今日は「桜石2」です。(過去に「桜石」2012.04.12というタイトルで一度書いております。)
昨日、通りがかりの外国人の若い女性が来店しました。店頭のショーケースの中の鉱物を見て「すごい!」と日本語で言いながら店の中に入ってきました。彼女は数分間、店の中を見回り、それから、日本語で「何か?日本らしい石はありませんか?」と聞いてきました。外国人旅行客は横暴に英語で話しかけて来る事が多いのですが、彼女は笑顔で、しかも、日本語で話しかけてきましたので、好感が持てました。どうも、大学で日本語を学んだらしく、日本語のガイドをしているらしいのです。
外国人との日本語の会話は大歓迎です。その彼女の「日本らしい石」という質問に対して、私は「それなら桜石はどうでしょうか?」と桜石を紹介しました。(私的には翡翠ではないのです。どうしても翡翠というと中国というイメージがあり、それは日本らしい石ではないのです。)
上の写真は彼女に見せたものと同様のものです。(ルースケース入りで蓋を開けた状態)
彼女は「ステキ!」と言いながら、それがどんな石なのか?を聞いてきました。それは菫青石の仮晶なのですが、簡単にうまく説明できなかったので、桜石の英語名(Cerasite)を伝えました。すると、彼女はスマホですぐに検索して、その説明に納得して、すぐに購入を決めてくれました。
ちなみに、日本語の桜石でWeb検索すると、上位に、「【超稀少】桜の国、日本でしか見つけることが出来ない桜石【レア】」というまとめサイトが出てきますが、そのサイトに出て来る栃木県産の桜石の写真は私が撮ったこのブログの写真です。無断使用です。それから、桜石は天然記念物になっておりますが、ミネラルショーなどでは普通に売っていて、超希少でもレアでもありません。
彼女はこれから京都に行く、と言いましたので、その桜石は京都産ですが、それは天然記念物になっておりますので、採集はできません、という説明もしました。
桜石は福井県でも採れます。上の写真は常連のOさんが採集してきて頂いた美浜の耳川産の桜石です。
ところで、桜石にはひとつ忘れられない思い出があります。
それは、私が東京に住んでいた頃の話で、当時は鉱物には関心がなかったものの、なぜか?偶然に?第一回東京国際ミネラルフェア(1988年の新宿ショー)に行っており、その会場で初めて桜石を見て、その存在を知りました。その時は購入はしませんでしたが、なぜか?印象深く思ってしまいました。思えば、私にとっては、子供の頃、黄鉄鉱、黄銅鉱、水晶等に魅かれていたものの、その後、忘れてしまい、再度、鉱物愛に目覚めるきっかけをつくってくれたのが、その桜石だったのかもしれません。
そういう意味で、桜石は、私の鉱物趣味歴でいうルネサンスの象徴のような石なのです。