ようこそ石の華へ

鉱物の部屋へのいざない

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面白い水晶7

2024-07-26 11:26:44 | 日記・エッセイ・コラム

今日も面白い水晶です。

上の写真は、数年前に入手したブラジル産の水晶です。

この水晶の面白いところは、ブリッジのような部分があったり、ねじれている部分があったり、見どころがたくさんあるところです。

また、その全体像も面白く、あるお客さんは、その姿に龍神を見たりしましたし、一角獣・ユニコーンの姿のようにも見えてきます。

ひとつの水晶から様々な想像を搔き立てられるところが面白いと思います。

もう一つ、これまた板状のクラスター?と言っても良いような面白い水晶です。

上の四つの写真は、同じ水晶の位置関係を変えて撮ったものです。

それぞれの上部に水晶の頭の部分らしきところがあります。どの方向からも不定形な形のように見えますが、もしかすると、不定形なバロック真珠のように、その形に何かの意味を見い出すことが可能かもしれません。

上の写真は裏面のものです。小さな板状の水晶が張り付いております。そして、それが板状のガーデン水晶である事もわかります。

やはり、水晶の面白さは、そのバリエーションの多さにあり、変幻自在な様相を楽しめる事でしょうか?

鉱物コレクションの世界では珍奇鉱物と言う呼び名もあるようですが、その代表は、やはり、水晶のような気がしております。

 

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面白い水晶6

2024-07-23 11:19:35 | 日記・エッセイ・コラム

今年の猛暑もすさまじく、今日は北海道を含む全国40都道府県に熱中症警戒アラートが発表されているそうです。

そんな中、全館空調で比較的涼しい店内で今日のブログを書き始めております。

そう言えば、昨日、あるお客さんから面白い話を聞きました。

「地球温暖化で、今後ますます暑くなっていくとすると、未来よりも今現在の方が涼しいという事になり、そう思えば、今の方が幸せですね!」

確かに、その通りで、暑さに嘆くよりも、考え方次第で涼しくなれそうです。

さて、今日は久しぶりに「面白い水晶」です。このタイトルは今回で6回目となります。

上の写真も先日の非売品販売という販売会で入手してきた水晶です。

この水晶の面白いところは、完全なダブルポイント?の板状水晶だというところです。

そのサイズは縦11cm,横6cmに対し、厚みは1cmしかありません。

上の方には二つの水晶が合体したものである事を物語る部分があります。

平たい柱面?を見ると、ルチルらしき鉱物がインクルージョンしております。

元オーナーのマイコレだった事が納得できる水晶だと思います。

もう一つ、上の写真は普通の厚みのある水晶の結晶に、これまたユニークな板状の水晶の結晶が張り付いております。

母岩となる水晶の方はセルフヒールドした破断面がある水晶ですが、板状水晶の方は完全な両錐?になっております。

その接合の具合が絶妙とも言えるバランスでしっかり張り付いております。

これも元オーナーのマイコレらしい一品だと思います。

水晶好きは奇妙な板状水晶も好むと思いますが、今日の水晶は水晶好きにはたまらない一品のように思えます。

 

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ソシュール2

2024-07-18 17:03:16 | 日記・エッセイ・コラム

このブログでは過去に「ソシュール」(2020.03.06)というタイトルで一度書いておりました。

先日、非売品販売というある興味深い販売会に行って参りました。

上の写真は今回入手したものの中のひとつです。

これはSagenite of Saussureというルチルの結晶です。煙水晶の錐面のひとつの面にぎっしり張り付いています。水晶は六角柱状の完全結晶ではなく、その一部の破断のものですが、ルチルとしては非常に立派な標本だと思います。

このSaussureとは言語学者ソシュールの先祖のオレス・ベネディクト・ド・ソシュールの事で、「これらの小さな結晶は通常、平行四辺形の網目状のネットワークを形成するために、同じ角度で交差します。この特異な性質から、この石に名前を付けるのが適切であるように思えました。私はそれを、ギリシャ語とラテン語で網を意味するsagenaに由来するSageniteと名付けました。」(1796年)という言葉が残っております。

もう一つ、上の写真は同じ販売会で入手したヘマタイト(赤鉄鉱)と思われる標本です。

同じようなSageniteのような幾何学的な模様がありました。それも立体的に複層しているようにも見えます。

・・・。両者は似ています。そこには鉱物ならではの鉱物種の違いを越えた幾何学的秩序があるような気がします。

このような結晶構造はどのように成長してそうなったのでしょうか?

