ようこそ石の華へ

鉱物の部屋へのいざない

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双晶

2014-01-31 17:05:43 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「双晶」です。過去のブログタイトルで「双晶」の文字列が入った記事は5件ありましたが、「双晶」そのものは初めてとなります。

鉱物の第一の魅力は「結晶」にあると思います。その「結晶」の中でも興味深いのが「双晶」です。その「双晶」にも何種類かあるのですが、共通している事は2個以上の鉱物の結晶が、一定の角度で規則正しく結合している事です。

私は「双晶」が美しくて貴重な形だと思うのですが、実は、「双晶」とは基本的に面の欠陥らしいのです。それは例えるなら衣服のボタンのかけ間違えのようなものらしいのです。私は「双晶」には単結晶とはまた別の「双晶」ならではの美があり、単なる欠陥と言うネガティブなものではない、不思議と神秘が潜んでいるような気がしております。もしかすると単純な単結晶よりも好きかも知れません。

鉱物の「双晶」による形態の変化やその成因、その形成過程、その出現意味、等々「双晶」には謎がいっぱいです。

そのような謎だらけの「双晶」の幾つかを見ていると、確かに「双晶」が面の欠陥である事を物語る、ボタンのかけ間違えのようなものがある事に気付きました。

Photo
中国湖南省郴州産 方解石(Calcite) 双晶(Twin)

これは拳大以上の大きな方解石ですが、そのサイズと共に、ボタンのかけ間違いのような結晶成長をしたような跡が見て取れるところが魅力的な「双晶」です。そのように肉眼的に見えるところが良いのです。

そう言えば、水晶の日本式双晶にもそのような跡が見えるものがあります。

Photo_2
ペルー産 水晶(Quartz)日本式双晶(Japanese-twin)

これはペルー産の巨大な日本式双晶です。平板な面にはボタンのかけ間違いのようなジグザグの模様が見えます。

Photo_3
長崎県五島市奈留町水晶岳 産 水晶(Quartz) 日本式双晶(Japanese-twin)

そうそう、日本産の日本式双晶にも同じような跡の見えるものがあります。これらの「双晶」を見ていると、やはり「双晶」とは欠陥である、という解釈が正しいような気もします。

ただ、良く考えてみると、自然界には完全な真球が存在しないのと同じように完全結晶は存在しません。結晶には何かしらの欠陥があるのです。

これらの「双晶」を見ていると、確かに「双晶」とは欠陥なのかも知れないと思ってしまいます。ただ、欠陥である事には違いないのですが、欠陥によって「双晶」という形態があるとすると、それはそれで好ましい姿なのかも知れないとも思ってしまいます。

いずれにせよ「双晶」は魅力的な結晶のひとつだと思います。

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結晶

2014-01-30 15:31:23 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「結晶」です。このブログでは「結晶」という言葉が登場する記事は無数にありましたが、タイトルに「結晶」の文字があるものは18件で、驚いた事に「結晶」そのもののタイトルは0件でした。今更ながら初登場です。

「結晶」は規則正しい対称性の構造を持つ物質の事で、結晶面を持った立体の事です。結晶学的な定義はもっと難しいようで、結晶学の物理的側面は固体物理学、化学的側面は結晶化学で扱われているようです。このブログは結晶学のブログではありませんので、厳密な意味での「結晶」の話題ではありません。

このブログでいう「結晶」はX線結晶学的な内部構造ではなく、結晶面をもった外形、結晶形態の「結晶」の事です。「結晶」の事を調べていくと、どうしても専門的な領域に入らざるを得ないのですが、ここではもっと単純に結晶している鉱物、鉱物結晶の「結晶」の話題です。簡単に言うと見た目が「結晶」している鉱物の事です。粉末よりも肉眼的なサイズが重要なのです。

余談ですが、Webで「結晶」を検索していて分かったのですが、今年は結晶学の100周年に当たる「世界結晶年2014」として制定されたようで、日本でも各地でイベントや講演会が開催されるようです。私も人工結晶などにも興味がありますので、一般向けの何かのイベントに参加する事があるかも知れません。

さて、鉱物の魅力のひとつはやはり「結晶」だと思います。例えば、自然金。金は金ならではの物性が魅力的なのですが、残念ながら、金にはしっかりした結晶面を持つ「結晶」は少ないです。それは金の成因に関係しているのかも知れません。先日の「サイエンスZERO」を見ていると、金鉱脈の出来方が地震に伴う熱水脈の急激な圧力低下というフラッシュ蒸発で一瞬に出来るらしいのです。その繰り返しで金の結晶は成長するらしいのですが、そのような成因では大きく美しい自形結晶は出来難いように思えます。金の自形結晶が珍しいのはそうした理由からかも知れません。

