ようこそ石の華へ

鉱物の部屋へのいざない

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魚眼石(アポフィライト)

2019-08-30 11:48:51 | 日記・エッセイ・コラム
今日は「魚眼石(アポフィライト)」です。このブログでは初期の頃によく登場していた鉱物ですが、最近は、ほとんど登場していなかったと思います。さらに、ブログ内検索で調べてみると、タイトルにするのも初めてのようです。今更ながらの魚眼石ですが、私もビギナーの頃から、好きな鉱物のひとつでした。それは、水晶以上の透明感がある事と、その美しさに対して比較的安価なものが多く、コレクションし易い鉱物だったからだと思います。

ただ、ひとつだけ気に入らない事がありまして、魚眼石という和名には何となく抵抗感がありました。それは Fish-eye stoneという別名を明治時代の学者が直訳しただけの事であって、私には魚の眼のようには見えません。もっとも、 英名のApophyllite アポフィライトは「葉片状に剥がれる石」という意味で、劈開の事を表している相応しい命名だと思います。



さて、今日の最初の写真は、インド産の魚眼石(アポフィライト)の群晶です。その大きさも、そこそこのサイズ感があり、多くの透明感のある結晶の集合体です。元ラベルにはレインボーアポフィライトとなっており、劈開面や結晶の接合面に、無数の虹(レインボー)が見える美しい標本だと思います。







次もインド産の魚眼石(アポフィライト)と束沸石の共生標本です。



全貌がコロッとした球状になっており、その透明感と共生バランスが好ましい愛らしい標本だと思います。







このような魚眼石(アポフィライト)を見ていると、年季が入ったベテラン・コレクターでもコロッと来ると思われます。魚眼石(アポフィライト)は決してビギナー向けの鉱物ではありません。鉱物好きなら、それは万人受けしそうな鉱物なのだろうと思います。
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「SPLENDOR」

2019-08-22 11:28:44 | 日記・エッセイ・コラム
今日は「SPLENDOR」です。

splendorとは英語で、輝きとか光彩とか煌めき、という意味ですが、「SPLENDOR」は高山穰さんのCG映像作品のタイトル名で、その作品は2018アジアデジタルアート大賞展FUKUOKA アジアデジタルアート大賞・福岡県知事賞・文部科学大臣賞を受賞しておりました。

https://www.youtube.com/watch?v=f45fjaPswfw

高山穰さんは、現在、武蔵野美術大学, 造形学部, 准教授ですが、私は、彼の学生時代からのCG作品に一目を置いておりました。特に「Microcosm」(2004年)を見た時は衝撃的だったと思います。(このブログの「NHK大河ドラマ オープニングタイトル映像の衝撃」2013.03.11参照)数理的アルゴリズムでミクロの結晶現象を再現したかのような映像には驚きがあったと思います。そして、今回は伝統工芸の切子や組子を再現しておりました。高山穰さんのCG映像作品は今なお進化して健在でした。

そこには宝石的な煌めきを思わせるJack Stormsさんのガラス彫刻にも似た感動があると思います。

否、鉱物結晶やガラス作品はリアルな物質ですが、CG作品にはコンピュータ・プログラムとデータしかないのです。それらが、芸術的な感動を呼び起こすとは!!

最近は、CG映像には、それほど感動しなくなっていた私ですが、久しぶりにCG映像作品に感動してしまいました。それも、Web上で、簡単にそれらの作品に出会えるようになったからだと思います。

今日は、高校野球の決勝戦があります。石川県勢初優勝となるか?後ほど、Web観戦で星稜高校を応援したいと思っております。
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福楽

2019-08-16 12:39:31 | 日記・エッセイ・コラム
昨日は台風10号接近によるフェーン現象の影響で気温上昇した為、(志賀では石川県史上初の40度超えになりました。)客足が少なく、閉店時間を2時間早め、17時に店のシャッターを閉めました。店の早退は昨年2月の大雪の時以来です。大雪も記録的な猛暑も歓迎すべき現象ではありませんが、早退は少しうれしい現象かも・・・いずれにせよ、台風のような熱の攪拌は自然の摂理であって、宇宙のブラックホールジェットが恒星の核融合で生成された元素の攪拌に影響し、生命現象にも関係しているという説にも似ていて、何らかの生態系に関係しているような気がしております。台風もブラックホールも渦巻きですね。

さて、今日の話題は渦巻ではありません。

昨日はお盆休みと台風の影響もあって、暇でした。私の暇つぶしは主にネットと読書です。昨日は、先日の京都大学総合博物館の講演会の直前に福井の「これき」さんから頂いた「福楽」(2019夏vol.79)を読みました。その号には「市川新松エピソード集」が8ページ載っており、非常に興味深く読みました。京都大学の比企忠は同じ福井の出身者で恩師だったのですね。

昨日は、暇だったという事もあって、「福楽」の他のページもじっくり読みました。あわら市絡みの誌面が60ページもあり、鉱物趣味的に気になった情報は、ぶどう石で有名な宮谷の紹介があったことです。どうも、宮谷の石切り場跡の整備が行われており、新しい観光地として見学が可能となっているようです。行ってみたいと思ってしまいました。