一見、複雑そうで、恐らく、思ったよりも単純な法則に従って自己組織化していったのだろうと想像できます。

それを凝視しているとだまし絵を見ているかのような錯覚に陥ってしまいます。その辺が、この標本の面白さの一つなのだろうと思います。

 

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シュンガイト2

2024-07-12 11:09:36 | 日記・エッセイ・コラム

今日はシュンガイト2です。このブログでは過去に「シュンガイト」(2022.12.02)というタイトルで一度書いておりました。

シュンガイトは謎の多い鉱物ですが、近年、以前から知られていたフィンランドのカレリア地方産とは別にコロンビア産のものも流通しているようです。

上の写真がそれです。

数年前に突然流通し始めたブラジル産の黄鉄鉱が付着したものは怪しい感じがしましたが、今回のコロンビア産のものは見た目の質感と、手に持った時の比重の感じが本物のシュンガイトと同じように感じてしまいました。

シュンガイトは天然のC60・フラーレンからなる鉱物として知られています。炭素だけからなるダイヤモンドや石墨とは結晶構造が異なる第3の物質として注目を浴びた鉱物です。その結晶構造はサッカーボールのような球体で、中が中空になっている不思議なものでした。それはバックミンスター・フラーの名前が由来のフラーレンという形をしており、対称性の高い美しい形です。

上の写真は、数日前にあるお客さんから頂いたものです。水晶のビーズを編んで作ったそうで、それは正しくフラーレンの結晶模型でした。私は非常にうれしくなり、店のバックヤードの棚に入れてあった水晶のカットビーズで編んだ正12面体の同じようなものをお返しとして差し上げました。ありがとうございました。

このバッキーボールを見ていると規則的に正五角形と正六角形からなる実に美しい形だと惚れ惚れしてしまいました。

 

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構造色2

2024-07-09 10:39:51 | 日記・エッセイ・コラム

このブログでは過去に「構造色」(2012.08.14)というタイトルで一度書いておりました。

国宝 曜変天目の美しい光彩は構造色に起因している事は既に分かってきたことですが、石の世界にも美しい光彩現象はあります。それは虹彩と言った方が適切かもしれません。

石好きさんは、ほぼ全員虹色好きさんと言えるような気がします。石の世界でも虹色は重要なのです。

石の世界の虹も、本来の虹と同じように構造色です。

ただ、その構造色の中でも異なるメカニズムで虹色が出現します。

構造色は光のスペクトルの波長によって色の種類も変わるのですが、石の世界の虹色のタイプはその構造によって幾つかに分けられるようです。

まず、最初は、比較的単純なメカニズムの光の薄膜干渉です。シャボン玉の虹色や、油膜による虹色ががそれです。例えば、アイリスクォーツのような水晶内の薄いクラックや水晶の結晶同士の接合面に現れる虹もそれです。それは、透明度の高い結晶内でしばしばみられます。同じ原理の虹はアメシストやスモーキークォーツなどにも見られ、非常に美しい濃い虹色を醸し出します。

もう一つは、光の多層膜干渉です。多層膜干渉による虹は、一枚の薄い膜に起因するのではなく、薄い膜が何層も重なり、その多層膜に光が通る際の干渉に起因する虹です。
螺鈿や真珠などの構造色がそれに当たります。石の世界では。例えば、レインボーガーネットの虹色がそれに当たります。他には、アンモライトの虹色などもそれでしょうか。レインボーオブシディアンの構造色も多層膜干渉色だと思います。

また、光散乱という発色もあります。青空や夕焼けなどの発色がそれに当たり、レイリー散乱とかミー散乱とかがあります。ムーンストーンのシラーやラブラドライトの発色はそれでしょうか。

それから、フォトニック結晶という構造も構造色を発色します。鉱物のオパールは結晶ではなく微細な粒状の集合体と考えられていますが、その非晶質なシリカの粒のサイズが一定で規則正しく3次元的に並ぶと遊色という美しい虹色を醸し出します。そのような遊色も構造色の一つに考えられているようです。

もう一つ、岩石の薄片を偏光板で見る顕微鏡画面の美しい虹色も偏光による虹色現象のひとつだと思われます。

いずれにせよ、石の世界の構造色はとても美しく魅力的です。発色の原理は違えど、様々なメカニズムから生じる様々な構造色は、一つもしくは複数の原理が関与して、石の世界の多様性を物語り、石好きさんを楽しませてくれております。

今日の写真は、メキシコ産のオパールです。肉眼的には写真よりもっと美しく見えるのですが、その金属光沢を持ったような遊色には、構造色という原理の理解を超えて魅せられてしまいます。

 

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