ようこそ石の華へ

鉱物の部屋へのいざない

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タイムカプセル

2014-08-29 13:06:35 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「タイムカプセル」です。「タイムカプセル」は初登場です。

「タイムカプセル」といえば1970年の大阪万博の時に大阪城公園内に埋められたもの(6970年開封予定)が有名ですが、私もそのレプリカを持っています。今日はその写真を出そうと思いましたが、それは自宅のどこかにはあると思いますが、残念ながらすぐは探せないので今日も写真無しです。そのレプリカは直径10cm位のミニチュアで、透明なアクリルキューブの中に入っており、その銀色の球体と透明アクリルキューブがお気に入りでした。中に何が入っているのかはわかりません。もしかすると何も入っていないのかも知れませんが、その形態と「タイムカプセル」というロマンが気に入っておりました。

「タイムカプセル」には時間的なロマンが詰まっていると思います。当然の事ながら、大阪万博の「タイムカプセル」を開封する時にはその関係者はいませんし、その子孫ですら、いるとは限りません。それでも、その時代の記録が開封される、という事を想像するだけでもワクワクします。ただ、空気中の酸素や水分の事が気になります。長い時間による物質の酸化や劣化が心配です。「タイムカプセル」の中のものの保存状態が気になりますが、思うに高々5000年です。石の長さに比べれば大した長さではありません。

地球上の鉱物や岩石の時間のスケールは人間的な「タイムカプセル」とは比較になりません。特に隕石に於いては、46億年前の情報、プレソーラーグレインに於いてはそれ以前の情報が閉じ込められています。それらは地球的、宇宙的「タイムカプセル」といっても良いのかもしれません。そう思うと隕石という存在には時間的なロマンが詰まっています。隕石の魅力はその色や形の美しさ(パラサイト隕石の美は格別ですが・・・)ではなく、隕石がもっている「タイムカプセル」的なロマンにあるのだ、と思います。

そのような地球的、宇宙的時間スケールとは違って、人間的な時間スケールの話に戻せば、「タイムカプセル」のような時間的ロマンを感じられるもののひとつが同窓会という存在でしょうか。学校を卒業して何十年後の同窓会の時に「タイムカプセル」を開封する、というイベントにはロマンがあると思います。

それと、「タイムカプセル」とは言えないものの、時間的なロマンを感じるものにビンテージもののお酒があると思います。その昔、ある友人が、娘が誕生した記念に山梨ワインを樽ごと買った、という話があり、妙に興味を持ってしまった記憶があります。その娘さんの二十歳の誕生日にそのワイン樽を開ける、という話をうらやましく思った事がありました。その日は既に過去の事になっておりますが、さぞ楽しい飲み会になったであろうと想像できます。

そうそう、ワインだけではありません。ウィスキーの10年もの20年もの30年ものや泡盛の古酒なども「タイムカプセル」的な時間ロマンを持っていると思います。お酒はなぜか古いものほど、まろやかになるようです。そして、その堆積する時間に比例して高価になる傾向があるようです。

そういえば、私も4年前に熊本県の球泉洞を訪れた時に球磨焼酎「球泉洞」を購入しました。その焼酎は自分の60歳の誕生日に送ってもらうという自分への時の贈物としました。その焼酎は、あと2年半、洞穴の中で熟成されます。今からその「タイムカプセル」の開封が楽しみです。

「タイムカプセル」には時間的なロマンが詰まっていると思います。

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過冷却

2014-08-26 15:38:44 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「過冷却」です。このブログでは「過冷却」という言葉は過去3回登場しておりましたが、タイトルとしては初となります。

「過冷却」とは物質の相変化において、変化するべき温度以下でもその状態が変化しない状態の事です。たとえば、水の場合は0℃以下でもなお凍結しない状態の事です。「過冷却」状態にある液体の水に振動などの何らかの刺激を加えると、急速に結晶化して凍結します。「過冷却」現象は良く知られた現象ですので、ご存知の方は多いと思います。私も加賀市の「中谷宇吉郎 雪の科学館」で直に「過冷却」現象を見た事があります。

