ようこそ石の華へ

鉱物の部屋へのいざない

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【定休日は毎週水曜日です。】【7月も毎週日曜日は休業します。】

禄剛崎

2018-05-31 11:37:25 | 日記・エッセイ・コラム
この前の日曜日に石川県鉱物同好会の採集会で能登半島の最先端である禄剛崎(ろっこうざき)に行って参りました。



禄剛崎一帯には海岸段丘が発達し、狼煙(のろし)灯台とも言われる禄剛崎灯台の下の沿岸には千畳敷と呼ばれる海食台地があり、鬼の洗濯岩のような景観が広がっております。(私は石川県人なのですが、実は初めて行きました。)



そこはシルト岩だと思われる泥岩質の地質で、比較的柔らかい岩質のせいで、崖から崩落した岩が、海の波に洗われて無数の細かい転石になって転がっておりました。また、海岸にはたくさんの海食性の甌穴もありました。景観的にも地質的にも面白い場所だと思いました。



採集会の主な目的は能登銀石(硫化瑪瑙)を拾う事だったのですが、残念ながら、その日の収穫は皆無でした。

その代わり、面白い石達に出会いました。今日のブログはその紹介です。

まず、最初は穴のあいた石です。



この穴は恐らく何かの海洋性生物のあけた生痕化石だろうと思います。このような石がたくさんありました。





次は小石に付いていた黄鉄鉱です。この黄鉄鉱は母岩のひび割れた隙間で成長したものだろうと思われますが、その結晶が転石となった小礫に絶妙な感じで付いており、しかも母岩と共に角が取れて摩耗している様が非常に面白いと思います。

最後は母岩の表面に付いていた2、3ミリほどの微細な何かの鉱物の結晶です。石膏か?あるいは何かの沸石でしょうか?針状結晶が放射状になっており、面白い鉱物だと思います。





海岸での探石でしたが、鉱物同好会らしい鉱物採集会になったと思います。

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アサリの模様

2018-05-25 12:11:18 | 日記・エッセイ・コラム
今朝の我家の朝食にアサリの赤だし味噌汁が出ました。私は待ってましたと言わんばかりにその貝殻の模様をチェックしました。



上の写真はその最初の一個です。山並みの模様に見えます。いきなり大当たりでした。



次は二個目です。またもや山並みの模様に見えました。またもや当たりでした。

私は大喜びし、食事を忘れて山並み模様探しを始めましたが、三個目はすぐには見つかりませんでした。一旦、外れだすと中々当たりは出てきません。そうこうしているうちに妻から窘められてしまい、食事に専念しました。そして、しばらくすると、今度は妻のお椀の中から次の貝殻が見つかりました。





上の2枚は同じ貝殻です。微妙に模様が違いますが、同じく山の風景のような模様でした。これも当たりだと思います。

この3個の貝殻は洗って保存する事にしました。そして、今日のブログの話題にしようと思って、店に持ってきました。

事の起こりは、常連のDさんから見せてもらったあるtwitterの画像です。その画像には「アサリの酒蒸しに風景画が混じってた。」として富士山の模様があったのです。私は感動しました。そこには石の中にある風景画と同じような世界があったのです。このブログでも過去に「風景画」(2014.12.03)で風景画のように見える石の模様の話題を書いております。

今日はアサリの貝殻模様です。今日のアサリは熊本産らしいのですが、Web検索してみると、同じように山々の風景のような模様をした写真が複数出てきました。中には中国の山水画のようなものがあったり、カナディアンロッキー山脈をモチーフにしたデザインのようなものがあったり、非常に面白いと思いました。

それらをグループ分けして分類している人もいるようです。アサリは石と違って生物ですから、個体同士の違いはあっても遺伝的な影響があると思われるので、似ているグループがあってもおかしくありません。

