今日は午前中から大切なお客さんがあり、ブログ更新が遅れました。今日は少し遅い時間帯の更新です。
今朝、NHKニュース「おはよう日本」を見ていたら3Dプリンターの話題をやっていました。3Dプリンターの存在は以前から知っていましたし、電子顕微鏡と同じく欲しいものの一つでしたが、個人で所有するにはまだまだ夢のまた夢だと思っていました。
ニュースでは最新の3Dプリンターの動向を紹介しておりました。様々な分野での精度の高い3Dプリンターが出てきましたが、その中で個人的に3Dプリンターを使用している人の紹介も出て来ました。
3Dプリンターは21世紀の産業革命になる可能性を秘めていると思います。中小の製造業はもちろんの事、様々な分野での革命的な技術革新を推進する潜在能力を秘めています。IPS細胞と3Dプリンターのコラボレーションでは再生医療の実現を加速してくれる可能性もあります。他にも信じられない技術革新が登場しそうな予感があります。
そんな中、そのような3Dプリンターが個人でも使用可能という事に少し興奮しました。今日のニュース内での紹介事例では、まだそんなに大した事はないのですが、近い将来にそれを手にする事ができると夢想するとやりたい事がいっぱいあります。
まず、お気に入りの鉱物標本を3Dスキャナーで取り込み、3Dプリンターで複製を造ります。鉱物標本店をやっていると、どうしても標本が売れてしまう事にさみしさを感じる事があります。コレクター出身の商売ではこの煩悩が付き纏います。そのような煩悩を解決する有力な手法のひとつが3Dプリンターでの標本の複製だと思います。お気に入りの標本はあらかじめ複製を造っておけば良いのです。現物そのものは売却してもその標本の3D情報は残せます。私のような形状重視のコレクターにとっては夢のような話です。写真で2D情報を残す事とは次元が違います。それは2Dから3Dへの飛躍です。そもそも鉱物標本そのものが3Dなのです。
それから、あらゆる鉱物結晶の自形も造れます。理想的な結晶模型のコレクションが作れます。それは素晴らしい模型コレクションになるでしょう。
さらに多面体コレクションも製造可能です。それは実体のない数学的な形状でも作成可能です。様々な多面体形状コレクションが作れます。
ただし、カラー3Dプリンターが欲しくなるでしょう。それが登場するまでは模型士さんが忙しくなりそうです。色付けは大変な作業だと思います。
・・・夢想と言うより妄想が膨らみます。
しかし、最終的にそれらを収納する場所の問題が発生します。その事は標本の収納場所の問題と変わりません。
収納場所の解決方法は3Dデータのみのコレクションかも知れません。3D表示が出来るパソコン上でいつでも見れる3Dデータを保存する事ができれば収納場所の問題は解決します。
・・・妄想は膨らみついに破裂します。
3Dデータにはどんな価値があるのでしょうか?実体のない標本には何の価値もないでしょう!やはり、標本には標本ならではの価値があると思います。
標本の価値とは何でしょうか?
「部分は全体を凌駕する。」という言葉を思い出してしまいました。
今日は「コランダム1」です。
コランダムは酸化アルミニウムの結晶です。微量のクロムが不純物として加わると赤くなってルビーと呼ばれ、微量のチタンや鉄が加わると青くなってサファイアと呼ばれます。
ミャンマー産 ルビー(Ruby)
これは特価品で出してあった中で売れ残ってしまったルビーの原石のひとつです。小さい赤い六角柱の結晶が愛らしくて好ましいと思いますが、結晶の一部が窪んでおり敬遠されてしまったのかも知れません。私的にはこの窪みが結晶成長の形跡を残しており貴重な標本のように思えてしまいます。このルビーの原石は長波ブラックライトで鮮やかな赤色に発光します。
これは薄い六角板状のルビーです。裏から強めのライトの光を当てると美しい色に発色します。長波のブラックライトでは美しいピンク色に発色します。光の違いで違う色が楽しめます。
マダガスカル 産 サファイア(Sapphire)
これは透明度が無いものの、長さ・太さ共に4cmほどもある六角柱の結晶です。色的に宝石にはなりませんが、サイズ的に魅力的な鉱物標本だと思います。
スリランカ 産 サファイア(Sapphire)
これは透明感のあるブルーのサファイアの原石です。長さは3cmあり、そこそこのサイズだと思います。
ルビーやサファイアの原石も人気のある鉱物標本です。開店当時はそこそこの数があったのですが、オープンして1年3ヵ月が経ってしまい、少しさみしくなってきました。そろそろ仕入れを強化しなくてはならないと思っています。
ところで、ルビーもサファイアも硬度が高く宝石になります。なぜか?緑柱石(アクアマリン、エメラルド等)やトパーズやガーネットなど、多くの宝石鉱物はアルミニウムの化合物です。
アルミニウムは地球の地殻上では1位酸素、2位ケイ素、に続く3番目に多い元素です。それはボーキサイトいうアルミナを主成分とする粘土鉱物の中にあり、アルミナの豊富な地層がプレート移動にともない地下深部に沈み込み、高温・高圧の変成作用を受け、アルミナが結晶してコランダムになったと考えられます。さらに、このコランダムが火山活動によって、地下深部から地表に運ばれたと考えられるのです。
コランダムの存在はダイナミックな地球の活動を物語っています。それは、まさしく地球が造った宝物なのだと思います。
今日は緑柱石です。昨日までのアクアマリンは緑柱石の水色のものの事でしたので、その流れで、今日は水色以外の緑柱石です。
ブラジル ミナスジェライス州 産 アクアマリン(Aquamarine)
これは薄緑色の緑柱石です。中央に斜めに細い水色のアクアマリンが張り付いております。この石のサイズは長さ8cm、太さ2.5cmで、贅沢な標本です。