そのような不思議な「過冷却」は自然界にも存在します。それは自然現象の雨氷や霧氷などがそれに当たります。それらは珍しい自然現象だと思います。

珍しい自然現象というと、今朝、昨晩放送していたNHK-BSプレミアムの「体感!グレートネイチャー 魅惑の大渓谷 ヨセミテ~アメリカ・カリフォルニア~」の録画を見ました。 その番組は、流れ落ちる滝が真っ赤に染まる“ファイヤー・フォール”や、月光で虹がかかかる“ムーン・ボウ”などの驚異の自然現象が目白押しでしたが、その中でも、森を流れる氷の流れが一瞬で凍りつく“フラジル・アイス”の映像は初めて見ました。それは自然界の「過冷却」現象です。その川の流れは何となく変でした。流れの中でどんどん氷が増えて行きます。シャーベット状に浮いた氷は下流の方では詰まっていましたが、上流からの圧力が限界点に達すると一気に壊れ、また氷は流れて行きます。それは期間限定のヨセミテならではの貴重な映像だったと思います。
そうそう、「過冷却」現象は日常にもあります。日本酒の凍結酒がそれです。みぞれ状のお酒には液体のお酒とは違った味わいがあると思います。他にもコーラやサイダーにも「過冷却」現象を利用した商品があるようです。

実は、我が家では、昨年の夏から家飲みのビールは約1時間位冷蔵庫の冷凍室に入れてから飲んでいます。「過冷却」にしたアルミ缶のタブを空けてコップに注ぐと、その瞬間にビールの泡は凍ります。そのフローズン・ビールの味わいは夏ならではの美味しさがあると思います。我が家のこのような習慣は昨年に行った近所のビア・ガーデンでその味を知った事から始まりました。けっこう癖になりますが、これはおすすめです。

さて、石の世界でも「過冷却」現象はあるのですが、それはまたの機会にします。

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関戸信次先生の業績

2014-08-25 18:39:37 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「関戸信次先生の業績」です。

昨日は小松市立博物館で開催中の企画展「関戸信次 化石研究にかけた生涯」の記念講演「関戸信次先生の業績~恐竜時代の植物化石」を聴講してきました。講師は福井県立恐竜博物館の寺田和雄主任研究員でした。聴講者は非常に多く、博物館3階の企画展会場をほぼ全体を使う程、スペースいっぱいになるまで混み合っていました。若干年齢層が高いように思えましたが、小松市民の関戸信次先生へ関心の高さがうかがえました。我らが石川県鉱物同好会からも精鋭4名が出席しました。

寺田和雄博士の講演は非常に丁寧で分かり易く、関戸先生の業績も然ることながら、古植物学に関しても新しい知見を広げる事ができたと思いました。良い講演会だったと思います。

ただし、お話を聞いていて、ひとつ少し心配な事があります。それは古生物学、それも植物化石の研究者が少ないという事です。古生物学は動物を対象とする古動物学、植物を対象とする古植物学、微化石を対象とする微古生物学等に分けられるようですが、やはり恐竜研究が人気があり、世の中の関心度も高いように思えます。古植物学は地味な印象があるのか?古植物学の研究者は日本で10人程度、世界でも200~300人程度、それも木や葉や花粉の研究に細分されるそうで、それぞれ専門性が高い分、今後の研究の状態がどうなっていくのかが心配になりました。古植物学の研究は大きな地球史を知る上でも重要な位置を占めると思います。それは、決して「木を見て森を見ず」ではなく、「石を見て地球を見る」という事だと思います。

小松市立博物館の多くの植物化石は世界に誇れるものだと思います。それも関戸信次先生の偉大な業績があったからです。講演で知った事なのですが、それらの中にはまだ正式な学名として記載されていないものも含まれているようです。それらは今後はどうなっていくのでしょうか?さらにそれらの貴重な化石標本の管理やさらなる研究は続いていくのでしょうか?

要は人の問題です。それも複数の若い研究者が登場して来なければなりません。

お話を聞く限り、教育現場の様々な問題もあるようです。さらに別の種類の問題もあるようです。

幸い、昨今は、これまでマイナーだった鉱物趣味もようやく少しずつ世の中に広まっているような気がしております。私の主な関心事もどちらかと言うと化石より鉱物です。鉱物は地味な石の世界でも徐々に人気が高まりつつあるようです。

余計な事かもしれませんが、今回の講演会を聴講して、関戸信次先生の業績を引き継ぐべき若い人の存在が非常に気になってしまいました。

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逆つらら

2014-08-18 12:48:45 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「逆つらら」です。真夏に氷柱(つらら)の話題です。実は「逆つらら」の話題は2012/02/02の「氷4」で一度書いておりましたが、今日はタイトルを「逆つらら」として再度書きます。

昨日、自宅の冷蔵庫の冷凍室で面白いものが出来ていました。それは「逆つらら」です。

Dscn4949

上の写真がそれです。しっかりとしたマクロ撮影ができるカメラで撮影しておりませんので、ピントがうまく合いませんでした。それでもななめに成長している「逆つらら」が確認できると思います。

私は自宅の冷蔵庫でこのような「逆つらら」を見るのは初めてでした。このような現象に遭遇すると、どうしても素朴に、どうしてこのようなものができるのだろうか?と考えてしまいます。そのような疑問は不思議な石を見た時に思う疑問と同質なものだと思います。

この「逆つらら」は上からしずくが落ちて伸びていったものではありません。それは重力に逆らうように下から上の方に結晶成長しています。それもまっすぐ上の方へと伸びているのではなく、ななめに伸びています。それはどうしてでしょうか?

