ようこそ石の華へ

鉱物の部屋へのいざない

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擬態5

2018-11-30 13:59:02 | 日記・エッセイ・コラム
擬態の話題は続きます。

人間が作る擬態した石と言うと、芸術作品だけではありません。工業製品として人工的に作られた石もあります。

そのような人工石には大きく分けて三つに分けられそうです。それは人造石、合成石、模造石です。

まず、人造石とは天然石にはない化学組成、結晶構造を持っています。代表的なものとしては、宝石ダイヤモンドの類似石としてのキュービックジルコニアなどがあります。それから、ビクトリアストンなども人造宝石で、これですね。これらは自然界にはないものです。

次に、合成石は天然石と同様の化学組成や結晶構造を持ったものです。ルビーやサファイヤ、エメラルド、アレキサンドライト、オパール、そしてダイヤモンドなどがあります。皆、宝石ですね。これらは皆高価です。

最後に模造石はガラスやプラスチックなどでできた石の事です。スワロフスキーなどがこれに当たります。練りトルコ石などもこの範疇に入るかもしれません。それから、アクリル樹脂やポリエステル樹脂を主成分とした人工素材で出来た石、例えば人工大理石などもこれに当たります。模造石とはその名前の通り、石を模造したものです。

どうも、本来、人間は石に擬態したものを作りたがる習性があったようです。

そうそう、昨今、鉱物結晶に擬態したお菓子もありますね!1970年の大阪万博会場では月の石を模したお菓子も売っていました。人間は石に擬態した食べ物まで作ってしまうのです。

さて、今日の写真はキュービックジルコニアです。肉眼的には写真以上に美しく煌めきます。





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擬態4

2018-11-22 15:19:19 | 日記・エッセイ・コラム
ひとつ前のブログで、人間が石に擬態するものを作るテーマを予告しましたので、今日は「擬態4」として、そのテーマで書きます。

ひとつ前のブログの最後の写真は岩石柄のクッションです。(店内に置いてあります。)このクッションの面白い所は、それが作られたクッションであるので、岩石に擬態していても、柔らかく軽い、というところでしょうか。それは岩石が、硬くて重い、という固定されたイメージを打ち砕く面白みを持っています。

柔らかく軽い、と言うと、店内にはもうひとつ面白いジョークグッズのようなものがあります。



上の写真がそれです。これは花崗岩に似せて擬態したおもちゃ?です。それは一見、花崗岩のように見えますが、それをつかむと軽くてすぐつぶれます。



つかむと内部の空気がすぐ抜けるように穴が空いております。



店内を見回すと、もうひとつ、花崗岩に穴をあけた花瓶のようなものがあります。これも一見、花崗岩の花瓶のように見えますが、実は人間の作った陶器です。これも今日のテーマ的なもののひとつであるような気がしております。



最後にもうひとつ、人間の作った芸術作品です。これもさりげなく店内に置いてあります。



これは、このブログ「石を造る」(2011.11.28)にも出した事がありました。

石に擬態する作品とは人間が行う芸術という行為からなるものです。自然界には作品はありません。それ(芸術作品)は人間ならではの行為の結果なのです。
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擬態3

2018-11-16 11:31:38 | 日記・エッセイ・コラム
今日は「擬態3」です。擬態の話題は続きます。

このブログは石のブログなので、やはり、石に擬態する生物の話題に触れざるを得ません。

このブログで「擬態」を書いた事の影響もあって、擬態への関心・興味が高まっております。それで、擬態に関する書籍を購入しました。学術的な擬態に関する本は後回しにして、初心者として、擬態を楽しもうと思い、まず、「擬態生物図鑑」(笠倉出版社 「擬態生物」研究会:著 2014)という古本を入手しました。その本は隠れた生物たちをクイズ形式で掲載しており、ビギナーにとっては、神秘的で華麗な擬態の世界を楽しみながら疑似体験することができました。

その本には驚くべき擬態の数々が載っておりましたが、それらの中でも最も難しく、答えに驚嘆したのが、鳥のイカルチドリ(その本ではイルカチドリになっておりました。間違いです。)でした。正直、私は川原の小石の中に擬態した鳥を見つけられませんでした。答えはページをめくると出ていましたが、そこではさらなる驚きが待っていました。石なら天敵のカラスにも食べられない!という事で、彼らが編み出したのが、石に化けるという擬態だったのです。そして、さらなる驚きとは卵の柄もまた石ころソックリで、どうも生まれながらにして石に変身する能力を持っているのだ、そうです。

