来週の日曜日(5月30日)から6月20日までの毎週日曜日は臨時休業する事にしました。
長引くコロナ禍の中、「石の華」が入居しているポルテ金沢の日曜日は、これまで以上に人出が少なくなってきております。特にすぐ隣の2区画は薬局の為、以前から日曜日は休業しておりましたし、さらに2店舗あるアパレルショップも日曜日休業しており、1階フロアーの同じ並びでやっているのは「石の華」だけになっておりました。当店は他の店舗とは客層が異なっているものの、シャッターが閉まっており人通りのない場所では、こちらのやる気も起こりません。
どうも政府が発令している緊急事態宣言も6月20日まで延長するようです。
この機会に「石の華」も6月20日まで日曜日休業する事にしました。
土曜日と水曜日(定休日)以外の平日は10時から18時まで営業しております。
今後とも宜しくお願い致します。
先週のブログを書いた後、YAHOO!ニュースで非常に興味深い記事を読みました。それは「地球中心部に大量の水素、かつては海水の50倍の水が存在 東大など示す」5/21(金)15:16配信という記事です。ダイヤモンドアンビルセルを使った実験で、地球の核には大量の水素が存在し、また原始の地球には今の海水の50倍もの水があったとみられることが分かった、という内容でした。
興奮しました。水の循環は地球表層やマントル内だけではなかったのです。地球深部の水の循環とは興味深い現象だと思いました。
地下深くでは水は岩石の一部になってしまうと思っていましたが、どうも温度と圧力次第で、液体(流体)として存在できる領域もあるようです。さらに高温・高圧の環境では熱い氷も存在するようで、水の相は多様性があるようです。
地球内部も含めた水の循環というテーマは興味深く、今後の科学ニュースが楽しみな分野です。
そんな事を思っていたところ、「水入り地球」という言葉が浮かんできました。水晶や瑪瑙やトパーズやエメラルドなど「水入り鉱物」には何か特別な魅力を感じてしまいます。それらはそれぞれ貴重なものだと思いますが、それらを集大成して「水入り地球」という存在があるのです。
ここに地球をイメージしたガラス製のペーパーウェイトがあります。
また、気泡だらけのガラス製の丸玉があります。この丸玉の内部の気泡の中に水が入っていると面白いと思います。
これらを合体した「水入り地球」のようなものが欲しくなってしまいました。
今日の天気は雨で、今週は毎日雨が降っており、まるで梅雨入りしてしまったかのようです。(北陸地方の梅雨入りはまだ発表されておりません。)
今日のブログの話題をどうしようかなぁ、と思っていると、これまで「雨の石」の話題がなかった事に気づきました。
「雨の石」でまず最初に思い付いたのが、やはり、ピソライト(火山豆石)です。それは「雨の化石」とも呼ばれることがあるようですが、火山灰と雨粒が混ざり合って生成されたと考えられている豆粒状の凝灰岩です。
石川県内では、加賀市の片野海岸にある長者屋敷跡という凝灰岩地帯のものが有名ですが、他の場所でも見られます。
上の写真は常連のOさんから頂いたもので、浅野川の上流で拾ってきたものだそうです。ピソライトらしい石がぎっしり詰まった凝灰岩の礫ですが、その模様が面白いと思います。
「雨の石」、他には店内に村雨石がありました。
上の写真は長野県の真田町から松代町に抜ける地蔵峠に産出する村雨石です。これは泥岩層に貫入してきた火成岩の接触変性作用で出来たものらしく、水玉状の斑点が面白いと思います。その模様から村雨石とは言いえて妙だと思います。
白い斑点は風化した面に現れ、新鮮な面では黒い斑点になるようです。それは同じ色が白に見えたり黒に見えたりする明度対比の錯視のようで、それも面白い現象だと思います。
今日はコロナ禍(石川緊急事態宣言下)で、雨でもあって、静かな一日になりそうです。長雨の中「雨の石」を眺めました。
枯れてしまった水入り瑪瑙の中の水はどこへ行ってしまったのでしょうか?
