ようこそ石の華へ

鉱物の部屋へのいざない

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水晶の日本式双晶4

2017-03-31 14:58:45 | 日記・エッセイ・コラム
水晶の日本式双晶の話題は続きます。「水晶の日本式双晶」の2と3ではその生成過程を物語っている形態が残っているものを出したのですが、生成過程が残っている水晶というと、成長痕が残っているファントム水晶(山入り水晶)の存在を忘れてはなりません。

ファントム水晶とは結晶成長の際に何度も成長を止めながらも、再び成長を繰り返し、その成長する過程で何らかの粘土鉱物を取り込み、年輪のような成長痕が残っているものです。それは見た目にも面白く、しっかりと成長過程が記録されており、ある意味、標本価値も高いと思われます。

ファントム水晶は単結晶のものが多く、それほど珍しいものではないと思います。

ところで、日本式双晶のファントム水晶もあるのでしょうか?

日本式双晶は、なぜか?平板状のものが多いので、見た目にファントムに見え難い、という理由があるからでしょうか?そのようなものは非常に珍しいと言えます。ただ、珍しいと言っても、単結晶と同じように成長して大きくなっていく訳ですから、日本式双晶にもファントム水晶があってもおかしくありません。特に大きな日本式双晶にはそのようなものがあるはずです。

そんな事を考えながら、店にある日本式双晶を見ていると、ありました。



上の写真がそれです。

これは、常連のOさんの取り置きコーナーにあります。ペルー産の大型標本です。どうでしょうか?立体的にはしっかりとしたファントムが見えております。

ただ、残念な事に、ファントムが見える面が磨かれております。もしかすると、そのファントムが見え易いように意図的に磨かれたのかもしれません。

そのように考えると、博物館にあるような大型標本の中には立派な水晶のファントム日本式双晶があるような気がしております。
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利益の石

2017-03-30 11:53:03 | 日記・エッセイ・コラム
今朝、ポルテ金沢の店の郵便受けに金沢アートグミ(北國銀行武蔵ヶ辻支店3階のギャラリー)から届いた「利益の石」という展示会のチラシが入っておりました。「利益の石」(2017.4.23 ~ 7.17 )という展示会は大阪を拠点とする湯川洋康・中安恵一の個展で、今回は石をモチーフに「石と人の距離」を哲学的にアートにするというユニークな作品のようです。私は、いよいよ始まるのか、と思いました。

それは昨年の12月24日の閉店に近い時間帯だったと思います。その日はクリスマスイブ、私は早く自宅に帰りたいと思っていた時に、突然お二人の訪問がありました。ひとりは金沢アートグミのUさん、もうひとりは湯川洋康さんでした。二人の目的は飯盛里安博士が造ったビクトリア・ストンの現物を求めてでした。どうも、このブログの「人造宝石」(2012.05.29)を見て来られたそうで、その時、今回の展示会の為のリサーチ中だという事を知りました。

私はブログに出したビクトリア・ストンをお見せしました。それらは売りに出していなかったものの、彼らがビクトリア・ストンの薄片を作りたいという話に興味をおぼえ、それらを無償提供する事にしました。

天然石の岩石薄片なら普通に見た事がありましたし、そのような本も出ているので、それほど珍しい事ではなかったのですが、私は人造宝石の薄片は見た事がありませんでした。私はその薄片見たさに、三つとも貸出しする事にしました。

私は偏光顕微鏡で見る石の薄片の美しさを知っておりましたので、それがどのようなものになるのか、という事に興味津々でした。

その後、三つのビクトリア・ストンの中からブログ写真の左にある黄色いオーバルカットの石が薄片制作に選ばれたようで、後日、その薄片と薄片写真を見せていただきました。

その薄片写真は、私が予想していた通り、というか、玉髄の薄片のような雰囲気のある、繊維状の結晶が規則正しく同じ方向に並んでいるものでした。

それが、今回のチラシのメインビジュアルになっています。

そのチラシは「石の華」の店頭に置いておきます。それから、金沢アートグミのホームページにも載っておりますので、そちらでも見れます。

この展示会、関連イベントとして、作家のトークショー以外にも、「長手石を探す」というバスツアーやビクトリア・ストンを実際に製作していた柴田満氏の「飯盛里安を聞く」というトークもあるようで、それらのイベントも面白そうです。

今日は石をテーマとしたユニークなイベントの紹介でした。
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水晶の日本式双晶3

2017-03-24 12:52:51 | 日記・エッセイ・コラム
今日は「水晶の日本式双晶3」です。日本式双晶の話題は続きます。

ひとつ前のブログを書いた後、まだ店頭に出していなかった日本式双晶が付いた水晶の群晶のものがあり、それを見ていると、同じような感じで、群晶が出来た後に生成されたと思われるものがありました。





上の写真はネパール マカルー産の水晶のクラスターです。透明な細長い水晶の群晶の中に一つだけ特徴的な日本式双晶が付いています。その様を見る限り、その日本式双晶だけが他の水晶とは様相が異なっており、どうも、それだけが後から生成したもののように思われます。



そして、さらに面白い事に、その左横の方に、細長い両錐の水晶が横たわって付いております。しかも、それをよく見ると、別の細長い水晶がその両錐水晶に突き刺さり貫通しております。