それから、チョッと気になった事は、この「福楽」は次の「2019秋vol.80」を持って、休刊するそうです。日本タウン誌・フリーペーパー大賞受賞した雑誌で、鉱物カレンダーも出していた雑誌が無くなってしまうのは非常にさみしい事です。一旦充電期間を取るらしいのですが、今後、また新たな出版物が登場する日を待ちたいと思っております。

今日の写真はその「福楽」の表紙です。



以下、「市川新松エピソード集」です。









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比企鉱物標本

2019-08-11 05:08:54 | 日記・エッセイ・コラム
昨日、京都大学総合博物館で開催中の企画展「地の宝Ⅱ 比企鉱物標本」に行って参りました。その目的は、比企鉱物標本に興味があった事はもちろんのこと、とりわけ、そのイベントチラシに載っていた石川県遊泉寺鉱山産の黄銅鉱の結晶標本を直に見たいという強い願望があったからです。遊泉寺(小松製作所の発祥地)には、まだ資料館がありませんし、小松市立博物館にも存在していません。遊泉寺銅山の黄銅鉱結晶は小松市出身の私にとっては特別な存在なのです。

その黄銅鉱は展示会場に入っていきなり目に入ってきました。



上の写真がそれです。それは、チラシの写真で見ていたより、想像していた以上のサイズで存在感がありました。それを拝んだ瞬間、来て良かったという満足感があったと思います。黄銅鉱の結晶は稀ですし、それは、美しく、しかもビッグサイズでした。あるところにはあるものです。それが、残っていたこと自体に嬉しく感じてしまいました。これは、まさしく、京都大学総合博物館の至宝だと思いますし、小松、否、日本の宝だと心底思います。

昨日は、「比企忠という研究者」(白勢洋平 助教)という講演会もあり、私は、その1時間前に展示会場を見学しながら、写真を撮りまくりました。(写真撮影OKでした。)すばらしい鉱物標本を見て、充実した気分で、講演会を聴講しました。(福井のこれきの笠松館長と奥田さんと一緒に聴講しました。)

その講演会も充実した内容でした。比企忠という人物を良く知る事が出来たと思います。

講演後、下林典正教授と白勢洋平助教の展示解説ツアーがありました。(「石の華」の常連さんである石川県の小学校2年生の少年や福井県のTさんとそのお友達も一緒でした。)その解説ツアーの最中に、これきの笠松館長にお二人を紹介してもらい、展示されていた産地不明となっていた紫水晶が石川県小松市の那谷もしくは菩提のものではないか、という話をしました。





上の写真がそれです。

実は、大宮の三菱ミネラルコレクション(まだ非公開)に和田維四郎コレクションが展示されており、その入り口正面に石川県那谷産の紫水晶が飾ってあり、それにそっくりだったのです。





上の写真がそれです。どうでしょうか?それは小松市周辺に産出する球顆流紋岩の内部にある紫水晶に似ていると思います。さらに、加賀錦石などに見られる雷紋のような雰囲気の質感はそれを物語っているような気がします。

昨日は、帰りのサンダーバードの中でミュージアムショップで買った比企鉱物標本の図録を読みました。すると、標本ラベルが揃っている比企鉱物標本の中で唯一、Locality unknown(産地不明)となっているのが97石英(紫水晶)no.3162となっていた事を知りました。私は、比企鉱物標本というジグソーパズルの最後のピースをはめたような気分になってしまいました。

非常に充実した一日でした。
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抜け殻2

2019-08-09 12:48:46 | 日記・エッセイ・コラム
数日前、自宅マンションの駐車場で、セミの死骸を見つけました。また、ほぼ、同じ頃、自宅マンションの横の道路で、踏まれたセミの抜け殻も見つけました。そして、近くの白髭神社ではセミの鳴き声が鳴り響いていました。今は真夏です。セミの鳴き声は意識していなかっただけで、どうも毎日のように聞こえていたようです。

さて、今日も抜け殻の話題で、タイトルは「抜け殻2」とします。

「石の華」の店内には、まだまだ、抜け殻鉱物がありました。



上の写真はメキシコ産の紫水晶です。一見すると奇妙なものだと思いますが、これは方解石の群晶の上に被さるように覆ったものです。



方解石の抜け殻らしい形状が見えます。これは方解石の群晶の抜け殻であって、方解石の紫水晶化した仮晶とも言えるものです。





次は産地不明ですが、中が空洞になっている抜け殻石英です。ゴツゴツとした外側の形状は何かの鉱物の溶け跡のように見えます。内側も空洞になっているので、中に詰まっていた物が抜けてしまったようです。どうして、そのようになってしまったのでしょうか?不思議な抜け殻石英だと思います。

今日の最後はこれもメキシコ産の球状玉髄です。






中は空洞になっていて、その内壁には細長い結晶が張り付いていて、面白いと思います。その中身は熱水のような液体だったのでしょう。ある意味、これも中身が空洞になった抜け殻と言えるような気がします。

そういう風に考えると、石の世界の晶洞やいわゆるガマという存在は、広い意味での抜け殻と言っても良いのかもしれません。鉱物の結晶はそのような抜け殻の内壁から成長します。そういう意味では、鉱物結晶と抜け殻は密接な関係にあったという事になります。

鉱物の抜け殻という存在、ますます気になってきました。
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