ようこそ石の華へ

鉱物の部屋へのいざない

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アマチュアの力

2018-04-26 17:08:56 | 日記・エッセイ・コラム
先週に引き続き、今週も数日前に、珍客がありました。今週は人(Oさん)でした。その方は重そうなリュックサックをしょっており、私は「よろしかったら、お荷物を置いて下さい。」と話しかけました。すると、「名古屋から来ました。リュックサックには石がたくさん入っています。」というお返事でした。お話を聞いていると、尾小屋鉱山資料館や小松市立博物館に石を寄贈しているらしいのです。どうも、小さい頃からの石好きさんのようで、長年にわたり、全国各地の鉱物産地で採集されており、アマチュアながらもプロ顔負けの石博士のようでした。

そのOさんのすぐ後、今度は常連のDさんが来店しました。OさんとDさんが翡翠の話に夢中になっている時に、私は昼食休憩でいったん店を出て、その間に、サッと、じばさんギャラリーで開催中の「第32回全国手づくりガラス展」を見に行きました。そして、約1時間後に店に戻ると、OさんとDさんはまだ話し込んでいました。

その後、閉店間際まで、Oさん、Dさんとの石談義は続きました。石好きさんの話は尽きないようです。

その日は他のお客さんが中々店に入りづらい雰囲気だったせいか、久しぶりに売上0になってしまいました。

Oさんとの石談義の中で、私が知らなかった石情報が幾つかありました。それは収穫でした。

私は、何となく、「アマチュアの力」という今日のブログのタイトルを思いつきました。

故櫻井欽一さんは甘茶鉱物学という言葉を使って、鉱物学におけるアマチュアの力を力説したそうですが、Oさんは典型的な甘茶鉱物学者のひとりになるようです。

話は変わって、昨日は定休日で天気も雨だったので、自宅で録画していた二つのTV番組を見ました。それはNHK-BSプレミアム「コズミックフロント☆NEXT」の「市民科学の最前線 謎の発光現象“スティーヴ”」とNHK-Eテレ「カガクの“カ”#2 北極海Saya謎生物」です。その二つの番組をほぼ同時に見て、またもや「アマチュアの力」というタイトルを思いつきました。

市民科学とはアマチュア科学者によって行われる科学研究の事ですが、鉱物学も天文学と同じようにアマチュアの寄与が大きい分野だと思います。特に、鉱物の新産地や新鉱物の発見にもアマチュアの力は必要不可欠です。

Oさんはアマチュア鉱物研究者だった故長島乙吉さんを師匠だと称しておられましたが、やはり、そのようなアマチュアの力を信じておられるようでした。(ちなみに、長島乙吉さんは飯盛里安さんと同じように小松製作所の嘱託になられております。Oさんは小松の石文化に貢献したいものの小松の石の保護条例を悲しんでおられました。)

市民科学はプロの学者とアマチュア市民との協業で発展します。そこには強制ではない本来の意味でのボランタリー精神が求められるはずです。様々な分野でのアマチュアの力を期待したいところです。

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珍客

2018-04-20 12:39:34 | 日記・エッセイ・コラム
数日前の事です。店内に珍客が入ってきました。珍客と言っても、それは人ではありません。その珍客とは鳥でした。

当初、今日のブログのタイトルは「鳥」にして、鳥のように見える石の写真を出そうと思いましたが、過去のブログを検索してみると、鳥という文字がある記事が意外と多くあり、さらに出そうと思っていた石の写真も既に出しておりましたので、今日のブログのタイトルは「珍客」に変更しました。





上の写真はその鳥の写真です。ヨシキリでしょうか?

外では新緑の季節になり、鳥も良く見かけるようになってきました。そのような陽気の中、店内にも鳥という珍客が入ってきました。その鳥は何かの間違いでビルの中に迷い込んでしまったようなのですが、「石の華」の大きな窓から外の風景が見えるので、そこから外に出られると勘違いして入って来たようです。その鳥は外に出ようとして、何度も窓のガラスに頭をぶつけてバタバタしておりました。

そこからは外に出れるはずはありません。そのままでは弱って死んでしまうかもしれません。私は、可哀そうにと思い、ウチワを使って、店の外に追い出しました。その鳥は店内から出て行きましたが、その後、ビルの地下のアトリウムの方に飛んで行きました。その後の事は知りません。無事、地下の出口から外に出れたでしょうか?心配でしたが、どうしようもありませんでした。