それらを見ていると、そのクラスターは決して同時に出来たものではない、という事がわかると思います。それは、まず、細長い群晶が先に出来、その後に、横たわっている両錐水晶と日本式双晶が出来たのだろうと想像できます。ただ、両錐水晶と日本式双晶のどちらが先に出来たのかはわかりません。それらは同時だった可能性もありますし、別々に出来た可能性もあります。

水晶の標本だけからは、それが地球史の中のどの時代に出来たのか?また、どの位の時間をかけて出来たのか?というような情報を読み取る事は難しい事だと思います。そのような事は産地情報などの他の情報を加えて読み解く必要性があるのだろうと思います。

ただただ、一つの標本の中にも、その生成過程を物語っている形態が残っており、それを観察する事で、ある程度は、生成過程を読み解く事が可能ではないか、と思ってしまいます。
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水晶の日本式双晶2

2017-03-17 13:07:07 | 日記・エッセイ・コラム
今日は「水晶の日本式双晶2」です。(2012.02.10に「水晶の日本式双晶」で一度書いておりました。)

水晶の日本式双晶は数多い鉱物の謎の中でも興味深い謎の一つだと思いますが、その日本式双晶の生成過程を物語る面白い標本がありました。



上の写真はブルガリアのマダン産の水晶の針状結晶の群晶です。面白い事にそれぞれの針状結晶の柱面には微細な針状結晶が張り付いています。そして、さらに面白い事に、写真の上の方に一つだけ目立った日本式双晶が付いています。



次の写真はその日本式双晶を正面にして撮ったものです。



次はその日本式双晶部分の拡大です。それをよく見てみると、非常に面白い現象が見えてきます。



次の写真で、それがどう面白いかがわかると思います。

それには、まず、右の方では針状結晶が日本式双晶の右の平板結晶に突き刺さっており、そして、左の方では針状結晶が日本式双晶の左の平板結晶に突き刺さり貫通しております。何と!面白い現象でしょうか!

この現象を見ていると、この日本式双晶は針状結晶ができた後で生成した事がわかると思います。それは突き刺さっているように見えますが、決してそうではなく、日本式双晶が後から針状結晶を取り囲むように成長した、と考えるのが自然だと思います。



そして、その日本式双晶の裏側にも微細な針状結晶が張り付いております。

その様を見ていると、まず最初に針状結晶の群晶が出来、次に日本式双晶が出来、最後に微細な針状結晶が出来たのだろうと推測されます。

ところで、ブルガリアのマダンには鉛と亜鉛の巨大な鉱脈が横たわっているそうで、そのマダン鉱床の閃亜鉛鉱には三つの世代が存在するらしく、世代ごとにその特徴が変わるらしいので、もしかすると、今日の水晶の生成過程の変化も関係しているのかもしれない!?、と思ってしまいました。

閃亜鉛鉱の特徴変化はどうも生成温度が次第に下がることと、鉄の含有率が低くなることに関係しているらしいので、その世代ごとの変化は同時に水晶にも影響を与えているはずです。そう考えると、日本式双晶の出来る成因の解明に繋がっていけるような気がしてしまいます。



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ICOのようなゲーム

2017-03-10 11:55:46 | 日記・エッセイ・コラム
今日は「ICOのようなゲーム」です。(このブログでは過去に一度だけ「X」2012.03.15の時にICOの事を書いておりました。)

ICOとはPlayStationのアクション・アドベンチャーゲームの事です。(私のお気に入りのゲームです。)

昨日、ヤフー・ニュースで以前から楽しみにしていた新作パズルアドベンチャー「RiME」の発売日が決定したという記事を見ました。どうも5月26日にリリースされるそうです。この「RiME」がICOのようなゲームなのです。

この「RiME」、もともと2013年に発表されていたものの、その後、権利関係の問題でソニーの手を離れてしまったそうで、一時はもう出ないものかと諦めていたものだったのですが、どうもマルチプラットフォームで復活する事になったようです。数年遅れになってしまったものの、そのリリースのニュースはICO好きにとってはうれしいニュースになりました。

私は「RiME、ライム、ライ、ムライ、ム・・・」と心の中で叫んでしまいました。その発売が今から楽しみです。

それから、実は「ICOのようなゲーム」は「RiME」だけではありません。

私は昨年末から休日の日に一日数時間、「人喰いの大鷲トリコ 」というプレイステーション4のゲームを楽しんでおります。私の冬場の休日の過ごし方は、近くの温泉に行く事と、録り貯めたTV番組を見る事と、そして、気に入ったTVゲームでしょうか。(PSVRはまだ持っておりません。)アウトドアではなくインドアなのです。

その「人喰いの大鷲トリコ 」は巨大な石の廃城を舞台に、ひとりの少年がトリコという架空の鳥のような動物と冒険をする、というアドベンチャーゲームなのですが、これがまさしく「ICOのようなゲーム」なのです。それもそのはず、そのゲームデザイナーは上田文人という同一人物です。ゲーム制作も映画制作と同じように複数の人の共同作業となる総合芸術なのだと思いますが、ゲームの場合はデザイナーが映画監督のような存在なのだろうと思います。

どちらのゲームにもその世界観には同じような感動を覚えますし、ゲームならではの映画を超えるような感動があると思います。

「人喰いの大鷲トリコ」はまだゲーム途中なのですが、もしかすると、私にとってはICOを超えるような予感もしております。

今日は石の話題ではなく、石の廃城を舞台としたゲームの話題でした。




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