ようこそ石の華へ

鉱物の部屋へのいざない

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奇妙なアメシスト

2017-07-28 13:46:55 | 日記・エッセイ・コラム
もう先週の事になってしまいましたが、奇妙なアメシストを入荷しました。



それが今日の石の写真です。これは出張販売してくださる石の問屋さんから仕入れたアメシストのクラスターです。その問屋さんは毎回ブラジル産の台座付きのアメシストクラスターをたくさん持ってくるのですが、それらは安価であるものの、そろそろ飽きてきたと思っておりました。ところが、たくさんある中にひとつだけ奇妙なアメシストが混ざっておりました。



それを横から撮ったものです。紫色の上に透明な水晶が被っています。



その透明な部分です。錐面が三つしかない奇妙な形をしております。一瞬、それが方解石のようにも見えますが、しっかり観察するとやはり水晶である事がわかりました。

それにしても、奇妙なアメシストだと思います。どうして、そのようなものが混ざっていたのかはわかりませんが、たくさんあると中には奇妙なものが少数ながらしっかりと存在しているのです。それが面白いのです。

石の世界には、まだまだ知らないものがたくさんあるのです。思うに、石の世界の面白さは、次々に見た事の無いものが現れる事にあるような気がします。私は石の世界に入ってもう20年以上になりますが、本来飽き性の私がまだ飽きていないのですから、石の世界は本当に奥深く広大なのだろうと思います。

石の店を始めてからは、鉱物マニア時代と違って、何が大きく違ったかと言うと、店に居ながらにして石を仕入れられるようになった事でしょうか。こちらから出向いて行かなくても、あちらから来て下さるのですから、ありがたい事だと思います。

そういえば、昨今、地方でもミネラルショーが開催されるようになってきました。金沢ではまだ無いのですが、全国的に少し多過ぎるような気がしております。特に、来年は名古屋では年間8回ものミネラルショーが行われるそうです。(私は8月のショーにだけ行きます。)どう考えても過熱し過ぎのような気がしております。

そうそう、今日は「奇妙なアメシスト」というタイトルですので、もうひとつ紹介します。





上の写真はアメシストクラスターの上に透明な水晶のクラスターが乗っているものです。アメシストクラスターの上に乗った方解石というタイプは良く見かけますが、紫水晶の上に透明な水晶のクラスターが乗っているものは珍しいと思います。その色合いの違いが際立ち、愛嬌が感じられて何となく可愛らしく感じてしまいます。

今日は「奇妙なアメシスト」でした。
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化石の中の化石

2017-07-21 12:46:20 | 日記・エッセイ・コラム
今日から小学校の夏休みが始まったようです。「石の華」では店内に「夏休み化石特集」というミニコーナーをつくりました。

私が化石よりも鉱物好きという事もあって、「石の華」ではこれまで化石にはあまり力を入れておりませんでした。店内には主にアンモナイトをメインとした棚がひとつあるだけでしたので、化石マニアの方々にとっては物足りない店になっていたと思います。

ただ、石好きさんは鉱物マニアだけではありません。中には鉱物も化石も好きという石好きさんもいらっしゃると思います。私も小さい頃からアンモナイト好きでもありましたし、恐らく、多くの石好きさんも鉱物も化石も両方に興味をもっているはずだと思います。

それで、夏休みが始まったという事もあり、化石ミニコーナーをやってみようと思いました。

昨日、そのコーナー用にアンモナイトの化石をペアにスライスしたものを商品化していたところ、それらの中から非常に面白いものを見付けました。





上の写真がそれ(マダガスカル産の白亜紀のアンモナイト)です。スライスされたアンモナイトの化石の中に小さな巻貝であろう化石が入っているではありませんか!

化石の中の化石!とは興味深い存在だと思いました。

そういえば、つい先日、常連のOさんが店のアンモナイトの棚の中に置いてあったポーランド産のジュラ紀のアンモナイトの化石の欠片の中に小さなアンモナイトの化石が入っている、という指摘をしました。それを見ながら、「まるで水晶のクォーツインクォーツみたいだね!」というような会話をした事を思い出しました。

それが次の写真です。







大小の化石が共存していました。

一度ある事は二度あったのです。

私はこれまで「化石の中の化石」なるものを意識して見てこなかったと思います。

これからは、他にもそのようなものがないか?意識して探そうと思っております。
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サクラガイ

2017-07-18 14:03:06 | 日記・エッセイ・コラム
昨日、金沢アートグミで開催された「利益の石」展のトークイベント「飯盛里安を聞く」(飯盛里安氏の研究室でともに人造宝石を製作していた柴田満氏のお話を聞く会)に参加してきました。会場は金沢アートグミの展示会場内の一角の小スペースで、参加者は10人ほど(私を含めて石川県鉱物同好会員4名参加)でしたが、小人数だけに、密度の濃い一時間を過ごす事ができました。

話の内容は科学者であった飯盛里安氏の人となりやビクトリアストンなどの人造宝石の製作現場の話など、興味深い話が続きました。

その話の中で、私が特に興味深く思った話は、長手石発見の経緯の話です。

長手石は放射化学の研究者ならではの新発見放射性鉱物だったのですが、後に、それは褐れん石の亜種として新鉱物として承認されなかったものの、柴垣海岸の長手島産の鉱物という事で、石川県人にとっては貴重な石川県産鉱物です。

飯盛里安氏は柴垣海岸に落ちていたサクラガイを見て、それが美しいと思いつつ、それが放射能の影響を受けているかもしれないと思ったらしく、まず、それを調査されたそうです。その結果は、サクラガイからは何の放射能も検出されなかったのですが、その時、その近くの長手島のペグマタイト中で弱い放射能を持つ鉱物を発見します。

