今年の「石の華」の営業は本日までです。今年は、コロナ禍の影響もあり、売り上げは大きく落ち込みました。特に4月・5月の休業が響いておりますが、持続化給付金や家賃補助のお陰で、何とかやっている状態です。そんな状況下で、10月10日には隣の区画の「石の華 弐」に引っ越し、リニューアルオープンしました。新しいお客さんも増えつつありますが、やはり、売り上げの大半は、常連さんとリピーターさんとで成り立っております。それはそれで、ありがたいことだと思っております。感謝しております。
さて、来年はどんな年になるでしょうか?
コロナ禍はまだまだ続いていくでしょう。「石の華」も感染症対策を十分にしていかねばなりません。
そういう意味で、三密にならないようにします。
来年の初売りは1月2日(土)ですが、恒例化しているバーゲンセールは中止します。ポルテ金沢提供の干支の土鈴プレゼントもなくなります。(ご来店のお客様には、別のサービスを考えております。)
今年の年末年始は大雪の予報が出ております。新春初売りサービスは1月12日(火)まで続けたいと思っておりますので、雪の状況を見てお越しください。ご来店をお待ちしております。
本年はお世話になりました。また、来年も宜しくお願い申し上げます。
今日はマーブル(ラテン語で「輝く石」という意味)です。
このブログは石のブログだからと言って、マーブルと言っても大理石の事ではありません。
上の写真は、以前、近くのもてなしドーム地下広場でやっていた古書イベント会場で高橋麻帆書店から購入した古い洋書の裏表紙の板紙です。マーブルと呼ばれておりました。恐らく、その墨流しのような模様からそう呼ばれていたのだろうと思います。
そのマーブルは美しく、古書の一部分でありながら、それそのものが美術品のような感覚で売られておりました。
それがどのような内容の古書だったのかはわかりません。それは元の本とは完全に分離・独立した物質として存在しておりました。そして、それが板状の鉱物のように思えました。古書市でそのようなものが売られている事を知りませんでしたので、新発見したような気になってしまいました。
私は主に石の本を集めていた古書コレクターでもありましたが、そのようなマーブルを買ったのは初めてでした。それは読むための本ではありません。単なる破れてしまった古書の一部です。そのような物に価値があるのでしょうか?・・・。
ところで、有機ELの大画面で見る4Kのインク流しのマーブル映像は非常に美しいと思います。そのような環境ビデオのような作品はたくさんあります。それらを見ていると、その昔のブラウン管モニターの時代のスクリーンセーバーを思い出してしまいます。その美しさに惹かれてMACを購入してしまった事を思い出してしまいました。
そのMACを購入した頃の私には今のような鉱物趣味はありませんでした。ただ、マーブル模様のスクリーンセーバーを見て、美しいと思った私の美意識は今と同じだったようです。
先日の新入荷の仕入れ品の中に興味深い標本がありました。
上の写真がそれです。
これはブラジル産のリチアトルマリンです。一見、ウォーターメロントルマリンのように見えますが、風化が進んでいるせいか、それほど魅力的ではありません。安価な値段にしようと思って、それを見直すと、内側のピンクトルマリンの部分が何か変です。よく見直すと、その部分は、どうも雲母化しております。もしかすると、その部分だけがリチア雲母化したのでしょうか?同じリチウムの成分のまま、結晶構造が変化し、雲母化してしまった仮晶なのかもしれません。緑色の部分はトルマリンのままで、内部だけが雲母化した仮晶といえるものかもしれません。そういう意味では珍品といえるかもしれません。
リチア雲母化したリチア電気石の仮晶なら見た事があります。ウォーターメロントルマリンの外側の皮の部分だけがそのままで、中身だけが仮晶化する事があるのでしょうか???
いずれにしても、仮晶に変化するメカニズムは不思議です。
宝石質のウォーターメロントルマリンは高価ですが、中身だけが雲母化しているウォーターメロントルマリンの価値はどのようなものでしょうか?