それはどうも製氷器がななめに置かれていたからかもしれません。ななめに伸びている事が何かを物語っているのかもしれません。

いろいろと成因を考えてみましたが、なかなか決定打は出ませんでした。

そこで、またWeb検索を頼ってみました。すると、画像検索で「逆つらら」で検索してみると同じような「逆つらら」の写真がたくさんでてきました。どうも、このような現象はそれほど珍しい現象ではないようです。それらの写真からあるひとつのブログを見てみました。すると、「逆つらら」の原理を図解してあるブログが見つかりました。

そのブログでは、水は製氷皿の外側から凍っていき、氷となって体積が大きくなって、液体の水が中心に押されていき、逃げ場を失った水は上に逃げようとします。その水は氷に接している部分から凍っていくので、根元部分の表面が最初に凍り、細いストロー状の中で毛細管現象によって水が吸い上げられて、だんだん長くなっていく、というような説明になっておりました。

その説明は確かに理に適っていると思いました。さらにこの現象はそれほど珍しい現象ではない、とも書いてありました。

恐らく、製氷皿の形やサイズ、水の量と冷却温度と静かな状態がこのような現象を引き起こすのだろうと思います。ある条件がそろった時にはかなりの確率で「逆つらら」はできるようです。

何となく、鉱物の結晶成長にも繋がっているような気がしました。ある条件がそろうと結晶成長も特殊な形態をとる事があります。
そういう意味で結晶形態はその生成環境を物語っているのだろう、と思います。

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ニュース

2014-08-17 11:57:16 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「ニュース」です。

私は「ニュース」好きです。TVでも新聞でもWebでも「ニュース」はこまめにチェックしています。特に科学に関するニュースは最も気になる存在です。「ニュース」によって初めて知る事になる新しい知見は刺激になります。それは知的好奇心を満足させてくれるだけではなく、時には既存の価値観を変えてしまうほどのインパクトがある場合もあります。そのような大ニュースに接した場合の昂揚感は万人に共通する事だろうと思います。

今、最も期待している「ニュース」筆頭は、やはり「地球外生命の発見」でしょうか。それは「宇宙人」の存在というような種類の「ニュース」ではありません。それは科学的な未解決問題のひとつである「生命の起源」に繋がる大ニュースになる可能性を秘めております。「地球外生命の発見」は太陽系外惑星に限らず、太陽系内惑星や衛星でもその可能性は残っております。恐らく、近い将来にそのような「ニュース」が報道される日が必ずや来ると期待しております。

さて、そのような「地球外生命の発見」という「ニュース」ではありませんでしたが、チョッと気になる「ニュース」が、一昨日、ありました。その「ニュース」とはWebニュースで知った「太陽系外由来の宇宙塵、探査機サンプル中に7個特定か」という見出しでした。それはNASAの彗星探査機スターダストに搭載されていた塵粒子収集器から慎重に分離されたものだそうで、シンクロトロン粒子加速器6台と多数のX線マイクロアナライザーを用いて分析を行った結果だそうで、「かんらん石」や「硫黄化合物」を含んでいるらしく、それらの粒子は地球外の恒星のガス円盤やアウトフロー(ガス流)に由来し、星間物質中で変化したものであることを示唆しているそうです。

この「ニュース」が事実であるとすると、それは人類が初めて太陽系外の物質に接した事になります。それは「大ニュース」です。・・・

チョッと待ってください。確か、隕石の中の炭素質コンドライトの中からプレソーラーグレインという太陽系が出来る前の何代かの超新星爆発の欠片が発見されているという話があったと思います。そのような隕石には宇宙の歴史の記録という壮大なロマンを感じました。今回の太陽系外由来の宇宙塵という「ニュース」にも同じような宇宙的なロマンを感じてしまいます。それは「地球外生命の発見」というほどにはインパクトはないかもしれませんが、地球と宇宙は繋がっているという事実を直接感じられる「ニュース」だと思います。

その小さな宇宙塵は大きな宇宙に繋がっているという事実を教えてくれます。地球も太陽系も宇宙の一部です。もちろん私たちも宇宙の一部です。宇宙塵の「ニュース」は宇宙的なロマンに満ちていると思います。

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