ただ、金にも稀に自形結晶しているものがあります。それは市場的な金の価値以上にはるかに貴重だと思います。

Photo
Ikaboru mine BOLIVIA 金の結晶(GOLD CRYSTAL) 0.248g

上の写真は金の「結晶」です。その産地名を調べても見つからないので、産地名は原本の誤りの可能性があります。産地情報が不明という事が非常に残念な事なのですが、それが金の結晶である事には変わらない貴重さがあると思います。金は等軸晶系の鉱物で正八面体の外形を持つ結晶の写真は見た事がありますが、この金の結晶は何となくそろばん玉のような、あるいは見ようによってはデルタ十二面体のようにも見えます。重要なのはそれが結晶面を持っている多面体のような「結晶」であるという事です。

鉱物の「結晶」形態には魅せられます。今回は極端な金の「結晶」の写真を挙げましたが、水晶や黄鉄鉱に代表される「結晶」の形態やその変化やバリエーションには不思議な魅力を感じてしまいます。鉱物の最大の魅力はその「結晶」にあると言っても過言ではありません。どのような鉱物でも「結晶」には特別な魅力を感じます。「結晶」形態には多くの情報が詰まっているはずです。それらをどのように読んでいくのかは我々ひとの役目なのだと思います。

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金・銀・銅

2014-01-28 15:08:16 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「金・銀・銅」です。いつものようにブログ内検索をしてみると、記事の内容で文字列として2件ありましたが、タイトルとしては初めてです。

「金・銀・銅」というタイトルですぐ想起するのはオリンピックのメダルの事だと思います。このブログではオリンピックの話題は取り上げません。

「金・銀・銅」は元素の周期表を見ると、きちんと縦にならんでいますが、この面白い第11族元素の話でもありません。

昨日の夕方、例の化石大好きの石好き予備校生が来店しました。センター試験が終わって少し余裕があるのでしょうか?先週の土曜日に続いてのご来店です。そういえば、先週の土曜日は先客だったOさんと何か意気投合したような感じで、長時間、店の石を見ながら話し込んでいました。お客さん同士が店で知り合い仲良くなるのは大歓迎です。何も買わなくても良いのです。「石の華」は石好きさん達のサロンのような場所になれば良いと思っています。「石の華」は出会いの場を作る発動装置のようなものだと思っております。

その予備校生、昨日は面接試験対策だとして、最近の地学的な話題を教えて欲しいと尋ねて来ました。とっさの質問に私が面接試験を受けたような気がしました。その場で私がすぐに答えたのは、このエリアの話題としては加賀温泉郷の地底に存在する巨大カルデラの話と重力異常の話題、それから金沢大チームが発見したマントル内地震の遺物としての岩石の話題を挙げました。どちらも興味深い話題だと思いますが、大学受験の話題としては相応しいか?分かりません。

それよりも先日のNHK-Eテレ「サイエンスZERO」の「金・銀・銅」の話題が良いのではないか!と答えました。彼はその番組は見なかったようなので、今度の土曜日に再放送がある事を伝えました。

その『「黄金の国 」ジパングの謎に迫る』は非常に面白かった、と思います。「金・銀・銅」ともに歴史的に話題性が豊富にあります。さらにそれらの成因に関する新しい知見と地球史的な視点、また、海底資源としての未来への展望、いずれも興味深い話題満載だったと思います。この番組を自分なりに咀嚼すれば、入試の面接試験などは簡単に対処する事が可能だと思います。要はそれらに興味を持ち、自分の言葉で話せば良いのだと思います。私は録画して数回見れば良いのでは!と答えました。

地質科学は他の理学部系の科学に比べて未知の事柄が多いと言えます。だからこそ面白いのだと思います。

今回の「サイエンスZERO」は面白かったと思います。ただ、番組は興味深く思ったものの、どうも私の関心は鉱石的な鉱物資源よりも鉱物結晶の美の方にあるようで、産業的な「金・銀・銅」の魅力よりも「金・銀・銅」の結晶の方に興味があります。結晶していない鉱石にはそれほど関心はありません。

「金・銀・銅」の鉱脈がどうして生成したのかは分かっても、どうして美しく結晶するものが少ないのか?気になります。塊としての鉱石と結晶する鉱物とは何がどう違うのでしょうか?

