昨晩は特別な日だったので、お店が終わった後、近所で外食し、その後、自宅に戻って飲み直しました。自宅で飲んだのは1963年産のブランデーです。50年前のお酒のせいかブランデーというよりも何となく紹興酒のような味がしました。私が40歳の時に飲んだ1957年産のポルトワインの味を思い出してしまいました。
今日は「近代デジタルライブラリー」です。
「近代デジタルライブラリー」は国立国会図書館が明治・大正・昭和前期の資料を公開しているインターネット上の電子図書館の事です。昨日飲んだブランデーは古くても50年前のものでしたが、「近代デジタルライブラリー」では100年前の文献資料が見れます。普通の古本屋さんではさすがに100年前の古書を入手する事は中々困難なのですが、近代デジタルライブラリーでは簡単に古い本が探せます。
最近、古い文献を探す要件があり、その過程の中で「近代デジタルライブラリー」の存在を知ってしまいました。チョッと調べてみると、そこは貴重な文献の宝庫でした。「近代デジタルライブラリー」の検索をしてみると、当初の調べものよりも、興味深い資料が次々と出てくるので興奮してしまいました。
「近代デジタルライブラリー」は著作権が切れた古い図書資料です。そこにあるのは確かに古い資料なのかも知れませんが、その分、貴重で、それらにはビンテージもののお酒のような味わいがあります。そのような味わいと共に、場合によっては新しい発見もあります。まさしく「温故知新」です。
そこには鉱物趣味的な好奇心にも応えられる文献資料が豊富にありました。
例えば、和田維四郎の図書資料は20件ありました。もちろん数年前に100年ぶりに再版された「日本鉱物誌」も入っています。私が特に興味深かったのは「晶形学」(1879年)です。結晶形態図が満載でした。それから市川新松の図書資料は7件ありました。「奮闘五十四年」(1924年)もありました。その他、Google eブックスにも入っている「大鉱物学」(佐藤伝蔵著1914年)はもちろんの事、鉱物学関連の文献も豊富にありました。
「近代デジタルライブラリー」だけでも一生過ごせそうです。さらにそのコンテンツはまだまだ増加中です。どうも一生では足りないようです。
本当に良い時代になったと思います。
今日は「鉱物学雑誌」です。
「鉱物学雑誌」とは日本鉱物学会が発行していた出版物です。現在は日本鉱物学会と日本岩石鉱物鉱床学会の統合により設立された日本鉱物科学会が発行している「岩石鉱物科学」に継承されています。
今頃、何で「鉱物学雑誌」の話題か?というと、先日、過去のある論文を探す要件があって、自宅にある「鉱物学雑誌」のバックナンバーで論文探しをしました。
私は学者ではありませんので、日本鉱物学会にも日本鉱物科学会にも所属していません。私がなぜそんな学会雑誌を持っているのか?というと、2002年3月に閉店した東京の凡地学研究社の閉店セールに出品されていた「鉱物学雑誌」のバックナンバー・セットを購入したからです。私は鉱物コレクターであり鉱物関連の本のコレクターでもあったのです。凡地学研究社で買った「鉱物学雑誌」は1952年の創刊号から1965年までの第7巻第3号までです。
先日はそのバックナンバー全てをチェックしましたが、探していた論文は見つかりませんでした。ただ、面白かったのはバックナンバーを見ていると、その時代の鉱物学的な関心がどの辺にあったのかが垣間見れた事です。それと学者の論文の形式が読み取れた事です。素朴に思うに、学者の文章は難しく、分かり難い、と思います。それは、それを読む読者の知識レベルがその論文内容のレベルである事を想定して書かれているからでしょう。中には極端な省略や書いている本人以外には理解不能であろうと思われる表現も見受けられました。そういう意味で学会雑誌はあまり面白くありません。分かり難い事がステータスなのか?とも思ってしまいます。
先日の論文探しは結局、目的を達成できませんでした。そのかわり、というのも変なのですが、面白い事に気付きました。
それは何かというと、実はインターネット上で「鉱物学雑誌」の論文は読む事ができます。もっというと、かなりの学会誌の論文はインターネット上で探せます。それはJ-STAGEというサイトです。そのサイトでは学者以外の一般の人でも各種の論文を見る事ができます。そのようなサイトは我々のようなアマチュアにとっては非常にありがたい存在です。社会的な情報の共有化ともいうのでしょうか。良い時代になったと思います。
そういえば、国立国会図書館や東京大学総合研究博物館等のデジタル化資料も非常に充実してきております。鉱物に関するデータベースもありがたい存在です。
インターネットの世界は日々進化しています。鉱物趣味的にも良い時代になったと思います。
今日は「鉱物愛好者」です。
「鉱物愛好者」とは中国(上海)の鉱物雑誌(季刊)の事です。