それは気化して蒸発し、また再度、大気中に拡散してしまったと考えられます。それは、液体として石の中に閉じ込められていた事から解放され、再び大いなる水の循環の中に旅立った、とも言えます。それは、ある時は雲に、そして雨になり川や海の水に、そして、ある時は雪や氷に姿を変えながら循環していくのです。それぞれの水の分子は離合集散を繰り返し、無限ともいえる永劫回帰を繰り返していくのでしょう。
水の循環(水の旅と石の旅)をテーマにしたジオパークが身近なところにあります。それは白山手取川ジオパークです。現在は日本ジオパークですが、今度はユネスコ世界ジオパークを目指している最中です。それは、天然記念物や世界遺産とは異なり、保護よりも保護と活用を目的としており、地域の活性化が期待できる望ましい姿です。そうなって欲しいものです。
さて、水の循環は地球という惑星ならではの現象のひとつです。
地球が他の惑星と大きく異なっている事の代表例はプレートテクトニクスです。それは地球の表層環境を理解するうえで最も重要な概念だと思います。そのプレートテクトニクスに水の存在が大きく係わっているようです。プレートの動きは、沈み込み帯では海水を取り込んで、カンラン岩が熱水変性する際にタルク(滑石 モース硬度1として有名な鉱物)を生成し、その滑りが地震や大陸移動に関与しているらしいのです。また、マントル内まで入り込んだ水はマグマを生じさせ、それが火山となります。花崗岩のような大陸地殻も水の存在が関与しているらしく、水は陸の生成にも関係していたようです。
現在の日本列島も過去のプレートの動きと密接に関係しており、そこには水の循環が関与していたという事実は、非常に興味深い現象だと思います。
水の循環は石の循環にも関係があり、両者には密接な関係性があるのです。
水関連の話題は続きます。
上の写真は、今から25年前に静岡県富士宮市の音止めの滝にあった売店で購入した瑪瑙です。(その日は、すぐ近くの白糸の滝も観光し、奇石博物館も見学しました。)
実は、この瑪瑙、買った時には、その石の中に水が入っておりました。それなりに大量の水が入っており、当時、鉱物趣味のビギナーだった私にとっては大切な宝物だったと思います。ところが、その数年後、中に入っていた水はすっかり無くなってしまいました。残念な事に、ただの瑪瑙に変わり果ててしまったのです。
「夜想33 (特集 鉱物)」(1996年 ペヨトル工房発行)という本には、澁澤龍彦夫人の「澁澤龍彦の好きだった石」というエッセイが載っており、その文章の最後に「・・・内部に水の入っている瑪瑙の団塊があります。すかして見るとたぷたぷと水の動くのが見え、耳にあてるとその音も聴こえてきたようでしたのに、澁澤が亡くなって九年の間に、水はまったく枯れてしまいました。何千年もの間、閉じこめられていた水だったのでしょうに、不思議なことです。」と締めくくっておりました。
私も同じような経験をしたような気がしました。どうも、水入り瑪瑙は水が抜ける事があるようです。
実は、もう一つ、同じような瑪瑙があります。それも、恐らく、水が入っていたようで、それを見え易くするために一面をカットして磨いてありますが、今は水が抜けています。
上の写真は、先ほどの瑪瑙と並べて撮ってみました。両者は同質のもののようです。
私は、過去に、同じように水が枯れてしまった瑪瑙に再び水が浸み込まないか、と1年位水に浸ける実験をしてみた事ありましたが、結果はダメでした。それもそのはず、地上の1気圧の環境と地中にあった環境とでは圧力の違いがある訳で、再び水を浸み込ます為には、それなりの圧力が必要なのだろうと、思っております。
同じ水入り鉱物に水入り水晶がありますが、水入り水晶の方は密閉度があるせいか、水が抜ける事はないようです。それは結晶と潜晶質との違いだと思います。
そうそう、非常に面白い水入り水晶をYouTubeで見ました。
それは、
「Beautiful Crystal & Mineral Compilation」(3:18)というタイトルの動画で、
後半の2:47~3:01頃それが出てきます。
それは同時多発的に水入りとなったようで、多くの負晶空間があって、それらの中に入っている水の中で気泡が同じ方向に動いております。非常に見事な奇跡的一品だと思いました。
水入り水晶や水入り瑪瑙(水の抜けてしまった瑪瑙も含めて)という存在は、液体の水が存在する地球のもので、ある意味、地球環境を物語る極めて地球的な鉱物なのだろうと思います。