ようこそ石の華へ

鉱物の部屋へのいざない

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上田 石の旅

2018-09-28 13:02:17 | 日記・エッセイ・コラム
一昨日の定休日に日帰りで「上田 石の旅」に行って参りました。上田とは戦国武将 真田幸村で有名な長野県上田市の事で、金沢駅からは北陸新幹線はくたかで上田駅まで乗り換えなしで2時間足らずで行けます。石の旅とは上田地域の鉱物や岩石を見に行く旅です。

実は、毎年、お盆の頃に、上田地域観光協議会の方が金沢駅の観光案内のスペースで観光キャンペーンをやっており、その方が石好きさんという事もあって、毎年、店に立ち寄って下さっていたのです。その際に、上小理科教育研究会の発行した「上田地域の鉱物・岩石・化石」(平成30年2月 頒価1,500円+税)という本を持って来て下さったのです。その本は理科学習資料ながらも鉱物マニアが喜びそうな立派な本でした。私はその本を読んで、是非とも上田に行きたいと思ってしまいました。



その旨をお話したところ、何と!うれしい事に、「上田 石の旅」を特注で企画して下さったのです。Sさん、Kさん、本当にありがとうございました。

それで、Sさん、Kさんの案内で「上田 石の旅」に行って参りました。

まず、上田創造館の「鉱物・岩石・化石」展示室に行きました。



そこでは上田地域に産出する鉱物や岩石、化石が展示・解説してありました。













これらの石は「真田坂」(Marchi 2018 No.25)という冊子にも特集されております。それから、この「真田坂」の次号では2千万年前のフォッサマグナから現在に至る、上田を形作った巨大な地質変動を掘り下げる予定だそうです。私はつい最近、「フォッサマグナ」(ブルーバックス 藤岡換太郎 著)を読んだばかりなので、なおさら興味津々です。

上田創造館で石を見た後、昼食は、そばの有名店「刀屋」で、ざる蕎麦をご馳走になりました。お昼前の早い時間帯でしたが、店内は既に混み合っておりました。常連のKさんのお陰で2階の席に案内され、池波正太郎気分で美味しい蕎麦をいただきました。

午後は黒燿石体験ミュージアムまで高原ドライブでした。途中、Sさんが企画したソフトクリーム巡りスタンプラリーの一店「緑の花そば館」で焙煎ダッタンそばのエキス入りソフトクリームを食べました。そこで、ダッタンそばのダッタンとは音楽「ダッタン人の踊り」のダッタン(タタール人)と同じだという事を知りました。

黒燿石体験ミュージアムでは縄文鉱山「星糞峠」の様々な展示を見て、ミュージアムショップで黒曜石の原石をお土産として購入しました。(和田宿ステーションでも産直の黒曜石を購入しました。)和田峠の柘榴石(長野県の石、鉱物)はどこにも売っていませんが、黒曜石(黒曜岩)(長野県の石、岩石)はあちこちで売っておりました。

そして今回の「上田 石の旅」の最後は上田城址と上田市立博物館に行きました。そこでも上田の様々な鉱物・岩石やナウマンゾウの臼歯他の化石等の展示を見ましたが、こちらは写真撮影不可となっておりました。

夕方には上田駅前の飯島商店に連れて行ってもらい、大正モダンの香りのする店内を見学しながら、お土産に「みすゞ飴」を購入しました。

上田駅でSさん、Kさんに見送ってもらい、帰りも北陸新幹線はくたかで帰途に就きました。今回の「上田 石の旅」は非常に濃厚で充実した旅になったと思います。Sさん、Kさん、非常に感謝しております。


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特別展と企画展

2018-09-21 11:04:11 | 日記・エッセイ・コラム
昨日、チョッとだけ店を抜け出して金沢大学資料館展示室に行って参りました。その目的は「石の博物誌」(平成30年度金沢大学資料館特別展)を見る為でした。この特別展は9月19日(水)~10月28日(日)開催で、私はその二日目に行った事になります。会場には、まだ夏休み中?なのか、誰もいなく、私ひとり独占状態で見れました。

この特別展、2年前の「県の石」、「日本の国石」の選定をふまえた展示らしく、糸魚川フォッサマグナミュージアムの3点の翡翠や石川県の珪藻土と霰石などが展示してありました。私的には恋路の霰石との久しぶりの対面に少し懐かしさを感じてしまいました。(このブログの「恋路の霰石2」2013.09.15参照)



他にもテーマごとに幾つかの展示コーナーがありましたが、思ったよりは展示スペースが狭く、正直な感想としては、特別展という割には、見ていて何か物足りなささを感じてしまいました。

ただ、会場には特別展ならではの図録(無料)が置いてあり、入場無料という事もあって、行って損したという気持ちにはなりませんでした。

実は、時を同じくして、埼玉県立 自然の博物館で企画展「水晶~鉱物界へのトビラ~」(2018.09.22~2019.01.14)が開催されるようです。そのチラシのデザインを見て、行ってみたいという気持ちにはなっているのですが、なんせ、金沢からは遠すぎるので、今回はあきらめようと思っております。それで、その企画展の図録だけでも入手できないかと思ってしまいました。ところが、特別展では図録を出すものの、企画展では図録が無いようなのです。

どうも、特別展と企画展では、その展示会の規模やその意義みたいなもののレベルが違うようなのです。残念でした。

金沢大学資料館の「石の博物誌」は特別展で、しっかり図録があり、埼玉県立 自然の博物館の「水晶~鉱物界へのトビラ~」は企画展で図録なし、なのです。

「石の博物誌」展の図録には翡翠が日本の国石となった経緯やその弁明が書かれておりました。水晶(石英)は国石になれなかった鉱物たちの一部としての紹介でした。

私は、どちらかというと、翡翠よりも水晶派なので、またもや残念な事になってしまいました。

思うに、翡翠は鉱物というよりも岩石です。また、私見ですが、なぜ?日本鉱物科学会が日本の国石を選ぶ権利があるのでしょうか?それは単なる権威主義ではないでしょうか?

