ようこそ石の華へ

鉱物の部屋へのいざない

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【定休日は毎週水曜日です。】【7月も毎週日曜日は休業します。】

鏡像

2018-01-25 13:54:23 | 日記・エッセイ・コラム
今日の金沢の最高気温は0℃だそうで、現在はまだ氷点下だと思います。ただ、先日の大雪の日に比べると積雪はそれほどでもありません。今朝、自宅の洗面所に置いてある湿度計を見るといつもより低い数字が表示されておりました。どうも、今日のような低温の日は乾いているようで、いつもの金沢とは違った乾いた雪質です。こんな日は雪の結晶の写真が撮り易いだろうと思いつつも、外は寒いので、店内で雪の結晶が入ったガラスオブジェの写真を撮りました。





上の写真がそれです。これが面白いのは、見る角度を変えると、ひとつしか入っていない雪の結晶がふたつに見えるところです。これも先日の雪吊りが覗けるガラスオブジェと同じような鏡像効果です。

次はカット研磨された水晶です。





これの面白さも同じような鏡像です。美しい正八面体の鏡像は多面体マニアにとっては堪らない一品だと思います。

この種の面白い鏡像は他にもあります。

すぐに思い出すのは、水晶の柱面に幾つかの切込みを入れるだけで五重塔を表現した甲府の水晶細工でしょうか。

他にも、『光の万華鏡ペンタキス』(エクスプランテのガジェットブックス)が面白く、鏡像の星形多面体が浮かび上がります。

そうそう、各種の万華鏡も鏡像の面白さを使ったものです。万華鏡の話題は多くなるので、またの機会にしたいと思います。

最後に「鏡像多面体」というワードでWeb検索してみると、「鏡像による多面体の作成 」という女子高校生の論文が出てきました。また、「鏡映を用いた3次元正多面体の決定」という論文も出てきました。どちらもハイレベルな内容で非常に興味深く思いました。
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地図2

2018-01-23 11:05:13 | 日記・エッセイ・コラム
今日は「地図2」です。(「地図」というタイトルを2017.07.06に一度使っておりました。)

昨日、常連のDさんが来店しました。Dさんは日曜日に糸魚川の海岸で拾ってきたという小石を見せてくれました。そして、「わし座星雲」と言いました。私はその石を見て、それよりも「石川県の能登半島」と言いました。石の模様に何と命名するかは自由です。

私は店のカウンター横にある控えの棚からある石を取り出しました。

その石はこのブログの「地図」の時に出した石です。それは、石の模様が「石川県の能登半島」に見える石です。そして、Dさんが拾ってきた小石をその石の上に乗せて写真を撮りました。それが今日の写真です。



どうでしょうか?並べて見てみると似ているような気がします。これも石によるイマジネーション遊びの一種だと思います。

フッと思いました。

人は何かの模様を見ると、何かのカタチを、無意識的に想起してしまう傾向がある、という事です。それは、過去に見た経験のある印象深いカタチであったり、普段見慣れたカタチであったり、様々ですが、恐らく大脳の視覚野と記憶を司る海馬が複雑な反応を起こし、そのような連想が起きるのだろう、と想像されます。

また、フッと思いました。

雪吊りの円錐形に鉱物の針状結晶の放射形を想起するのも同じような精神作用なのかもしれません。そう言えば、それは金沢和傘のカタチにも似ています。特に、和傘が開いたカタチは手元から見ると美しい放射状の円形でもあります。これは平面的な放射状結晶の円形と同じカタチでもあります。それは、また、3次元的に立体になると、球体になり、これまた、代表的な鉱物結晶のカタチのひとつです。それは、金沢で言えば、加賀手毬のカタチに繋がります。さらにさらに、雪吊りのような円錐形をふたつ、先端方向に貫入させると、何と、鼓(つづみ)のようなカタチになり、それはある種の貫入双晶とも言えます。これまた、金沢的なカタチでもあり、それは金沢駅の鼓門にも繋がって行きます。

もしかすると、私が普段から日常的に見ている様々な金沢的なカタチが鉱物結晶を見る際に無意識的に影響していたのかもしれません。そうだとすると、私の鉱物を見る美意識は金沢的な美意識なのかもしれません。

変なところで、鉱物と金沢との関係性を見出してしまったような気がしております。

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雪吊り

2018-01-19 11:16:52 | 日記・エッセイ・コラム
冬の金沢の美と言えば、何と言っても「雪吊り」だろうと思います。雪吊りとは雪が付着することで、樹木の枝が折れないように縄で枝を保持することですが、その代表例は兼六園です。雪吊りのある兼六園の雪景色は非常に美しく、その円錐形には鉱物結晶にも繋がる美を感じてしまいます。

「石の華」の店内にもそのような雪吊りを連想してしまう鉱物があります。



上の写真はインド産のスコレス沸石と方解石です。針状結晶が放射状に円錐形に成長しており、しかも、その先端が方解石に突き刺さっています。何とも魅惑的な共生体でしょうか!