昨日、知人にお願いしてあった「鉱物愛好者」のバックナンバーが届きました。私はつい最近までこの雑誌の存在を知らなかったのですが、先日バックナンバーの3号・4号を見てからバックナンバーが欲しくなりました。「鉱物愛好者」は2009年に創刊しており、日本の「ミネラ」とほぼ同時期に創刊した事になります。昨日は創刊号を含めて12冊のバックナンバーが届きました。
そのバックナンバーを見ていて、中国語が分からないものの、載っている鉱物写真を見るだけでも中国の鉱物は凄いなー、と思ってしまいました。そこには、ため息の出るような結晶鉱物の写真が数多く載っており、中にはまさしく「石の華」というようなものもありました。特に辰砂の特集号では二つの平行6面体の完全に貫入双晶しているものや、デューラーの八面体そっくりのものがあったりで、今更ながら、中国産鉱物の凄さを再認識してしまいました。ブラジルやロシアもそうですが、国土の広いところからは何でも出てくるようです。世界にはまだまだ知らない美しい結晶鉱物がたくさんあるのだ、とも思いました。
中国語の雑誌は漢字が並んでおり、難しいという印象が伴います。ただ、美しい鉱物写真には癒されます。分からないままに見ていても、漢字と写真の組み合わせは、ハングル文字を見ている時のような酔いのような感覚が生じません。同じ漢字文化で育ったせいか、それほど違和感なく見る事ができます。
「完美」という二文字と美しい結晶鉱物の写真だけで構成されている広告にも唸りました。その広告からはファッションブランドの広告から受けるのと同じような甘美な印象を受けました。鉱物に対する愛石の思いはどうも我々と同じようです。中国というと昨今はネガティブな印象を受ける事が多くなってきましたが、鉱物に対する愛石の思いは同じなのです。鉱物趣味に国境はありません。鉱物と人との関係は世界中どこでも同じなのです。
「鉱物愛好者」のバックナンバーはしばらく店に置いておきます。ご興味のあられる方は申し出て下さい。いつでもご覧頂けます。
今日は「鉱物標本フィギュア」です。
本日は水曜日で定休日なのですが、一部が剥がれて来た壁紙シートの張り替え工事で、店に出てきています。そうそう、7月は水曜日も休めません。毎日が営業日となります。
さて、「鉱物標本フィギュア」とは鉱物標本とそっくりな樹脂製のフィギュアの事です。ただし、まだ世の中には存在しません。私の妄想の産物です。
それは海洋堂のフィギュアのようなイメージの鉱物標本の模型です。それは本物そっくりなもので、原寸サイズです。樹脂製ですから透明感等は再現できないかも知れませんが、結晶形態は原物と全く同じものとなります。あったら欲しいなー、と思います。
そのような私の妄想の産物を造る事は可能でしょうか?
恐らく、3Dプリンターを使えば、安価に比較的容易に造れるような気がします。形態だけなら本物そっくりの人工黄鉄鉱が造れそうです。
妄想は広がります。
美しい結晶をした鉱物標本は希少で高価です。これまでは、それを所有する事は限られた人だけでしたが、鉱物標本フィギュアなら複製できますので、欲しい人の為のオーダーメイドも可能です。
妄想は広がります。
原物がなくとも3Dデータさえあれば、理想的な鉱物標本フィギュアは造れます。さらに、あらゆる種類の多面体模型も造れます。複雑な相貫体の模型も製造可能です。ただし3Dなので高次元多面体は製造不可能です。
妄想は広がります。
それは原寸でなくとも拡大・縮小が可能です。巨大なダイアモンド結晶も造れますし、掌サイズのエアーズロック等も造れます。
もっと言うと、ミクロの世界では原子やクォークのフィギュア模型、マクロの世界では惑星や銀河や宇宙全体のフィギュア模型も造れます。
何となく、疲れて来ました。止めます。
今日は「平行6面体に見える黄鉄鉱2」です。
先日のブログ記事の続編です。
先日来、野呂さん、TYさんとコメント以外にもメールのやりとりが続いております。PDFを公開しなければならない義務みたいなものも感じていますので、これ以上溜まらない内に、私の正確な理解を待たずに公開します。
上のPDFが野呂さんから送られてきたものです。正直、私は正確に理解している訳ではありませんが、12面体が平行6面体に成り得る事実を知って驚きました。ここには何か奥深い秘密が潜んでいるような気がします。
このようなコンピュータ・シミュレーションは従来の常識を超えて新たな知の領域へ踏み込んでいくような予感がします。ジャンルが違うものの、平行多面体に関する元素数のような新しい定理に相通じるものを感じてしまいます。
TYさんからは「なぜ、半面像、四半面像の結晶ができるのか?」という質問も投げかけられています。
黄鉄鉱は単純な鉄と硫黄の化合物ですが、その結晶には多様性と結晶世界の神秘が詰まっています。
私は鉱物趣味にはまった初期には、正確な正6面体をしている黄鉄鉱の結晶を見て、それが自然が造ったものとはどうしても思えませんでした。さらに貫入双晶したものには驚きすら感じておりました。さらにさらに黄鉄鉱には球状の集合結晶もあります。黄鉄鉱は知的好奇心を刺激し続けてくれる存在です。
人とコンピュータはそのような結晶世界の神秘を少しずつ解き明かしていってくれるでしょう。
今後の展開が楽しみです。