先日の珍客は珍しい鳥でした。

店を7年間もやっていると、時たま、珍客が来店する事があります。うれしい珍客もあれば、招かれざる珍客の場合もありました。

うれしい珍客とは旧知の友であったり、わざわざ遠方から来て下さった石好きさんであったり、そのような珍客の方々は大歓迎です。招かれざる珍客とは今回の鳥のような人以外の動物でしょうか。それから、人では万引きする人とか、勘違いで入ってくる人(鉱物を岩絵の具の原料や陶芸の釉薬の原料としか見ない人等)でしょうか。

ネガティブな珍客は招かれざる客です。 
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黒と白

2018-04-13 12:46:08 | 日記・エッセイ・コラム
今日は「黒と白」です。このブログでは過去に「イン・ヤン」(2012.03.12)というタイトルで黒と白について少し書いておりましたが、このタイトルは初登場になります。

もう先週の事になってしまいましたが、NHKで白黒写真用の「黒白フィルム」販売終了のニュースをやっていました。黒白印画紙も同様に生産終了するそうで、ついにと言うか?とうとうと言うか?白黒の写真文化が終了する事になりそうです。白黒写真は黒白フィルムと印画紙を使ったファインアートの一種でもあり、芸術の世界のひとつのジャンルが無くなってしまう事は非常に寂しい事だと思います。

写真技術はテクノロジーを使った最も始原的な芸術表現とも言えました。芸術表現はその後、映画やビデオ、コンピュータやインターネットなどの技術的発展にともないメディアアートへと進化しています。その表現も白黒からカラーへ、2次元から3次元へ、さらに時間軸も取り込み、インタラクティブな仕掛けを伴ってVRやARへと進化が続いております。

そんな中、テクノロジーアートの原点とも言えた白黒写真の終焉は本当に寂しい事です。

そう言えば、その昔、私は高校生の頃に、学校の文化祭に向けて、8ミリ映画を作った事を思い出します。私はどうしても白黒フィルムで作品を作りたかったので、その当時、生産終了と言われていた白黒フィルムを買い集めた事を思い出します。その頃の私は映画史に興味を持っていましたので、白黒フィルムには憧れのようなものがあって、その当時、最後のチャンスだと思って、あえてカラーフィルムを使いませんでした。(その当時、まだ、カラーフィルムより白黒フィルムの方が安かったという理由もありましたが・・・)

このブログは石のブログなので、石の世界の黒と白の話題に変えます。

つい先日の事なのですが、予約録画して、見ていなかったNHK-BSプレミアムの「コズミックフロント☆NEXT 」の「史上最大の大量絶滅 真犯人を追え!」を見ました。その番組を見ていると、私が朝日カルチャーセンター名古屋で石の講座を受講していた時の講師、道林克禎さん(静岡大学教授)が出てきました。それも黒と白の岩石が幾重にも互層状態になっている岩石コアサンプルを抱えて嬉しそうに映っておりました。それは地殻-マントル境界の謎に挑んでいるオマーン掘削プロジェクトの成果であって、マントルの片鱗を実際の岩石として掘り出した時の光景だったのです。それを見ていて、私は朝日カルチャーセンターで受講したモホール計画の話を思い出しました。ついにマントルの岩石を採取したのでしょうか?今後の研究発表が楽しみです。

それにしても見事な黒と白の岩石コアサンプルでした。いつかその現物を見てみたいものです。

今日のこのブログではその写真は出せません。その代わりと言っては変かもしれませんが、今、店にある黒と白が共存している鉱物の写真を出します。





上の写真は中国産の球状方解石です。

面白いと思うのは、うねった葉状結晶の集合体で全体像が球状になっており、さらに同心円状に成長した累帯構造をしている事です。これも黒と白にはっきり分かれている所が魅力的です。

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早朝散歩2

2018-04-05 11:06:25 | 日記・エッセイ・コラム
今日は「早朝散歩2」です。(過去に「早朝散歩」2016.04.14というタイトルを一度使っておりました。)

昨日の早朝、先週に引き続き、兼六園まで散歩してきました。今回は先週とはルートを変えて、玉川公園、尾山神社、玉泉院丸庭園、金沢城公園を経て兼六園に向かいました。天気は曇りでしたが、玉泉院丸公園に向かう途中、雲間から朝日が差し込む時間帯があって、その時、ポルテ金沢の窓が金色に反射している光景を見る事ができました。