そもそも鉱物的には翡翠は曖昧な存在です。現実的な翡翠の定義は「翡翠輝石とオンファス輝石、それぞれあるいはその両者をあわせて90%以上含まれる岩石を翡翠とよぶ」はずなのに、それ以外のものも翡翠として扱われ、また、それに似た石も多く、非常に紛らわしい存在です。さらに、色の魅力は別として、肉眼的な美結晶の有無もその魅力度に影響していると思います。

そうそう、金沢大学の「石の博物誌」展では特別展の特別講演会「国石翡翠の価値」(講師:宮島 宏フォッサマグナミュージアム上席学芸員 日:10月15日)が行われるそうなので、また再度、行ってみましょうか?


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束沸石とBVLGARI香水瓶とDONUTSパズル

2018-09-14 10:45:20 | 日記・エッセイ・コラム
昨日、店にある棚からキャストドーナツが出てきました。これはフィンランドのパズル作家Vesa TimonenのデザインしたHANAYAMAの「はずる」というキャストパズルで、ずいぶん前に棚に入れたまま、これまですっかり忘れていました。私はこのトーラス(円環面、輪環面)という形状が好きで、しかも、それが二つ繋がっている様が大好きで、このパズルのデザインもお気に入りでした。そして、このDONUTSパズルを見ていると、店にあるインド産の束沸石の事を思い出しました。両者を並べて写真を撮りたくなってしまいました。

その写真を撮ろうとしていたら、過去に、同じような写真を撮ってブログの話題にしていた事を思い出しました。それはこのブログ初期のOCNブログ人時代の「束沸石とBVLGARI香水瓶」(2011.11.10)です。もう7年前の事で、その束沸石は既に売却済みとなっておりました。BVLGARIのミニ香水瓶はまだ店にありましたので、今回はキャストドーナツとBVLGARI香水瓶と新たなインド産の束沸石との三つを並べて写真を撮りました。



上の写真がそれです。どうでしょうか?

自分的には何となくいい感じがしております。ただ、写真は2次元の為、束沸石の3次元的な形状がうまく表現できませんでした。

この束沸石はまだ店内のコンテナの中に入っております。面白い結晶形態だと思います。
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ヴェンツェル・ヤムニッツァー

2018-09-07 13:44:05 | 日記・エッセイ・コラム
唐突ですが、皆さんはヴェンツェル・ヤムニッツァーをご存知だったでしょうか?正直、私はこれまで知りませんでした。

ヴェンツェル・ヤムニッツァー(1508-1585)はウィーン生まれ、ニュルンベルクで活躍した金細工師で、当時は非常に有名な人物だったそうです。1568年に「正多面体の透視図」という驚くべき書物を出版します。その本には五つの正多面体に母音字が割り振られていて、それぞれの母音字の領域には24枚ずつの変形多面体の図面が収められています。24という数はギリシア文字のアルファベットの文字数である24に因んで定められたものと思われます。どうでしょうか?その書物は多面体マニアなら思わず唸ってしまうトンデモ本だと思います。(あらゆる形は正多面体とその派生多面体で表現できる。)

これはプラトン立体とも呼ばれる五つの正多面体を五つのアルケー(土、空気、火、水、宇宙)という万物の根源とみなしたプラトン主義の多面体理論をさらに進化させ、万物を表現する文字にも呼応させたものという解釈ができます。私は初めて知りました。

実はこの事を知ったのは「ルネサンスの多面体百科」(丸善出版 デヴィッド・ウエィド著 宮崎興二編訳)を読んだからです。この本は驚くべき多面体の本でした。最初は日本史の関ヶ原合戦の時代以前のルネサンス期のものでありながら、コンピュータを使ったかのような精密な多面体の図版の数々に驚きました。それは、東京理科大学の近代科学資料館で見た明治期の菱田為吉(1868~1943)の多面体木工を見た時の驚きに近いものがあります。多面体模型はコンピュータ無しでもできるのです。

また、そのような驚きはまだ初期の驚きであって、ヴェンツェル・ヤムニッツァーの世界観のアイデアには唸りました。そして、さらに、あのヨハネス・ケプラー(1571-1630)の多面体太陽系模型(五つのプラトン立体と内接かつ外接できる球体との多重入れ子構造)もヴェンツェル・ヤムニッツァーの影響を受けていたらしいのです。それはヨハネス・ケプラーもヴェンツェル・ヤムニッツァーの著書「正多面体の透視図」を持っていたらしいのです。そのような宇宙の概念に心を奪われていたのはその本から着想を得ていたからだとも言われているらしいのです。

正多面体は単に美しいだけではなく、ミクロの世界からマクロの宇宙にまで万物に通底しているという世界観、トンデモながらも実に美しい思想だと思います。

そう言えば、秋山仁さん、中川宏さん、佐藤郁朗さんらの発見したペンタドロン(立体の元素)を思い出します。「平行多面体は元素数1である」、最初は何のことかわかりませんでしたが、その内容を知って唸った事を思い出します。

それから、マッチ箱を押しつぶしたような平行四辺形あるいは菱形の結晶体である方解石の外形が多様である事、鉱物の世界の多様性とも何か?関係があるような気がしております。

最後に今日の写真です。





これはデュモルチエライトで出来た「悪魔の星(エッシャーの星型)」とも呼ばれる菱形12面体の星型のパズルです。ヴェンツェル・ヤムニッツァーの話題に因んで出したいと思います。

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