加されます。石川県鉱物同好会の採集会とは別の趣旨の採集会です。河合副会長は小松エリアの鉱物産地にも詳しく、産地の案内や鉱物の事や採集マナーについてもお話されると思います。

実は「チームリアルこまつ」主催の鉱物採集会は2年前に一度開催しており、私も参加しました。その時の特別講師は当時の尾小屋鉱山資料館の館長で、現石川県鉱物同好会の山本会長でした。私は豊橋のTさんと二人で参加しました。石川県鉱物同好会のメンバーではSさんが参加されていました。その時の様子は「チームリアルこまつ」のオフィシャルブログに載っております。

http://ameblo.jp/npo-trk/entry-10723507823.html

その時の採集場所は小松市の五国寺(ごこうじ)です。上のブログの中の写真で、軍手の上に乗っている水晶のかたまりは私が道端で拾ったものです。窪んだフラワー状結晶の集合体でした。五国寺のズリは植物の根が張っていて採集し辛かったのですが、道端ではそのような水晶が拾えました。

今回の「鉱物採集ウォーキング」には私は参加できませんが、実り多い採集会になる事をお祈りします。河合副会長、宜しくお願い申し上げます。

尚、石川県鉱物同好会の第2回採集会は、後日、関係各位にご連絡します。

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