昨日は桜が満開状態になったようです。



最初の写真は先週と同じような位置で兼六園から卯辰山方面を撮ったものです。先週は日の出が主役でしたが、昨日は桜の花が主役となりました。



次は石川門前です。3Dカメラで撮ったので、手前の緑色の樹々の葉、満開の桜、金沢城石川門の城郭が奥行きのある立体写真となって見れます。

兼六園内を散歩した後は、今回は白鳥路を通りました。すると、金沢三文豪像の彫刻で面白い光景を見かけました。



上の写真がそれです。三人の手元には椿の花が添えられていました。誰かのイタズラなのでしょうが、微笑ましく思いました。もしかすると、「文豪とアルケミスト」というブラウザゲームと関係があるのかもしれません。



今日の最後の写真は大手門近くの大手堀の桜です。桜の花が球状になっているところが面白いと思いました。この大手堀は花筏で有名です。来週にはその姿が見れると思います。

桜の季節の早朝散歩は良いものです。

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オブジェの店

2018-04-02 11:06:08 | 日記・エッセイ・コラム
先週の火曜日の事になるのですが、以前から気になっていた富山県美術館(TAD)に行って参りました。TADの休館日が毎週水曜日で、「石の華」の定休日と重なり、昨年のオープン以来、ずっと気にし続けておりましたが、そこは、中々、行けないでいた施設でした。そんな中、何かの偶然で、瀧口修造「オブジェの店―Rrose Selavy Tokyo」展をやっている事を知り、それも終了間際であった事、天気も良かった事もあり、意を決して行って参りました。

私は「石の華」を始める前に、前の富山県美術館には行った事があり、そこで富山県出身の美術評論家、瀧口修造のコレクションは一度見ておりました。確か、「夢の漂流物」というタイトルの常設展だったと記憶しております。私は高校生の頃からシュルレアリスムには興味がありましたし、日本人シュルレアリストであった瀧口修造にも興味を持っていました。実は、そこでの展示で瀧口修造が「オブジェの店」をやりたがっていたという事を知りました。その頃、私も石の店をやりたいと思っていた事もあり、共感を覚えました。

今回のTADの「オブジェの店」は美術館の展示なので、当然の事ながら、展示物は買えません。それはあくまでも「オブジェの店」というコンセプチャルアートのようなものであって、それは美術作品なのです。TADのコレクション展示には瀧口修造の書斎にあった数々のオブジェもありました。それらは一見するとガラクタのようにも見えてしまうのですが、それらの中には私も欲しいと思ってしまうものがあったり、拾ってきた石ころがあったり、総観すると、やはり、シュールレアリスム的な集合体でした。

それらのオブジェを見ていて、私と趣味嗜好が似ているような気もしてしまいました。ただ、ひとつ気になった事があって、石に限って言えば、集められた石は転石の類の石ばかりで、私が好む鉱物結晶とは別物でした。それから、今回の展示で初めて知った事のひとつに、穴だらけの石があり、それは師であった西脇順三郎からもらったモノだったという事です。私はてっきり滝口修造が拾ってきたきたモノだと勘違いしておりました。(このブログの「穴3」2013.05.27参照)どうも瀧口修造コレクションは自分で集めたものだけではなく、多数の贈られたモノも混在しているようなのです。

「オブジェの店―Rrose Selavy Tokyo」は1963年(瀧口修造61歳)頃に着想し、マルセル・デュシャンにその構想を相談して、店名(ローズ・セラヴィはデュシャンの若い頃の女性変名)及び看板用のサインも頂いたらしいのです。そのサインは拡大して銅凸版のプレートに起し、書斎兼アトリエの壁面に終生掲げ続けたそうで、その現物が展示されておりました。

今回のTADの展示「オブジェの店」では何も買えませんでしたが、TADのミュージアムショップに「とやま文学」(第34号 2016年)バックナンバーが置いてあり、その特集が瀧口修造だったのでその本を購入しました。

それを読んでいると、ある文章の中に瀧口修造の文章で「奇妙な話だが、いつの頃からか、私にオブジェの店を出すという観念が醗酵し、それがばかにならない固執であることに気づきはじめた。いうまでもなく私は企業家や商人とはまったく異なったシステムで・・・流通価値のないものを、ある内的要請だけによって流通させるという不遜な考え」がオブジェの店のベースである。云々と書いてあり、なるほどと思いました。

また、瀧口修造の墓の表側には自筆による「瀧口修造」の署名が、裏側にはデュシャンの直筆に活字を組み合わせた「Rrose Selavy Tokyo」の文字が刻み込まれている事実を知りました。

もしかすると、瀧口修造は実現しなかった架空のオブジェの店を実は本気で出したかったのではないか?と思ってしまいました。

最後に、今日の写真を一点出します。



これは以前、瀧口修造コレクションに刺激され、私が購入してしまったMiramondo Gabriele Devecchi,2010(1960)です。万華鏡的なリフレクションが美しいオブジェです。

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