長手石発見にはサクラガイが関係していたのです。それが長手石発見の秘話でした。

「利益の石」展では飯盛里安氏の晩年の日記を延々と撮影した映像作品も展示してありましたが、その作品を見ていると、毎日繰り返す規則正しい生活や自宅の庭の花や鳥を美しいと思う事が繰り返しでてきます。そこからは異常なほどの清潔感や文人的な美意識を読み取る事ができると思います。

私には柴垣海岸で見たというサクラガイの秘話が飯盛里安氏を象徴しているように思われました。



今日の写真はそのサクラガイです。ピンク色の貝殻に見える構造色の虹色が美しいと思います。



このサクラガイは私が珠洲市の道の駅で買ったお土産物なのですが、能登の海岸ではあちこちで、このようなサクラガイを拾う事ができます。

今後、私の中ではサクラガイと長手石、飯盛里安氏の人となり及び人造宝石が結び付くようになりました。

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縞々学

2017-07-14 12:58:40 | 日記・エッセイ・コラム
「新装版 縞々学」(東京大学出版会 川上紳一 著)を読みました。読後の感想は、正直、読むのが遅すぎた、というような印象でした。それもそのはず、その本の初版は1995年7月、22年前になります。ちょうど私が本格的な鉱物趣味に入り込んだ時期で、その当時から「縞々学」の存在は知っていたものの、なぜか?今まで読む機会を失っていたようです。

今更ながら、その新装版を読んでみたのですが、それはやはり「古典」の部類に入る本であって、読みながら、既に知っている事ばかりで、それほど面白くないのです。やはり、この種の自然科学系の本を読むなら、出版直後の新刊本の時に限ります。その内容は刻々と劣化していくものです。最新の知見を期待してはいけないようです。

文学書と違って、科学系の古書を読むには、それなりの注意が必要です。それは読む側の知識レベルが試されてしまうのです。

思うに、地球科学の世界の変化のスピードは非常に早く、それもTVの科学番組やインターネットのお陰で、普通の一般人でも簡単に平等に最新の知見を得る事が出来ます。(NHKスペシャル「列島誕生 ジオ・ジャパン」の放送が楽しみです。放送は来週23日・再来週30日の日曜日の予定のようですが、またの延期にならないように願いたいものです。)

現代では、紙の本の役割りの寿命は非常に短いのかもしれません。

そうそう、「新装版へのあとがき」の最後に著者がモロッコに赴いて化石や隕石の採集に夢中になっている事が書かれていました。化石も隕石も地球史や太陽系史を物語る物証となるものです。それらは縞模様の美しい岩石とともに大切なものなのだ、と締めくくってありました。石に地球史的なロマンと美を求める事は我々の鉱物趣味とも共通する態度だと思います。共感しました。

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縞々

2017-07-07 15:56:26 | 日記・エッセイ・コラム
私は基本的にファッションには興味がないのですが、そんな私でも最近気になっている事の一つに、近頃、縞々のファッションをよく見かけるようになったという事があります。縞々ファッションは街でもTVでも頻繁に見ます。それは今の流行なのでしょうか?どうも縞々が流行っているように思えます。

このブログは石のブログなので、石の話題です。

日常的な縞々が気になっている昨今、そんな中、先日、面白い縞々のラピスラズリの原石を見付けました。



上の写真がそれです。

これは、アフガニスタン産のラピスラズリの原石です。面白いと思ったのは、青いラピスラズリが白い方解石と規則正しく互層状になっておりました。普通、ラピスラズリは塊状で産出する事が多いと思っていましたが、こんな変なものも存在したのです。私は、一瞬、ラピスラズリは堆積岩だったっけ?と思ってしまいましたが、調べ直してみると、それはスカルン中に産する接触変成作用でできる変成岩でした。

思うに、自然界には縞々の石はたくさんあります。最も多いのはやはり堆積岩でしょうか?すぐに思い付くのは瀬田川の虎石でしょうか?



それから、近年、蛍光する事で有名になった然別湖のオレンジオパールも縞々になっています。



変成岩では片理構造が顕著な結晶片岩や、



縞模様の大理石が有名です。



そうそう、火山岩では縞々の流紋(流理構造)が語源となっている流紋岩がありました。(北陸地方では球果流紋岩が有名なのですが・・・)

自然界には様々なタイプの縞々の石があります。「石の華」にも様々なタイプの縞々の石があります。

最近、チョッと面白いと思ったのが、タイガーアイアン(オーストラリア、マラマンバ産)です。



上の写真は「奇妙で美しい 石の世界」(ちくま新書 山田英春 著)という本の「オーストラリアの奇妙な石たち」の写真ページにタイガーアイアンのスライスを乗せて撮ったものです。本の写真の縞々模様と連続しているように思いました。



次の写真は左ページの上に乗せて撮ってみました。すると、その縞々模様がピタリと一致しました!

実は、それもそのはず、そのタイガーアイアンのスライスはその本の著者である山田英春さんから頂いたものなのです。ただし、本に載っている現物そのものではありません。それは、その本に載っている同じ石を切断した隣のスライスなのだろうと思います。恐らく、山田英春さんご自身で作業されたのだろうと思います。貴重な石を譲っていただき、感謝しております。

さて、その「奇妙で美しい 石の世界」の「石は語る」の章では、それらの石から超太古を物語る最新の地球・生命史的な話が話題となっており、非常に興味深く思いました。

どうも縞々には地球史的な記録が残されており、それを読み解く事で、石から多くの事が学べるようなのです。

私は今更ながらなのですが、「縞々学」(東京大学出版会 川上紳一 著)の新装版を読み始めています。果たして、バーコードのように地球史を読み解く事ができるのでしょうか?


奇妙で美しい 石の世界 (ちくま新書 1263)
クリエーター情報なし
筑摩書房
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