次もインド産のスコレス沸石とグリーン魚眼石ですが、こちらの標本には雪吊りのある箱庭的な味わいが感じられます。雪の金沢を代表するような標本です。

そうそう、「石の華」の店内には「石の華」のガラスコレクション(非売品)も置いてありますが、それらの中のひとつが雪吊りを思わせるものでした。







これは三つのガラスを張り合わせたキューブ状のオブジェなのですが、面白い事に、合わせ鏡のような効果で、雪吊りのような円錐形が覗けるのです。これは7年前に石川県立伝統産業工芸館のミュージアムショップで購入したものです。作家名は忘れてしまいましたが、私のお気に入りのガラス作品です。

雪吊りは金沢駅やポルテ金沢にもあります。先日の大雪の雪は金沢駅やポルテ金沢周辺では、ほとんど溶けてしまったようですが、雪の無い雪吊りも金沢らしい冬の風景のひとつのように思えます。
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正解!

2018-01-18 11:12:15 | 日記・エッセイ・コラム
今週の月曜日の朝の事でした。店内に置いてある大きな棚の上にその日の新聞を大きく広げて読んでいると、常連客のDさんが元気よく入ってきて、うれしそうに、そして、誇らしげに、いきなり、「君に舞い降りる白」=「あなたの石」と仰いました。突然の事で一瞬戸惑いましたが、すぐに、この前のブログで出したクイズの回答だろうと気づき、「正解!」とお答えしました。また、Dさんが最初の正解者である事を伝えました。

私はどうしてわかったのか?と聞いてみると、Web検索を駆使して調べたらしく、どうも「白」というキーワードが決め手だったようです。検索では「君に舞い降りる白」がすぐに候補に挙がったそうですが、その小説の作者 関口 尚の名前検索で「あなたの石」という別名の小説が出てきて、小説に出てくる「石の花」という鉱物ショップ名で正解だと確信されたようです。

私はDさんにブラジル コリント産の透明度の高いウィンドウ水晶をプレゼントしました。そして、文庫本「君に舞い降りる白」を貸出ししました。うれしそうなDさんの笑顔を見て、私もうれしくなりました。

実は、過去にひとりだけ、「あなたの石」=「君に舞い降りる白」の話題が出たお客さんがありましたが、そのお客さんは最近いらっしゃっておりません。どうされているのでしょうか?

その日の夕方、初めてとなる新しいお客さんがありました。またひとり、仲間が増えたような気がしてしまいました。

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鉱物ショップが舞台となっている小説

2018-01-14 11:17:07 | 日記・エッセイ・コラム
今朝も長靴を履いて凍結した道路を歩いて出勤しましたが、空は気持ちの良い晴天でした。凍結した道路の一部は凸凹になっており、軽4のクルマが苦戦してゆっくり走っておりました。凍結した氷を見ると、やはり氷は岩石なんだと思います。ただし、それは束の間の岩石であって、今日の陽射しの元では、それらの大部分は溶けて水に戻って流れていくのでしょう。短い距離の出勤でしたが、大雪の翌朝の晴天下の雪景色を楽しみながら出勤しました。

それにしても、今朝の晴天の心地よさは何なのでしょうか。それは昨夜までの荒天の後の晴天、台風一過の晴天のようでもあります。何となく「再生」という言葉が浮かんできました。また、その心地よさは、空の青と雪の白とのコントラストからも来ているように思えます。

そう言えば、昨日読んだ小説も読後に今朝の晴天のような心地よさを感じました。その小説にも多くの雪のシーンが出てきます。そして、文庫版のタイトルには白という文字があります。

それから、その小説には具体的な石の値段が出てきます。

例えば、一万五千円の水晶、五十万円の菊花石、一個五百円の水晶、二千円の黄鉄鉱、六千円の緑鉛鉱、等。

その舞台となっているのは鉱物ショップなのです。

さて、その小説は何でしょうか?

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