ブラジル産 緑柱石(エメラルド) Beryl(Emerald)
これはその名の通り緑色の緑柱石、つまりエメラルドです。エメラルドはコロンビア産が有名ですが、ブラジル産エメラルドは、主に宝石市場に出回るコロンビア産のエメラルドよりも価格が安く、標本的な価格になっております。因みに、白い部分は石英で、黒い部分は黒雲母です。
コロンビア産 トラピッチェ・エメラルド
これは珍しいと言われているトラピッチェ・エメラルドの中でもさらにレアな花形トラピッチェ・エメラルドです。実は亀型や*形のトラピッチェ・エメラルドの成因は解明されておりますが、花形トラピッチェ・エメラルドの成因には未だに不明な点があるのです。そういう意味で貴重な標本だと思います。
タジキスタン 産 ヘリオドール(Heliodor)
これは透明な黄色がうつくしいヘリオドールです。黄色の発色は3価鉄イオンに因り(アクアマリンは2価鉄イオンに因る)、アクアマリンとともに産出し、加熱処理でアクアマリンへと変化するそうです。鉱物の色は不思議です。
パキスタン 産 ゴシュナイト(Goshenita)
これは長石に張り付いたゴシュナイト(透明な緑柱石)です。手前にあるのはいくつかの水晶なのですが、透明感が違います。長石と水晶の共生も良いのですが、この標本にはさらにゴシュナイトが付いており、チョッと得した気分になってしまいます。
緑柱石には他にはピンク色のモルガナイトや赤色のレッドベリル等がありますが、現在、在庫を切らしており写真が撮れません。
緑柱石の魅力はその色のヴァリエーションかも知れません。緑色以外の緑柱石も魅力的な石達だと思います。
ベリリウムとアルミニウムとケイ素と酸素の化合物で六角柱状の鉱物結晶、地球は本当にイイものを造ってくれたと思います。
今日もアクアマリンです。
アクアマリンは他の鉱物と共生し易い鉱物です。以前にも「共生」の話題で書いた事があるのですが、鉱物の共生には共生ならではの美があります。ともに美しく結晶したものがバランス良く共生している標本には特別の美しさがあり、それにはそれなりの価値があると思います。
パキスタン ギルギット 産 アクアマリン(アクアマリン)
この標本は宝石質のアクアマリンが長石から生えています。光を当てて写真を撮るとアクアマリンの水色が濃くなったように見えました。アクアマリンと長石は共生し易く、この標本以外にも共生の美を競っているような標本をよく見かけます。
パキスタン ギルギット 産 アクアマリン(Aquamarine)
この標本は長石上に生えた二つの煙水晶の間から生えているように見えるアクアマリンです。アクアマリンの結晶が最も小さいのですが、この標本の主役はやはりアクアマリンだと思います。長石も煙水晶もしっかりと結晶しており、その中で絶妙のバランスでアクアマリンの結晶が自己主張しています。自然が造った妙と言えます。
パキスタン ギルギット 産 アクアマリン(Aquamarine)
この標本も長石の母岩にアクアマリンと雲母が共生しております。これらの共生も良く見かけます。アクアマリンの伸びた六角柱に雲母の星形結晶が取り巻いています。この標本のスターはあくまでアクアマリンでスターマイカではありません。やはりスポットライトの当たったアクアマリンが主役です。
パキスタン 産 アクアマリン(Aquamarine)
これは大量仕入れしたアクアマリンの中から見つけ出した愛らしい標本です。アクアマリンの結晶達が雲母の結晶を取り巻いています。この共生体は両者共に自己主張せず、お互いに支えあっているような印象を受けます。非常に微笑ましい印象を受けます。
アクアマリンの共生体、それらを見ていると、それらにはそれらなりの役割があるような気がしてきます。
今日は「アクアマリン1」です。
アクアマリンは緑柱石(Beryl )の中の水色のものです。透明で美しいものは宝石になります。
パキスタン ギルギット 産 アクアマリン(Aquamarine)
このアクアマリンは白い長石から生えているように結晶成長しています。透明感もあり美しく、六角柱の結晶の途中から細い六角柱の結晶がさらに延びています。非常に愛らしい標本だと思います。
ナミビア 産 アクアマリン(Aquamarine)
このアクアマリンは水晶のブリッジのように、小さな六角柱の結晶がもうひとつの六角柱の結晶を割りながら突き刺さっています。小さいながらもこの標本も不思議な存在感を持っていると思います。
パキスタン ギルギット 産 アクアマリン(Aquamarine)
この標本はそこそこの太さのある六角柱状の結晶が数本、いろんな方向に結晶成長しています。放射状とは言えないかも知れませんが、そのような雰囲気のある形状集合体になっています。母岩部分は雲母の六角版状の結晶集合体です。魅力的な標本だと思います。
ナミビア産 アクアマリン(Aquamarine)
この標本は細い六角柱状の結晶が放射状に集合結晶しています。その色も薄い緑色から薄い水色、薄い黄緑色へと途中で変化しています。形も色も好ましいかなり贅沢な標本だと思います。
アクアマリンは人気のある石です。
現在、お店には超特価品からハイレベルの標本まで多種多様な標本が豊富に揃っています。ご興味のあられる方は是非どうぞ。
ところで、アクアマリンを構成する元素としてのベリリウムは、宇宙においては非常に稀な元素です。原子番号4という元素でありながら、非常に少ないのです。ところが地球上では主にマグマの冷却過程に由来するペグマタイト中で濃縮されるのです。そのような結果、アクアマリンのような美しい鉱物結晶として我々の前に姿を現しています。
地球に感謝!