石のコレクターの中には貝殻のコレクションをしている人もいるようで(有名なところでは櫻井欽一氏がそうでした。)、貝類のコレクションも楽しそうです。・・・。

ただ、「石の華」的には広がり過ぎるので、やめときます。


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洞窟5

2018-05-22 16:01:11 | 日記・エッセイ・コラム
今日は「洞窟5」です。「洞窟4」(2017.02.17)で書いた待望の洞窟写真集「CAVE EXPLORER」(風濤社)が出ました。早速、購入して見ました。・・・。

ところが、何かが違って、それほど面白くないのです。期待が大きかった分、少しガッカリしております。それはどうしてでしょうか?洞窟好きの私なりに少しだけ考えてみました。

まず、「洞窟ばか」(扶桑社)が面白かっただけに、その落差が大きかったのだろうと思います。それから、その写真集の写真は既に見た事のあるものだったからです。(雑誌「Newton」2018年6月号に同じ写真が数点載っておりました。)また、せっかくの大型本なのに中綴じ見開きでは写真の魅力が半減しました。

恐らく、一般の読者には、吉田勝次さんが思っているほど、その感動が伝わっていないような気がします。変な言い方かもしれませんが、それは他人の旅行写真があまり面白くないのと同じようなもので、同じ時空にいなかった人には伝わりにくいからなのだろうと思います。逆に言うと、同じ現場にいた仲間達には強烈な感動があると思います。それは一種の戦友とも言うべき関係で、同じ体験をして同じような感動を共有した者にしか伝わらないような事なのだろうと思います。ただ、それは当事者だけの自己満足に過ぎない、とも言えます。

そのリアルな洞窟からの感動を、それがどれほど凄かったのかを伝える事は非常に難しい事です。それは撮影テクニックやカメラや照明などの機材の問題でもないはずです。

それから、もしかすると、吉田さんはTVや雑誌等に出過ぎで、有名人になってしまっている事も影響しているのかもしれません。私は無名を好みます。

そんなような事を考えている、そんな中、とんでもないTVの洞窟番組を見ました。

それはNHK-BSプレミアム「体感!グレートネイチャー 大地が語る!地球最古の記憶~南アフリカ~」です。この番組では太古からの地球史の出来事とダイヤモンドや金の産出の関係が語られたり、アフリカ大陸最長のダイナミックな滝が見せる朝日でオレンジ色に染まる一瞬の絶景があったり、コマチアイトの露頭が出てきたり、フレデフォート衝突構造のシュードタキライトが出てきたり、隕石衝突によるインパクトメルトが出てきたり、他にも見どころ満載でした。そして、何と言っても圧巻はその名もアルマゲドン洞窟でした。それは石灰岩の鍾乳洞や火山の溶岩洞窟とはまた別のタイプの洞窟で、隕石衝突による断層構造洞窟でした。そこでは、お馴染みの霰石の結晶も見事でしたが、それよりも虹色に輝くマンガンの鍾乳石や銅とコバルトの成分で緑と青に透けるバイカラー鍾乳石も美しい自然の造形でした。そして、洞窟の最奥部に存在する酸化鉄で出来ている特異な形状の鍾乳石(ラプンツェルのドレッドヘアーと呼ばれている)は世界中でそこにしかない初めて見るものでした。詳しい成因はまだ謎だと言っておりましたが、滴った鉄の成分がドレッドヘアーのように積もり固まって出来た造形のように思えました。それが約20mもの長さになっているのです。悠久の地球史的時間を感じざるを得ません。また、それの発見はまだ数年前で、そこに辿り着いたのはまだ12人しかいないと言っておりました。そんな所へ若い女性ディレクターが取材で行ったという事、また、それが世界初放送であったという事、等々、驚きの連続でした。

最後にそのラプンツェルのドレッドヘアーと呼ばれていた鍾乳石に似た雰囲気のものの写真です。



これは、店に置いてある「銅滴」(住友金属鉱山 別子事業所が製造したもの)です。銅鉱石を鎔鉱炉で精錬した際に出来る粗銅の滴が積み重なったものです。何となく似ているような気がします。