長ネギのように見えるリチア電気石が話題になった事がありましたが、今回のリチア電気石も、同じように面白いものだと思いました。
現在、東京で東京ミネラルショー(池袋ショー)が開催中ですが、今年はコロナ禍の為、どのミネラルショーにも行っておりません。ただ、東京ミネラルショーで販売していたカレンダーだけは入手したかったのですが、今年はどうも制作されなかったようで、これまで毎年のように店内に貼っていた鉱物カレンダーが無くなり、少し寂しい思いをしております。
で、来年用の鉱物カレンダーを探したところ、地質標本館が「2021鉱物カレンダー」を出しておりましたが、残念ながら、既に完売となっておりました。
で、近所の書店に行き、来年のカレンダーを見に行きましたが、これは!といったカレンダーはありませんでした。
で、Webにてカレンダー探しをしました。ところが、なかなか鉱物カレンダーは見つかりませんでした。やはり、まだまだ鉱物趣味はマイナーなのでしょうか?
で、結局、行きついたところが「透明絶景」(山と渓谷社)です。
透明絶景という甘美な言葉に魅かれてしまいました。美しい大判の透明絶景の写真も気に入りました。これなら鉱物カレンダーに代わって店に貼れるような気がしております。
思うに、この「透明」というキーワードは鉱物趣味でも重要です。水晶に代表されるように透明度の高い標本は高評価になります。宝石鉱物も然り、「透明」は標本価値を上げる最も重要な要素なのだろうと思います。
さらに、アクリル板やビニールシートなどの透明素材もウィルス感染防止に役立つものとして重要です。世の中には、透明なフェイスシールドだけではなく透明マスクも登場したそうです。
「石の華」の店内にも透明ガラスのショーケースや透明シートを貼った大型の透明ガラス板の什器があります。標本ケースも主に透明アクリルのものを使っております。パソコン前とレジの前には感染防止の為の透明アクリルボードも設置してあります。店内でも「透明」は重要なキーワードだったのです。
「透明」とは自らの存在を無くす事に価値がある面白い存在です。
今更ながら、透明な「透明」の存在の重要さを再認識してしまいました。
先日、石の買い取りを希望しているという不動産業をしている若い男性が店にいらっしゃいました。これまでも、亡くなった愛石家の遺族の方から、そういったお話がありましたが、生前に親交のあった方以外は、基本的にお断りしておりました。約50年前に、水石を中心に愛石ブームがあった事からでしょうか、最近、遺愛石を売りたいというお話が増えてきているような気がしております。
今回は、遺族の方からではなく、手掛けているビルの一角にたくさんの石があり、それを処分したいという不動産業の人の話で、台座付きの石以外に水晶なども混じっているというお話だったので、先ずはその現場を見てみたいという気持ちになり、比較的近場だったのでそれらを見に行って参りました。
そこは長屋のような商店街にある古いビルでした。その中に古書や骨董品などと共に多くの遺愛石が並んでおりました。それらは持ち主の手作り台座にのっており、石への愛着が感じられました。大半は近辺の河原から拾ってきた観賞石の類で、何となく気が重くなってしまいました。中には化石の類もありましたが、それらは、除くという条件だったので、私は、ざっくりと、まとめて切の良い金額提示をしました。それほど興味があったわけではありませんでした。・・・。
後日、商談成立と言う連絡が来ました。
今日の写真はそれらの中に混じっていた一石です。
これは、この辺、加賀地方によくある球顆流紋岩上の玉髄です。ただ、面白いと思ったのは、その形状が何となく花のように見えるのです。フラワー・カルセドニーとも言えましょうか?プルーム・アゲートの一種とも呼べるものだと思います。
フラワー状の水晶なら、それほど珍しくない、とは思われますが、フラワー状の玉髄?は見た事がありません。鍾乳石状やグレープカルセドニーのような葡萄状の玉髄ならよく知られた存在です。そういう意味では、今回のフラワー・カルセドニーは珍品だと思いました。
このような石に出会えたのも、その石と縁があったからで、石の店をやっていたからだと思いました。