美しい鉱物結晶は貴重です。鉱脈の中で結晶する事の意味は何なのでしょうか?それは単なるサイズの問題ではないはずです。「金・銀・銅」の結晶は珍しく、それには単なる資源以上の価値があると思います。

どうも私の鉱物的関心事は鉱物資源よりもその「結晶」の方にあるようです。

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鉱物が登場する小説2

2014-01-27 15:43:48 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「鉱物が登場する小説2」です。2012/03/03に一度「鉱物が登場する小説」というタイトルで書いておりました。

今朝は早朝に自宅を出てクルマで小松に行ってきました。ちょうど日の出の時間帯だったせいか、非常に寒かったので、恐らく気温は氷点下だったと思います。私はお店までの通勤は徒歩ですから、そんな早朝にクルマに乗る事はめったにありません。今朝は積雪はないのに、道路では融雪の水が撒かれていました。驚いたのはその融雪の水がフロントガラスにかかり、ワイパーを使ったところ、冷えていたせいか、瞬間的に水がシャーベット状に凍りつき、視界が悪くなった事です。普段、あまり運転しないせいか、こんな経験は初めてでした。それから、国道8号線に合流する地点で、ガードレールに出来ていた無数のつららにも驚きました。これは融雪の水によりできた一種の飛沫氷です。氷点下ならではの現象で、面白いと思いました。

さて、「鉱物が登場する小説」です。今朝は母が入院している小松の病院に行きました。足を骨折した母の手術の日だったのです。その手術中の待ち時間に読んだのが「博物館のファントム 箕作博士のミステリ標本室」(伊予原 新 集英社)です。その中の標本NO.1「呪いのルビーと鉱物少年」と標本NO.4「マラケシュから来た化石売り」の二つのお話を読みました。その小説は東京・上野の国立科学博物館を思わせる国立自然史博物館を舞台とした標本に秘められた愛の物語です。本の帯には新感覚サイエンスミステリー誕生!!と書いてありましたが、その表現にピッタリな小説だったと思います。新刊本なのでストーリーやその内容には触れませんが、とりあえず、「石の華」的に興味深い鉱物と化石の二編を読みました。読んで面白かったです。

特に何が面白かったかというと、小説なのに各章に主要参考文献が付いていました。小説ながら標本に関しては、かなり科学的(博物学的)な事実に基いて書かれていました。もちろん、小説としての想像や虚構の事柄から物語は成り立っていましたが、その虚実皮膜的なところが非常に魅力的だと思いました。それが新感覚サイエンスミステリーというジャンルの登場になったのだろうと思います。

私が過去に読んだ本としては「瀬名秀明 奇石博物館物語―課外授業ようこそ先輩別冊 」(NHK「課外授業ようこそ先輩」制作グループ 編集, KTC中央出版 2001年)を思い出します。理系出身の文学者の小説は妙に科学的説得力があって、小説を読んでいる気がしないところが面白いと思います。

「鉱物が登場する小説」は少ない方だと思いますが、調べてみると、知らないものも含めてまだまだ相当数あると思います。鉱物好き+本好きとしては、これからも未読の本を探してゆきたいと思っております。

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小松の鉱物

2014-01-26 11:35:32 | 日記・エッセイ・コラム

今日は「小松の鉱物」です。

一昨日、昨日の両日、小松のサイエンスヒルズこまつに行って参りました。その目的はヒルズショップに委託販売する事になった「小松の鉱物」を納品する為です。

サイエンスヒルズこまつから小松のオリジナルな鉱物標本をショップに置きたいと言うニーズがありましたので、「石の華」で用意できる遊泉寺銅山産の紫水晶・蝕像紫水晶と菩提産の瑪瑙と赤瀬産のオパールを選んで、それぞれケース入りの標本にして納品しました。「石の華」では普通は標本小箱入りにしておりますが、公共施設のショップでは不特定多数の方に触れられる機会が多いと思われましたので、サムネイルBOXやドーム型等のケース入りにして納品しました。それらはサイエンスヒルズこまつオリジナルの標本です。そこでしか買えません。

コマツ発祥の地である遊泉寺銅山は1772年に開坑し1920年に閉山した鉱山です。閉山後、鉱山機械製造の「小松鉄工所」を経て「小松製作所」が発足しました。サイエンスヒルズこまつの場所もコマツの小松工場跡地にあり、遊泉寺銅山とは無関係ではありません。

現在ではさすがに遊泉寺銅山産の黄銅鉱などの良質標本は入手不可能です。そんな中、石川県鉱物同好会の河合副会長が、その昔、採取した紫水晶・蝕像水晶が大量に保存されておりました。今回のヒルズショップの標本は河合副会長の貴重なコレクションの一部です。そういう意味で、オリジナルな「小松の鉱物」だと思います。

ヒルズショップの写真を撮ってきましたので載せます。

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ヒルズショップを入って奥の方の左側の棚の一番下のスペースに置いてあります。

もちろん天然石なので同じものは一つしてとありません。今ならそれらの中からお気に入りのものを選ぶ事が可能だと思います。また、天然石は限定品の為、簡単には補充できません。そういう意味で早いもの勝ちです。

尚、ショップの営業日はグランドオープン(3月22日)までは土日祝日のみとなります。今回はテスト販売的な意味もあります。ご興味のあられる方はこの機会に是非どうぞ。

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