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誤訳2

2018-05-18 10:36:45 | 日記・エッセイ・コラム
今日は「誤訳2」です。(ちょうど1年前に「誤訳」2017.05.19というタイトルで一度書いておりました。)

先日、Web検索した鉱物に関するホームページで非常に奇妙で面白いウェブサイトに出会いました。それは次のサイトです。

https://www.jove.com/science-education/10007/-i-?language=Japanese

物性 i: 鉱物の結晶と胸の谷間

それは日本語に自動翻訳された科学教育動画の一部だったようですが、それを読んだ瞬間に思わず吹き出してしまいました。

最初は真面目な文章にしては、何か変だなーと思いつつもそのまま読み進むと、その誤訳と「観察」という翻訳が合わさったり、「貧しい」とか「良い」とか「優秀な」とかと合わさると、どうしても笑ってしまいました。(1990年製作の日本映画のタイトルを思い出します。)

そう、その誤訳とは「劈開」(へきかい、英: cleavage)の事でした。正直、私はこれまで「劈開」の英語訳に「胸の谷間」という意味がある事を知りませんでした。

「劈開」は「石を割る」(2018.05.07)中でも意味深い行為のひとつです。その英語cleavageにそんな意味があったとは!!

セクハラという行為が社会的な問題となっている昨今、こんな話題をブログで書いて良いものか?という疑念もあり、どうしようか?と迷っていたところ、数日前に、常連のDさんが来店し、試しに、その誤訳の話をしてみました。すると、Dさんも大笑いでした。

そのような実験結果もあって、今日のブログの話題にしてみる事にしました。

どうでしょうか?もし、問題があったらこのブログは消去します。

最後に今日の写真です。



まず、劈開で平行六面体にした方解石です。



次は、劈開で八面体にした蛍石です。

自然の秩序は美しいと思います。


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双子

2018-05-11 12:25:59 | 日記・エッセイ・コラム
昨日の夕方の事です。ゴールデンウィーク明けの週の平日にしては珍しく多くの売上があり、早く店じまいして帰りたいと思っていた時に、見覚えのあるお客さんがいらっしゃいました。そのお客さんは石好きの男の子とそのお母さんとあまり石に興味のなさそうな女の子の三人組です。

その男の子は数年前位から時々来店していたと記憶しております。昨日もいつものように店の中の石を興味深そうに、そして、お小遣いの予算に見合った石を真剣に探し始めました。それは閉店の案内放送が流れるまで続きました。

連れだった女の子は退屈そうにしていましたので、店に置いてある羊毛フェルトの動物達や柴犬グッズを差し出すと、それらをうれしそうに触って遊んでいました。

その間も男の子は石の方に夢中でした。

私がその男の子に「何年生になったのですか?」と聞いてみると、お母さんから「5年生になりました。」という返事がありました。私が女の子の事を聞いたのではないという顔をしたせいか、すぐその後、お母さんから「双子なんです。」という言葉がありました。

私は驚きました。その二人は男女の双子で、それもそれほど似ているとは思えなかったからです。背丈も男の子より女の子の方が高く、てっきり歳違いのお姉さんだと思っていました。そして、石への興味は対照的でした。その男の子はかなりマニアックな石好きさんです。女の子は石には興味がなく、動物のぬいぐるみ好きのようです。

双子は似ているものという既成概念が崩れていきました。

非常に珍しい双子に遭遇したと思いました。

私はお母さんに「鉱物にも双晶という双子に似たような現象があり、非常に興味深い現象なのです。」というような話をしました。

確かに、双晶は結晶現象の中でも神秘的で、興味深い現象だと思います。特に双晶に現れる対称性には特別の関心があります。

そんな中、それほど似てない双子に出会い、双晶の中にも非対称の双晶もある事を思い出してしまいました。

最後に今日の写真です。



これはペルー産の水晶の日本式双晶なのですが、左右の大きさが違うものです。面白いと思います。
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