今日の最初の写真はそのようなイカルチドリの卵の写真ではありませんが、何となく鳥の卵のように見えた小石の写真です。



さて、石に擬態する生物は他にもいます。「擬態生物図鑑」ではカニのオウギガニが載っております。それはまるで浅瀬にうごめく小石の集団です。そのじっとしている姿は本物の小石と瓜二つで、動かない写真では、なおさら見極めが困難です。海の生物では、他にサツマカサゴがいます。藻に覆われた岩のように見えるその姿は岩礁に擬態しています。他にはオニダマルオコゼやオビアナハゼなどもサンゴや岩に擬態します。本には出ていませんでしたが、カニのドロイシガニやカメのマタマタなども同類の擬態をするようです。

陸上ではカワラバッタが擬態の名人です。

そうそう、植物にも石に擬態するものがあります。その代表はリトープスでしょうか。それは石に擬態することで食べられないように進化したのでしょうか?リトープスは多肉植物で園芸店で売っているのを見て、思わず、買ってしまいそうになった事があります。それは、石好きさんにとっては衝動買いしたくなる植物でしょうか?

今日のもう一枚の写真は変成岩に擬態したクッションです。



これは、人間が石に似せて作った製品です。人間が石に擬態するものを作るテーマは次回にします。

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フレーム切手3

2018-11-15 15:21:57 | 日記・エッセイ・コラム
今日は「フレーム切手3」です。(このブログの「フレーム切手」2016.06.02、「フレーム切手2」2017.01.19の続編です。)

一昨日、久しぶりに愛知県のKさんから郵便物が届きました。その中には「日本の大地に眠る水晶の華」という国産水晶をテーマとしたフレーム切手の原稿データのCD-Rが入っておりました。それはKさんが手掛ける鉱物切手の第3弾となるフレーム切手です。ただ、今回のフレーム切手は、全国の水晶をテーマとしたために、東三河の特色が無いという理由で郵便局での販売はないそうです。(個人発行で、その発売日は12月3日、発行部数は1000部限定となるようです。)

その原稿を見てみると、何と!遊泉寺銅山産の紫水晶が一番大きく出ておりました。それもよくある単結晶のポイントではなく、アメシストフラワーといって良いような群晶が花開いております。まさしく水晶の華というべきものだと思いました。



うれしい事です。日本全国から各地を代表するような美結晶が勢揃いする中、メインとなっていたのが地元の紫水晶だったのです。

私は、ささやかながら、応援の意味も込めて、10部予約しました。

1部1300円、現物が到着次第「石の華」でも販売します。先着順です。

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擬態2

2018-11-09 12:12:41 | 日記・エッセイ・コラム
今日は「擬態2」です。

このまえの日曜日、常連のNさんが、ひとつ前のブログ「擬態」に出したトリバガはブドウトリバ(チョウ目トリバガ科)らしい、と教えてくれました。Nさんは石だけではなく、動物や植物への関心度も高く、自宅にある昆虫図鑑で調べて下さったようです。店にいるだけで、お客さんから教えてもらえて、ありがたい、と思いました。それから、ブログを書いた後、Webの画像検索で、ネコの顔に擬態したガの写真を見つけて、非常に興味深く思いました。擬態には感動的な面白さがあり、もっと深く知りたいと思いました。

さて、前のブログでは鉱物が鉱物に擬態する鉱物同士の擬態について少し触れたのですが、鉱物が他の何かに似ているという現象も一種の擬態としてとらえる事ができるとすると、「石の華」的には、これはこのブログ的にメインテーマに成り得る大きなテーマではないか、と思ってしまいます。

「石の華」とは、言うまでもなく、鉱物結晶の事を言ってきたつもりです。「石の華」はよく「石の花」と間違えられてしまいますが、もちろん、花のように結晶した石を「石の花」とするならば、それも「石の華」の一部であって、いやいや、それは「石の華」のメインストリートにあるべき鉱物結晶の姿です。

今日の写真はブラジル産のフラワーアメシストです。





フラワーアメシストと呼ばれるアメシストの放射状結晶の集合体はそれほど珍しくはありませんが、本物の花のように整ったものは数少なく希少だと思われます。

どうでしょうか?これらは鉱物が花に擬態しているととらえる事が可能でしょうか?

思えば、水石の世界では菊の花のように見える菊花石は王道ですし、山形石・遠山石・島形石や滝石などは自然の風景に擬態していると言えそうです。茅舎(田舎の一軒家を連想させる形状の石)も然りです。水石の美の神髄は見立てにあり、それは広義の石の擬態としてとらえる事ができそうです。

それらを愛でるという事は石を観賞する人間の側のイマジネーションの中にある現象なのですが、そのように擬態している石の方にしてみれば、それにはどのような意味があるのでしょうか?もしかすると、人間に愛でられたい、とでも思っているのでしょうか?そんなはずはありません。それは、勝手な人間原理の過大解釈であって、そもそも、石には意思など、あるはずがありません。

鉱物の擬態、面白いテーマではありますが、それは、どうも、人間側の美意識のテーマなのだろうと思います。



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